やまけんの出張食い倒れ日記

引き続き今治市で、化学調味料を使用しない素敵なタレ達に出会った。伊藤本舗の「山蔵」シリーズは志の高い食品である!

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久しぶりに感動的な出会いをしてしまった。

一つ前の「焼豚玉子飯」のエントリのシゲハンに行く前に、近所のファーマーズマーケットの調味料コーナーで、気になる商品をみつけたのだ。「化学調味料を使っていません」と謳ったダシ醤油、うどんつゆ、焼肉のタレなどだ。

こうした商品は多々あるけれども、裏面の一括表示を見てみると、タンパク加水分解物などの、いわゆる化学調味料ではなけれども、まあ同類だよなぁ、と思えるものが並んでいることが多い。で、「なーんだ」と思ってしまう。

何回か書いているけど、僕はいわゆる味の素やグルソー、タンパク加水分解物などを特に嫌いというわけではない。もちろん我が家の調味料棚にはそう言ったたぐいのものは並んでいない。ただ、焼肉のタレなどの複合調味料を買うと、かなりの割合でアミノ酸が添加されているので、間接的な摂取を排除することはほぼ無理だろう。だいいち、外食産業で使っていないところの方が少ないのだから。

けれども、例えば在来野菜や郷土の料理を味わうときには、できれば使用しないで欲しい。それは、アミノ酸調味料を使った味は、もはや素材が内在している味以外の味になってしまっているわけだからだ。以前、東北である郷土の鍋料理をいただくことになったのだが、その調理を見せてもらったら、最後にドバドバとグルソーを足して「うん、いい味になった」と出してくれたものだ。実は農村部ではこの傾向が強く、ダシ入り醤油などは農村の主婦の料理を助けるということで積極的に使われてきた経緯がある。でも、そういうのを郷土料理として評価してよいのだろうかというと、やはり気になる。

と、そんなことを一秒くらいで考えながらその棚に並んだうどんつゆを手にとって裏を眺めた。

お!?

アミノ酸やタンパク加水分解物などが見あたらない。これ、ホンモノ? そうした瓶がうどんつゆだけではなくソースなども含め、10種類程度並んでいる。

かなり気になったが、瓶ものは重い。出張時に際限なく買うと、家で嫁が不機嫌になる(笑)すでにうちの調味料棚は溢れているのだ。なので、買わずに店を出た。

そしてシゲハンに向かったわけだが、、、シゲハンの駐車場に車を止めてふと顔を上げると、なんと目の前に大きく「山蔵」と書かれた看板がでているではないか!

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「ヤマケンさん、ここが製造元みたいですね、、、嘘みたいな展開ですけど」

ほんとだ! これは、、、縁としかいいようがない!ちょうどシゲハンがまだ開店前だったので、これ幸いとばかり覗いてみることにしたのである。

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■伊藤本舗のWeb
http://www.sanzo.net/index.htm

ここで製造しているのかどうかはわからないが、瓶のラベル貼りと発送業務、倉庫作業についている人達がわらわらと働いている横に、製造商品がズラリと並び小売もできるスペースがあった。

「へぇ~、今治にこんなメーカーがあったのか、、、」

と感心しながら商品を改めてみせてもらった。

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「化学調味料は使っていません、」

実に潔い思い切りである。ラインナップはかなり幅広い。 Webをみてくれればわかるだろうけど、鯛だし醤油、柚子ポン酢、白だし醤油、炒り子だし醤油、煮物醤油、麺のつけダレ、ノンオイルドレッシングなど様々。これら全てが化学調味料不使用なのである。

僕はこれらを買うことにした。

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で、昨日ようやく全ての購入商品を味見できた(なかなか家にいないので、味見するのも時間がかかるようになってしまったんです)。

一言いえば、非常に気に入った。 というのは実に、愛媛っぽい味なのである。愛媛っぽい味、、、というと、まずやはりちょっと甘めだということ。それと、風味が濃ゆいというのもある。麺のつけダレやうどんつゆはまさに四国で食べるスタンダードな味である。

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大正通りソースというのがまた旨かった。Webの説明をみると、煮干し・鰹・昆布の和風だしをベースに新鮮な野菜と果物、18種のスパイスをブレンドしたそうだ。この、煮干し・カツオ・昆布のだしをベースにしているというのが泣ける。それでよくこんなにもきっちり味のエッジが立ったソースになるものだとびっくりした。

面白かったのがノンオイルドレッシング。原材料をみると、バナナ・いよかん・りんご・ゆず・にんにく・たまねぎ・白菜・キャベツ・にんじんに糖類、醤油、醸造酢、風味原料(鰹・昆布)、赤ワイン・食塩という内容。白菜が入ってるのって面白いなぁ。これをキャベツの千切りにかけて食べてみたけど、実に独特でオリジナルな味!うーむこれも愛媛っぽい!のか?

さて話はそこに留まらない。

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瓶で持ち歩くと重くて大変なので、宅配便で送ることにしたのだが、会計をしてもらっているときに横の冷蔵ケースを見ると、中華麺の玉が入っている。

「あれ?この中華麺も売り物?」

と尋ねると、「はい、これは国産小麦でつくった麺なんです!」と、とってもはきはきした好感度の高い女性が教えてくれる。

「ふうん、じゃあ、これも化学調味料使ってないの?」

と訊くと残念そうな顔をして、

「実はいま、無化学調味料のタレを開発中なんですが、まだ完成していなくて販売はしていないんです、、、」

という。でも、僕が買った「麺のつけダレ」を使って、つけ麺にするのであれば問題はないので、そのまま買わせてもらったのだ。

「ここはなんでこういう無添加に取り組んでいるんですか?」と訊くと、「社長がこだわっていまして、、、」という。そうか、やっぱりこういう取り組みはトップがどう考えるかで決まるんだよな、と思ったのである。

さて、東京に戻ると荷物が届いていた。箱を空けてビックリ。中華麺の横にラベルの貼っていない、どうみてもラーメン用のタレが入っている。そして丁寧なお手紙が、、、

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手紙には、お買い上げありがとうございますの御礼と共に、開発中の無添加ラーメンスープをお送りしますので、是非ご賞味下さいませと書いてある。署名入りの直筆、実直なお人柄が伝わってくる字体である。

俺は感動した!

やっぱり、ひとの心を動かすのはこれなのだ。

さっそくラーメンをいただいた。このラーメンの食品表示がまた素晴らしい。

しょうゆ、真鯛だし、昆布だし、還元水飴、チキンエキス、食塩、砂糖、酒粕ペースト、みりん。

まずは、つけ麺風にいただいた。

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これが愛媛のラーメン。ちぢれていない ストレートタイプで、濃すぎない風味が美味しい。麺のつけダレは中華麺の個性を美味しく食べさせてくれる、やはり愛媛風の甘やかで強い味。

そしてラーメン。

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もうシンプルに香菜とネギだけをちらして食べたけど、佳いね!いろんな味が混濁してごちゃごちゃになったラーメンスープを好まない僕としては、ちょうどいいお味と風味、そして旨味です。

これ、商品化されたら僕は買いますよ。

なによりこのメーカーの心意気が素晴らしいじゃないか。宅配の担当をしてくれた方が自分の判断で送ってくれたのかわからないけれども、とても嬉しい。

次回愛媛訪問時にもできれば足を運びたいものである。

ご馳走様でした!