2002/3/7
2002年3月8日 鹿児島天文館通りにて
本日は鹿児島の南方のとある農協に、営業なのである。もちろんその営業はうまくいった。来月から月に一度は鹿児島に来られそうである。限りなく嬉しいのであった。来月から合法的に俺は鹿児島にて食い倒れることができるのだ。
明日は朝一番で佐賀に飛ぶことになっているため、本日は鹿児島市内でホテル泊である。ちなみに今日の営業先は、鹿児島空港から車で優に2時間かかる田舎にある。そしてそこから鹿児島の市街まではやはり1時間ちょっとかかるのである。今回は桜島を横目に見ながら海をつっきるフェリーを使った。湾を迂回して車で進むよりフェリーを使って一直線に突っ切った方が速いのだ。昼は暖かかったがさすがに7時を過ぎてうすら寒くなってきた上に船上の海風でとても冷える。ふと見ると、船の客室の横にうどんコーナーがある。14,5人程度のおっちゃんらがうどんをすすっている、、、ふわふわと引き寄せられそうになるが、ここは思い切って踏みとどまった。そう、本日は鹿児島市内一の繁華街、「天文館通り」にて食い倒れるのが目的なのだ。わき道にそれることは許されないのである。
天文館、というか鹿児島を初めて訪れたのは、大学院の修士課程卒業の目前という時期だった。いまから6年くらい前の話だ。温泉で有名な指宿(いぶすき)の観葉植物を作っている生産者部会に呼ばれて講演にいったのだ。修士論文に追われていて忙しいので断ったのだが、「ぜひ」というので、「旨いもん食わせてくれるなら」ということで行ったのだ。そこで待ち受けていたのが山内氏という農業改良普及員の熱血漢であった。私より3歳上のこのオトコ、めっぽうデキル熱いオトコである。しかも3次会ですさまじく旨い鹿児島ラーメン屋に連れて行ってくれた。鉄鍋に入って出てくるそのラーメンはまじで旨く、私は2杯食べたのである。そこから親交が始まり、今に至る。1ヶ月前にくだんの農協に最初の営業に来たときには彼の家に泊めていただいた。その時も天文館で飯を食ったのである。しかし、残念なことに本日は山内氏は丁度いれかわりのように福岡に出張で、ランデブー不可なのであった。ということで自力で天文館を開拓することになったのであった、、、
本日俺様は何を食べたいのかと自分に問うた。すると混濁する意識の中から「地鶏、、、さつま地鶏が食いたい、、、」という声が聞こえた(ような気がした)。
そう、俺の第2のふるさと(と勝手に決めている)である宮崎と同じく、ここ薩摩では地鶏が旨いのだ。九州のこの地域でしか食えない、地鶏のもも焼きと地鶏のたたきが最高に美味しい。ホテルに入るとさっそくインターネットで地鶏料理の店を調べる。すると、「大安」という店が新しくていいらしい。まずはここだ。地鶏の後はどうしよう。やはり焼酎が飲みたい。そういえば農協から車で送り迎えをしてくれた留中さんが愛飲しているのは「島美人」という芋焼酎らしい。こいつを飲んで予習しておかなければ、次回農協の方々と飲むときに重大な間違いをしてしまう可能性がある。インターネットで調べると、その名も「焼酎天国」という店があるらしい。ということでこの2店で酒を飲むことにした。
私の泊まったホテルから天文館までは、路面電車で5分である。天文館を降りて、方向感覚がないので適当にうろうろしてみる。この天文館、繁華街というよりは風俗店と飲み屋が混在している、マコトに困った通りである。客引きの兄ちゃん姉ちゃんがアリのように群がってくるのだ。10分ほど迷ったが天性の方向感覚で、最初のターゲットである地鶏「大安」をみつけた。綺麗なつくりの店である。首都圏でいう「牛角」のようなつくりだ。
■「大安」
http://ha8.seikyou.ne.jp/home/acco/base/night.html
・焼酎 「大安」(店のオリジナルらしい)2.5合徳利のお湯割 680円(くらい?)
・地鶏もも焼き 500円
・地鶏刺身(たたき) 500円
店のおばちゃんが「量が多いからそれくらいにしておいた方がいいですよ」という。どれほどのもんか知らんがまあ様子を見てみることにする。突き出しで出てきたカボチャ豆腐(カボチャを出汁で炊いたのを裏ごしして、吉野葛で固めたもの)がめっぽう旨い。店のオリジナル焼酎は、、、ん〜たいしたことない。でもまあいいか。5分ほどしのいでいると、地鶏のもも焼きが出てきた。
で、でかい! 長方形の皿にたっぷり二人前は盛られている。しかも宮崎の流儀と違い、マヨネーズがこんもりと皿に盛られている。宮崎や薩摩の地鶏料理を知らない人はこの料理をみたらびっくりするだろう。もも肉を適宜切ったものに塩味のタレをまぶし、炭火の近火で焼くものである。炭火で肉が真っ黒になるまで焼くのだが、実にスモーキーにして美味なる焼き物なのだ。あとこの地方の地鶏は、普通のブロイラーの実に87倍くらいの歯ごたえがある、というか硬い。いやな硬さではなく旨い硬さなのだが、とにかく都会の柔らかい食い物に慣れてしまった歯茎には実にトレーニングになる噛み心地なのである。
こいつをぐちぐちと噛んでいると、地鶏刺身が出てくる。刺身と書いてあるが、いわゆる「たたき」である。地鶏のもも肉の皮目に焼き目がつくくらいに炙って、あとはほとんど生の状態で薄切りにしてある。これをタマネギの薄切りの上に盛り、にんにくおろしとしょうがおろしと醤油で食すのである。俺はこいつに目がない。宮崎に行った時には確実にこのたたきだけは食うことにしている。
大安のたたきは中々に旨かった。店のおばちゃんによるとこの地鶏は霧島山系で肥育されているそうである。やはり霧島の地鶏は旨いのだ!
しかし、なにげに思うのは、地鶏の素材もさることながら、醤油が実に美味いということだ。九州一般でそうだが、甘く濃厚である。関東の潔い、ピリッと締まる味も好きだが、九州のこの香り高く甘い濃い口醤油も魚にがっちりと合う。地鶏にも最高に合うのだ。関東の醤油でこの地鶏を食べてもあまり美味いとは思えないだろう。しかしそれにしてもこの地鶏の刺身も、どうみても二人前の盛りである。この店はとにかく盛りがいいのだが、これで500円とはどえらいパフォーマンスである。
焼酎2.5合でこいつらニ品を流し込み、ほろ酔い気分になった。しかし、俺にはまだ行かなければならない店がある。入店して30分程度だがさっと立ち上がり会計する。1680円ナリ。地鶏料理二つで1000円。プラス焼酎とつきだしか。安いと思うわ、、、二人前の盛りですからね。
ところでこの店はおばちゃんがナイス。なので、美味い店情報を聞く。
「ご馳走さん。ところでおばちゃん、美味しい魚を食べられる店、知らんか?」
「そうねぇ、この近くなら、「魚ちゃん」ていうのが美味しいよ!」
お!やっぱりそうか!実は例の山内氏にさきほど電話をして情報収集したときに、この「うおしょう魚ちゃん」という店がすさまじく美味い!ここのアジの刺身を食うべし!という指令が出ていたのだ。さすが山内氏。
歩きながら店の位置を確認する。天文館公園の近くであるとのこと。天文館公園の近くには、前回飲んだ際に行ったラーメン屋「小金太」がある。ここは、酒を飲んでたせいかも知らんがむちゃくちゃに美味い店だったので、本日も最後に行くつもりだ。さて、公園の近くで「魚ちゃん」に直接道をおしえてもらおうと電話する。しかし!「あ〜もう終わっちゃったんですよ、、、すみません」なんだと!!!そんなにすぐ締まっちゃう店なの(ちなみに10時半)、、、?
しかたがない。ここをを入れ替え、次なる「焼酎天国」へ向かう。
■焼酎天国
・焼酎3杯(島美人、黒伊佐錦、小鶴のお湯割) 300円(1杯100円!!)
・きびなごの刺身 400円
・つけ揚げ 400円
・豚骨 600円
http://www.kt.rim.or.jp/~wadada/cyokayume/tenmonkan2.html
店に入ると看板の女将さんがいる。
「一人なんだけど飲ませてもらえる?」
「あらいらっしゃいな、、、」
店の中は一面、焼酎の瓶で溢れ返っている。ここは自分で勝手に焼酎を注いでポットのお湯で割って飲み、あとで会計時に何杯飲んだか自己申告するという恐るべきシステムである。
農協の留中さんが愛飲しているという「島美人」は、柔らかくてクセがなく、確かに美味い。けど、その後飲んだ「黒伊佐錦」と「小鶴」はもうすこしパンチが効いてて美味い!
そしてこの店、つまみも上々である。さつま揚げみたいな「つけ揚げ」は錦江湾の魚で作ったものである。甘くて美味い、、、そして薩摩人が愛するきびなごの天ぷら。これはまあ普通か。
しかし特筆すべきは豚骨だろう。骨付き豚というかスペアリブを味噌で煮込んだものだ。これが実に旨い、、、一緒に煮込まれている大根がまた旨い、、、
とにかくざざぁっと食べ、飲み、勘定をする。2200円。うーん安いんちゃうか?
そして、今度は一路、さきほどの天文館公園に向かう。そう、ラーメン小金太である。
■らーめん「小金太」
・ラーメンSサイズ 500円
こないだは酔っていたので、アルコールとの相乗効果でラーメンが旨いと思ってしまったのかもしれない!やっぱりしらふで食べて旨くなければ!と思ったのだが、よく考えてみたら俺はすでに酔っ払っていることに気づいてしまった。そりゃそうださっきから焼酎飲みまくっているのである。まあそんなことはどうでもいいのでラーメンを頼む。普通ならラーメン大盛りを頼むところだが、自制してラーメンSサイズを頼む。ふつうのより一回り小さいのだ。ちなみにSSサイズというのもある。これはお茶碗みたいなのにラーメンが入ってくる。
ところで本州の人間は、九州ラーメンといえば、自動的に博多ラーメンを連想する人が多いのではないだろうか。長浜の屋台のイメージが強すぎてそうなっているのだろうと思うのだが、俺としては不満である。もちろん博多のラーメンは旨い。しかし、俺的には熊本ラーメンがNo.1、そしてNo.2は鹿児島ラーメンである。博多はその次なのだ。そして鹿児島ラーメンの中でもこの小金太は相当上位レベルにあると思う。
小金太のラーメンは、豚骨ベースのスープに中太麺、野菜たっぷり、小葱もたっぷり、そして葱の焦がし揚げたのが散らされている。この焦がし葱がアクセントになり、旨い!野菜がやさしい甘さで、文句ナシに旨い!!実は前回山内氏とここで食ったときは、山内氏の職場の八重ちゃんという美女も一緒にいたのである。なんとなく前回「すげえ旨い!」と思ったのは美女が隣にいたからという気がしないでもないのだが、今回は一人で食いにきたのにもやっぱり旨い!と思ったのでホンモノであるという結論に至った。
これで525円は安いと言えよう。東京のラーメン屋はは見習いなさい。
さて、、、
なぜ私がこのラーメンをSサイズにしたのか。それには理由がある。
焼酎天国から小金太にいく途中に、「わっぱ飯・貝汁 山椒」という店があるのだ。わっぱ飯とは、能登の郷土食器であるわっぱ(木を貼りあわせた蒸し器)におこわを盛り、蒸して食べさせるものだ。それに貝汁。貝の澄まし汁なんだろうが、この組み合わせは旨そうである。
ラーメンは麺だが、わっぱ飯は米である。ということで俺は急速に米が食いたくなり、この店に行きたいと思ってしまった。そこで、ラーメン小金太ではSサイズで我慢したのである!えらいぞ俺様!自制心のカタマリ!
■「わっぱ飯・貝汁 山椒」
・全部いりわっぱ飯(貝汁付き) 1650円
店内はなんだかうどん屋みたいなつくりである。山菜わっぱとか鮭とか色々あるが、とにかくどのわっぱが旨いのかわからないので全ての具が入っているのを注文した。いすに腰掛けると豆腐の冷奴、お新香、インゲンの胡麻和えが突き出しで出てくる。もう酒はいらんのでお茶を飲む。というかこの店で酒を飲んでる人はあまりいないみたい。
なぜかはしらんが机の上には黒い丼が重ねてある。こいつにわっぱ飯を取り分けて食うのだろうか?にしてはでかいな、、、と思っているとなぞが解けた。厨房でどんぶりに何か入れてみつばをかけている。どうやら俺のオーダー分だ。あれ?わっぱにご飯が入ってるんじゃなかったの、、、?と思ったらびっくり!
なんとこれが貝汁だったのだ。俺はてっきり、貝の澄まし汁が、小さいお椀に上品に入って出てくると思っていたのだ。しかし出てきたのは、でかい丼に味噌仕立ての汁がはってあり、アサリがうずたかく積まれ、みつばが豪快に散らされた圧倒的汁ものなのである。はっきり言ってスーパーで売ってるアサリのパック2つ分くらいの量である。なんなんだこれは?しかも勿論旨いのである!!味噌はこちら独特の白系の香り。アサリ2パック分(推定)の旨みが濃くでていて文句なしに旨い!ところで俺が不審に思ったテーブルに置かれている黒い丼は、この貝ガラを出すためのものだったことが判明!うーん、、、
と舌鼓を打っているとわっぱ飯を蒸したのが出てくる。うーむこれはやはり「おこわ」ですな。実は俺はもち米はそれほど好きではない。従っておこわも、嫌いではないが積極的には食わん。でもこのわっぱ飯と貝汁のコンビネーションは気に入った。実に美味しい。デジカメでこれらを撮影すると、厨房のおばちゃんが「あれがデジカメっていうんやろ!?」と言ってにこっと笑った。美味いと思った店でのデジカメ撮影はいつもやるのだが、店の人が嫌がることもある。ここのおばちゃんは非常に寛容だ。
すごくいい気分になって店をでた。会計は1680円。前の店と比べるとちと高いが、内容を考えると納得せざるをえん。アサリ2パック分の貝汁を飲ませる店などそうないだろう。
しかし、もう食えん、、、結局4軒はしごしてしまったのだ、、、
明日私は佐賀にいく。佐賀でも夜は食いまくることになると思う。大丈夫だろうか、、、
怒涛の佐賀編に続くのであった。