やまけんの出張食い倒れ日記

陽光の国・シチリア食い倒れ見聞記・導入 アリタリア航空の10時間はひたすら長いのであった。

朝5時に目覚ましが鳴る。色んな仕事の区切りをつけるために2時くらいまで起きていたから眠い、、、荷物のチェックをする気も起きないので、シャワーを浴びて着替え、水リンから借りたスーツケースを玄関に運ぶ。

僕が住む木場からだと、成田に行くにはNEXやバスを使うよりも早く行ける。東西線直通で東葉勝田台まで行き、京成線に乗ると1時間30分で空港なのだ。

10時半の飛行機に乗るのだが、集合は8時半。

「三越があるはずだからそこで集合にしよう。」

と重シェフが言っていたのだが、なんと三越はいつの間にか撤退し、ユニクロに変わってしまっていた!


チェックイン前に一人1万円ずつユーロに両替する。3万円を両替すると、たったの210ユーロで損した気分になってしまった。

アリタリアの機内に搭乗。設備は新しく綺麗だ。しかし誰もが言うことだが、日本国内の航空各社との最大の違いはキャビンアテンダントさんの佇まいである、、、骨太のがっしりとした、大声でまくし立てる妙齢女性ばかりなのであった。ん~ANAやJALが懐かしい。食い倒れオフでメシを喰った仲のANAのMちゃんや、JALのSちゃんに此処にいて欲しい、と切実に願ってしまった!

さてローマまで10時間のフライトである。その後、国内線に乗り換えて一路シチリア島を目指す。もし2月3日までにこの日記を目にしているならば、僕がこの乗り換えの間にインターネットへの接続ができたということだと思って欲しい。←無理でした、、、


「俺、飛行機大嫌いなんだよ。退屈じゃん!もう成田まで来るバスだけで飽きちゃったのに、これから10時間なんて死んじゃうよ!」

というのは重ちゃんだ。イタリア人ぽい濃い顔立ちでシチリア料理「無二路」の看板を守る重シェフは、濃い顔だけど僕と同い年である。

「退屈ですよねー でもいつもあまり寝てないから休みます」

というのは、同じく無二路でセカンドを務めるコバこと小林君である。無二路のパスタは現在、彼が鍋を振っている。彼はイタリアには行ったことがあるけど、シチリアは始めてということだ。
ちなみに僕はヨーロッパに足を踏み入れること自体が初めてである。そのヨーロッパ初体験がシチリアだというのは、なんとも異例のことではないか!

機内での楽しみといったら、眠るか食べるかしかない。離陸後にドリンクが運ばれ、オレンジジュースと赤ワインを頼む。どちらも旨くなかった、、、


食事はイタリアンか和食。まずはイタリアンを選ぶと、割とまともな内容である。

仔牛肉の煮込みはドミグラス系のソースで、なんだ日本の洋食と同じじゃないかという感じ。トマトとブロッコリのソースで和えたフジッリにイタリアを少し感じる。

ただしこんなもんじゃ足りないのである。僕らの席は最後尾なので一番最後に配膳される。カートにはまだたくさんの機内食が残っているのがみえたので、「もう一つ食べていい?」と訊くと、妙齢の日本人女性らしきスッチーさんが凄絶な笑みを浮かべて「残ってるわよぉ~」と重ちゃんに言う。その後、重ちゃんの笑いがしばらく止まらなかった。

しばらくはジャポニカ米の飯も食い納めか。タップリ喰って腹がくっちい。そういえばお腹が一杯になるという意味の「くちい」は方言らしいが、どこの方言なのだろうな。

アリタリアの設備は新しいといったが、健全に機能しているとは言い難い。各座席にディスプレイがついていて、ハリウッド番TAXIなどの映画が観られるようになっているのだが、なぜか僕らの席だけ映画などの表示がされない!しかも途中まで読書灯も灯かないので、活字がないと死んでしまう僕にはとても辛い。5時間経過したところで、ようやく灯が点く。そして、これを書いているわけだ。

ま、アリタリア機内での残る5時間は、食い倒れ読者の方から送って頂いたイタリア旅行本などを読み込むことで、とにかく10時間をやりすごした。

「おお、やまけんあれがローマだぜ!」

おおお!着いた、、、

ローマの上空は緑が綺麗な田園地帯であった。ただ、ローマは単なる乗り継ぎ。1時間程度でシチリアのカターニャ行き便に乗り換えだ。空港内にはインターネットコーナーがあって、1ユーロ5分の接続が可能だった。ブラウザのみの使用だが、行きがけに自分あてのメールをブラウザでみられるWebメールに転送していたので、アクセスしてみる。さすがに他言語対応しているIEだけあって見事に日本語が表示され、僕宛に届いているメールを読むことができた!仕事上での会議日程がまとまらないなどの連絡が来ていて、一応ローマ字での入力になるが、返事を返しておく。あ、ローマ字をローマで打っているということに今、気づいた!

さて国内線でカターニャへ。空港に着くと、早速ここでトラブルがあった。なんと僕とコバの荷物が来ていないのである!重ちゃんのはちゃんと来ていたのだから、これはミスである。アリタリアの女性職員に話すと、「次の便で来ると思うわよ」と事も無げだが、我々は青くなって右往左往するばかり。やっぱり外国というのは全く常識が違うんだな、と実感してしまった。

次の便を待っている間、空港内にあるバールをひやかす。プロシュートのパニーニは、その場でホットサンドしてくれたが、たいしたもんじゃなかった。

もう一つの、出発ロビーにあるバールは非常に充実していた。ピッツァ、カルツォーネ、パニーニ、たくさんのドルチェ類などがところ狭しと並べられている。

実は今回、コバはドルチェの研究という課題を負っている。

「コバ、カンノーラとカッサータを食べておけよ!」

と重ちゃんが激を飛ばす。カンノーラとは、堅いゴーフレット生地でリコッタクリームを巻いたようなおやつで、実に旨そう!ピスタチオをクリームに練り込んで緑色のクリームにしたやつもある。旨そうだ!

こちらはカッサータ。砂糖菓子のような衣は、これもリコッタクリームらしい。こちらを僕が買い、カンノーラをコバが買う。一つ2ユーロ程度だった。

「すっげえ甘いよ!」

というのを食べてみると本当に甘い!

けど、実に旨い。日本のお菓子に比べてとにかく味が過剰に濃いのだが、その過剰さ加減が徹底していてよろしい。肉料理のようなコクをもったお菓子なのだ。カンノーラに詰まったクリームも、リコッタクリームだから実に濃厚かつ風味が最高!

「ここのはあんまし甘くないね。本当はもっとガビガビになるくらい甘いんだよ。」

それじゃぁ食えねえよ、、、

さて次の便が来る時間に到着ロビーに行くと、懐かしい僕とコバのスーツケースが出てきた!水リンよかったよ、、、なくさないで済みました。

カターニャからシラクーサまでバスで一時間。精神的疲労が溜まってか、僕は爆睡してしまった。

「やまけん、着いたよ!」

と重ちゃんに起こされると、そこは地方都市という風情の、重厚な建物がちらほらみえる市街地だった。ここが、シラクーサなのだった、、、

(続く)