やまけんの出張食い倒れ日記

帰ってきた食い倒れオフ会! 今年はすごいぜ 岩手県が全力を挙げて育てている”プレミアム短角牛”の1/4頭分を食べる会を、東京バルバリにて開催する!6月23日(月)の予定を空けておいてくれ!

話が長くなるので最初に言っておくけど、きたる6月23日(月)の夜から、東京バルバリにて「プレミアム短角牛の1/4頭分を食べるオフ会」を開催する。今回はかなりまじめなテーマと美味しい料理が絡み合う、今までにないオフ会になると思う。

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かくも長き不在、というのだろうか。昨年の静岡県オフ会以降、オフ会の運営自体が結構大変になってしまい、しばらくやってこなかった。 仕事も忙しいし、もう最近は、オフ会をやると主催者である僕はゆっくり食べてる暇なんか無くて、「あれれ、なんのためにやってるんだろう?」という気になってしまっていたのだ。静岡オフ会も、静岡県側の岩澤さんや関師匠をはじめとするスタッフの皆さんが奔走してくれるのだが、手弁当で最初から最後まで手伝いをしてくださって、やはり疲れまくっていた。おかげで凄まじく充実した会になったわけだけど、しばらくはお休みという感じである。やっぱり無理しちゃイカンのだ。

しかし!

ここにきてオフ会を開催しなければならない事情ができてしまったのだ。その始まりは4ヶ月ほど前。岩手県庁の畜産課で、短角牛を担当するサカタさん(↓下の写真でいままさにどぶろくを飲もうとしている人)から連絡があったのだ。

「やまけんさん、お力を貸していただきたいんですよ。いま我が県では、プレミアム短角牛という、ものすごい取り組みをしてるんです。」

うおっ 名前からしてスゴイですね、プレミアム短角牛!
で、どういう短角なんですか?

「あのですね、現状では岩手県内の短角牛産地では、子牛が生まれてから素牛として出荷されるまでは、草を食べて育つわけです。しかし肥育農家の手に渡ってからは、どういう餌をやるかというのは割とまちまちです。中には輸入原料主体の方もいらっしゃいますし、久慈市山形町のように、国産原料の餌100%というところもあるわけです。」

そう、短角牛は草を食べて身体を作ってくれるわけだが、現状の肉の評価基準である「格付」では、サシが入らなければ評価が下がる。だから農家さんの中には、濃厚飼料と呼ばれる輸入コーン主体の餌を食べさせるところもあるのだ。それでは短角牛の赤身肉中心の良さを引き出せるのだろうか、と思ったりもするわけだが、、、

「そうなんですよ! 短角の素晴らしさは、日本国内で生産される餌でも育ってくれることだと思っているんです。なので、、、

プレミアム短角というのは、肥育段階でも岩手県内で収穫された乾草とデントコーンのみを食べさせて育てた短角牛なんですよ!」

 

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

マジ? それはスゴイよ!

それはつまり、国産自給率100%の牛ってことじゃん!

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ご存じだろうか。牛や豚や鶏を日本国内で育てたとしても、これらの肉は食料自給率の計算上では100%にはならない。それどころか異様に低い値を示す。例えば豚肉の国内自給率は、H18年度の統計値をみると、たったの5%に過ぎない。なぜかというと、畜産で使われている飼料はほとんどが海外の輸入穀物だからだ。

この辺は、農林水産省が発表している食料自給率レポートを読んでいただければおわかりいただけると思う。下に、その肉の自給率計算のロジック部分を転載させていただく。

■食料自給率レポート H18年度版へのリンク

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おわかりだろうか。上の事例は豚肉だったけれども、和牛の場合も同様だ。

黒毛和牛が成牛になるまでに食べさせなければならない穀物飼料の量をご存じだろうか? その答えは、獣医師で和牛コンサルタントである松本大策先生によれば、

「牛さんの系統や雄・雌でも違いますが、約5.4トンと考えておくとよいでしょう。」

とのことだ。鶏肉や豚肉と比べると、1キロあたりの肉になるために投入しなければならない穀物の総量は牛が一番多くなる。正直、日本人はすでに、倫理的に食べてよい牛肉の量を遙かに上回ってしまっているのではないか、と思う。倫理的というのは、他国も含めた環境に対する負荷や、畜産で出てくる窒素の利用範囲なども含めた話だ。

今の日本で肉を食べるということは、知らず知らずのうちに海外の穀物を摂取しているということだ。そして、ご存じのようにいま、穀物相場は世界中で高騰している

日本人が「肉を食べる」ということ、そして「どんな肉を食べるか」ということを問われている時代なのだ、と思う。

さて話を戻すと、プレミアム短角牛は、おそらく日本では類を見ない「岩手県産100%」をうたうことができる肉牛になる。短角牛は生まれてから牧野と呼ばれる草地で草と水と少量の塩を食べて幼年期の身体を作る。そして秋頃には肥育農家に出荷されるわけだが、プレミアム短角の場合は肥育段階でも県内産の草とデントコーンだけを与えられるのである。P8010378

つまり正真正銘、100%岩手県産の肉牛ということになるのだ!
(この際、塩とかは違うだろ!というご指摘は無しね。)

しかしこのプレミアム短角牛、なんとあまり売れていないらしいのだ!

「ちょっと苦戦してまして、、、まず乾草を食べさせる割合が高いので、脂身が少し黄色くなります。味はとてもよいのですが、それで評価が下がってしまうんです。それと、現段階ではちょっと価格が通常の短角の肉より高くなります。なので、月に二頭分ずつ出荷をしているんですが、苦戦している状況なんですよ、、、」

ということなのだ。日本では、味よりも見た目で価格や階級が決まってしまうことが多い。今回もそういうわけだ。

あほらしい!

プレミアム短角牛、どう考えたって未来の牛である。日本の大地に生える草をたべ、日本の穀物を食べて太ってくれる牛こそ、本物の「和牛」ではないのか。

「A5の○○牛!」

などと言われている銘柄牛は、そのことごとくが海外産のコーン主体で育てられた物だ。しかも、DNAは「和」かもしれないけれども、ほぼ100%が人工授精で生まれ、牛舎内の環境しかしらずに一生を終えることも多いだろう。

短角牛は、現状では本交と言って、本物の愛を交わして子を産む。そして大地を踏みしめ草を食べて育つ。肥育段階も国産の草と穀物だけだ。そんな肉牛、今まで見たことがない。

じゃあ、オフ会やろうぜ、ということになったのだ。

今回、僕自身のリスクとして、プレミアム短角牛を1/4頭分買い入れることにした。さすがに一頭分は買えないのだ。ただし、1/4頭というのは、牛の全部位を入れてのものだ。

今回買う肉の部位は、全部でこんな感じ。

ヒレ、サーロイン、リブロース、肩ロース、ウデ、肩バラ、バラ、ネック、ランイチ、シンタマ、ウチモモ、ソトモモ、前スネ、トモズネ

総量はなんと79キロになる予定だ!

これを全部位料理してもらい、食べるオフ会としたい。

会場および調理人は、もちろんこいつしかいない!2008-04-21№082ss
東京バルバリのお料理ジャイアン、小池シェフである!

「もうね、全部位をくまなく美味しく料理しますよ!」

という頼もしいお言葉である。東京バルバリの2Fを借り切って開催するので、参加人数は35人とさせていただく。

参加費だが、材料となる肉代をは、ひとまず僕が支払うことになる。だいたい見積の時点では20万円前後。安い!と思われるかもしれないが、脂身なども含めての話だから、歩留まりが悪ければかなり高いものについてしまう。 しかも、これは標準体重の短角牛の場合なので、もしキロ数が多くなっちゃった場合には、もっと高くなっちゃう! 怖い~ 飲食店関係の方々で、「余ったら肉買うよ!」と言う方はぜひご連絡ください、、、

これに加えて、東京バルバリの料理代と場所代、そしてドリンク代をプラスすることになる。かなりのご厚意で安くしていただいた。ドリンクは限定するけれども、込みの値段にします。

実は、日本国内ではベスト5に確実に入る美味い地ビールだと思っている、「ヨナヨナエール」のヤッホーブルーイングさんが協賛してくださることにもなった。(采女さんありがとう!)

ヨナヨナビールと東京ブラックを、参加者一本ずつは飲めるくらいに出していただけるようだ。大・感謝である!

ということで、参加費用は17000円とさせていただきたい! 正直、まだ出回っていないプレミアム短角牛の、先述の全部位を味わうことができる会だとすれば、すげー安いと思うがいかがだろうか?

しかも今回は特別ゲストがいらっしゃる。P2015399 農林水産省 大臣官房企画評価課の参事官で、食料自給率に関してはおそらく省内で最も熱い男、と勝手に僕が思っている塩川 白良さんだ。

もちろん、岩手県庁の坂田さんと高橋さんという、短角牛のエキスパートも結集する。美味しく楽しく短角牛をいただきながらも、今回はきちんとお勉強もしていきたいと思う。

6月23日(月) 19時~
東京バルバリ(東京都 中央区京橋3-7-9  tel: 03-5524-1338 )
会費:17000円
定員:30名

お申し込みは
WS000016 
まで、

サブジェクトを「短角牛オフ会参加希望」とし、

①お名前
②電話番号(連絡が繋がる先)
③ご参加の動機や意気込みなど、、、

を記入の上、ご連絡ください。

どうぞよろしく!