やまけんの出張食い倒れ日記

ニッポン食堂と築地・カリカリで梅山豚を堪能した夜

エスプーマの記載箇所に、読者さんからのご指摘で新しい情報を追加しました。
梅山豚の塚原牧場にいった3日後の木曜日、目黒雅叙園にてニッポン食堂というイベントが開催された。日中は各食材提供産地のブースが出て、格安で食材販売をしていたようだ。そして夕刻から、東西に別れた料理人と食材生産者が競う形でのビュッフェスタイルの立食会が行われたのである。

会場に入ると早くも塚原さんが声をかけてくださる。スクリーンには、よくもまあ3日でここまで編集を、というような立派な映像が流れている!映像の編集者ってすごいなぁ、、、

さて
注目の料理だが、梅山豚は東軍のシェフ達が使用していた。
中でも、キラーコンテンツ的に旨かったのが、イタリアン「ビンゴ」の小林シェフが焼く、梅山豚のサルシッチャだ!

実際、このサルシッチャは旨かった。まずイタリア南部のサルシッチャによく入るウイキョウ(フェンネル)シードの香りがしない。肉の純粋な旨みを味わうために余分な香りを入れなかったのだろう。塩も控えめだが、肉の旨みが濃いので満足感が高いのだ。このサルシッチャの行列はずーっと続いていた。




小林シェフは実際に塚原牧場に行ってその飼養現場を観て、その上で肉を食べて「これはいい!」と仕入れを決定したそうだ。サルシッチャにしたとき、何も入れずともジュースがジュッと溢れるのは梅山豚だけだ、ということで使い続けているのだそうだ。

陳健一さんの赤坂飯店ブースは、麻婆ナス。

これがまたコッテリした味付けで、香りもばらまきながら作っていたので、人が押し寄せる押し寄せる。


つきじ田村からは、野菜を使った椀が。

この椀、純和風の出汁かと思いながら一口すすると、鰹出汁以外の、肉由来のイノシン酸の旨さが拡がる。おやっと思ったら、オカヒジキと水菜の下から梅山豚やニンジン、ジャガイモの千切りといった具材がわさっと出てくる。ちなみに今回使用された野菜はすべて有機農産物(JAS有機認証を取得したもの)ばかりだった。これはなかなか大変なことだ。

ビンゴ小林シェフの、メロンのアイスクリームにメロンのヌーベをかけているところ。

メロンの上質なものを使っているようで、フレッシュな香りがよかった。最近、エスプーマに使うガスはすべてCO2添加になったと何かで読んだが、CO2、、、使いすぎると大気に悪そうだなぁ。


注:新しい方式の規制緩和で、CO2式は今後、減っていくかも知れないというご指摘を読者の岩淺さんからいただきました。

日本でこれまでCO2利用方式が多かったのは、欧州で使用されている亜酸化窒素(N2O)が、日本では食品添加物として認められていなかったからです。

2005年の法改正により、日本でも亜酸化窒素型が利用できるようになり、逆にCO2型は減ってくるのではないでしょうか。CO2型はどうしても酸味が残るため、亜酸化窒素の方が汎用性があり使いやすいと聞いたことがあります。

以上、ありがとうございました!

と、こんな感じで東軍・西軍の料理を味わった。
個人的には東軍の料理の方が、より食材の味を生かしていたように思う。西軍からは、豚では沖縄のあぐーが50%入った豚などが出ていたのだが、料理がチャーシューや角煮、トウチ炒めなどコッテリしたもので、肉質のよさを感じると言うよりは味付けのよさを感じさせるものだった。また牛肉は、東軍の岩手短角牛に対して宮崎の黒毛和牛、それはいいのだけどレア目に焼いたものを冷製にした一皿で、舌にベトッと脂分がのこるものだった。

でも、イベントとしてはかなりまとまったものになったような印象。短時間でよくここまで仕上げたものだなぁ、と思った。

さて
実はこのあとに寄った店で絶品の梅山豚料理が出たのだ、、、

徳江さんはこの日、このニッポン食堂のシンポジウムのコーディネータをしたりしていて、ろくに料理を食べていないので、「ちょっと飯くっていこうよ」と、塚原社長らと食事に誘ってくれたのだ。

「俺の住んでる築地の近くに、いいインド料理屋さんがあるんだよ。実は梅山豚も入れてるんだ」

というのが、インド料理「カリカリ」。

もう遅いのに、実に丁寧な店主さんが、「どうぞどうぞ」と入れてくださる。
梅山豚の料理はまだメニュー化の少し前で、試作段階だそうだ。それを試しに食べて欲しい、ということで、お願いすることにした。
そのまえにサグチキン。

インパクトの強さはあまりなく、マイルドな味。スパイス使いもきっちり北インド。
赤坂スワガットのような、ナッツ入れまくりの濃厚さはないが、それだけに食後感が重くならないカレーだ。

そして出てきた梅山豚料理だが、、、
これが絶品だったのだ!

おそらくタンドリーチキンのようにヨーグルトなどのペーストに漬け込み、タンドールで焼いたと思われる逸品。ただしタンドリーチキンはきっちり脱水されるまで焼くが、このタンドリー梅山豚は、内部に熱が入るギリギリの状態で、極めてジューシー。

味付けも香辛料が強すぎるものではなく、肉の旨みと脂のあっさりした感じがよく味わえる。

「これ、旨いですよ!」

と絶賛して帰ってきた。はやくメニューに登場して欲しいものだ。必ず再訪する。ただ、梅山豚の卸価格を考えると、おそらく3ピースで1500円位にはなってしまうと思うが、でもそれでも価値ある料理だ。

23時、解散。徳江さん塚原さん、お疲れ様でした。いいもの食べさせていただきました、、、