やまけんの出張食い倒れ日記

これからは、口蹄疫への関心を「継続」いていくことが求められる。

現場ではハードな殺処分で、獣医師さんや防疫にかり出された人たちが頑張っている。ワクチン投与が決まったから、あとはよい結果が出ることを祈りつつ、経緯を見守らなければならない。

その周辺では、政府と宮崎県、民主と自民、官僚と政治、といった対立軸でわいわいがやがやとしている。今回の話が明らかに参院選の布石になるし、だいいち現政権の大きな失点になるわけで、大きな争いになっている。

昨日、ちょっとぼやいたけれども、本当に両極に振れた情報が飛び込んでくるから、定見をつくることができない状態だ。それでも、ヒステリックもシニカルもさっぴいた時に、これはさすがになあ、と残るものはある。

Nがこんなことを言っていた。

民主党は、ブッシュ政権がアフガン戦争時に世論操作のために使っていたようなPR会社を使っているようだな。たぶん欧米のPR会社か、その手法を使う日本の会社。PRって、「Public Relations」の略だけど、日本ではほんとの意味を知られてないよな。
これは要するに、世論を「スピン」させる=空転させるとかバイアスをかけるとか、そういう意味な。イラク戦争などで話題になったがPR会社が戦争に対する世論誘導したことについて『戦争広告代店』という本が出てる。

今回の宮崎での恐ろしい状況が全国版マスコミでは非常に冷静な扱いになっていることが、非常に不思議だった。BSEの際の過熱報道で牛肉がさっぱり売れなくなったいわゆる風評被害を回避するためで、つまり成熟したのだというとらえ方もある。

けれども一方ではこれもすでに識られるところだろうけど、自民党の江藤議員の国会質問の際に、記者席はがらんとしていたという映像。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10790348
彼に浴びせられるヤジのことが取りざたされているけれども、それよりもメディアの無関心にいったいなんで?と思う。江藤さんは目立ちすぎたからもういい、という判断なのだろうか?

ただし、、、
今回の話しについて大手新聞の記者をしている友人に話を聞いた時、意外な言葉が出てきた。

新聞メディアに関しては鳩山政権をつぶしたい側だから、民主に有利な報道はしないはずだよ。メディアが宮崎に冷たいというのは無いと思う。結果的にそうなっているとしたら、単に中央にいる記者やデスクが実態をわかっていないということなんじゃないかと思うよ。

うーむ 真実はどこにあるんだろう。わからない、、、

けれども、一つだけわかっていることがある。それは、この問題は長期化するということだ。現場の人たちには長い長い数年間が待っている。その間、生活ができるのかどうか。宮崎県としてはものすごい膨大な支出を、どうやって財政立て直すのか。

つまり、これを外から見守っている人たちは、この期間だけではなく継続的にこの問題に関わっていくということを覚悟するべきなのだ。義援金はいま必要なものだが、マスメディアがこの問題を報道しなくなってからも関心を持続できるかどうか、ということだ。

被災にあった農家の人たちが、再起する意欲と資金を得ることができるかどうか。その支援は今ではなく数ヶ月後になるだろう。果たして僕らはその時に関心を持続できているだろうか。

マスメディアは「消費者が知りたいこと」をとりあげるという。ならば、マスメディアが書かないと言うことは消費者が関心無くなったと言うことだ。「無関心」は立派な行動なのだな、とも思う。

BSE問題が世間を恐怖に陥れていたのはほんの数年前のことだ。僕なんかBSEの驚異はまだ終わってないと思ってますよ。アメリカ産牛肉を明示的に扱っている吉野屋には行かないしね。「科学的に安全」といったって、科学は時代とともに言うことが変わるのですよ。よいと言われていたものが数年後に毒だと言われる世の中なのだからね。

それはともかく
先日来、いろんなところから「何かできることはないか」という話が来る。会を立ち上げようとか、宮崎の畜産物を買い支えよう、など。もちろん重要なことだが、いま打ち上げ花火のようにするのではなく、今後息長く支援が継続できるようにしておかなければならない、と思う。

僕も考えた。感染していない農場の牛・豚肉を優先的に購買できる仕組みを作れないものだろうかと。けれども、畜産物の流通の難しさはよーくわかっているので、おいそれとできるものではないということもわかっている。これについてはもっと時間をかけて考えていきたい。

すでに義援金をかたる詐欺も出てきているようだし、ちゃんと行く先を見極めて協力するようにしましょう。

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