やまけんの出張食い倒れ日記

愛媛県松山市最大の待ち合わせスポットであるラフォーレ原宿・松山の閉館を悼みつつ、目抜き通り「大街道」を歩き、愛媛を代表するオーガニック系カフェ「Naturel」を訪問する!

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松山で最もにぎわう界隈、といえば大街道(おおかいどう)周辺だ。夜の繁華街もこの辺りに集まっているが、大街道自体は健全なアーケード街。僕も松山における夕飯はこの辺でお世話になることが多い。

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そしてその入り口に、松山を代表する商業施設とい うかビルがある。

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なんと「ラフォーレ原宿」である。しかもですよ、正式名称は

「LAFORET HARAJUKU・MATSUYAMA」

ラフォーレ松山 じゃなくて ラフォーレ原宿・松山 なのである! なんじゃそりゃっ!

「原宿の空気感をも漂わせる店、ということでつけたんでしょうねぇ」

とK野さんが言うが、、、そういうこと?

ともあれ、このラフォーレは松山を代表する待ち合わせ場所、もっといえば合コン待ち合わせ場所であるそうだ(愛媛で出会った多数の人がそういっている)。たしかに大街道の入り口だし、このオレンジ色の建物がわからんという人はあまりいないだろう。

このラフォーレが残念なことに閉館してしまった。もう昨年の話だから、そろそろ取り壊されているだろうと思いきや、まだ再開発計画が整っていないらしく、建物自体はそのまんまである。ということは、待ち合わせ場所としては機能しているんだろうか。

と疑問を抱きつつ大街道を下っていくと、80メートルほどいった右側に、小さい入り口の店がある。

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ここが、愛媛県を代表するカフェ「Naturel」だ。店の名前はフランス語読みで「ナテュレ」というらしい。「ナチュレ」と表記してはダメ!な、はずだ。

このナテュレ、実は僕も存在を知らなかった。そもそもこんな小粋なカフェなんぞ、僕には全く似合わない世界だしね。けど、ナテュレのオーナーである藤山さんは、僕のブログを長いこと観てくださっていて、数年前にメールで写真の撮影方法について質問をしてくれたことがある方だったのだ。先日、大洲市で生産者さんたちに対する講演を開催したときに、わざわざ松山から足を運んでくださり、声をかけてくれたのだ!

「当店にぜひおいで下さい!」

その翌日、早速うかがった。そう、前のエントリで書いたとおり、カメラのバッテリーが上がってしまった時だ。

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このナテュレ、というか藤山さんは実に有名な方で、柴田書店のバカ売れ雑誌である「Cafe&Sweets」にも連載をしていたことがある。コーヒー豆をはじめ、使う食材はきちんとフェアトレードすることに気を配っている本物な人なのである。

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この日はお昼時に来店。ていうか瓢太の中盛りラーメン食べた後である(笑)

藤山さんは地元の専門学校で飲食店経営についての講座を持っていて、そこでの講義を終えて後ほど戻ってくるということだった。ので、その間にご飯をいただく。

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サービスでいただいた愛媛の温州みかんのストレートジュース。ストレートジュースは果実の味がダイレクトに出てくるからごまかしがきかない。トゲや引っかかりのない、佳い味でした。

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この日のランチプレート。うん、女性に人気なの、わかる。野菜はすべてきっちり下味がつけられていて、ただの生野菜ではなく(火が通っている具材もちりばめられている)美味しい。ほんとはこれに加えてカレーを頼もうと思ったのだが、残念ながら15時からのメニューだそうだ。残念。

そうこうしているうちに藤山さんのご帰還!

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柔らかい笑顔。ソフトな物腰かと思いきや、じつに熱く語る、熱血の人なのである!

「以前は某大新聞の記者・カメラマンでして、、、仕事の関係もあってオーストラリアに数年滞在していたんですが、むこうでカフェブームにやられましてね。もう、本当にグレードの高いカフェがいっぱいあったんですよ。それで自分でもやってみたくなって、帰国して実家の近くであるこの大街道で店を始めたんです。」

大街道の近隣が実家というのがまずすごい立地だ!

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店は評判を呼び、毎日若い女性中心に高速回転をしている。素晴らしい と思うのは、マイナーであっても佳い食材は積極的に採用して、お客さんに訴求していることだ。

たとえば稲の若葉ってきいたこと、あるだろうか?大麦若葉という、大麦の葉を粉末加工したものが青汁などの原料としてよく使われているが、その稲の葉のバージョンだ。

「この稲若葉を、栄養価を高めて製造する技術を愛媛のとある方が開発されたんです。素晴らしいものなので、これを広めようと店で積極的に出しています。うちの若いスタッフがメニューをいろいろ開発しているところなんですが、人気が非常に高いのが、これなんです!」

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「緑のもっちりパンケーキ」というと、抹茶ケーキ?と思うかもしれないが、この緑が稲若葉の粉末なのである。

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苦みはほとんどなく、稲の葉とはわからない香ばしい薫り。これが練り込まれたパンケーキなのだが、本当に美味しい。

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このほかにもシフォンケーキなど、様々なメニューに稲若葉が使われている。

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そんな藤山さんがいま非常に懸念しているのが、オーガニックシロップのことだ。

「うちではカナダ産の、フレーバードシロップを使っているんですが、この輸入ロットがなかなかはけないため、輸入元が取り扱いをやめることになりそうなんです。これはとても恥ずかしいことでね、、、もし取りやめになったら、先進国の中で日本だけが、オーガニックシロップを使っていないということになるかもしれません」

シロップでオーガニック?それはなかなか大変だ、、、原料となる砂糖の原料(さとうきびや甜菜)をオーガニック基準で育て、精糖も一般のものとは分別して行い、バニラなどの各種フレーバーの元もオーガニック基準を満たしている必要がある。日本ではまったく造られていない商材だ。そしてその需要さえも日本ではないということか。

実はこの話を聞いて、じゃあ日本でもオーガニックシロップ造ろう!ということで、ある産地に声をかけている。うまくいけば、藤山さんに紹介したいと思っているところだ。

そうそう、肝心なことを言い忘れていたが、コーヒーはとても旨い!

「大手のカフェチェーンなんかだと、大量に処理しなければならないから、豆のピッキングも市内ケースが多いんです。へいきで酸化の進んだ豆をつかったりもする。豆の品質を比べるなら、買ってきた豆をバットに広げて比べてみるといい。劣化した豆がそのまま入っているところのは、誠実なものではありません。そして、きちんと産地とレベルを選んでピッキングをした場合、コーヒー一杯の価格はそれなりになります。でも、それが本当はお客様のためにもいいはずなんです」

と藤山さんは言う。僕も大賛成だ。コーヒーに関して言えば、本当にビックリしてしまう品質のものが正々堂々と売られていることが多い。スーパーに並んでいるパックされた商品なんか、かなりヤバイ。本当にいいコーヒー呑みたければ、最低でも450円くらいはするはずなのだ。手でドリップしているなら、なおさらだ。

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お店のバックヤード、この日いたお店のスタッフ全員と。いちばん後ろにいる眼鏡の彼女が、フード担当。実に美味しゅうございました。今度はカレー食べさせてね!

藤山さんの熱がスタッフにもよく伝わっていて、気持ちのよい接客でした。松山で憩うならここである。