やまけんの出張食い倒れ日記

北広島~札幌の食ラインを往く  新設直売所&レストランと極太蕎麦、久々の海鮮またつとジンギスカン

口蹄疫の話題からちょっと離れて、本道の食い倒れ日記です。口蹄疫のエントリはこちらへどうぞ。

https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/cat18/index.html

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朝一番でニコンサービスセンターへ。自宅にて食材の撮影中に三脚がスローモーションのように倒れ、固定してあったD700が落下。シャッターが切れなくなり泣きそうになっているのである。こんなのばっか。最終的に、修理費用でもう一台ボディが買えしまうんじゃないだろうか。

代替機を借りて銀座センター前で生い茂るガクアジサイをマクロ撮影。

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うん綺麗だねぇ!やっぱりフルサイズ機だからなのだろうか、それとも上位機種だからだろうか、階調表現が豊かに感じるんだよね。これで、ペンタックスが出した645Dのように、ローパスフィルターをとっぱらうことができたら、いったいどんなにくっきりした写真になるんだろう。今後のニコンに期待する。

さてそのままTCATに向かって羽田空港へ。僕は木場に住んでいるので、羽田に行く際にはTCATか、豊洲駅前のバスターミナルからリムジンバスなのだ。あれが一番快適。

札幌便は中国人の旅行客がいーっぱい。機内アナウンスも、日本語より先に中国語アナウンスが流れたりしていた。本当に時代が動いているのを感じる。昔、台湾に行ったとき、向こうの女子大生の娘が「ヤマモトさん、台湾の女の子と付き合いたかったら、北海道に連れて行ってあげるって言えばいいですよ」と話してくれた。南国にとっては、雪降る光景がファンタジーらしい。いや、それ実行はしてませんよ。

新千歳でホクレンの出迎えの方々と落ち合って、まずは「蕎麦食べに行きましょう」。新千歳のおとなりの恵庭市に、ちょっとスゴイ店があるというのだ。

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えーと 「しくんろう」と読むのでしょうか? 週末ともなると行列になる人気店で、ここは支店だそうだ。激シブな店内に期待は膨らむ!

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ゆで汁を取り替えるところなので、お時間かかりますといわれたがもちろん大歓迎。そしておいでました大盛り天!

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はい、だいたい予想していたけど、激太麺である!

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グアッと緻密な蕎麦。香りとかそういうことよりも食感、食感!つゆにズドンと全面浸してズバババとすすりこむ。うむ、もう少し辛つゆだともっと蕎麦の食感に釣り合うと思うけど、旨い。

K野さんはスペシャル温そば。たまご、鶏肉、えび天が載ってる豪華版。

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D場さんは冷やしたぬき。たぐる図を見ると、割り箸よりも太いのがわかるだろう。

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さて食後は北広島(広島県じゃないよ、北海道の北広島。)に新しくホクレンがオープンする直売施設&レストラン&市民農園へ。現在急ピッチで建設中。

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最近、直売所がらみの話が多いので、加工食品に関して少し自説をお話ししてきた。都府県の直売施設の条件と大きく違うのは、冬の間は雪でほぼ何も農産物が生産できない。その間は貯蔵もので対応するしかないということだ。かなり条件としては厳しい。けれどもここではレストラン事業や、すでにオープンしている市民農園などと絡めてやろうとしている。

なにより、「とにかく野菜を売って儲ける」という思想ではなく、北海道の農業をきちんと消費者に向けてPRしていくための場として考えているということに共感をもった。広告代理店にどかんと予算をおろすよりも、自分たちでこういう事業を地道に始めた方がいいじゃないか、ということだ。赤字になるかもしれないけど、消費者と直接対話できる場を作っていこうということ、という思想が、ホクレンにはあるらしい。

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色んなところでホクレンは大きな権力として受け取られているけれども(僕もそう思っていた)、そういうステレオタイプなみかたでは見えてこないものがある。少なくとも僕のホクレンに対する考え方はここ2年で大きく変わりつつある。

そのホクレンとの関係を作ってくれた張本人、T尾氏は、なんと参事という役員にご昇進。おめでとうございます!我々出逢いの地である「またつ」へ。

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ここからは、女将の妹さんが嫁いだ先で立ち上げた「またつ水産」の極上の海鮮が届き、それをマスターが料理しまくる「またつワールド」が炸裂!

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前菜の刺身からこれだもんね。ボタンエビ、アワビ、鵡川で穫れた旬のシャコ、ホタテ。

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「ホタテは手で割ってるから」とマスター。食感が、シャク、シャクという感じで繊維感がある!

そして絶品だったのがシャコ。

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でかい!今日のはメスなのでお腹にたまごが。

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以前、帯広の吟寿司で食ったシャコがあまりに旨くて東京で話してたら、「それはきっと東京産だ。北海道に旨いシャコなんて無い」という料理人がいた。けど、やっぱそれはウソだろう。北海道のシャコは旨いよ!

そして、、、こいつがもうヤバイ一品だったのである。

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ウニに、8個分のウニを詰めて焼きました。 もうこれが、、、

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こんな感じなのですよ!
ウニは生が好き、だけれども、加熱したものもまた旨みがドカンと拡がって美味しい。北関東の太平洋側でもウニを焼いたのがあるけれども、あれはきっちり火を通して別物の味になる。こちらは中がレア。そして控えめながらきっちり塩が効いているので、これ一つで2合は酒が飲めてしまう味だ。

そして今回最も美しかった一皿。

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時鮭をミンチにして具と混ぜたものを開いた実で包み、表面をパリッと焼いたもの。この技法を「けんちん焼き」というらしい(聞き間違えてるかもしれませんが)。軽いバターソースで仕上げてある。

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塩鮭になっていない生の鮭って、実は関東にいるとあまり食べることがない。そしてそれが別物だと言うこともよくわからないことが多い。時鮭の身は実に淡い儚いデリケートな風味で、一瞬フレンチレストランにいるんじゃないかという錯覚を起こしてしまった!

そして、淡雪のような綺麗な一品。

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グリーンアスパラに乗っている、こんもりした白い丘はジャガイモのヴィシソワーズ風ソース。その内部には、、、

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ホタテが詰まっていた。

「この人(T尾さん)が、ジャガイモばっかり持ち込んで来て『なにかこれで作ってくれ』 っていうからさぁ、ホント困るよね。俺、魚料理の人間なんだからね。」

とマスターが笑いながら言う。いやいや もの凄い幅の広さですよ!男爵のヴィシソワーズ風ソース、実にビシッと味が決まっている。

この太さのアスパラは今回、かなり苦労して手に入れたらしい。実は北海道では昨年同様、曇天と低温が続いていて、作物が育たない状況が続いている。本州向けの出荷も大幅に遅れている。昨年もジャガイモ、豆類が不作だったが、今年の状況も悪いのだ。

宮崎の口蹄疫だけではなく、どうもここ数年、食の第一次産業が大変だ。苦労なく美味しいものが食べられる時代は本当に終わったのではないかと思う。

さて、またつお得意のジャンボシイタケ料理。

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今回は、エビしんじょが塗られている!

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うーむ こいつは旨いよ、、、エビの風味とシイタケのグアニル酸の美味しさがマッチしている。この店のシイタケものはハズレがない。

そしてまたもや大技!

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エゾアワビを蒸したものを鶏ガラスープの餡でいただく。実はまたつのマスターはラーメン屋をやろうかと思っていたこともあるくらいで、スープ作りはお手のもの。しかし、原価計算したら一杯2000円のラーメンになっちゃうからやめた、という人なのだ。

写真撮ってる間に、横のT尾さんがどんどん自分の食わないアワビを足してくる~!!

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このアワビが驚くほどにふんわりと煮られている!プルンプルンクニョルンクニョリンである。

「あのね、こうやって柔らかくする煮方があるんだよ。」と詳しく教えてもらったけど、書かない!

ちなみにこれがエゾアワビ。アワビの大小はよくわからないけれども、でっかいのだそうだ。

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そしてマスター、茶目っ気たっぷりにこんなものを出してきた。

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ん?カレイの唐揚げのあんかけ?別にふつうじゃないの???

「あのね、道南の食べ方はね、ソースなんだよ。これ、中濃ソースとウスターと合わせて、その他いろいろからめてつくったあんなんだよ。」

ええええええええええええええええええええええええええええ ソースってあのソースかい!?

いやービックリしたけれども、これがまったく何の違和感もなく「美味しいじゃん」というお味。ソースの甘みと酸味がいい。そうか、中華餡は塩分にスープの旨み、酢の酸味、砂糖の甘みで作るけれども、ソースもほぼ同じ要素を持っているもんな。けれどもこれは驚いた。今日強く心に残った3品のうちの一つ。

このマスター、タダモノじゃないんだよね、、、

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それにしてもいい男だよね、マスター。なんか俳優みたいでいやんなっちゃう。んで、美人のおかみさんなんだからしょうがない。

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おかみさんのご実家は呉服屋さん!道理で和服の着こなしが素敵なはずなのだ。

はい、〆の一品。

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いやっていうほどウニがぶち込まれた、ウニ雑炊!

これん、山わさび(ホースラディッシュ)を好きなだけすり下ろして投入。

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いやもう絶品。山わさびのヅンとした揮発成分イソチオシアネートの風味が、ふんわりした薄味の雑炊にビンと筋を通す。こんなに↓あった雑炊が、すっかり空になりました。

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いやー 旨かった! またつのお二人と、ホクレン軍団とで一枚。

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この後、僕とT尾さん、M方さんは札幌ジンギスカンへいって、羊をたらふくいただいたのでした。うーん 久しぶりにここまで食った、、、

では本日、大仕事してきます。