ここのところ、「大地を守る会」のカタログやWebストア向けのコンテンツを書くということを、けっこうな頻度で仕事として請け負っている。大地を守る会とは古いつきあいだ。それにらでぃっしゅぼーやが上場して、生産者と消費者の方ではなく株主を向いた流通になってしまった現在、きちんと第一次産業と消費の仲立ちをできる流通団体としては、大地を守る会に肩入れするしかない。
もっとも大地を守る会も、何を考えているのか上場を目指すと宣言している。藤田会長が証券会社や社会起業家とか呼ばれる人達に吹き込まれたのだろうか、非常によくない傾向だ。大地の築き上げてきた流通は、市場原理という、自由だけれども社会に格差や歪みを生みだす世界とは違ったスタンスの流通であることに意義があるのに、その市場の中に入ってしまったら、スタンス自体を変えねばならないではないか。株式市場においては株主の意向が最高位にあるわけだから。
まあ、おそらくいろんな関門があるので上場は無理なんじゃないかと思うけど、出来るとしても絶対しない方がいい。したらもう俺もサヨナラだ。そんなん屁でもないだろうけど。 けど、いまはまだ上場してないから、この瞬間、俺は正面から大地を守る会を応援する。
で、、、
大地を守る会の広報にして後輩でもあるO女史から笑える企画が持ち込まれたのだ。
「あのですねヤマケンさん、TPPに対抗してTTPというプロジェクトをやろうと思うんですけど、取材記事を担当していただけませんか?」
んんんんんんんんんんんんんんんんんん? TPPじゃなくてTTP? はい、T(ちゃんと)T(たべもの)P(プロジェクト)を略してTTP(笑)
あまりにばかげてるがセンスいい、と思った。それに、大地を守る会で気になってる生産者さんやメーカーに正面から会いに行ける!ということで、一も二もなく引き受けた。
その第一弾が先頃公開された。
コンテンツはいくつかあって、藤田会長が各界の著名人と語り合ったりいろいろな企画がこれからばんばん立ち上がっていくのだけれども、3番目の「Know」という「ちゃんと、たべもの、の秘密」という部分が、わたくしめが各地の生産者・メーカーを訪ねて取材したコンテンツとなる。
いま公開中の第一弾は、That's国産平飼い卵の生産者である本田孝夫さんを訪ねた記事である。
実はこの取材、2月中に終えていたもので、さあ原稿書くぞと言う時に3.11の震災があった。その関係でいままでずれ込んでいたのだが、ようやくアップだ。TPPの驚異はまだ全然去っていないので、こっちはこっちで戦うぜ、という感じだ。
やっぱり、経済がたべものを規定してはいけないのだ。我々がたべたいものがあって、それを実現するためにどのような経済や社会を築き上げていくかと考えねばならないのだ。
そんなことを訴えられるような記事を書いていこうと思うので、まあ読んでみて下さい。なお、記事の〆は美味しい卵かけご飯です。卵の黄身の色は、淡ければ淡いほど佳いと、僕は思う。
ところでTTPのほうのコンテンツには登場しない写真なんだけど、地鶏のJAS規格よりも飼育密度の低い、広々とした鶏舎の中で撮影した写真が、ちょっとビックリするような「一条の光が差す」ものになっている。一瞬だったので撮っている時は気づかなかったのだけど、、、
この光が、日本の第一次産業と食に差す光であることを祈る。
札幌駅から歩いてほんの5分で、北大キャンパス正門に至る。奥へ進むと、実になんというか、ここに座って本を読むだけでもう幸せ、というような小川の流れる中庭があるのだ。
都市部の大学でこんなにふんだんに敷地を緑地に使える大学ってそんなにないだろう、と思うような、憩いの場
北大の農学院で、いろいろとお世話になっている坂下先生・小林先生が中心となって開催しているイベント「北大マルシェ」があるというので、昼から伺った。雨の予報だったのが、だんだんとやんできてとうとう青空が見えた!
「アビーロード」のジャケ写真みたいだ(笑)
北大農学部の農学院では、サテライトといって道内の数カ所で出張授業のようなことをしているそうだ。もちろん生徒はその拠点の周りの農家さんのところへお手伝い(にはあまりならないことが多いのだろうけど)に行ったり、交流をしている。そのサテライトで築き上げた生産者ネットワークが、一年に一度この北大キャンパスに集結するわけだ。
農学院の前庭にテントが張られ、様々な農産物、加工食品が並ぶ。
この方が、僕もいろいろ教わることになっている小林先生。「こばっちゃん」と名札にあるが、そうは呼べんです(笑) このイベント、教員は音頭をとるが、もちろん実行するのは生徒達。なかなか苦労しながら運営をしていた。看板が出るべき処に出てなかったり、事前に生産者さんのプロフィールとかを集めているのに、それが展示されていなかったりと、バタバタしていたようだ。ガンバレ学生イベント!
北海道らしく、牛乳飲み比べというのがあったので入ってみる。
400円だったかな、で8種の牛乳飲み比べ。完全放牧だったり、餌がグラス中心だったり、パスチャライズだったり。メグミルクとの飲み比べをしたけれども、もちろんそれ以外の農家さんの牛乳が美味しい。中でも、グラスでジャージー種を育てている酪農家さんの牛乳が、インパクトのある香り。やっぱり牛の品種と餌で大きく変わるのだ。もちろんパスチャライズじゃないとよくわからないけどね。
北大と言えば、北大牧場! 牧場で育てた短角牛を、エレゾ・マルシェ・ジャポンの佐々木君がシチューにすると言う。
牛皮のナイフケース。かっちょええ。
短角牛の骨とスネでとったブイヨンがあまりに濃かったので、水で三杯に伸ばしたブイヨンで仕込んだシチュー。
これがめっぽう旨い!さすがにプロの味だわ。家庭ではこれは絶対に出せない、、、三倍に伸ばしたとは全く思えない濃いゼラチン質。ほどよい酸味、そして煮込んでもきっちり肉の味がわかる短角牛。最高ですな。
新人のカネコ君が焼いているのは、蝦夷鹿と蝦夷豚のソーセージをバゲットに挟んだドッグ。
こんなの、旨いに決まってるっしょ~! とくに蝦夷鹿のソーセージ、実に野趣のある味わいだ。
北大のイベントだけあって、ちゃんとお勉強タイムも用意されている。佐々木君が、蝦夷鹿の現状を語るタイム。
聴きに来てくれた人達も意識の高い人が多いようで、質問がばしばしととんできていた。
さて、このイベントの中でビックリするほど旨かったのが、これ。
さきの小林先生に「なにか、これだけは食べとけってのありますか?」と聴いた時にいの一番に出たのがここ。
「石窯焼きピッツァは食べといた方がいいですよ!」
え?石窯なの?
なんと、本当に石窯です!
しかも贅沢なことに三基の釜が鎮座ましましている!
尋ねてみたら、なんとこのマルシェ用にあつらえたのだと言う。ホント?
しかもですよ、このブースを出店しているノースプレインファームは、北海道チーズの世界では有名な生産者でありメーカーだ。
■http://www.northplainfarm.co.jp/
道産小麦の生地をのばして、トマトソースを塗って、チーズを置いてミニトマト、バジル。このシンプルな組み合わせが実に実に最高。
久しぶりに旨いピッツァを食べたぁ~、という感じがする。これ、小林先生が真っ先に勧めてくれただけあって、本当に心の底から美味しいピッツァであった。
と思いながら、写真の階段のところでピッツァを食べていたら、、、
「あれ? あれ?」といいながら近づいてくる方が居る、、、
「あの、やまけんさん?」
はい、そうですそうです。
「おおおおお~ 私ね、高知のひまわり乳業の吉澤さんからいつも話を伺っていてね、いや、お顔をみてまさかと思いましたよ!」
はてこの方は一体?
「ノースプレインファームの大黒と申します。」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええノースプレインファームの社長さんじゃないかぁ!ビックリ、びっくり。いやそてにしても食品の業界、本当に狭いです。誰かと誰かが必ずつながってるんだもの。
ノースプレインファームさんも坂下教授たちときっちりつながり、こうしたイベントには協力をしてくれているそうだ。あんなピザ窯三基も作るんだもんなあ、そのコミットメントの深さは凄いですよ!いやはや。
ノーズプレインファームを囲む、悪いオトナたちの肖像(笑)
いい感じの不良なオトナ達です。
もひとつ興味深い、殿様ビーフバーガーというトレーラーがあった。
なんと、福島の南相馬にルーツを持つ、殿様の家系に連なる方が、北海道で肉牛をしているそうだ。そこの黒毛和牛100%のビーフバーガー。
これ、バンズが大変に美味しゅうございます。
味の濃いパティには強いバンズが必要。肉の旨さをがっぷり受け止める骨太なバーガーだった。
ゆったり一周して、エレゾのブースに戻ってくると、秦先生が「あ、いたいた!」と手招きしてる。何かと思ったら、ビックリした出会いが!これについては、次のエントリで触れよう。
日曜日、よさこいソーランの重低音がとどろき渡る明治神宮に来て下さった皆様、本当にありがとうございました。そして、、、写真が二点売れました! 仕事で写真を販売というか提供したことは多々あれども、作品としてのプリントを買ってもらうのはこれが初めてなんとも嬉しいものです。本当にありがとうございました。
写真展は火曜日の4時半まで展示が続きます。僕の後はiPhoneで作品を撮影することで有名な三井さんの展示が始まります。
では、これから都内で打ち合わせ後、岐阜へ行って参ります~!
写真展が始まって初めて、今日は明治神宮の宝物展示室に詰めた。来ていただいた方々には大感謝!ブログで観ていただいているお客さんは、入ってきた段階でなんとなくわかる(笑)。けど、何も知らずに入場してくださった人も居て、それも楽しかった。
さて、冒頭の写真、土日14時からのギャラリートークの時間に来ていただいた方に、お土産です。両方じゃないですよ、どちらか一方です。「短角亭」特製のレトルトカレー、短角の肉であることはもちろん、アマランサスやひえ、あわなどの雑穀入りでもあります。そして下の雑穀!今回展示する写真にも登場する高村さんの雑穀です。高村さんの娘さんが、このイベントのために特別の50g包みを作って下さいました。ご飯に炊き込むだけで美味しくいただけます。おそらく足りるとは思うけど、足りなかったらジャンケンポンで。
今日もいろいろと知った顔(笑)がご来場。
3時過ぎから猛烈な雨、降りたる。
明日は明治神宮の入り口および駐車場でよさこいソーラン祭りを開催するそうで、その人達も大変だ。雨が降りませんように、、、長靴でないにしても、ちょっと雨に強い装備をしてきて下さいネ。
展示が始まってからまだ行けてなかったのですが、今日の午後から在館します!近隣の方など、ぜひ足をお運びください。もしいらっしゃったら、気軽に声をかけてくださいネ。
ところで土日のギャラリートークですが、40席程度の椅子があります。何人来てくれるかわかりませんが、恒例の(笑)ブログに出たあの旨いもの土産をやります。今回は、山長ミートの短角和牛カレー50パックと、雑穀の高村さんにつぶつぶまぜっこという、5種の雑穀を混ぜたものを50gパックにしていただいたのを100パック、買わせてもらうことにしました。だから、75名以下だったら、全員どちらか手にしていただけますね。
お楽しみに!
いきなりだけど、ちょっとだけ書いておく。今年度中うまくいくと、しょっつるの面白い企画ができる「かも」しれない。諸井さんのしょっつるのことは過去ログを調べてもらえると一杯出てきます。
いつの間にか、こんなに商品が増えてます。中でもいま人気を集めているのがこれ。
スプレー形式で、いろんな料理に「ふきかける」ことができる。現地では、おにぎりにこれをさっとひとふりかけるのが受けていたり、ラーメンに仕上げにさっとふきかけるということで、味が全く変わるとのこと。
面白いことできるかも、の話はまたいずれ。
今回、札幌にしばらく滞在した理由はいろいろあるのだけれども、土・日に「北大マルシェ」というイベントが、北大の農学部キャンパスで開催されたのを観に行くということもあった。お世話になっているところがいろいろと出てくるのだ。
その中でも重要なのが、以前僕が感動して二度も訪れた、北大が所有する実験牧場の長である秦先生との再開。北大マルシェでは彼の育てた短角牛を煮込んだシチューが出るのだ。
それを料理するのは、先般の蝦夷鹿サミットを主催した、ジビエ専門精肉店であるエレゾ・マルシェ・ジャポンの佐々木君。
どうせなら、飯食おうよということに。メンバーは彼ら二人に加えて、先日NYにドライエージングビーフ視察にいった際にご一緒した、北海道の精肉業界では非常に歴史があり有名な大金(おおがね)畜産の大金社長。
実は北大ブランドのハム・ソーセージも大金さんのところが手がけている。
そして、エレゾの若手24歳、料理人出身の金子君だ。
場所は、エレゾの肉を仕入れてくれているという「ラ・ブランシュール」。しばらくまえまで札幌のコート・ドールに居た中本さんがオーナーシェフとして開いた店だ。
結論からいうけど、素晴らしいしレベルが高い!
蝦夷豚は、帯広で放牧飼育されている豚なのだけれども、牧草や配合飼料ではなく野菜くずだけで育っている。だから、あまり成長率がよくなくて、出荷体重になるまでに350日以上かかってしまう。けれども通常の200日未満で出荷する豚よりもずいぶんと肉の熟度が深くなり、旨みが増している。ただたんに長く飼えば美味しくなるというわけではないので、ここはなかなか興味深い養豚をしているわけだ。だから、このように加工されても深みのある味で美味しい。
これはさすがに蝦夷豚の血ではないけど、ネットリ濃厚でいいスターター。添え物は根セロリのピュレだ。
■キンキのポワレ
酸味を利かせたバターベースのソースが美味しゅうございました。
さてメインだ!
■蝦夷豚の肩ロースとソーセージ
こいつが、全員寡黙になってしまうほどの美味しさ。
肉の熟度も深いが、焼きの加減が最高で、生々しくなくしっかり旨みが最大化されるように加熱されている。蝦夷豚は肉の部分の旨さももちろん、脂にコクがあって、なおかつスッと切れる適度な融点の低さを持っている。これは最高だ、、、
ドライエージングの話や目指す食の世界の議論などで静かに盛り上がる。この日、大金さんは朝から相当なキロ数を移動してこられたので、相当疲れていたと思うのだが、おつきあいいただいてありがとうございました!
それにしてもこの店、美味しいなぁ、、、円山公園の周りにはいい店が多いね。「モリエール」も美味しかったけれども、ここも素敵だ。こんど、もっとがっつり食いたいと思う。
中本シェフ、ありがとうございました!
■ラ・ブランシュール
〒064-0821
北海道札幌市中央区北1条西28-2
011-621-0929
いやーとうとう作品が運び込まれちゃいましたよ!いよいよ明日から人生初の写真展です。
ありがたいことに、原宿駅前は暑いのに、明治神宮の鳥居をくぐるといきなり体感温度がググッと下がる。林が作る日陰であることと、木々が快適な湿気を与えてくれていることが大きな要因だろう。
さて、展示室では今日まで、ハワイの風景や海の写真をライフワークにされている高砂淳二さんの写真展が開催されていた。
運のいいことに、今日はご本人もいらっしゃっていた! もうね、若い女性がたくさん彼を取り囲んでる。すっげー人気です。どうも僕のブログ読者とは全く違う客層だ、、、(笑)
おもわず高砂さんの写真集にサインを入れていただく!(なぜかその横に僕の著書が,,,(笑))
宝物にします。下は、高砂さんの愛機オリンパスE-5と水中ハウジング。レンズは7-14mmF4だ。
さて、閉館後、大急ぎで撤収&僕の作品の搬入だ!
自分の作品が額装されているのをみるのはほぼ初めて。なんだか感動しちゃったんだけど、そんな暇なし!額を上からかけていって、キャプションと場所、傾いてないかどうか等の確認をする!
前室では、A3の作品10枚と、ガラスケース内にはニコンさんの展示が。広報部の河村さんがおんみずからいらっしゃって展示をしてくれていた! もうね、ニコンファンは来た方がいい。現行ボディ&レンズ勢揃いに加えて、NASA仕様カメラの展示ですよ。
ちゃっかり、ふだんは触れない超望遠大口径レンズも試しちゃいました。500mmF4なんてこんな機会がなければ、、、うげっ重い!手持ちで撮ってると、5分したらもう腕がパンパンになりますな、ホント。
そんなわけで展示完了。みなさまのお越しをお待ちしてます。
いま、土日のギャラリートークに参加して下さる人に向けたプレゼントを準備中。山長ミート特製の短角牛レトルトカレーを50個発注しました。あとは何にしようかな、、、
そうそうギャラリーにはとりあえず、26日(金)の午後はいるようにします。平日しか来られない方、ぜひお会いしましょう!
いくつかの情報ソースを書いておくので、ぜひよんでいただきたい。まずはこちら。
■http://www.ruralnet.or.jp/syutyo/2011/201109.htm
農文協という出版社がある。農山漁村文化協会というのが正式名称で、1940年から農林水産漁業に関する書籍の出版をしてきた社団法人だ。書店で「現代農業」という小さく分厚い雑誌を観たことがある人も多いだろう。この雑誌、農文協の新入社員がスーパーカブに乗って農村を走り回り、営業することで有名だ。内容は、言ってみれば農業界の少年ジャンプ。あるページで有機栽培のワンポイントアドバイスがあると思ったら、他のページではぴしゃっと効かせる農薬の使い方みたいなのが同時に乗っているような、百貨店的内容だ。
僕は農文協の雑誌に原稿を書いたことはないが、先日とうとう名物編集者である甲斐さんに頼まれ、TPPに関する原稿を書いた。
■http://kikanchiiki.net/contents/?p=624
入稿してホッとしていたところに震災があった。そのため、おそらくこの冊子はそれほど注目されていないだろう。しかし、いままさに再度、TPPに関する驚異が浮上しつつある。
民主党代表選に向けて前原氏出馬が取り沙汰されているが、全く支持できない。といって他に支持者がいるかどうかというところもあるのだけれども、前原氏だけはダメだ。彼が首相となった暁には、どんな手を使ってでもTPP参加のための国内調整を行い、オバマ政権への手土産とするだろう。なんといっても「GDPたった1.5%の第一次産業のために他の産業が犠牲になっているのではないか」と発言したその人なのだから。
私は農業がいまのままでよい、などとは思わない。しかし、経団連や、そのお先棒を担ぐ日経新聞などが訳知り顔で垂れ流す 「大規模化を進めれば」「株式会社の新規参入と土地取得ができるようになれば」というのは全くの的外れであると考える。第一次産業の問題はそこに携わる側の問題ではなく、それを取り巻く産業構造の問題なのである。食品の価格をどのようにデザインし、消費者負担と国の負担のスキームを決めるべきかという問題なのである。これを一から作り直すのには非常に時間と調整が必要だ。
そこにTPP推進という、降ってわいたような話が出てくるのはあまりにもオカシイ。日本が享受できるメリットがほとんど明確になっていない(これだけの時間が経過しているのに!)のにも関わらず、TPP推進の声はいきなり沸いてくるはずだ。
さて今回の農文協の主張文では、震災後の復興に名を借りて、漁業権・農地所有権を新規参入者に自由化しようという動きを批判している。一読しただけではわかりにくいかもしれないが、ぜひよんでおいていただきたいと思う。
僕は最近思うのだけれども、第一次産業に関する問題が国民にうまく伝わらないのは、たんにPR力の問題なのではないか。原発を巡る電力各社と国、そしてマスコミの関係のように、製造業をはじめとする他産業界が広告を握っていることで、第一次産業のメディア力が封じ込められているということだ。だから、農業問題やTPPに関しては本当に「まさかこんな稚拙な議論が?」と思うようなことが堂々と論説となって流布されているのである。
さて農文協とはまた違った立場だが、宮崎県の農業会議という組織で主に農地関連の仕事をしているスペシャリスト・杉田さんのブログも紹介しておく。
■http://www.power-miyazaki.net/hojin/2011/08/post_205.html
とりあえず今日はここまで。
■海森彩生写真展 http://umimori.com/2381
この食を、未来へ繋ぐ。
~岩手県・三陸と北部の食べものと人、生きものたち~
岩手は、一県で四国全域とほぼ同じ面積を持つ広大な県です。山・川・海の全てがあり、県内の食文化は驚くほどに多様です。そして、全国に誇る素晴らしい食材と、高い志と技術を持った生産者がいます。これまで私は、岩手の北部と三陸に深い縁を持ち、たびたび訪れてきました。
3.11の東日本大震災は岩手の三陸沿岸部を中心に、物心両面に渡って大きな被害をもたらしました。電話もつながらず、ニュースをみても現地の様子がわからない中、私が想い続けたのは漠然とした岩手ではありません。関わり合った生産者さん、放牧されている短角和牛たち、そして海中で秘やかに息づいている貝や魚たち。彼らは無事でいるのだろうか。幸いなことに私が知る生産者さん達はほぼ無事、牛たちも無事でした。
しかし、津波によって海の養殖棚は流され、港湾設備も壊滅し、日本が世界に誇る三陸の水産業は大変な状況です。日本有数といってよい食品・調味料メーカーの蔵や工場もたくさん、流されました。
そんな岩手に対して、県外にいる私たちが出来ることは何か。いちばん大事なことは“忘れない”ことだと思います。岩手が生み出してきた素晴らしい食と、それを支える人達のことをずっと忘れず、求め続ける。その意思表示こそが、復興への大きな原動力になるはずです。
この写真展では岩手に存在する(または存在した)、未来に繋いでいきたい食の風景を展示します。近い未来、ぜひこれらの風景に逢いに行けますように。
山本謙治
会 期 | 8月24日(水)~30日(火)
開館時間 | 9:00-16:30 (火曜は16:00閉館・入館は閉館の30分前まで)
会 場 | 明治神宮文化館宝物展示室
施設維持協力金 | 500円■ミュージアムトーク
これも初めてのことですが、写真のことを中心にしたお話しをします。岩手の美味しいものを少し持っていって、じゃんけんぽんで買った人におわけしようと思います(笑)
~Nikon Imaging Presents~
+8月27日(土) 14:00~15:00
+8月28日(日) 14:00~15:00施設維持協力金 | 500円
※予約不要 40席ほど椅子をご用意します。立ち見可。
今回の写真展、ありがたいことにニコンさんが協賛してくださいました。前室に、現行カメラボディとレンズが並び、そして目玉としてNASAに採用された機材群が展示されます。
27・28日の週末はほぼ確実に終日、写真展にはり付きます。それ以外の日はまだ在館できるタイミングがあるかわかりませんが、居られそうな時はブログで速報します。
なお、今回の作品はギャラリーさんのほうで販売もします。もしご所望のかたがいらっしゃったら、スタッフまでお声をかけて下さいネ。
それにしても今回、こういうことで初めて、愛読しているデジカメWatchに名前が載ってしまった。なんか、ドキドキする、、、
ホクレン勤務の友人・北沢氏のすすめにより、札幌駅からも歩いてすぐの「バルコ」にて昼食。
BARCOMと書いているから、もしかしてバルコムと読むのかな?
店内の壁には道産食材マップがどーんと貼られているし、そこここに北海道で穫れ、かつこの店で使用する食材の情報やディスプレイが。
特に、道産の豆類をひとつぶひとつぶディスプレイしたもの、これ僕も欲しくなっちゃった!
在来種ふくめものすごくいろんな品種があるんだな、、、豆のことはあまり勉強してなかった。
この店、えらいことにカルツォーネのランチがたったの500円!申し訳ない位なのでそれに鹿肉ラグーのパスタもいただくことにした。
カルツォーネは三種類のなかから選ぶ。僕はナスとチキンとチーズ、北沢氏はマッシュルームペースト、うちの妻はカポナータ。
写真、うまく撮れてません。ゴメン。
鹿肉ラグー、あっさりしてていい感じ。煮込みすぎてない、鹿の風味中心。空心菜あわせてるのが旨い。
麺はなにやら自家製らしき、白っぽいタリオリーニ。おそらく道産小麦なんだろうなぁ、、、こんな店、大切にしないといけませんよ、ホント。札幌うらやましいランチです。
なんとまあ、北海道でもシケの時は魚が獲れないし、盆明けには市場にもなんも入ってこないものなのだ。盆だからといって遠方に行くもんじゃないな、、、と思っていたけど、あるところには旨いものがある!
6人前の握りが壮観!でも人数は4人です(笑)
イカとソイは、僕は山わさびをもらっていただいた。北海道ならではの刺激物である。
ボタンエビに感動してたら、「いま時期は甘エビの方が旨いわ。」といって頼んでくれた甘エビの握り。
こいつがもう、めっぽう旨くて驚いてしまった!
これまで2回連れて行ってもらった「寿司さっぽろ」のような衝撃はないけど、ススキノからすぐ楽しめる、正統派にぎり寿司のお店でした。ごちそうさまでした、、、
その後、ちょっとススキノから外れたところ、「最近この辺が熱いらしくてね、しゃれた店がオープンしてて、人が来るようになってるんだよ」というエリアへ。コンフォートホテル札幌のちょっと手前、ずいぶん造りの古い町屋を改築したような風情のある店。でも表札には「そな田」としか書いておらず、いちげんさんにはちょっと入りにくい感じのお店。
「ここにね、ヤマケン連れてきたかったんだわ」
とT尾さん。ん、なんでかな?と思ってはいったら、、、
店内はこんなにシックな造りのダイニングバーだった!そして、、、
「やっとお会いすることが出来ました、やまけんさん、昨年ぼくはやまけんさんにメールして、お返事をいただいてるんですよ!」
ええええ? そうだっけ!?
そうなのであった。実はちかじか飲食店を始めたいと思っているので、ぜひ札幌においでの際には、、、というお誘いをいただいていた。しかし、その近辺であった札幌出張の期間は「実はまだ開店して無くて」ということで、そこからちょっと忘れてしまっていたのだ。彼の名前は小野寺さん。なんか、僕のブログのエントリを刺激にしてくれたようだ。嬉しいことです。
「T尾さんが先日いらして、やまけんさんの話をしておられたので、僕の方からお声を掛けたんですよ。びっくりしました。」
そんでT尾さんは本日、連れてきてくれたわけだ。うーむ 札幌も狭いもんだぜ(笑)
人工の炭酸ガスを一切いれないエールで乾杯。天井を見上げると本当に古民家の趣だ。この空間にいるだけで心地いい。いい店つくりましたね小野寺さん。
料理もなかなか。料理部分だけ、ホワイトバランスを補正して掲示します。
なぜか僕が札幌に来る時、同じように札幌に出てきていることが多い、望月製麺所の泉田さんも合流!ラーサラ三郎、食べたくなるなぁ。
エールを注いでくれていた女性、実はパティシエさんだ。ということはこの店、シェフとパティシエがいるということ?凄いねこの規模で、、、
オトナのプリン・ア・ラ・モード美味しゅうございました。トロントロンのプリンにホワイトチョコのムース。こういうのを夜に食うのが暴力的だよね。
ほんと、オトナの店だ。小野寺さん、これからも佳い食を目指して頑張って下さいネ。
泉田さんが連れて来た某・流通団体のKさんと意見交換のため、泉田さんがよく知る油そばのお店へ。
■油そば屋 米風亭
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ヒューガルテンホワイトの生が500円なり。んでもって、ここの油そば、グルソーは効いてるけど、〆に旨い!
札幌を堪能した一夜でありました、、、
ということで、宮崎空港ビルディングのレストラン部門は凄い!と書いたわけだけど、ツイッターでも「私もそう思う」という人がレスをくれて、やっぱりそう思ってる人はいたんだなぁと再認識。
帰ってからWebを観てみたら、なんと3Fレストラン「コスモス」は創業が昭和37年!そしてそのときから手造りカレーを作り続けているということなのだ。いや、頭が下がります。
で、この手造りカレーの伝統と、宮崎空港のユニークなポイントでもある「なぜかちゃんぽんが旨い」というところをミックスしての素晴らしいメニューがこれ写真の「カレーちゃんぽん」だ。 書いたと思うけど、総料理長が長崎出身だったということで、宮崎なのにちゃんぽん屋を出している(1Fにあります)。そこと3Fコスモスのコラボというわけだ。
1000円もするのかよ、と思うことなかれ。それだけの内容だと僕は思う。スープのベースは、1Fのチャンポンスープだと思うが、そこに手造りカレーを溶かし込み、そのほかいろんな味をぶちこんで出来ている。最大のポイントは上にかかっているラー油みたいな、もしくはカレーペーストみたいな茶色い粘性のありそうなソースだ。
これなんですか?と訊くと、わざわざ「コスモス」の調理場から来ていただいた料理人さんが教えてくれた。
「これはですね、いつもガンジスカレーを仕込んでいるわけですが、煮込んでいると上の方に脂が浮かんできます。それをすくって別鍋に貯めて、そこにラー油的な原料を入れて加熱して作った、いわばカレーラー油ともいうべきものなんです。」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
それは面白い! カレーやシチューなど煮込み料理をしていると、油分が分離して上に浮かんでくる。普通はそのまま混ぜちゃうわけだが、それはもったない。実は油には、水だと溶け込まない香り成分が溶け込む性質がある。カレーに使うスパイス類の多くが水溶性ではないため、この油を使うという発想は実に理に適っているのだ! この油分にはカレースパイスの香りがギュギュギュギュッと溶け込んでいるのである。
で、このカレーチャンポンもいただいたわけだが、もう文句なしで実に美味しいのである。ここに至るまで冷や汁やらチキン南蛮やらを何杯も食べてて、腹一杯になりかけているのに、けっこう啜り込んでしまった。野菜がターーーっぷりはいって、麺も存在感があるので、ボリューム的には十分だ。
しかも、そこにご飯がセットについている。これが第二のポイント。
「このご飯に、チャンポン麺を食べ終わったスープをご投入ください。一杯で二度楽しめる、というわけです」
これは、、、 もう文句なしですバイ! 実はこの二日後の帰京の便に乗る際、俺は空港にきてすぐさまコスモスへ行き、ビーフカレーを食べた。ガンジスカレーではないカレーを食べてみたかったからだ。結果、やっぱり「ガンジスカレーの方が旨い。従って、カレー目的なら2Fのカフェ「カンナ」にいった方がいいと言う結論に。ぜひコスモスでもガンジス出してください~。そしてその後、カレーチャンポンをオーダーしてしまった!ウェイトレスのお姉さん、ちょっとビックリしてた(笑)
冷静に自腹でカレーチャンポン食べてみたけど、実にオリジナルな味です。やっぱり旨い。カレーを溶かし込んでいるせいか、スープを飲むとすこし粉っぽく感じる。ルーが溶け込んでいる証拠だが、それも食べ進んでいくと気にならない。そして上にかかったカレーラー油が利いている!これは夏限定メニューではなく、通年メニューにしたほうがいいでしょう。だってこれから涼しくなってきた時に食べたいもん。もう、汗だらだら。
ちなみに夏限定メニューもう一つが冷製パスタ。
なんとこの皿に使われているトマトは、空港ビルディングがきちんと生産者と契約取引をしている。市場から安易に調達するのではなく、自分の足で仕入れ先を開拓する姿勢がすごい。ちなみにこのトマトを使ったカレーやトマト鍋の素が、レトルトでも提供されている。もちろん空港ビルディングのガンジスブランドとして商品化されたものだ。
冷製パスタ、こちらは汗をかくこともなく(笑) ひんやりして美味しい。食欲が落ちたけど、火を通した野菜が食べたい人はどうぞこちらを。
ということで、宮崎空港ビルディングの和洋の料理人さん達と交流できた、実に有意義な時間だった。そういえばさきほど、空港ビルの方から「やまけんさんのブログ後、カレーを食べにカンナに来たというお客様が数人確認されているようです」とのこと。ガンジスカレー、いかがでしたか?ツイッターにでもぜひご感想書き込んでください。
2Fに戻り、お土産売場を一回りする。ここでもお薦め商品があるのだという。
これが、椎葉村の生産者グループによる、納豆に麹を合わせ、人参やダイコンの千切りと合わせて発酵させた「だんだん納豆」。
ん?そのコンセプト、どっかで観たことがあるぞ、、、と思ったら、昔書いたこれだ!大分県佐伯市の、糀屋本店で浅利さん親子が作っている糀なっとうと実に似ている。ちなみにこの糀屋本店は最近、塩こうじでブレイクしている。よかったよかった。
ただしこちらのほうがいくぶんか発酵が抑えめ。その分、発酵ものが好きじゃないような人にも食べやすい万人向けな味だ。具材の食感も残っている。これを3週間とか置いておいたら、もっと発酵が進んで上級者向けの味になるのだろうか。
それと、宮崎県農業会議の杉田さんお薦めのお土産がこれ。
「かつお花」というこの商品、なんと350円で、白飯が10杯は食べられちゃう、素晴らしきカツオの味付けフレーク。
何が素晴らしいかって、この潔い裏面表示をみてください。
かつお節・ゴマ・醤油だけですよ。これ、杉田さんの審美眼に感謝。実にお薦めです。うちはいつも5パックくらい買って帰っています(笑)
1Fに降りて、空港に隣接したJR宮崎空港駅の方へ歩いて行くと、以前は航空会社のカウンターだったところが、公募テナントのスペースになっている。
あっ へべすが売ってるじゃないか! 実は東京や大阪に行っていた宮崎の人が、飛行機を降りてからここで買い物をして市内へ戻るということがよくあるそうだ(笑)
ということで、宮崎空港ビルディング、なかなかにすごいでしょう?宮崎を訪問する人にはぜひ、11時半くらいに到着する便で行って、3Fのコスモスか夢かぐらにてご飯を食べて、ぶーらぶら遊んでみて欲しい。そして帰り便の一時間前くらいに到着して、1Fのチャンポンか2Fカンナにてガンジスカレーを食べ、お土産コーナーでかつお花を購入。余裕があったら到着ロビー内で鯛の冷や汁を食べてから飛行機に乗る。こんなルートを、心からお薦めしたい!
宮崎空港ビルディングの皆様、大いに遊ばせていただきまして、本当にありがとうございました。ご当地冷や汁企画、ぜひ前進させてください!
PS いま空港ビルのMさんからメールいただきました。
余談ですが、宮崎空港の直営店は
1F「ちゃんぽん亭」ちゃんぽんの専門店 「パーム」フレッシュジュースが飲める店
2F「カンナ」喫茶(ヤマケンさんが大好きなガンジスカレーが食べれる店)
3F「コスモス」レストラン カレーちゃんぽんや極ラーメンなどこだわりの料理が食べられる店
「夢かぐら」居酒屋風郷土調理の店(冷や汁の食べ比べができる店)備長炭で焼いた地鶏が食べられる店
「わたつみ」宮崎どれの新鮮な魚を使った鮨の食べられる店
「マリィリア」ビューラウンジ美味しいコーヒーが飲める店宮交シティ 2F「味のガンジス」空港オリジナルのカレーが食べられる店
がございます。ご参考にどうぞ!
とのことでした!
僕の会社が主催した「赤肉サミット」とはまた全然違うイベントですが、、、
近江牛の本場・滋賀県にてこういうイベントが開催されます。ビーフファイターと名付けられた(笑)出展者さんの顔ぶれを見ると、過去僕のブログに出ている人が!
京都のきたやま南山はもうご存じの通り、岩手の短角和牛と近江牛、そして短角と黒毛を掛け合わせたたんくろ和牛を一頭買いして食べさせてくれる、産地に対してとっても真摯な取り組みをするお店だ。
ちなみに、きたやま南山では使用する肉をすべて自前で検査し、放射性物質については「検出せず」を確認している。
一頭買いのコストに加えてこれら検査費用も自前で、頭が下がる。ぜひ同イベントに行くなら、短角の串焼きも食べていただきたい。
そして他には、、、おおっ 大阪の「ツギヱ」と、がたやんの「やまがた屋」が出てるじゃないの!
この二点は肉焼き技術、期待していいと思います。
牛肉農家はいま、GATTウルグアイラウンドの牛肉自由化の時以来、最大の危機的状況にある。ユッケ問題による不信感と、放射性物質への恐怖感で、国産の牛肉を買わない人達が増えている。僕も安易に「だいじょうぶだから食べようよ」などとは軽々しく言えません。
けれども一方で、「これからはオージービーフを食べよう」とも言いたくない。放射性物質の影響を可能な限り受けないように知恵を集積し、やっぱり国内で生産された肉を食べたいと思う(もちろん肉だけじゃないけど)。
その点で、きたやま南山が出す牛は、僕も検査結果を見ているので、自信を持って食べて大丈夫、と言える。もうひとつ、近江牛の木下牧場の牛たちも、みかけることがあったら食べてみてください。これについてはいま、画像が入ったメインPCが落ちてしまっているので、後日、、、
札幌に来ています。いや、遊びに来たわけじゃありませんよ。でも本日はほとんど移動で一日が潰れました。ホテルにチェックインしてから、珍しく嫁さんが「ラーメン食べたい」というので、僕も珍しくススキノのラーメンで検索して、ホテルからほど近い、味噌ラーメンが美味しいという店へ。
バターコーン味噌ラーメン角煮のせでオーダー。
うん、美味しいスープでした。でも、やっぱり札幌のラーメンはほとんどの麺が、グルテン添加しすぎのゴムっぽい麺で、そこだけは美味しいとは思えない。スープは旨い店が多いのになぁ、、、
朝から空港ラウンジで原稿書きしてたら、飛行機が遅延に次ぐ遅延で結局3時間半ほど待たされたので、運動してないのにクタクタ。これはイカンのでちょっと散歩。札幌の大通沿いの公園では夏祭りの盆踊りが開かれていた。
祭りに付帯しているのだろうか、屋台が出ている。それが結構賑わってて、道行く人々がかなりの頻度で立ち寄り、なにやら買ってかじっている。
あれは、、、とうもろこしか、と思ってふとみたら、買った人が持っているトウモロコシ、のような物体が、非常に細くて黒い!
おおおおおおおおおおおっ あれはっ もしかしてっ
北海道で昔から栽培されてきたモチキビ系のトウモロコシではないか!?
大急ぎで屋台に駆け寄り、並べられたトウモロコシを見てみると、現在主流の黄色いスイートコーンの横に、黒と紫の中間くらいの色で細いトウモロコシが置かれている。
「ええっ これ、もしかして八列トウモロコシ?」
「いいや、これはね、黒もちトウキビ。珍しいでしょ?もう農家さん、何軒も作ってないんだよ。」
という。そうだ、これは黒もちトウモロコシだ。初めてではない、僕はこれを数回食べたことがある!
もちろん買わせていただきました。300円なり。
「これはね、かなり大きいわ。他のお客さんがねたんじゃうくらい大きい。運がいいね!」
と渡してくれた。本当に運がいいぜ!
黒もちトウモロコシは、こんにち普通に食べられているスイートコーン、またはスーパースイートコーンと呼ばれる激烈に甘い品種とは全く違う、フリント種というものだ。この辺は昔、僕が書いた記事より、ちょっと長いが引用しよう。
南米原産と言われるトウモロコシは、ヨーロッパが新大陸アメリカを“発見”して以来、世界的に非常に重要度の高い作物として利用されてきた。それも、生食するだけではなく加工用原料にもなり、家畜の飼料用としてはもっとも重要な位置を占め、そして最近では燃料であるエタノール原料として注目を浴びている。実は主役級の作物なのだ。そんなトウモロコシが日本に渡ってきたのは戦国末期の16世紀頃。ただしその頃は穀物としての扱いに近く、乾燥したトウモロコシを挽き割り粉にし、米に混ぜて炊いて食べていたらしい。
そんなトウモロコシに日本でも脚光が当たってきたのは明治以降だ。北海道の札幌市内で“焼きとうきび”の店が繁盛し、昭和20年代後半からは、東京でも焼きトウモロコシが販売されるようになった。その頃に出回っていたのはフリント種というトウモロコシで、デンプン質が多く含まれ、もちもちネットリとした食感のものだった。「昔のトウモロコシが懐かしい」という人たちは、きっとこのフリント種の血統が濃い品種を食べていたのではないだろうか。
そんな牧歌的な日本のトウモロコシ界に参入してきたのがスイートコーンだ。スイート種とは、粒にデンプンよりも糖分を多量に含むように改良された品種群のことで、SU(シュガリー)という遺伝子を持つ。その味はまたたくまにトウモロコシ界を席巻し、以後日本の主力栽培品種はスイート種となったのである。
さらに最近では、SUタイプの品種をさらに甘くするSE、SH2といった遺伝子を含む、スイートを超える品種“スーパースイート種”や“ウルトラスーパースイート種”なども登場してきた。最近はやりの「生で囓っても美味しい」という品種たちはこれだ。このようにトウモロコシの味を決定づける遺伝子の解析が進んだため、消費者の嗜好にねらいを定めて様々な食味の新品種が産み出されている。今や店頭でみかけるのはこうした甘みの強い品種が主流だが、この先いったいどこまでいくのか。一方で、「昔のトウモロコシが食べたい」という声もよく聞かれる。フリント種や、その性質を色濃く残した改良種なども販売されている。
この「昔のトウモロコシ」と書かれているのがフリント種だ。スイートコーンに比べると大粒で、一本のトウモロコシに実が8列くらいしかできない。その子実にはとにかくでんぷん質が貯まるようになっていて、食べると液体がほとばしるようなスーパースイートコーンとは全く違い、本当にお餅を食べているようにモチモチした食感になる。しかも、鮮度が落ちるのが非常に早く、収穫後1日以上経ってしまうと、もう甘さもなにもなくなってしまう。
実は昔、雑誌記事のためにこの八列トウモロコシと黒モチトウモロコシを北海道の農家さんから取り寄せようとしたのだが、かなり渋られた。送りたくない、というのだ。その理由は、東京までは配送が2日かかるので、確実に不味くなってから届いてしまう。そうすると、このトウモロコシの真の実力が発揮されないから、現地にきてとれたてを食べるのでなければ、出したくないということなのだ。その時は、ちゃんとその分を差っ引いて評価しますのでなんとか送ってくださいと拝み倒した。でも、やはり二日経ったフリント種は、加熱するともう甘さもなにもない、たんなるデンプン質という感じで美味しくはなかったのである。
その黒モチトウモロコシの、おそらく一日くらいしか経っていないであろうものがここにある!
かぶりつくと、ポロリと実が豆のように外れる。表皮もしっかりした硬さで、つぶれてジュースが染み出るということは全くない。屋台のおばちゃんが「かみしめるから、結構顎が疲れるよ」と言っていたのだが、なるほどそうかもしれない。
しかし、噛んでいると何とも言えないトウモロコシの風味が、スイート種のように派手にグワッと迫ってくるのではなくて、じんわりと、ゆるやかに染み出てくる。もっちもっちもっちもち、という感じの食感に、じ~んわりとした風味。これははかなくも腹にたまる、何とも言えないおやつだ。
意外なことに、多くの札幌市民または観光客がスイートコーンではなくこれを買い求め、食べていた。
今日はこれを食べられただけでもいい日だったな、とそう思った瞬間だった。
ちなみに、このような在来のフリントコーンは、北海道以外では岐阜県の飛騨地方の朝市で見かけたのと、あとは高知県の日曜市で見かけたくらいだ。高知県または愛媛県の山中の集落に栽培する人たちが残っているらしいが、かなり少なくなっていて、種の保存の危機がささやかれている。
いまみんなが「あまーい!」と喜んでいるスーパースイート種は、ほとんどが海外の種苗メーカーが開発したのを日本のメーカーが輸入販売しているものだ。そんな中でいくつかの種苗メーカーがかなり自前で美味しさを追い求め、品種に磨きをかけている。その一方で、ぜひこうした「甘くない」「生だと食えたもんじゃない」「時間がたつとすぐ不味くなる」という”使えない品種”も残していってほしいものだ。
食べ物はすべて美味しくなければならない、なんてのは、人間のエゴだ。ましてや甘い・柔らかいを金科玉条にしてはいけない。ほんのりした美味しさの風流を味わい楽しめる人でありたい、と思いますね。
震災の被災地(岩手県三陸を中心とする)で、被災者に対して炊きだしを定期的に行っている料理人に対する支援をしていますが、それほど何回も露出しているわけではないのに、コンスタントに支援金を入金してくださる方々がいます。本日、前沢から各地へ炊きだしへ行ってくれている「ロレオール」に15万円、大船渡を中心に活動する「ポルコロッソ」に22万8千円の振り込みをしました。また、先月には上記の二店に加えて、金ヶ崎町「サバービア」の及川シェフを中心とした若手炊きだし隊に15万円を振り込んでいます。
驚くのは、一度振り込んで下さった方が継続して、定期的にぽつりぽつりと支援金を振り込んでくれること。額に関わらず、素晴らしいことだと感動しています。僕らが被災地できる一番大きなことは、彼らの大変な境遇を「忘れない」ということだと思うからです。
ポルコロッソ山崎純シェフより、現地の状況が送られてきました。
いつもご支援お心遣いありがとうございますm(__)m
市内の避難所にいらっしゃる方々はお盆前で60名を切りました。市内の仮設住宅のニーズ聞き取りは、2751世帯の中、約半分の1300世帯しか廻れていません。
聞き取りを終えた1300世帯から、自立した生活ができないので食事を届けて欲しいという要望は高齢者の方々、障害者の方々を中心に1日750食あります。現時点で平均450食をお届けしてますが、潜在的なニーズをまだ掴みきれてませんので、この倍の食数が必要なのではと考えております。
被災地において仮設住宅という、ただ単に住まいを確保できたということが、自立した生活を始めたという判断に当てはまらない状況が沢山見受けられます。活動を止めたら、亡くなる方々がいらっしゃると思われます。キッチンカーの方は、スタッフと厨房器具の準備が整なわず、まだスタートをきれませんでおりました。
まだまだ、課題は山積みですが、ひとつひとつクリアして行きたいと思います!いつもお心遣いご支援ありがとうございました(ノд<。)゜。
注)傍線はやまけんによります。
以前にも書いたとおり、避難所から出て仮設に移ると、法的に保護される避難者ではなく、自立したものと見なされてしまう。けれどもまだ現地では職を失い、家財も家族も失った人が多く、自立といわれて途方に暮れている状況だ。
そんな中、よく「被災者にお金をばらまくような支援は長く続けるべきじゃないんじゃないか」というような意見がみられるのだけれども、一見もっともにきこえるこのような論調は、複雑な現状をあまりに単純に、ひとくくりしすぎていると思う。もちろん財力に余裕があって仕事もできる仮設入居者もいるだろうけど、そこに対する批判が、全ての被災者に対して適用できるはずもない。
山崎純ちゃんがしている「聞き取り」は、地元出身者であるスタッフが戸別に回って耳を傾け、いま、ご飯はどうしてるの?どんなものが食べたいの?という本当にボトムから要望をすくい上げようとしている貴重な聞き取り調査だ。そこから出てきた彼の推測、「一日1500食は必要で、それがないと死んでしまう人が出るだろう」というのは非常にリアリティがある。
だから僕は彼らへの支援を続けていきます。ご賛同いただける方はぜひご協力ください。うちの支援は、事務局手数料のようなものは一切とりません。いただいたお金は、振込手数料以外の全額をシェフに渡します。関心のある方、下記エントリをよーくご覧になって問い合わせをしてください。振込口座等の情報は個別にお知らせしています。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2011/05/post_1711.html
先のエントリアップしたあと「カレーちゃんぽんはいつ出てくるんだ!」とおしかりの言葉を数件いただいた(笑)ので、はい、書きますとも。けどその前に冷や汁なんです。
宮崎空港ビルディングの社長さんが自信満々にみせてくれたメニューを見て、ぼくは正直、心の中で「あちゃー そっちの方にいっちゃったの!?」と声を上げてしまった。先に書いたように、冷や汁を展開するならば、ぜひ宮崎県内の地域別の味、魚が違うとか味噌が違うとか具材が違うとか、そういう差異を押し出していくつかのラインナップを作ったらいいのではないか、という提言を宮日新聞上のコラムでしていたのである。
しかし!
宮崎空港ビルディングの向かった方向性はちょっと違う方を向いていた、、、
魚山亭あらため「夢かぐら」ののれんをくぐる。と、魚山亭時代から顔なじみの店長さん(なのかな?)が迎えてくれる。知った顔が残っているのは嬉しいね。
そして、この写真奥のにある三つの定食メニューをみて欲しい。
夏の特選「冷汁」メニュー、、、 じゃじゃじゃーーーーーん!
海鮮冷汁定食(たこ・イカ・ホタテ貝)
トロピカル冷汁定食(バナナ・パイナップル・アボカド)
元祖冷汁定食
なんと「海鮮」と「トロピカル」ですよ、、、 うーん 俺のコラム、ホントに読んで参考にしてくれたの?とこの時点でかなりがっくり。いくら何でもトロピカル冷汁はないでしょう、トロピカルは! と、この時点では思っていた。(←伏線です)
さて、奥の部屋で運ばれてきたこの3種の冷や汁。
こんな風に、3種を食べ比べするセットもあるそうだ。
通常の冷や汁メニューは温かいご飯に冷たい冷や汁をかけて、生暖かい状態で食べるものだ。しかし、昔ながらの郷土を知っている人からすると、もう一段深掘りすると違うらしい。
「あのですね、もともと冷汁は冷やご飯で食べるもんだったんです。炊飯器も無かった時代は特にね。それでいま、節電ムードもあって冷房がきいとらんでしょう。だから、暑いもの食べたくない人が多いわけです。そこでね、この冷や汁セットには砕いた氷を添えようと言うことになったんです。」
なぬ、氷!?
「ええ、もちろん氷が溶けると汁が薄まるので、冷や汁の塩分濃度などは強めにしてあります。あと、ご飯も冷やしたものをお出しします。これで、食べていただくと爽やかに涼しくなるということなんですよ。」
と社長さんがニコニコしておっしゃる。
実はこの時点で僕は不安を感じていた。冷たすぎるんじゃないか?という不安だ。 人の舌は、冷たいものの味はよくわからなくなる。コーラを常温で飲んでみると、たまったもんじゃない甘さだということはご存じだろう。しかし冷やすととっても美味しいと思えてしまう。つまり、清涼飲料水は冷やして美味しくなるように、常温では飲めたもんじゃない程の糖分を使っているのだ! だから、ただでさえ冷たい冷や汁に加え、ご飯も冷やし、かつ氷までいれちゃったら、味がよくわからなくなるんじゃないか、と。
とりあえず一番ゴージャスなメニューである海鮮冷汁に冷えた白飯、氷も投入していただいてみた。
、、、不安、的中! やっぱり味がよくわからない。塩分さえよく感じないのだから、魚味噌の風味も何も効かない。しかも、海鮮として入っているタコ・イカ・ホタテがいまいちだ。というのは、これらが刺身状態の生で入っているのだ。醤油につけて食べるならともかく、汁飯として啜り込むのに、グニョグニョした食感は実に気持ちが悪い。
ということで、
・この「器も白飯も冷やして、氷までつける」方式はやめにした方がいい。ご飯は温かいものを使い、食中にぬるい状態になるようにすべし。
・海鮮は刺身状にするのではなく、食感が欲しいので軽くゆであげるべし。なおかつ、イカソーメン的なカットではなくキューブ状のカットにして、よりその食感を際立たせるべし。
という二点を指摘しておいた。そこさえやってもらえれば、ベースとなるこの店のオリジナル冷や汁は鯛を使っている高級バージョンなので旨いはずなのだ。
、、、と指摘はしたが、僕はあまり期待していなかった。社長さん、いろんなところを食べ歩いておられるし、ご自身が非常に食べることがお好きな方とお見受けした。その人が自らアイデア出したメニューに、外のなんだかよくわからんコンサルタントが言ったことなんかで手を入れるなんてこたぁないだろう、と。
ところがどっこい、この冷や汁はたったの2日間で劇的に変化することになるのだ! 僕が帰京する土曜日、空港ビルディングの大久保課長さんに挨拶したら、、、
「実はあの後、すぐにうちの社長自ら試食をしまして、、、氷入りと温かい白飯の双方を食べ比べて、『うん、明日から温かいご飯に変えよう』と言ったんですよ! 私どもビックリしました。うちの社長も食べることが好きなので、なかなか自分が考えたものを変えることはしないんですが、、、」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これは素晴らしい! 僕のごとき若造の意見をよくぞ取り入れてくださいました、、、ちなみに海鮮冷や汁の具材も、茹でてキューブカットに変えるそうだ。現場のオペレーションが大きく変わってしまうので、店で提供する女性陣の練習が大変だったそうだが、それでも鶴の一声で即決。 こういうトップダウンは、正しいよなぁ。
さて、海鮮ばかりの話をしてしまったが、、、もう一つ、実にその名前を聞いただけでプッと吹き出しそうになっちゃうのがあるのであった!
そう、トロピカル冷や汁である!
バナナ、パイナップル、アボカドというトロピカルフルーツが入ったこの冷や汁、みなさんどう思いますか? いやー正直僕は、これほど安易かつ陳腐なメニューはないよなぁ、社長の手前だから言えないけど、と思っていた。
けど食べないとわからないからね。一応は食べますよ、、、と箸をつけた。
ム!!!!!!!!!! これはビックリ!!!!!!!!!
意外に美味しい、、、いや、冷や汁にフルーツという違和感がないぞ、、、
バナナがあまり熟しすぎてないからか、タロイモのごときでん粉感があってすんなり調和。パインも意外に、それほど甘みが強く主張しておらず、違和感がないのだ。アボカドは甘さがないから、冷や汁に合わないわけではない。
ということで、この一皿、僕の予想を覆して、美味しく食べられる仕上がりであった! いやー 超・ビックリ。
でもね、そうは言っても、これを手放しで喜ぶわけじゃありません。本当は冷や汁の美味しさを、こういう奇抜なトッピングで訴求するのではなく、土台となる焼き味噌の味、魚の違いで違いを出して表現して欲しいのだ。
と、ここで和食部門の料理長である阿部さんご登場。
本当は、こういうイロモノメニューじゃなくて、旨い冷や汁を隠し持ってるんじゃないですか?と訊いてみたところ、、、
「実は、この店ではなくて、レストランコスモスの方では太刀魚を使った焼き味噌の冷や汁を出しています。」
ええええええええええええええええええええええええ 太刀魚!? それは食ったことがない!
運ばれてきましたこの冷や汁、具材をすくってみると、、、
豆腐、キュウリに加えてシイタケを煮たやつと、小さなちりめんじゃこが入ってる!
結論からいいますが、こいつがめっぽう旨い! 太刀魚の上品ながらビシッとした直線的なコクが冷や汁全体のトーンを鋭角的に決めている。シイタケのような個性の強い素材が入っていても、魚を感じるのである。これは旨い!
「これこれ、これですよこれ! 冷や汁のベースになる焼き味噌に使う魚で違いを出して欲しかったんですよ!これも夢かぐらで出してくださいよ!」
と言うと、もぞもぞしだした阿部料理長。
「あの、実はまだ開発途上なんですけど、もう一品食べてもらっていいですか?」
もっちろんですよぉ もうすでにかなり大量の白飯と冷や汁を摂取してるけど、食いますよ!
そして出てきたのがこいつだ!
なーーーんと、鶏の炭火焼きである!
「これは、鶏のセセリなんです。とても美味しい部位なので、炭火焼きにした後、酢と醤油ダレを熟成させた特製のタレに漬けてあります。ベースの冷や汁なんですが、こちらも普通は焼き味噌をだし汁で割るんですが、半分を鶏スープで割っています。」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
これはイイ! イイですよこれ! 早速いただいてみると、確かにひとすすりしただけで魚とは違うコクと風味を感じる。ぜんぜん違う路線の味になる。それに、真っ黒黒になるまで焼いていない、じんわりした暖かみに焼き上がったセセリがジューシーで、食欲をそそる!飯との相性も抜群である。
なんだなんだ、つまりこの宮崎空港ビルディングでは、すでに変わり冷や汁3種の正道ともいえるものが出来ているんじゃないか! 普通の、鯛をつかった上品バージョンにくわえ、太刀魚バージョンの濃厚かつシャープな味、そしてスタミナ系といえる鶏のセセリ乗せ冷や汁! どれも完成度、非常に高い。特に鶏セセリ冷や汁は単品で980円で食えればいいんじゃないの、というくらいのボリューム感。あ、もうちょっとするかもしれんが、、、
ということで、現在「夢かぐら」では、改良版の3種変わり冷や汁を食べることが出来る。改良版はまだ口にしていないので何とも言えないが、きっと美味しくなっていると思う(そもそもベースの鯛の冷や汁が上質だからね)。しかし、ド本命はなんといっても太刀魚と鶏セセリ冷や汁だな。これらがメニューに載る日を心待ちにしている。
さて、普通ならここで終了するんだが、、、
次に、ラスボス的な素晴らしい料理が出てきてしまったのだ。そう、カレーチャンポンである、、、
(またまた続く)
PS 大事なことを書き忘れた。宮崎空港の出発ロビー内の売店でも、とうとう冷や汁を売り出したそうだ。宮崎を離れる惜別の時に、ぜひ冷や汁を一杯!食べてみてくださ~い!
ニコンD700、今朝いじってみたらシャッターが降りる!ん?と思って色々触ってみて原因を発見。絞り込みボタン(プレビューボタン)を押し込むと、かなりの確率でうまく戻らなくなるのだ。それで、モニタはブラックアウトし、レリーズも受け付けない。
銀座サービスセンターに朝一で行って、代替機を借りる。戻ってくるのは、見込みとしてはなんと海森写真展のギャラリートークの前日だって! できればギャラリートークは自分のカメラでやりたいから、期日通りに戻ってきて下さいませ。
帰り、1Fで気になるレンズをチェック。メインの標準レンズである24-70mmF2.8 は性能はいいんだけど、もう少し望遠が欲しいという気分にはなる。そこで、24-120mmF4.0 をちょっとつけさせてもらう。70mmだと、料理を撮る際にちょっと寄れないなというところがあるのだけど、このレンズなら割といいかもしれないという期待があるのだ。
ちょうど先日、出張先からの帰りの空港で、プロカメラマン(NPSストラップをつけたD3Sを持っていた)がこのレンズを着けていた。へぇええ、プロでもこれ使うんだ、じゃあ悪くないのかしらん!?と思ったわけだ。
D700 + 24-120mmF4.0 F4.0 1/1250で撮影
うん、やっぱり120mmだと中望遠の表現ができるね。描写もいい。ただし最短撮影距離じたいは、24-70mmの方が寄れる。悩ましいね。
ただ高倍率になったことで、ワイド端のタル型歪曲の度合いは大きくなってしまった。下の写真の、左側の柱の間借り方を観ればわかると思う。
もちろん、Silkypixなどの現像ソフトで歪曲をちょいっと補正してやれば解決する問題ではある。24-70mmの歪曲もこれほどではないけどあるからね。その辺をもうちょっと考えた上で、購入するかどうかは考えよう。下は補正した画像。
と、いうことで帰ろうかなと思ったがそういえばAPS-C機(ニコンではDXという)用のレンズで、40mmF2.8マイクロが発表されていたなと思い出した。きいてみたらなんと実機がある!ということなので、D300Sに着けて使わせてもらった。その画像はもらっていないので背面液晶で見た限りになるが、こいつはイイ!
凄まじくコンパクトな筐体。そしてむちゃくちゃ寄れる。兄貴分の60mmF2.8マイクロより最短撮影距離が近いようだ。しかも、玉ボケの形が画面の端の方までとても均一で綺麗な円形。しかも定価が37800円だから、実売は2万円台になるだろう。これまで、DX機ユーザーにはDX35mmF1.8を買うことを薦めてきたけど、これからはまずこっちを買った方がいいかもしれない。
ところで、8月後半にニコンから新しいカメラが発表されるという噂がある。愛用しているD700の後継機か、もしくはフラッグシップ機であるD3Sの後継機が出ることを期待しているのだけれども、先日某カメラマンから「どうやら、ミラーレス機の発表らしいよ」と言われた。
うーん
それはガッカリだ、、、
数年前、ていうか去年かな?ニコンのフェローである後藤さんの講演会を観に行った時、「よく写るけど、大きくて重いカメラというのは改めていかなければならない」みたいなことをおっしゃっていたので、僕は喝采した。よく写って、小さくて軽いというのが出るなら、高くても買いたいゾ。しかし、これで不安がまた一つ増えた。もしかすると
「小さくて軽い、はミラーレス機で」
となり、プロ向けの高級機は結局 「写りを優先して、大きくて重い」路線で行くのではないかと、、、
うーーーーーーむ 悩ましいですね、、、海森彩生写真展のギャラリートークの時までには明らかになっていると思うので、この辺についてもはなしてみたいですね。
まだ全国の空港をすべて乗り降りしたことがないので、こんなことを言い切ってしまうと本当はマズイ。けれどもすごいものはすごいと褒めそやすべきである。宮崎空港の飲食施設は素晴らしい!
僕にとっていまだに、一番美味しいチキン南蛮は、1年半前にはまだ宮崎空港内で営業していた「魚山亭 空港店」で出されていた、ピンク色のタルタルソースのチキン南蛮であった。それが、宮崎県内の、魚山亭を運営していた会社が破産になってしまったことで、この空港店もあえなく消滅してしまった(東京に数店展開されている魚山亭グループは別資本になっていて、こちらは健全に運営中。ただし、タルタルソースの味は各店違うので、僕の好きな味のは無い)。この辺のくだりは以前書いたとおりだ。
で、その店の跡地は「夢かぐら」という名前の店に変わり、また店の造作も小綺麗に改められ、再出発している。運営は宮崎空港ビルディングが行っている。どうやら魚山亭時代の料理人さんたちも引き続き夢かぐらに雇用されているようだ。
なぜこの辺の突っ込んだ事情を知っているかというと、宮崎空港ビルディングとお近づきになったからだ。きっかけは宮崎日日新聞というローカル紙に、月に一度「客論」という連載を書くようになり、そこで「空港では宮崎の郷土食をもっと食べられるようにして欲しい」とか「宮崎の郷土食の神髄である冷や汁のスタンドバーを空港に作ってくれ」とか、書きたい放題やっているからだ。宮日新聞は県内ではかなり熱心に読まれているので、目にとまらないはずがないのである。
で、知れば知るほどこの宮崎空港という施設には、可能性がある!と思うようになった。まず、この宮崎空港の飲食店で出てくるものはかなり美味しいのだ。その第一に挙げられるのが、この「ガンジスカレー」である。
空港ビルディング内では二階の喫茶コーナー(上の写真の場所だ)か、出発ロビーの飲食コーナーで食べることが出来る。ただし、出発ロビー内では、スチロール製の容器で味気ないので、2F喫茶コーナーで食べることをお薦めする。ひょいと入った喫茶コーナーで食べられるカレーとしては出色のできばえである。
みただけでわかると思うが、トロリどころかドロリと強い粘度を持つカレーだ。しかも具材として形が残っているのは肉のみ。その肉も、上の写真にツブツブになっているのを観ておわかりの通り、かなり粗めに挽いた挽肉なのである。濃厚・まろやか・挽肉の美味しさ満載のこのカレー、全く辛くはないが、とにかくスーパー小麦粉感たっぷりのモッタリ系カレーとしては最上位にくるのではないか、と思う。東京のカレーでいえば、神保町の学生の友である「まんてん」のカレーがやや近い。が、こちらのガンジスカレーのほうが上品でありなおかつ味の輪郭も強く出ている。実はこの2Fでのガンジスカレー、食いしん坊には堪らない、注文時のある裏技があるのだけれども、それについては迷惑をかけたくないので書かないことにする。うっしっし。
さて、、、このガンジスカレーだが、宮崎県人でもほとんど識っている人がいない事実を、僕は知ってしまった。
宮崎県人のみなさん。このガンジスカレー、県内のカレー店としてはけっこう老舗とされているけれども、どこに本拠地があるか知っていますか?
「ガンジスカレーの本拠地? うーん、、、宮交シティの二階にある店じゃないの?」
という人が大多数だろう。 宮交シティとは、宮崎交通というバス会社のターミナルビルで、スーパーや飲食店が入る施設である。この二階にガンジスカレーの単店がある。僕ももちろん、ここが本拠地なんだろうと思っていた。
そうではないのである! 実はガンジスカレーの本拠地は、この宮崎空港ビルディングなのである!
「実はですね、私ども宮崎空港ビルディングの3Fレストラン「コスモス」の厨房施設で、ガンジスカレーが仕込まれております。」(宮崎空港ビルティング 大久保課長さん)
えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
そうなの!? 空港の施設が、一つの人気カレーブランドの拠点なわけ? そんな話、聴いたことがない!
しかしそうなのだ。ガンジスカレーというのは宮崎空港ビルディングの料理人が生み出した大傑作カレーなのである。という宮崎トリビアがひとつ解決したところで、、、
今回は冷や汁である。宮崎県が全国に誇っていい、素晴らしい郷土食。それが冷や汁だと僕は強く思う。
ちなみに「冷や汁」と書いてなんと読むか知ってますか?
「ひやじる」と読む人が多いだろうが、宮崎県内では「ひやしる」と呼ぶ人も非常に多い。僕は以前、料理店で冷や汁の取材をしていた時、同じ店内にいたお客さんが
「あんた、「ひやじる」って呼んでるけどね、そんなにごった濁音はつかってはいかんよ。「ひやしる」といいなさい、「ひやしる」と!」
とかなり怒られたことがある。そのことを食品スーパー「フーデリー」の宮田武虎に話したら、
「やまけんさん、僕の育った田野町というところでは「ひやしゅる」と呼ぶのが普通です!」
と言う!なんじゃそりゃああああああああああああああああああ
もちろん冷や汁を食べないところもある。延岡などの県北や都城などの県南ではあまり食べられず、宮崎市を中心とした真ん中へんで食べられているものと思えばいいのかと思う。
味も多種多様で、甘い味噌、辛い味噌などの好みに、魚を何にするかで大きく味が変わる。アジや煮干し、トビウオなどを使うのが多いが、豪勢に鯛を使ったりすることもある。ちなみに空港の「夢かぐら」では鯛を使った非常に上品な冷や汁が美味しい。こんな風に、地域によって味がかなり違い、レシピが多様であるということがまず郷土料理の要件に合う。
次に、冷や汁はほんとうは、店で食べるものではない。圧倒的に家庭の味なのである。宮崎の子供達は自宅で親が作った冷や汁をスタンダードな味と思い込んで育つらしい。だから、隣近所の友達の家で冷や汁を食べると、腰を抜かすほど驚くことがあるという。いわく、「あいつの家じゃトマトを入れてる!」「なんか甘くて気持ち悪い!」みたいな感じ。これはよくあることですな。ということで、レシピが多様どころか、標準化されていないのが冷や汁なのである。
そんな面白い冷や汁を、宮崎を旅する人達は楽しめる環境にない。もちろん郷土食があるような料理屋や居酒屋では冷や汁が出てくることもある。けどそれは実に純化され洗練された味であることが多く、よそ行きの味なのだ。あらたまって食うものでもないしね。
でも僕はこの冷や汁こそが一番面白い郷土食なんじゃないか?と思っている。そんなことを宮日新聞のコラムに書いたのだ。そして、
「宮崎空港の中に、冷や汁スタンドバーを出すべきだ。そこでは、ワンコインで冷や汁ご飯を啜り込むことができて、追加オプションで地域や味の違う冷や汁をオーダーできる。付け合わせは宮崎が誇る無添加のたくあん。」
という風にまとめたのである。
そうしたら! さっそく宮崎空港ビルディングの方から「実に興味深く読ませていただき、鋭意検討中です」というメールが来たのである。そして、今回の宮崎訪問時に「ぜひ試食を!」ということになった。
前置きが長かったけれども、ここから本編である。
お盆のせいでむちゃくちゃに混雑しながらも、飛行機はかなり早めに宮崎に到着。ロビーで待っていてくれた大久保課長が声をかけて下さる。んで、すたすたすたと二階の奥に歩いて行き、、、そして一般人は入れない、空港ビルディング内部へと入った!
ところで以前も書いた覚えがあるが、宮崎空港で働くスタッフの女性は美しい人が多い。しかも、どう考えても一貫して傾向の同じような綺麗な人が多い。これはきっと人事採用担当者さんが自分の好みで決めてるんだろう!と確信しているのだけれども、この応接室でボスキャラに出会った。お茶だししてくれた女性、むちゃくちゃべっぴんさんである。こんな人を中に閉じ込めてちゃダメですよ!ちゃんと売場に出して下さい!!
というようなことを思ってたら、なんと社長さんをはじめとする役員さん達が登場。
いろいろ訊いていくと、やっぱりこの空港は、飲食にものすご~く力を入れているということがわかった。
「この空港では上質な料理を出したいと思っていて、長崎のとあるホテルの料理長をしていた方をお招きしたんです。ですから料理の質に関しては太鼓判を押していただいていいと思うんですよ。」
おおっ そういうことか! 空港というスペースは、ホテルの飲食とかなり類似性がある。もちろんホテルのようにバンケットなどがあるわけではないだろうし、毎日不規則な乗降客によって食数も変動するだろうが、それでもいろんな料理ジャンルと業態を統括しなければならないホテルで鍛えた料理長クラスであれば、空港内の施設を運営することもできるはずである。
「昨年の口蹄疫などの影響もありまして、空港の乗降客数がかなり減少しています。空港という施設は、乗降客が少なくなればすぐに売り上げが落ちてしまいます。こればかりはいろんな事情が絡みますから大変なんですが、我々に出来ることがいくつかあります。その一つが美味しい料理を出すことで、宮崎市内の人達がわざわざここにご飯を食べに来るというレベルにまでしていきたいと思っているんですよ」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお なるほど! それは面白い。 いまのところ、羽田空港にわざわざご飯を食べに行くという発想はないけれども(国際線ターミナルのリニューアルでその機運もあるだろうが)、宮崎ではありうるかもしれない。実はこの会談の後、空港内を歩いている時に、女子高生らしい4人組がちんたら歩いていたのだ。すれ違いざま、その中のタレ目の女の子が「あーあ、だれか芸能人来てないかな」とつぶやくのを耳にして、僕はショックを受けた。
この子達は、用もなくぶらぶらと空港に来ている! ということは、空港は彼女らにとってハレの遊びの場になりうるんだ!
じつは宮崎空港は、市の中心地から20分もかからずに来ることが出来る。JR宮崎駅からは15分ていどだ。だから、ぶらっと来るということが可能なのである。
「そう、そういうお客さんを増やしていきたいんですよ、、、」
で、冷や汁である。僕の記事に書いたような、面白い冷や汁、作って下さったわけですか?
「ふっふっふ、、、 県外の人が食べてビックリするような冷や汁をね、開発したんですよ! ぜひお食べください!」
そして社長さんがメニューを意気揚々と取り出した。そこに書いてある冷や汁メニューをみて、僕の目は大げさではなく点になったのである。
そこには、、、 (つづく(笑))
いやー 先週からメインPCの不調、そして出張先でのメインカメラの故障と、踏んだり蹴ったりです。でも、なぜか重要な仕事が終了してから壊れるという、紳士的(?)と言えないことも無い挙動に、何かを感じるこの頃。
さて表題の「海森彩生写真展」、いよいよ来週の24日(水)から30日(火)までの一週間、明治神宮の宝物展示室にワタシの写真が展示されます。もちろん僕にとってこれが初めての写真展。足を運んでいただければと思います。
これまで撮りためた膨大な写真データの中から「被災地への祈りと希望」をテーマに選んでいくと、自然に岩手県の三陸~北部の食に関わる人、生きもの、そして食べものの写真が残った。もちろん被災したのは岩手県だけではなく宮城・福島もあるのだけれども、ここ最近の僕のフィールドはやはり岩手だ。そこで、表題に示すような展示にした。
展示した作品は多々あるのだけれども、展示スペースは限られているので、絞り込まなければならない。また、全部を今回の業務用プリンタで出力できるA2サイズで飾りたいけれども、レイアウト状難しかったり、それだと作品点数を減らさないといけなかったりする。ああだこうだと悩んで結局、40枚程度の展示となりそうだ。
それにしてもこうした写真展を開催することを前提に写真を撮っていなかったが、ブログ用やどこかに文章で発表する際に使う写真としての用途と、写真展向けの写真とは全く違うということがよーくわかった。作品とは、それ一枚で圧倒的に説得力を持っていなければならないし、被写体や背景がいったいなんなのかという説明も含めた意味での情報量が過不足無く必要だ。自分の力のなさを実感したところもあれば、「いける?」という感触も少しはあった。
ということで、涙を呑みながらのセレクト後、京橋のIsland Galleryにてプリント。
このプリント紙が、かなりのコダワリ。実は今回、文具メーカーのマルマンさんにスポンサードしていただくことになった。そして、使用するのはマルマンさんが輸入販売している、フランスのキャンソン(CANSON)の紙だ。
■http://www.e-maruman.co.jp/paper_product/digital/infinity.html
ギャラリーの石嶋さんお薦めのフォトサテンPhotoSatainという、光沢過ぎず、かといってマット過ぎず、実に落ち着いたアーティスティックな仕上がりになるペーパーを贅沢に使わせていただいた。ちなみにこのフォトサテンのA2版は日本には輸入されていなかったんだけど、今回特別に使わせていただいた!
今回飾る作品はA2とA3、そして縮小版の2Lなんだけれども、2Lはキャンソンではなく、国産の高級写真用紙だ。この出力の違いが実に面白くて、2Lの小ささになると写真の圧力が弱まるのでその分、光沢も強くカラーがハッキリ出るタイプの紙の方がいい。けれども、大判の写真にはキャンソンの色が実に映える。写真が出力されたのをみて、自分のウデを勘違いしちゃうくらいの素晴らしい仕上がりだった。マルマンさん、ギャラリーさん、どうもありがとう。
で、前のエントリでも書いたけど、ここでゲスト写真家の作品の横に、額装して飾る一般の方の写真を公募しています。
テーマ 『祈り・希望・海・森・再生』
ご応募頂いた全ての写真は、当ウェブサイトのギャラリーと会場に設置しているモニターにてデジタル展示を行います。また応募作品より選定された写真は会場内にプリントとして奉納展示されます。東京のど真ん中、明治神宮文化館に、ご自身の写真が展示されるチャンスです。皆様のこれぞと思われる写真と、東日本大震災に対するメッセージをお待ちしています。
祈りを込めて写真とメッセージを明治神宮に届けましょう!
ということですが、「やまけんの会期中に飾って欲しい」と一言書いて応募したら、ご一緒に展示されるようになります。ぜひぜひぜひ、一緒に写真展やりましょう! 自分の写真が綺麗に額装されて飾られるのって、とっても佳いですよ!
で、ギャラリートークは会期中の土日、だから27と28日ですね、両日とも14時から開催します。外ではよさこい祭りをやってるようなんだけど、宝物展示室では涼しい環境の中、写真に出てくる東北の食の話と、カメラ撮影の話をします。
で、お恥ずかしながら、、、作品は販売もしています。そんなこと考えてなかったんだけど、ギャラリーの方から作品は売るものです!と言われたので、、、(笑) どの作品もエディションナンバーを振りました。つまり、1/20と書かれているものは、僕の生涯で20枚しか売らないということです。マジ?そんなことしちゃうわけ?とおっかなびっくりですが、、、ちなみに、お買い求め安い2Lサイズのプリントもたくさん用意しておきました。まあ、そんなこともちょい観察しながら楽しんで欲しいと思います。
また来週、開催前に告知しますが、写真の応募はぜひお早めに。一緒に飾って、できれば27か28日にお会いしましょう!
さて時間は戻ってサミット当日である。ランベリーの岸本シェフの5種食べ比べの後、キッチンは龍吟スタッフによって埋め尽くされた!
実は山本シェフの誕生日パーティーの夜、ビックリするようなことを言われたのだ。
「サミット当日は店をクローズして、フロアスタッフも全員参加!になりましたからね!」
えええええええええええええええ? マジ? 冷や汗が流れちゃうよ! 世界の龍吟を一日休ませてしまった、、、店の一日の稼ぎからすれば、サミットで支払うことができるのは本当に微々たる報償費である。しかも忙しい中、試作からなにから追いかけて時間をとらせてしまっている。それなのに営業日を一日つぶしてくれるなんて、、、これを聴いた日は本気で身震いしてしまった。
だからこの当日、白い調理服に身を包んだ調理スタッフ以外に、龍吟の店内でみかけるあの黒服の人達までもが、配膳のためにやってきてくれたのである。
さて、今回彼らが料理してくれた部位はシンタマ。牛の大きなモモ肉の中では硬い方に入る部位だ。これを山本征治がどのように料理するのか?岩手県も高知県も熊本県も、みな「本当にシンタマを使ってくれるんですか?」と念押し。それほど意外なチョイスといえる。ちなみに先頃、僕の短角牛である国産丸を食べる会を開催してくれた東京バルバリの小池シェフも、シンタマの料理に最も気合いが入っていたと思う。料理人にとって、これをどう食べさせるかということはかなり意欲をかき立てられるということなのかもしれない。
そのシンタマに山本シェフがどう向き合ったか。料理メニューが決まった、という連絡が、シェフ自身からもたらされた。
「あの~やまけんさん、松茸使ってもいいですか?」
むむっ松茸!?実は先にスーシェフから試作段階の料理の写真が送られてきた(きちんとライティングされた、綺麗な写真であった!さすが、自分の店の打ち出し方を大切にしていると思った)のだけども、そこには火入れしてスライスしたシンタマと、なにやらキノコを何重かに重ねあわせた料理が。むむ、これシイタケ?なわけないか、でも松茸?と思ってたんだが、やっぱり松茸かぁ~!
「大丈夫だいじょうぶ、50人分だったらそんなにむちゃくちゃな値段はしませんよ!」
と笑いながら、山本シェフが料理の説明をしてくれたのだ。
「あのですね、シンタマは確かに少し堅めの食感ですけれども、これを無理矢理やわらかくするような事はしません。煮込んだりしたら持ち味も抜けちゃうかもしれませんからね。そうではなくて、食感の強いシンタマには、やっぱり食感の強いものを合わせていきます。タケノコみたいな歯触りのいいものを口にすると、人はかみ応えのあるものを欲するものなんです。それが日本料理のアプローチだと思うんですよ。」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
あんたはどこまで素晴らしいんだ! 日本のメディアで垂れ流されている「やわらか~い」「あま~い」というようなステレオタイプな美味しさ表現の対極を向いた、レベルの違う方法論だと感じてしまった!
「だから、温かい料理では熊本のあか牛に、同じく熊本の天草産の緑竹(りょくちく)を合わせるんです。あ、そうそう、もう一つお願いがあってね、くまもとあか牛のシンタマにはソースをかけようと思うんです。それに牛のアキレス腱を煮込んだものを使いたいんですけど、あか牛のアキレス腱5kgって手に入りますかね?」
なぬぅうううううううううううううううう
識っている人もいるだろうが、通常の正肉部分と内臓肉の扱いは全く別で、肉は手に入っても内臓は手に入らないことが多い。また、と畜場ではあか牛ばかり処理するわけではなく、むしろ黒毛和牛を処理するラインにあか牛が割ってはいるようなことが多いらしい。なので、あか牛のアキレス腱だけを集めてもらうのは至難の業だ。ただ、「だいたいこの辺の時間帯ではあか牛を集中的に割る」というタイミングがあるはずなので、できるだけそういう時間帯を狙ってアキレス腱を集めてもらうよう、熊本県にお願いをしておいた。
「よかったぁ! 実はね、今回、アキレス腱をとろとろになるまで煮て、それをフードプロセッサーでソースにして、温かいシンタマの上からかけるという料理をしたいんですよ。だからできるだけ、アキレス腱もシンタマも同じ素材から出来ていることが望ましいんです。」
アキレス腱ソース????? あなたはいったいどういう経路でそんな発想にたどり着いたの?と意識が混濁するワタシ。しかし面白い! 熊本県からもナントカするという連絡をいただき、とりあえず素材の準備は整ったのである。
刺身を引くように、シンタマの肉の繊維を断ちきり、綺麗なスライスに引いていく。
ちなみにこのシンタマ、すでにこの時点で火が入っている。肝心の肉にどのような火入れをするか、これが龍吟スペシャルともいうべき「オイルバススターラーを使った均一な火入れ」なのである。
「火入れにはオイルを大きめのバットのような容器で循環させながら温めるオイルバススターラーを使います。油を満たし、60度の設定にして肉の塊をドボンと入れておくと、数時間かけて芯温が60度に暖まります。真空調理でお湯を使う方法もありますが、これだと均一に60度にはならないんです。それに真空パックすることで肉汁が逃げてしまう。オイルバススターラーだと、肉の内部から何も逃げ出しません。」
実はこの方法、昨年の赤肉サミットでランベリーの岸本さんが創作料理に使った技法。山本シェフと親交が深いことから、技法を教わったという。そして均一な芯温の仕上がりをみて油から引き上げ、表面を意図する加減で加熱する。
通常、肉を加熱する場合には外側から強めの温度を入れて内部に浸透させ、仕上げるものだけれども、これはまったく逆を行く方法だ。内部温度を理想的な状態にしたのちに、表面を好きな具合に仕上げるということ。これにはいろんな意味合いがある。
柴田書店の専門料理編集長である柴田さんと山本シェフとの会話の中でも、「肉の焼きかため」の話が出ていた。つまり、よく料理本をみると「まず肉の表面を焼き固めて、肉汁や旨みを逃さないようにします」と言うことが書いてある。しかし実は、
「どれだけ表面を焼いたって、肉汁はしみ出すものなんですよね」
というのが真実だ。焼き固めるといったって微細な隙間はあるのだし、内部温度が上がって肉のなかの自由水が活発に対流するようになれば、汁は染み出てしまう。
では、誰もが無意識に行ってしまう「焼き固める」というのはどんな意味があるのか?肉のタンパク質が高温にさらされると、アミノ・カルボニル反応などのタンパク質変性が起き、それまでに無かったアミノ酸(旨み)や香りが発生する。焼き目がつかないように肉を加熱しても旨み成分は発生するらしいが、焼き目をつけるとその何倍もの味と香りが発生するわけだ。しかし、焼き目がつくくらいの温度になると、水分は蒸発し、肉の線維は強く引き締まっていわゆるウェルダンになってしまう。だから、表面部分はよく焼き目がついているが、内部は本来の肉の旨みが活性化する55度くらいに加熱され、生肉時の柔らかさと水分が保持された状態にもっていく。これがステーキなどの上手な焼き方とされている。
けれども、「表面の美味しさ」と「内部の美味しさ」のバランスは人によって違う。表面の焼き具合が強すぎると、肉本来の素直な美味しさや香りは感じにくくなる。逆に表面の焼き目部分の美味しさが好きで、レアな肉は好きじゃないという人もいるだろう。
「それをコントロールする理想的な方法の一つがオイルバスなんですよ。」
ということなのだ。カンテサンスの岸田シェフが、肉の塊をオーブンに数分入れて、数分出して寝かせて温度を浸透させ、というのを二時間くらい繰り返して均一な火入れをしていくのも、やり方こそ違えども自分の理想とする火入れ状態に持っていくための方法だ。ここ数年で日本の肉の火入れ技術は大きく進歩しているのである!
さてその理想的に温まったシンタマをスライスし、松茸などと共に鉢に盛りつけていく。
そして完成したのがこの料理である!
■短角牛と焼松茸 夏野菜の爽やかなお浸し 青柚子の香りと共に…![]()
ちなみにこの冷菜には例の「食感のある食材」は使われていないんじゃないか、、、と思ったら、使われていた!茶色いチップス状のものだ。
「あのですね、これはエリンギを揚げて水分ぬいてチップスにしたんです。エリンギって食感はあるけど、味は旨くないでしょ~?けどね、ここまで脱水して凝縮すると、いい味だすんですわ」
おおおおおおおおおお、本当だ! 僕は司会進行をしながらあいまをみてババッと食べてしまったが、シンタマが少し冷やされてぎゅっと引き締まった食感になっているところへ、このエリンギチップスのカリポリ感が割ってはいることで、シンタマを噛みしめることが実に自然に感じる。料理名には書かれていないがミツバが使われており、これもシャクシャク感が見事にマッチする。そこに松茸の香り、ポン酢の酸味と塩味が縦走的に入ることで、いきなり立体的な世界が屹立する。
美味しい、、、
静かに美味しい、、、と残心してしまう料理である!
しかしそれで終わりじゃないのだ、すぐさま龍吟チームは次なる「温菜」の調理に入る。
上の写真の一番手前にある雪平鍋にはいった茶色い物体がアキレス腱だ!こちらはフードプロセッサーにかけず形と食感を残したもの。その左に半分だけ写っている鍋が、フードプロセッサーにかけてソース状にしたアキレス腱のエキス。これにやはりポン酢で味を決めていく。冷菜・温菜どちらにもポン酢が重要な役割として使われているが、これはやはり牛肉という味の強いものに対して、酸味と香りを併せ持つポン酢こそ拮抗しうる調味料ということなのだろう。
この料理のシンタマは若干厚めにスライスされた後、拍子切りのように細くカットしていく。そこへアキレス腱ソースがかけられる!
■赤牛と緑筍の山ワサビ仕立て 液体アキレス腱を絡めて 香り野菜を添えて… ![]()
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
素晴らしきプレゼンテーション!この写真のシンタマの色をみるだけで、どんな火入れ状態になっているかがよくわかるではないか!
この料理では丁寧にヒゲ根をカットしたもやしと緑竹が、やはり食感パートをカリポリシャクッと受け持っている。アキレス腱ソースは、液体部分はトロリとしながらも、形を残した部分がヌチーッと歯にくる。そうなると、細切れのシンタマをギュワッ、ギュワッと噛みしめるのが「楽しみ」になってくる!
これが日本料理 龍吟 山本征治シェフの、牛シンタマへのアプローチだった!
料理の説明を微に入り、細に入りしてくれる山本シェフ。あ、この間に僕は画面の外で料理を食べてます(笑)
「なんでも聴いて下さい!」
と、技法も思想もすべてあけっぴろげにしてくれる山本征治。客席からは「うーんこれは反則だ、やり過ぎだ、旨い!」という声が(たしかロブションの渡辺シェフ)。京都の瓢亭・高橋義弘さんからも先の冷菜について「食感の重ね方がとてもよくて、美味しくいただきました」と。
産地の人達は大興奮。
「まさかこんな使いにくいであろうこの部位を、しかもこんな食べたこともない味で!」
関係者は着座するスペースが全くないので、皿にはいったものを横のデスクに置いてみんなで爪楊枝でつついて試食するしかないのだが、みな順番にものすごい表情で食べていた。おそらくどの産地の人もシンタマをこんな風に調理したことはないだろう。この料理の衝撃は今後、語り継がれていくだろうと思う。
このあと、各テーブルのディスカッション内容を発表してもらったりしたのだが、それはまた違うエントリで。
サミット終了後、ランベリー岸本チームと龍吟チームが大急ぎで片づけ。その間も様々なシェフと語らっていた山本シェフだが、帰り際にギュッと握手してくれながら、驚いたことを言うのだ。
「やまけんさん、すっごく楽しかった! 来年もやろうね!」
えっ?
このときはリップサービスしてくれてるんだろう、と思ってた。だって、一日の営業を休むに値する営業補償には届かない報償、スタッフへの負担も重いこんな企画、一回でこりごりだろうと思ったのだ。しかも、彼が渾身の力で作ってくれたこの二品の料理を説明してもらう時間は、正直足りなかったと思う。シェフはもっと話したかったはずだし、会場のみんなと意見交換したかったはずだ。けれどもサミット進行のため、そこの時間を十分にとれなかった。申し訳なくてもうしわけなくて、本当にごめんと思いながら僕も進行していたのだ。
それなのに、このサミットの翌日、お礼のために電話をしたのだ。そうしたらまたもや言うのだ!
「来年も絶対にやりましょう!」
マジでいいの???
そのまっすぐな気持ち、俺にとって最高のごちそうです。今回、あか肉サミットの創作料理を通じて、貴方と知り合い仲良くなることができたことが、人生の宝物の一つとなりました。貴方の、料理に対する真摯なとりくみと、ときに子供のようにすべてを楽しむおおらかな生き方にとっても刺激されました。
山本征治さん、龍吟スタッフのみなさん、このたびは本当にありがとうございました。心より感謝しております。そして、、、来年もよろしく!
昨晩、いきなり僕のメインPCが起動しない、それもBIOS画面すら出てこないという事態に陥った後、どうしようもなく出張で宮崎に来ているのだが、、、
23時、西橘の〆のおでん屋「よんしゃい」にて、D700が動作しなくなりました。液晶モニタがうんともすんとも言わない、絞りが開きっぱなし、シャッターおりない。エラー表示出まくり。こんなの初めて。
幸いなことに、撮影すべきものはした後でした。上の写真は、宮崎空港ビルディングが、宮崎の郷土料理の神髄である冷や汁のバリエーションを開発しているもの。これについては後日詳述するのでそのときに譲るけど、とにかく、この辺の撮影は済ませた後でよかった。
しかし、、、メインPCの時も、今月の24日からの海森彩生写真展のための作品データを仕上げして、DVDに焼いた後、はかったように無反応になった。今日のカメラもそうだ。いったい何が起きているのか、、、これでノートPCが壊れたら、何かあると考えた方がいいよね。っていうかそうならないことを祈るけれども、、、
ということで、土曜日帰京したらまず、銀座ニコンのサービスセンターにカメラ持ち込むこと決定です。あーあ。じゃあ寝ます。明日朝、赤肉サミット龍吟編を書き上げる予定。PCが壊れてなかったらね!
さっきまで、赤肉サミット&日本料理 龍吟編を気合い入れて書いていたら、、、音もなくマシンが落ちた、、、そしてそれ以降、うんともすんとも言わない。不可解なことにBIOSの画面すら出てこない。
サポートに連絡していろいろやってみたが、電源かマザーボードのトラブルっぽい。あああああああああああ
秋葉の九十九電機で買ったマシンなので、すぐさまサポートに持っていこうかと思ったが、明日から工場がお盆休みに入るとの由。週明けに持っていっても同じだそうだ。うぐぐ
まあ、修理期間中に写真データにアクセスできないと言う問題は、通常はeSATA接続している外付けのRAIDマシンをUSBでノートPCにつなげばいいので、なんとかなる。また、主な仕事用フォルダはノートPCに同期しているからよいとして、問題はまさに今まで書いていたデータ。
あれがぶっ飛んだのかよぉおおおおおおおお 山本征治編のクライマックスだったのにぃいいいい、、、
ちょっと一息入れてから書き直しますので、おまちを、、、これからだっつうのに、、、
明日から宮崎三連戦。行って参ります。
龍吟での夜、気がつくと、もう時計は1時半を回っていた。うわっ申し訳ないっと言うと、専門料理編集長の柴田いずみちゃんが「これがね~ 山本シェフのいつものパターンなんですよぉ ふふふ」と笑う。
「もう全然これが普通ですよ!僕らいつもこれからようやく反省会やって、って言う感じです。」
なんとタフな、、、そしてこの日、柴田いずみちゃんからシェフに、素敵なプレゼント。
「たしかお誕生日近いんですよね?マイケル・ジャクソンがお好きと聴いたので、、、」と、超レアなマイケルグッズを取り出した!
「うおっ マジですか? 僕、ほんとマイケル大好きなんですよ! これは凄い、、、」
うーむ ゆっくり話すことようやく2時間というところだけれども、山本征治という人はなんの他意もなく素直で人好きな男なんだな、と思った。次から次へと出てくる「こんなこと考えたんですよ、どーですか!?」という新しい料理道具ネタや、煌めくようなアイデア。いやもう、人間的に魅了されちゃった。
と、赤肉サミットへの協力を山本征治シェフ本人に快諾してもらったわけだが、ここからが大変だったのである!
サミットの準備は着々と進む。当日までに会場となる東京ガスのキッチンスタジオであるプラスジー肉にて、最低でも一回はリハーサルをしないと不安だ。昨年は都合二回、ランベリーの岸本シェフが調理環境を見に来て、その後じっさいに肉を焼き、というように二回足を運んでもらったくらいだ。
また、当日までに創作料理の試作をしてもらうことになるわけだが、一つ大きな関門があった。使用する部位はシンタマということで合意をみたわけだけど、できれば今回参加してくれる3つの産地、熊本・高知・岩手のもつ赤身肉品種を全て使って料理をして欲しいわけだ。でも、3種使うってのは手間的にも非常に厳しい。ごり押しをしても仕方がないので、会食の夜はその辺をちょっとだけぼかして「出来る限り全品種やっていただきたいとは思っています」という感じで切り上げていた。
んで、会食の夜に「以後、こちらにメールいただければ対応します」といわれたアドレスにメールする。試作用の部位は何キロ必要か、東京ガスのスタジオの対応もあるので、調理内容と使用予定の器具は教えておいて欲しい、などなどなど。
しか~し! ぜんっぜんなしのつぶて。 たしか月の中盤までは大きな仕事が入ってて忙しいと入ってたしなぁ、あまりつついてもなぁ、、、と思いながら店に電話する。「あっ いままだお客様がたくさんいらっしゃって、ちょっと出られないんですよ、、、」とスタッフさんに言われ、12時まわって電話をすると、、、ああああああ 留守電になってるよ! なーんて日々を過ごす(笑)
ようやくスーシェフさんから連絡もらえる。でもちょっと不機嫌。
「あの、一種使えばいいんですよね?」 うーんやっぱり、ご面倒ですか。ただ、やっぱり産地としてはできれば、自分たちのを作って欲しいと思っているはずなんですよ、、、最悪、当日までのお仕事の状況大変で難しいということであれば一種でもいいのですが、可能性だけでも、複数品種を使っていただくということでお願いできませんか?と平に平にお詫びしながら懇願。「、、、わかりました、ちょっとシェフと検討させていただきますね」
こんな感じでジリジリとお願い攻撃をしていたわけだ。産地としてはそろそろ食材の内容を確定して、発送準備にかかりたいということもあったと思う。けれども激烈に忙しい人気店である。その辺のことを産地の担当者さんに説明しつつ待つこと1週間半。
夜の12時くらいに、山本征治その人から電話がかかってきた。
「いやぁ~ やまけんさん、どうもすみませんでした! やっと大きな山を越えたので、これから進めますよ!」
マジですかぁ! ていうか、声が聴けてホントに嬉しいよ、、、
「えーとですね、そ・れ・で。今回、三種はちょっと厳しいんですが、二種やらせていただきたいんですよ。やっぱり、地震で被災した岩手県の短角和牛は、なんとしてでも力になりたいと思います。これをシンタマの冷菜に使おうかと。もう一つ、温かいシンタマ料理をやりたいんですけどね。これにはちょうど旬の熊本県の緑竹(りょくちく)を使おうと思うんですよ。歯触りがいいんでね。そうするとやっぱり、くまもとあか牛を使ったら、ばっちり地域の食材が出会うでしょ?」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
この解なら、産地にも理解してもらえる! というのも、高知県の土佐あかうしは今回使わないということなのだが、実は昨年度の赤肉サミットでは、岸本シェフが土佐あかうし一品種を創作料理にしてくれたのだ。だから、いちおう言い訳としては立つな、と思い、誠意を込めて土佐あかうしの担当者である公文さんに連絡。
「そういうことなら、仕方がないですねぇ」
本当に申し訳ない!高知県よその懐の広さに感謝です!
この後、メニューに記載する正式な料理名をもらったりするなどいろいろ時間がかかったのだけれども、ようやくクリア!
などなどしている間、なんと山本征治が誕生日を迎えるという。パーティーへの招待状をもらったので、僕もいい気になって参上。この時点では、産地への連絡や資料の準備等も、優秀な我が社のスタッフにより(決して僕ではない(笑))ほぼ終了。心置きなくいくことにした。
一次会はブルガリタワーで3時間ほど。所用で遅れて後半の一時間に参加させてもらった。プレゼントは、ハタハタ100%のしょっつるを世に出した諸井醸造の超レアアイテム、「十年熟仙」のボトル。
「うっわー嬉しい! やまけんさん、この後、夜にうちの店で三次会やるけど、寿司握りますから来て下さいよ~!」
え、マジ? 君が握るの? それは行かねばならんなぁ~! ということで、カラオケ二次会は遠慮して(笑)一度家に帰ってカメラを準備し、六本木に向かったわけである。
店内では「鮨 よしたけ」チームが出張寿司を握ってくれている!
著名な料理人が入り乱れる中、なんとこんなゴージャスなツーショットが実現。
山本征治と、カンテサンスの岸田シェフである。いい感じだ。ちなみに、この二人が料理について徹底的に対談したインタビューが載っているのがこの本。
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秘密の一杯詰まってそうな厨房を覗きに行くと、またもや凄い顔ぶれが鮎の焼き台の周りに集まっていた。
後ろ姿は岸田シェフ。右にいるのは、銀座の「青空」のはるたかさんである。
彼らに鮎の焼き方を一から十まで教える山本征治。
「この焼き台、奥の側をすこしだけもち上げてるんです。これで鮎の中の脂が手前に戻ってきて、身の厚い部分や肝も香ばしく焼けるわけです。頭と腹と尻尾にかけての部分を、それぞれ違う味に焼く。炭で燻製のような香りをつけた部分と、肝のほっくりした部分と、干物のように焼き上げた部分それぞれを味わってもらいたいんですよ」
うーむ 本当にこの人は技術の要諦をおしげもなく明かしてしまう。明かしたところで真似できるわけもないのだけれども、真似したとしてもこの人はもう次の段階に行ってしまっているのだろう。いやはや、やっぱり気持ちのいい男である。
いろんな料理人さんが参加していて、僕にはチョット目の毒(笑)だったが、仲良くさせていただいている方も多数。同じ六本木で店を出すこの人も後半戦で参加。
こうして6月第三週の週末が過ぎていった。
そして6月第4週の頭、とうとう創作料理の名前が決まったのである。
日本料理 龍吟です。
遅くなりましたが、今度の赤肉サミットの献立名をお送りさせていただきます。「短角牛と焼松茸
夏野菜の爽やかなお浸し
青柚子の香りと共に…」
「赤牛と緑筍の山ワサビ仕立て
液体アキレス腱を絡めて
香り野菜を添えて…」以上になります。
よろしくお願いします。
(いよいよ本番! その3につづく!)

タキイ種苗のSさんより、新品種のピーマンが送られてきた。ちなみにSさんは僕の好みど真ん中の涼やかな美人で、結婚して欲しくない度No.1だった女性なのだけれども、先頃ゴールインされてしまった。人生とは本当に非情なものである(笑)
で、この子供ピーマン、外観だけ観ると、縦の筋が入っていないので、ピーマンというよりはトウガラシのように見える。まあ、ピーマンとは辛くないトウガラシとも言えるので、当然と言えば当然だけど。

さっそく割って観ると、ご覧の通りかなり肉厚だ。通常のしし型ピーマンの通常出荷規格からすると1.5倍くらいの厚みがあるような感じ。ただし、この子供ピーマンを成熟果にしたときにどれくらいの大きさになるかわからないので、もしかしたらもっと厚くなるのかもしれない。ちなみに、緑色のピーマンは未成熟な段階の果実です。成熟すると赤くなります。

大きさはこんな感じ。表面が滑らかで、ヘタ部が長く切ってある。一番の特徴は、横に切ると断面がこのように二室に分かれていることか。

ただ心室数は生育状況によるから、もっと大きくしたら別れるのかもしれない。それにしても容積における果肉の比率が非常に高い。

生のままでかじってみたが、ジューシーで甘みがある。ターゲット層はそのネーミングからもピーマン嫌いな子供ということだろう。これなら確かにピーマンが嫌いな理由の上位である「香り」「苦み」をクリアしているので、非常に受けそうだ。
家に帰ると、「富士酢」の飯尾醸造から、お祖母ちゃんの畑で獲れた万願寺トウガラシを送ってきてくれていた。おお、これはよい比較ができる、と双方を加熱して食べ比べてみた。
万願寺トウガラシはほとんど辛みのない在来品種であり、ピーマンよりも濃密な香りとほどよい苦みがあり、甘辛く炊いたときにはこれが最高に旨く感じる。一方、子供ピーマンはまず食感に特徴がある。厚みのある果肉は、加熱してもとろりとせず表面のプチッと感が残る。万願寺がとろりと溶けるのに対して、子供ピーマンはサクリとした食感が強く残る。そして、やはり加熱したときに甘みが最大限に発揮される。これならピーマン嫌い、という子供も好きになるだろう。
タキイのマーケティング戦略としては非常に的を射たものだと思う。数年前、タキイの実験ほ場を見せていただいたとき、「内緒ですよ」といわれつつ色とりどりのトウガラシが試験栽培されているのを観た。インドなど新興国向けの品種開発の一環だったわけだが、子供ピーマンはこの中で出てきた派生品種なのではないか、と推測する。
本当は、こんな風に甘くてジューシーな野菜ばっかりになってしまうのは嬉しいことじゃない。日本人は「苦み」や「えぐみ」などの複雑な味の奥に美味しさを感じることができる繊細な味覚を持っている。けれどもそれは先天的なものではなくて、子供の頃にそうした「美味しくないもの」を食べさせられることで味覚のタネが生まれるのだと、僕は考えている。子供の頃から甘くてジューシーなものばかりに囲まれて育ったら、いつまでたっても苦みは苦みであり、美味しさに転じることはないだろう。
だから一方で、苦みやえぐみ、匂いの強い野菜をもり立てていかなければならない。タキイさんには、売れにくい在来系の品種も残してね、とお願いしておきたい。
それはともかく 非情に美味しいピーマンでした。これを一杯ぶち込んだカレーを食べたくなった! Sさんご馳走様でした。
PS
この撮影は、ニコンD700を買ったときに同時購入した、カールツァイスのマクロプラナー50mmF2.0 を使った。先日の赤肉サミットで、柴田書店のカメラマンE氏がD3Sにこれを着けて撮っていたのだ。「いいっすよこのレンズ!」と言われ、俺も持ってるけど全然使ってないや、と反省。久しぶりに使ったのだけれども、マニュアルでピント合わせが大変ではあるけれども、実にイイですなぁ、、、もっと使おうっと。

ブログ読者で、深川界隈に住んでいたkappaちゃんに教えてもらってから、コーヒーはオールドビーンズ一辺倒だった僕がこの店に週3回は通うようになってしまった。

この店のマスター、田那辺君も僕と同い年。リクルート出身のバリバリ営業マンだったのだが、いまや自家焙煎コーヒーの業界では若手の中でも有力者である。食のあり方について非常にまっとうな考え方を持ち、直接に近い形で取引するコーヒー豆産地への価格等も、生産者が再帰的に生産をし、生活をしていける額をベースに取引をしている。
その彼がソフトドリンクでお酢を使った新製品を作りたいという相談をしてきて、飯尾醸造を紹介してくれと言う。そりゃ俺が紹介しなくたっていいじゃん!というのも、飯尾醸造の社長様はかの「食の学校」つながりで、この店に何回も来ているのだ。でも、跡取りである彰浩君にはまだ会ったことがないという。
そこで彰浩君に連絡して、どこか上京するタイミングで店に足を運んで欲しい旨を伝えた。後日それは実現し、さまざまな試行錯誤の末に、ピコに新しいドリンクが二種類誕生したのである。

まずひとつめは、飯尾醸造の深紅の色が美しい紅芋酢を牛乳で割り、藤原養蜂場の蜂蜜で甘さをつけたものだ。カルピス牛乳割りじゃないけど、酢酸を牛乳で割るととろみがでる。ちょうどヨーグルトドリンクのようになるわけだ。ただ、それだけだとちょっと物足りない。そこで僕が「何かスパイスをかけてみたら?」とアドバイスしたら、いろんな試行錯誤をして、シナモンとカルダモンの二種にいきついたようだ。
もう一つは、飯尾醸造がずーっと昔から活動を支えてきた、木村さんの無農薬リンゴ100%の林檎酢を使ったもの。こちらはホワイトバージョンだ。

僕はどちらも呑んでいるが、全く違う味わいだし、甲乙つけがたい美味しさだ。とろみがつくので飲み応えもあって、一杯でコーヒー以上に楽しめてしまう。
ぜひピコで、自慢のモカジャバブレンドを飲む前にかけつけ一杯、このお酢ドリンクを試してみて欲しい。旨いですよ、マジで!
■カフェ・デザール・ピコのブログ
http://cafedesart.exblog.jp/

この写真の料理が、山本征治からの「解答」だった。それを僕は、さいしょからタネを識っていたのにも関わらず、驚きと共に味わったのだ。
今年の赤肉サミット2011での目玉の一つは、間違いなくこの店・日本料理 龍吟の参加だ。昨年のプレ大会では、ランベリーの岸本シェフに創作料理までお願いをしたのだが、7種の肉を同条件で焼き上げてカットし、供したあとにまた創作料理を出してもらうというのは、少々働かせすぎたという後悔があった。そこで、岸本シェフには食べ比べ用の焼きに集中してもらい、違う料理人に、赤身肉を使った創作料理を出してもらうということにしようと思ったのだ。
さあ、どんな料理にしよう?難しいのは料理のジャンルだ。フレンチ・イタリアン・中華・日本料理の中で最も牛肉と遠いのが日本料理である。けれども、、、それ故に、日本料理の世界が赤身肉をどうさばくのかということも興味深い。ということで実は最初、ランベリーの岸本シェフが昵懇にしている「小十」の奥田さんに声をかけてもらったのだ。実は奥田さんは昨年の赤肉サミット後に数回、土佐あかうしを仕入れてくださっている。実際に使っていただいていることもあり、マッチングとしては最高だろうと、思ったわけだ。
しかし、奥田さんからは意外な回答が、岸本さん経由でもたらされたのだ!
「この趣旨だとね、おそらく僕よりも「龍吟」の山本さんのほうが向いてますよ」
ええええええええええええええええええええええええ!?
僕はびびった。だっていまをときめく龍吟ですよ。しかも同門の奥田さんが山本征治を推薦するのだから!この辺の彼らの関係を識る人なら、にやっとするだろう。
しかし、龍吟!昨年の赤肉サミットにも来てもらってはいるものの、山本シェフとはまだきちんと話したことがないしなぁ、、、と思っていたら!
「やまけんさん、俺、山本シェフに連絡したら『いいですよ、やりたいです』って言ってますよ」
なぬうううううううううううううううううう 岸本さん、もう連絡しちゃったの??? しかも、OKなの?????
そんなこんなで、挨拶兼食事に伺ったわけである。


ちょうど雑誌「専門料理」の編集長のいずみちゃんが「食事に行くところだったんですけど、ご一緒にどうぞ」と言ってくれたので、土曜日の21時半、最後の回に滑り込ませていただいた。

「どうもいらっしゃいませ! 今日は僕なりに、肉にどうやって立ち向かうかってのも考えながらお出ししますね」
といって出してくれた一品一品が素晴らしくて、実は5品くらいの写真とテキストを書いたんだけど、冗長になるので削除(笑)キモとなるのは最後の一品だ。

「これ、僕なりの『カツ丼』なんですよ、、、」
んんんんんんんん? これをもってカツ丼とな?
ここにシェフ、熱々の出汁を盛ってきて、皿にしとーっとかけ回してていく。

主役は見事なロゼの断面に揚げあがったヒレカツで、その横にはペコロス(ミニタマネギ)と温泉卵、海苔が。

「これを卵とあえて食べていただくと、僕なりの美味しいカツ丼アプローチになるんですよ」
うーむ 面白い、カツは出汁をかけても衣にカリカリ感が残り、甘辛く煮含めたタマネギとともに温泉卵が絡むと、口の中でバーチャルカツ丼のアタマとなる。そうか、こんな感じでやるか! それも面白いなぁと思いつつ、お客さんが帰った夜中の12時(!)からミーティング。

山本征治シェフ、実は僕とまったく同い年である。同世代がとうとうこんな重要なポジションについているのか、と感慨深くなる。それにしても赤肉サミットで創作料理、本当にやってくれるんですか?微々たる予算になっちゃうんですが、、、
「いやーこんな面白そうなイベントないでしょう、是非やらせてください!」
本当ですか!ありがとうございます(涙) で、、、どんな部位だとやりやすいですかね?
「今日みたいなアプローチにするかどうかは別として、やっぱり部位としてはヒレ肉がやりやすいかと思うんですよね。」
ということは電話ベースで聴いていたので、実はヒレ肉を各産地に一本分ずつオーダーしてはいた。ただ、そこでいちおうインフォームはしておこうと思い、こう伝えた。
「実はシェフ、ユッケ事件以降、牛肉の部位の中でモモが、各産地で売れなくなり、みな困ってるんですよ。なので、一部の産地からモモ肉を使ってくれないかな、という声があったと言うことだけは伝えておきますね。いや、もちろん使いにくいだろうから、いいんですけど、、、」
と言った瞬間!
山本征治の顔がギュッと引き締まり、毅然とした態度で言うのだ!
「それなら僕、モモ肉でやりますよ!ヒレ肉なら割といろんな味に合わせやすいし楽だなと思いましたけど、産地の人たちが困ってるなら、僕としては力になりたい!チャレンジさせてください!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
感動してしまった! 僕はこの瞬間からサミット当日まで、このときの彼のまなざしや口調を忘れることができない! 彼の料理ではその細かな技術に目がいきがちだけれども、それだけではなく彼は「世のためになる料理」を考えているのだ!それがバチバチバチッと電流スパークのように伝わってきた瞬間だったのだ!
「よし、じゃあ難しい部位でやりますよ!普通の料理人が使いにくい部位とかってどこですか?」
うーんそうだなぁ、内モモとかランプは比較的使えるわけだけど、シンタマとかは一般的には硬くて使いにくいって言われてるよなぁ
「そうですか! じゃあシンタマ行きましょう、シンタマ! 速攻で、産地から送ってもらってください!」
なんとこういう経緯で、当初とは180度路線が変わったのである。正直な話、ヒレ肉は牛一頭の肉の中で1%程度にしかならない小さな部位であり、しかも何も宣伝せずとも売れてしまう部位だ。味も無難で軟らかく、日本料理にも合わせやすいだろう。しかし産地が困っている、というキーワードを聴いた瞬間、彼の中で取り組み姿勢が変わってしまった。
「使いにくい」と言われている部位を美味しく料理してしまおう。こんなチャレンジを彼にお願いすることになった。産地にこのことを伝えると、岩手県も熊本県も口をそろえて「産地の事情を理解してくれて、本当に嬉しい!」と言う。ホント、それに困っているのだ。最近はそこに放射能汚染が加わって大変になっているわけだけれども、、、
ちなみに、この会談が6月11日。赤肉サミットまであと2ヶ月を切っている段階だ。数回にわたって産地からシンタマ一本、5kg程度を送って試作を重ねてもらうと言うことになった。着座するシェフ達が36名、プラス関係者分で50名分相当を作ってもらうということで、店の営業補償にもならないような謝礼しか提示できなかっただが、「そんなのは問題じゃないです」と笑う山本シェフ。
しかし今、最も繁忙な料理人の一人である龍吟・山本征治のことだ。ここからしばし、サミット関連の連絡がほとんど取れない状況に陥るのである。
(つづく)
東京商工リサーチなどで倒産速報が出ているが、安愚楽牧場が飛んでしまったようだ。肉牛の業界では先月頭くらいから噂に上っていたのだけれども、まさかこんなに早くとは思わなかった。
この問題、和牛預託商法ということで、これに投資していた消費者への救済をどうするかということばかりが取り沙汰されているようだが、金融商法としての安愚楽牧場についてはここでは述べない。それよりもこちらからすれば、「安愚楽牧場は日本最大級の肉牛繁殖事業者だったということの方が重要だ。
繁殖というのは、母牛を持ち、種牛の精液を購入して人工授精し、子牛を得てこれを販売する形態だ。いまは同社のWebはみられないが、だいたい黒毛和牛を15万頭を保有しているという言い方をしていた。これが母牛だけなのか、子牛も含んでいたのかはよくわからない。ただ、その頭数規模が甚大であることは確かで、日本の黒毛和牛の子牛生産の大きな一翼だった。
安愚楽牧場が本当に倒産してしまった場合、債権整理として現存する牛たちがどのように引き取られていくかということに、いま関心が集まっている。国内には安愚楽牧場以外に、2つの大きな繁殖事業者がある。そこを中心に引き取られていくのだろうか、とも思う。ただ、牛肉の市場がこれまで以上に混乱することは間違いないだろう。
いま黒毛和牛を中心とする日本の牛肉市場は、かつて無いほどの冷え込みをみせている。先日、和牛コンサルタントであり獣医である松本大策先生と久しぶりに話したが、彼が応援している群馬県の肥育農家の黒毛和牛が、A5の格付けを得たにも関わらず、芝浦市場で一頭20万円にしかならなかったそうだ!本来は100万円以上ついているべきところである、、、素牛(もとうし)つまり子牛購入だけでも普通は40~50万くらいするのだから、赤字とかいっているレベルではない。
じつは僕は日本には牛が多すぎる、と思っている。こんなにじゃぶじゃぶ、高級品であるはずの黒毛がいるから牛肉の価値が低くなるんだよな、と思ってきた。ちなみにいま日本にある肉牛の45%程度が黒毛和牛だ。単一品種としてはトップなのである。高級品でもなんでもない、いちばんありふれた牛の品種といってもいいのかもしれない。ちなみに僕がこのブログで書いてきた短角牛や褐毛和種は、全体のたった2%未満である。
本来牛肉は月に2回くらい、ありがたがって食べるものだろうと(僕自身さいきん食べ過ぎだけど)思う。本来、肉牛は減っていい。けれどもこういう問題が起こる時、自分のスタンスを思い悩む。産地の人達の顔もよく知っているから、彼らにむざむざ「辞めちゃいなよ」なんて言えるわけ無いからだ。
だからこのエントリは、大きなニュースに触れたショックで漏れたつぶやき未満。そういう風に思って下さい。でも、大きな話だから、これを機に肉牛の世界がまたいい方向に変わっていくといいね。

さて、赤肉サミット後半はいよいよテイスティングだ。今回試食してもらう牛の個体は下記の通り。
■グレイン中心 (通常の配合飼料中心の肥育をしたもの)
①くまもとあか牛 (菊池市産) 去勢
②いわて短角和牛 (二戸市産) 雌
③土佐あかうし (田野町産) 去勢
■グラス中心 (粗飼料中心の肥育)
④くまもとあか牛 (阿蘇・産山村産) 雌
⑤いわて短角和牛 (岩泉町産) 去勢
今年はこのように品種の違いと餌の違いによる差を味わい分けるという趣旨で開催したわけだが、残念だったのがすべての牛の性別をそろえられなかったことだ。今回は、手に入りやすい去勢牛で統一したかったのだが、産地の事情でそうもいかなかった。土佐あかうしなどは「雌にいいのがあったんだけど、去勢にしろっていわれたからなぁ、、、」と、ちょっと満足いかない個体を出してきてくれていたので、悔やまれる。もう少し前から発注していればこうはならなかった。来年、リベンジの場を作りますからね。
さてこの食べ比べ用のサーロインを焼いてくれたのは、昨年に引き続き青山ランベリーの岸本シェフ!

上の写真は前日、各地からあつまった肉を前にミーティングしたときのもの。気合い十分だ。

昨年は1kg程度の肉塊を、回りをフライパンで焼いた後にスチコンに入れ、やんわり火入れをするという感じでやったのだけれども、それだとどうしても均一性は確保できるものの、「旨い!」という仕上がりになりにくい。
「今年は、料理人が「これが旨いんだよ!」て言える焼き方でやりましょう!」
と燃えて、ステーキ用カットした肉を一枚一枚、フライパンで焼いていくという人海戦術をとってくれた!

これを5種類の肉で、36人の着座した人たち+関係者分の50人前を全員分やってくれた。


エライ面倒だったと思うが、すべてきっちり同じ焼き加減で供することができたのだ!さすがはランベリーのスタッフ達、すばらしき技術とチームワークである。

「やまけんさんどうですか、これが俺のキュイッソン(火入れ)ですよ!」
いや最高ですよ岸本さん!惚れ直しましたよ!
今年、この火入れについてシェフからは「もっと食べたかった!」というアンケート結果がいくつかあったほど。そう、5種の肉を食べながらうむうむとテイスティングシートに評価を書き込むシェフ達の姿はこんな感じです。




みなさん極めて真剣!
そして今年は、同じテーブル内で意見交換をしてもらい、それをグループ発表してもらうというやりかたを採った。僕が、さまざまな素材テイスティング会で行っている手法だ。これだと、異業種の交流もできる。各テーブルには生産者も座ってもらったので、狙い通りこの時間が非常に盛り上がった。



さて、この間にキッチンでは、ランベリーチームからバトンを引き継いだ日本料理・龍吟のスタッフ達が、赤身肉を使った創作料理に挑む!
このことは、特にきちんと書きたいので、続くとさせていただきます!簡単に言うと俺はね、山本征治にも惚れちゃったんですよ。マジで。

岩手県は一つの県で四国と同じくらいの面積を有する巨大な県であり、南北に長い。北部と南部では文化が全く違い、伊達藩の文化圏である南は米作中心の文化であり、南部藩だった北部では長いこと米ができにくく雑穀文化であった。全く違う文化圏であり距離も長い。
このたび岩手県の全域で肉牛の出荷停止指示が出たが、短角和牛のメイン産地である北部では、ほとんど影響がないことが推測される。先日、京都の焼肉店・きたやま南山が独自に検査機関に調査依頼をして、岩泉・二戸・久慈のメイン産地の牛の個体の放射性物質検査をしたところ、セシウムについて「検出せず」という結果が出て、大いに食べようということになったばかりだ。
稲わらの問題が非常に不安視されているが、短角和牛の生産農家は稲わらに頼らず、デントコーンサイレージなどを食べさせる。その方が経済性が高いからだ。けれどもおそらくそんなことをつぶやいても、状況はあまり変わらないだろう。
よりによって赤肉サミット当日の午後にこのニュースが出た。短角和牛の評価はこのサミットで非常に高かったが、産地の関係者はみな複雑な顔をして帰っていった。
僕は消費者でもあるので、放射能に汚染された食品は口に入れたくない。と同時に、生産者側の仕事をしている身としては、「けれども大丈夫であることがハッキリした食品は、なるべく買ってあげないと」とも思う。問題はいま、その分別を店頭でできないことだ。上杉さんが言っているように「線量を食品表示すること」は必要なのかもしれない。

昨日のエントリで、新潟県長岡市から届いた巾着ナスのことを書いたが、今回の生産者さんは小林さんではなく他の方のものだったそうだ。送ってくれたジン君から連絡があったので訂正しておきます。
本日あらためて絹皮ナスと巾着ナスを撮影。大きさの違いがよくわかる。あ、100円玉を撮影しておけばよかったですな、失敗。
昨晩、巾着ナスは蒸かして冷やしておいたのをわさび醤油で(本当はカラシ醤油で食べるのが正しい)いただき、絹皮ナスは味噌味でしぎ焼きにしたのをいただいた。絹皮ナスは果肉と水分のバランスが繊細で火がすぐ通ってしまう。焼きすぎに注意しなければならないが、身肉のトロリ感最高である。巾着ナスの蒸かし茄子は、まだ盆前のはしりだからか、味わいがまだ乗り切っていない感じ。盆を越すと相場がガクンと下がり(今年はどうかわからないけど)、かつ晩生になっていくので、味も乗ってくると思われる。
今夜も引き続き、ナスの食卓になるとおもわれる山本家でありました。

僕はよくスケジュールをダブルブッキングしてしまったり、スケジューラに入れていたはずの予定が入って無くてすっぽかしたりして、迷惑をかけてしまうことがある。今日もなにも予定がないと思い込んでいたので、赤肉サミット後の休養として休ませてもらおうと思ったのだが、、、2時にフードアクションニッポンの打ち合わせがあったことをすっかり失念していた!いそぎタクシーに乗って事務所に行き、40分遅れで会議スタート。皆様大変申し訳ありませんでした、、、
で今回の農水省のご担当であるTさんが、お土産をもってきてくれていた。
「うちの田舎が愛媛の西条でして、やまけんさんがお好きだという絹皮ナスを、、、」
ああああああ こんな風にしていただいているのに俺はっ!と自分を打つ気分。
ホント、申し訳ございませんでした、、、
絹皮ナスは、米なすと同じくらいに大きなナスの品種なのだけれども、その肉質は極めて軟らかい、実に貴重な在来ナス。傷つきやすく収量も少ないため、あまり出回らない。以前某所で手に入れて食べてビックリしてしまい、これは日本で一番、美麗な味のナスだと感想を漏らしたことがある。いずれ西条にいって生産現場を見てみたいと思う。

ちなみに我が家には、さきごろ大雨で大変な目にあった新潟県長岡市のジン君から、長岡巾着ナスが届いている。生産者の小林さんのメインの畑は河原にあるので非常に心配しているのだけれども、川から離れたほ場でハウス栽培もしているので全滅ではないようだ。それにしてもあの地帯はすさまじい被害が出ている。農産物の復旧がなることを祈るばかりだ。
ということで今夜はなんとか頑張って、絹皮ナスと巾着ナスの食べ比べをしようと思う。


いやーもう一歩も動けまへん、、、我が社にとって一年一回の大仕事、赤肉サミットが無事、終了しました。この日本で適正な評価を得ているとはとてもいえない「赤肉品種」の佳さを識ってもらうため、料理人さんなどを呼んでテーマを設定して食べ比べをしていただくこのイベント、第2回目にして和牛品種の3大赤身肉品種が揃いました。
三大赤身肉品種とは、くまもとあか牛(褐毛和種熊本系)、いわて短角和牛(日本短角種)、土佐あかうし(褐毛和種高知系)だ。今回のサミットはこの三品種を食べ比べるという「品種」の部分と、「餌」によって味が変わるということを理解するため、通常の配合飼料中心のグレインフェッドと、粗飼料を中心とするグラスフェッドの牛を双方食べ比べるという企画をした。ただし、土佐あかうしについては現状ではグレイン中心の肥育をしているため、くまもとあか牛と短角のみ餌違いを検証した。
これに参加していただくシェフは、「専門料理」の編集部に推薦してもらった料理人と、同誌の僕の連載を読んで参加希望してくれた方、流通業者、メディアの方など総勢36人プラスα。料理人のみ下記に挙げるけれども、こんな顔ぶれがきてくれたということに、改めて専門料理誌の影響力を感じる。
| オマージュ | 料理長 | 荒井 昇 |
| 御田町 桃の木 | 料理長 | 小林 武志 |
| ウェスティンホテル東京「龍天門」 | 料理長 | 陳 啓明 |
| ラ・ブランシュ | 料理長 | 田代 和久 |
| 銀座レカン | 料理長 | 高良 康之 |
| ル・ブルギニオン | 料理長 | 菊地 美升 |
| レストランRyuzu | シェフ | 飯塚 隆太 |
| 銀座小十 | 料理長 | 奥田 透 |
| インカント | 料理長 | 小池 教之 |
| ボンシュマン | 料理長 | 花澤 龍 |
| 銀座アスター本店 | 調理長 | 皆川 幸次 |
| ドゥ・ロアンヌ | シェフ | 岡本 英樹 |
| イル・テアトリーノ・ダ・サローネ | シェフ | 樋口 敬洋 |
| ルカンケ | シェフ | 古屋 壮一 |
| ジョエル・ロブション | エグゼクティブ・シェフ | 渡辺 雄一郎 |
| ビストロYEBISU | オーナーシェフ | 平尾 光司 |
| アクアパッツァ | エグゼクティブ・シェフ | 日高 良実 |
| 神楽坂しゅうご | シェフ | 広瀬 周悟 |
| リストランテ大澤 | シェフ | 木村 光男 |
| ドゥ・アッシュ | 料理長 | 中田 貴紀 |
| 瓢亭 | 若主人 | 高橋 義弘 |
| 和食から木 | 料理長 | 唐木 正文 |
| パッソ・ア・パッソ | シェフ | 有馬 邦明 |
| 中国料理 里弄 | 料理長 | 滝川 明 |
| ロレオール | シェフ | 伊藤勝康 |
| カルネヤ | シェフ | 高山いさみ |

座学の部では、僕から牛の赤身肉の評価についての現状を話した後、各産地の肉牛の育て方の詳細を勉強。

そして、会場となった東京ガスのクッキングスタジオ「プラスジー」で、「ためしてガッテン」などで有名な小西雅子先生が三種の赤肉品種について、食感や内部温度の上昇度合いについてのレクチャーをしてくださった!

この内容が非常に面白くて、例えば短角牛は赤身肉の中でも食べ応えがあるといわれることもあり、食感は最も強いのではないかと思われたのだが、表面が破断するまでの硬度は最も軟らかかったという結果に。大方の予想とはちがい、サシもそれなりに入る土佐あかうしが最も硬度があった、などなど。料理人はもちろん産地の人たちがグググッと聞き入っていた。
さて、座学のあと、いよいよ試食である。


というところなんだけども、実は先週から下がってない熱が、本日も熱が下がってません。昨日ですっかりぶり返しちゃった。今日はこんなところで失礼いたします、、、

昨年プレ大会ということで開催した赤肉サミット、本日の14時から「本番」として、赤肉サミット2011を開催します。このイベントはクローズドイベントで、「専門料理」誌の柴田書店から推薦された各界の料理人さん、流通業者さん、そしてメディアの方のみを招待して開催するもの。はい、熊本、高知、岩手各県と東京ガスさん、柴田書店さんのご協力をいただいて開催する、弊社グッドテーブルズの主催事業であります。
今年はなんといっても5品種の赤身肉食べ比べ!

昨年は写真のように、青山「ランベリー」の岸本シェフが全ての品種の肉を均一な火入れで焼き上げてくれた。そして今年は、またもや岸本シェフがもっとステーキライクな焼き方にチャレンジしてくれる。

そして今年はもう一人、驚きのゲスト料理人が腕を振るってくれる!

そう、世界が注目する日本料理人 「龍吟」の山本征治さんだ! なんと、この世界の龍吟が本日一日、店を休んでこのイベントのために料理を作ってくれる。
このイベント、クローズドなので「皆さん来て下さ~い」とは言えないのだけれども、このブログできっちり詳細に報告させてもらうので、どうぞよろしく。では、行って参ります。

