2002年5月7日
「鹿児島志布志湾の鯖に感動して俺は討ち死にしたの巻」
俺は今、鹿児島に居る。ここのところやまけんは出張に行ってなかったのかな、、、と思っているあなた。そうではありません出張たくさん行っているのですが書く時間がないのです。これまで広島の福山と名古屋にて討ち死にを果たしてきたのですがまだ筆致が追いついておりません。
ところが! 本日私は鹿児島で感動の体験をしてしまったので書かざるを得ない!聞いてください。
鹿児島の最南端といえば曽於・有明と呼ばれる地域である。その突端には志布志(しぶし)という町がある。ここは志布志湾という海ですばらしくきめの細かい魚が揚がることで有名である。この志布志の隣町の農業団体で、俺は仕事をすることになったのです。今気づいたけど、俺は酔いながらこのメールを書いていると「俺」と書いてしまうが、酔っていないときは「私」である。そして客観的にいうと酔っている際に書いている日記の方が勢いがあって面白い。従って今回は酔っ払ってこれを書いているのできっと切実に俺の感動が伝わるだろうと思うのだ。
さて、鹿児島の農業団体で仕事ができることになったということはつまり、最低でも月に一度は鹿児島に来なければならないということだ。うーん嬉しい!そこで俺は祝杯をあげようと宿の近くを俳諧ではなく徘徊始めたのです。ちなみに本日鹿児島、明日宮崎、明後日長崎というおそろしい九州行脚スケジュールなのである。一日目から体力を消耗してはいかん!栄養を取って寝るべし、、、ということで独りでさびしく酒を飲もうと思い、とりあえずぶらぶら歩いた。するとラッキーなことにタクシーの溜まり場を発見。
やまけんの鉄の法則その1には、「地元の旨い店はタクシーの運ちゃんに聞け」というのがある。タクシーの運ちゃんは旨いもののデータベースなのだ。今回もその鉄則に従った。
「あのね、東京から来たんだけど(←これを言うのがポイント)、このへんの魚の旨い店なんてないかな?」
こういう聞き方をすると、地元のおっちゃんは黙っていられないのである。
「それならな、寿司屋の〇×と、□▲と、、、それと居酒屋の「でんぱち」にいけ!」
なるほど、であれば、まずは居酒屋にて郷土料理を食い、魚を軽く食べ、寿司屋で握りを二、三かんつまんで、ラーメンで〆よう(鹿児島ラーメンが旨いことは前々前々回に述べたとおり)とコースを決めた。
、、、しかし、意外なことに、最初の居酒屋で勝負は決してしまったのである。
■鹿児島県志布志町 駅から5分 居酒屋「伝八(でんぱち」
・焼酎「若潮」2合 600円
・きびなご刺身 500円
・鯖(さば)の刺身 700円
・かつおの刺身 800円
・軟骨の味噌煮 500円
繁華街の中にある、外観はさえない通常の割烹居酒屋の体である。座って作務衣姿の主人に「このへんの焼酎は?」と訪ねると、「若潮ですねぇ」というので、2合のお湯割りを頼んだ。これが嬉しい誤算というかなんというか。俺が飲みなれている宮崎の焼酎はたいがいアルコール度数が20度である。しかし鹿児島のこの辺だと、通常25度となり、20度の焼酎の感覚で飲んでいると大変気持ちのいいことになってしまうのだ。とりあえず2合徳利でお湯割にして飲む。芋焼酎のお湯割は順番があって、はまずコップに湯を注いでから、焼酎を入れる。液体の分子構造に由来するらしいがようわからん。
まず刺身が食いたいので、鹿児島といえばこれ!のきびなごの刺身。そしてかつお、それと鯖(さば)を頼む。「さばは生ですか?酢で〆てますか?」と問うと、「いや生ですよもちろん」ときた!私は鯖には目がない。というか鰯や鯵といった青魚に目がないのだ。一も二もなくその三種を頼む。また、この辺の郷土料理という「軟骨の味噌煮」も頼んだ。どういうものかはわからない。
さて、まずはきびなごの刺身。画像で見せたいほどの美しいツートンカラーの開いた刺身は、酢味噌で食す。小さなきびなごの身は少しの生臭みもなく、甘い。小骨も構わず嚥下し、焼酎をぐいっと呷る。胃の腑に灯がともり、とたんに幸せになってしまった。そして迎えたのが鯖の刺身とかつおである。
私はこれまでで最高の鯖を食べてしまった。薄くそぎ切りにされた鯖は、血合いの赤さと身のピンク、そしてぎらぎらした皮とのコントラストがくっきりと美しい。鹿児島特有の甘めの濃口醤油につけて口に運ぶと、、、生まれてはじめての食感を経験した!首都圏で食べる〆鯖の歯ざわりといえば、歯を立てて身が崩れ、溶けるるようなものである。それはそれで勿論旨い。しかし、やはりそれは酢で〆なければならない鮮度ゆえのものだったのだ。刺身で食べられる九州の鯖の歯ごたえは、、、なんともいえん、もっちんもっちんと歯を柔らかく弾き返すあくまで官能的な歯ごたえなのだ。かといってそれは釣り上げたばかりの死後硬直の硬さではなく、十分に寝かせて旨味成分を十全にまとった刺身なのだ。
「旨い!」
あとは刺身をほお張り焼酎を呷るのみである。
とそこへ、「軟骨の味噌煮」が出た。
おはずかしながら、軟骨の味噌煮と聞いて、焼き鳥に出てくる鶏の軟骨を味噌で煮た物かと思った。そうではなく、豚の軟骨部を、牛筋の煮物みたいにとろとろに煮たものだったのだ。しかも味噌で甘く、である。見た目は鹿児島天文館で食い倒れた時の「豚骨の煮物」に煮ている。が、これを口に運び、驚いた。まったくの別物である。あくまでとろ〜りととろけるゼラチン質。これが軟骨である。すじ肉よりさらにゼラチン濃度が濃いのではないか。そのとろーりにからまる甘い味噌の風味。しかも、豚のだしをすってほぼあめ色になっている大根の滋味といったらこれはたまらん! そして更に焼酎を呷る俺様!神様ありがとう俺は生きてて良かった!
ここで俺らしい誤算。居酒屋でここまで旨かったのだ。寿司やにいったらもっと旨い鯖があるだろう!と思ったのだ。十分に楽しみ酔っ払った「伝八」で勘定をすると2990円。この感動からすると安い!そして次にすし屋に向かったのだ。向かう途中、あまりに感動し逆上している俺は片っ端から友人知人に電話をかけた。このメルマガみているあなたの携帯にもメモリーはいってませんか?たまたまかかったやつはいっぽうてきな俺からの「感動したんだよ!旨いんだよ、さばの刺身が!!!」というのを聞いてくれてありがとう。
、、、しかし、幸福は続かなかった。誤算だったのだ。運ちゃんが教えてくれた寿司屋では生のさばはなく〆鯖のみ。地うにと鰻(うなぎ)を握ってもらって食べたが、標準以上の旨いネタだった。しかし、、、あのサバのあとでは感動なし。軽く勘定をしてもらい、ラーメン屋にいく。ラーメンと餃子を食べるが、鹿児島ラーメンとしては凡庸な内容か。
と、俺にしては不発も多かったが、とにかくサバ!鯖!さば!志布志の鯖は最高である。しかもこれから俺は月イチでここに来ることができるのだ!ということでまずは感動の鯖情報をお届けした。おそらくこのメールを見ている皆さんが来ることはないだろう地の果てだが、、、
さて、本日は鹿児島。明日は宮崎、そして明後日は長崎である。連ちゃんなのだ。
こうご期待、、、