記事になって出てくるのはちょっと先になるのですが、福島は須賀川の生産者団体のところへ行ってきます。本ブログでも数回、米の旨い産地として書いてきた人達です。彼らは福島にとどまり、田に稲を植え続けています。なんのためか?それは「実験」ではなく「実地」で除染をするための技術確立のためです。福島県でしかできないこと。それは、結局本当にどうすれば除染ができるのか、有効「かもしれない」技術をトライ&エラーしていくことでしか知見を得られない。だから彼らは退却することなく米を作っています。
写真は今回の熊本・阿蘇で食べた農家レストランでの地の恵み。その地の農産物をいただくというのが贅沢という日がやってきそうだ。
では、行って参ります。
さて、朝食。
なかなかに美味しい、心づくしの朝食。ご飯、味噌汁旨し。いのししベーコン入りのスクランブルエッグ美味しい。そして、、、鹿カレー。
前日の夜の宴で、長谷部さんが「鹿肉の美味しい料理をもっと開発していきたいんですよ」というので、いろんな事例を紹介しておいた。その中で「僕が昔から作ってきた鹿肉のカレーがあるんですが」と言う。
え? カレー? 食いたい!
そしたら、ちゃんと出してくれた。
サイコロにカットした鹿肉、タマネギ、ジャガイモ。ルーは適度なとろみだが、小麦でつないでいるような滑らかなとろみではなく、若干粒子の粗いものでとろみづけしているようだ。箸にて一口いただく。辛みはほとんどない。いろんな年齢層が泊まる宿泊施設だからだろう、柔らかな味。でもきちんとスパイス香り、和風カレーではなく本格派カレーになっている。
それにしても謎の香りがする!
発酵食品のようで、ヨーグルトかと思ったけれども、特有の酸味と乳製品独特の香りが感じられない。でもなにか、奥深い発酵の風味を感じる。なんだろう、なんだろうと思いながら3杯食べてしまう。うーん、美味しい。鹿肉が美味しいと言うよりも、このカレーのベースとなる味付けにタダならぬセンスを感じる。
うーん、、、わからない! たまらず、厨房で今日の団体客むけの仕込みをしている長谷部さんに尋ねるに至る。
「これはですね、、、酒かすを入れてるんですよ。スパイスはガラムマサラなどを数種使ってます」
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
酒かすかよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
いやそうですか、酒かすがカレーベースに使われているのか!だからとろみづけ粒子が粗い感じがしたのだ。でも、酒かすの香りがじつに実に美味しさに貢献している!実に素晴らしいではないですか、、、
いや、参りましたよ。
この「ざんざ亭」、まだ完成度100%では全然無いけれども、すでにまた訪れてみたい場所になった。料理はこれから、もっとこの地域の郷土料理のエッセンスを入れ込んでいく必要がある。けど、その道も確保できそうだ。昨晩の「ざんざ節保存会」のお母ちゃん達は、実はそのまま「食文化保存会」のメンバーでもあるのだ(笑)
鹿肉カレーの深化も楽しみにしたい。イノシシ、鹿肉を美味しく食べられるよう、頑張ってください。ちなみにこの施設で、肉の業務用スライサー探してます。使って無くて、安く譲ってくれるところは連絡ください。ジビエのスライスカットができれば、幅が広がる。俺はここでイノシシ鍋を食いたい(笑)
長谷部さん、杉谷さん、ごちそうさまでした。頑張って!
ざんざ亭という名前の由来だが、伊那市の入野谷地区周辺に伝わる郷土の座敷歌「ざんざ節」から来ている。この地域が昔、農作業に馬を使う(馬耕)をしていたからか、馬にまつわる節が多い芸能だ。若い二人がこんな郷土の芸能を冠した宿を営むというのが面白い。
なんつっても、ここに来るまでの道のりにおける、どだーんと広い青空に黄金色の稲穂、そして横たわる山脈の風景がもうそれだけで癒しの薬だ。
しかしこのざんざ亭周辺がまた、非常になんつーか力を感じる土地だ。
「ざんざ亭」なるバス停まであるでよ。
すぐ前を川が流れている。白く濁った水だが、これは前夜に雨が降ったから。なぜ白いかというと、この地域はどうも石灰質の土質らしく、それが溶け出してくるのだ。
村のたたずまいは実に端正だ。
久しぶりに、座敷に座布団を引いた環境で、講演をした。
これがとてつもなく心地よい。
講演終了後、酒盛り開始!
なんと、ざんざ節保存会の方々が正調「ざんざ節」を唄い踊ってくれた!
いやそれはもう味わいの深い芸でございました。いいものを見てしまった、、、
もちろん踊りを教えていただいて、僕もみようみまねで踊りましたとも。
こうして夜は更けていった、、、で、鹿カレーは?すみません鹿カレーは翌朝の朝食なのです。つづく。
Twitterでつぶやいていた通りなんだけど、23日は信州は伊那への出張。高速バスに乗って向かうと、バスが新宿ターミナルを出た瞬間に車内放送が「ご存じの通り中央道が渋滞していますので、2時間ほど遅れます」というアナウンス! 2時間遅れるってどんな、、、 おかげで、前代未聞の「一度集まったお客さんに帰っていただいて、2時間後に再度開始」という講演を体験することになった。それでも聴いていただいた皆さん、ありがとうございました。
会場となった「ざんざ亭」は、100年以上の古民家を移築してできた和風オーベルジュというかお宿。面白いのは、それを切り盛りするのが30代の若い男子二人ということ。
写真左の長谷部さんはもともと長野県で林業を志した人。山と料理をこよなく愛する。山小屋でバイトをしている時も、シカやイノシシの肉でカレーをクツクツ煮ていたらしい。営林組合に属し山の仕事をする傍らで居酒屋を営んでいた時期もあるらしいが、この「ざんざ亭」の管理人をやらないかと誘われ、一念発起することとなった。
右にいる杉谷さんは、もともとは東京でDJや音響屋さんをやってたそうだ。彼の部屋にはターンテーブルやPA類がぎっしり。でも生活全体をオルタナティブにするため、信州にやってきて有機農業・林業をしている時、長谷部さんと出会って一緒にざんざ亭を運営することに。
この二人のコラボが実に面白い。
そして、この鹿肉のカレーが実に美味しいのだ。長谷部さんが山小屋バイト時代から温めてきた秘伝のレシピ。もちろん市販ルーなど一切使っていない。
どんな味かは、また後ほど。
いま、熊本空港に到着。本日はくまもとあか牛関係で廻り、明日は高速バス!にて延岡へ。そして明後日、宮崎~帰ります。

先週の京都行きはTPP関連の番組に出演するためだったが、ご一緒したのは関西の有名人、立原啓祐さんと大桃美代子さんだった。間近でみた大桃さんは美人だった(あたりまえか)。しかも、僕も所属する農政ジャーナリストの会の先輩であった、、、「サボってないで、ちゃんと出なきゃダメよ」と叱られました。
それはともかく、収録の会場となった黄檗山の萬福寺は、かの隠元禅士が開いた黄檗宗(おうばくしゅう)の総本山だ。なぜここで収録かというと、日本にもたらされた食文化のいくばくかが、隠元さんによってもたらされたということもあってのことだ。
そう、隠元さんはかのインゲン豆を日本に持ってきた人だ。その他にも、孟宗竹や食用のレンコンを持ち込んだとされる。食材だけではなく普茶料理という食文化自体も持ってきて、日本に広めた。
その普茶料理を今回、いただくことができた。ちょっと時間がないのでこれまた後日詳報したいと思う。とにかくありがたいという一言に尽きる料理だったのだ。
昨日から京都入りしているが、本日は某テレビ局でTPPに関する対談番組の収録だ。昨日は局の担当の方とミーティングをしたのだけれども、西日本でしか放映されないみたいだけれども、実に気合いの入った番組作り。こういう民放もあるのだな、と瞠目した。これから出るけど、楽しみだ。
以下、昨日僕が描いたツイート三本。
いま京都に来ている。本日はJA関係者への講演、明日は某テレビ局の番組でTPPに関する対談。もちろんベースはTPP反対だがそれ以前に「ちゃんと考えよう」的スタンスでの進行になる。スタッフさんと話をしたけど、非常に真摯な取組。そんな番組作れる民放があるとは思ってなかった。
誰かがつぶやいていたが、TPPは推進派に都合のよいコメントしかメディアに出ない。メディアは経済界に牛耳られているからだろうか。原発問題もそうだが、最悪の事態になっても最後の責任を誰もとらない。嫌な時代だ。でも俺はTPPは反対し続けるよ。
アメリカの意向なんだからしょうがない、とニヒルに決めてるヤツもいるが、でもBSE問題は日本の民意がいまだに牛肉輸入に反映されている。抗うことは有効なのだ。座して死を待つのは最悪の愚策だ。TPPはたべものを変えてしまう大問題なのだ。
夜、友人と飯を食い、ちょっと原稿を書いて寝て起きて、ホテルの朝刊サービスをとる。第一次産業に対して非常に圧力的な記事を書く日経新聞を、自分で買うことはなるべくしないようにしているのだけれども、とりあえず朝刊サービスは日経にした。そしたらドンピシャの突っ込みどころ満載の誌面だった。
2面の社説に「農業を成長産業に変える改革を急げ」、同じ面の横に「日米同盟深化確認へ」とあり、その中では「TPPを推進せねば」の話。そこだけかと思ったら、15面に「離陸する農ビジネス」という特集の「下」。
紙面的には原発問題について一定の方向性が見えてきた(実際にはなんも収束しているようにはみえないが)という判断だろうか、一気にTPP参加に向けた「世論作り」をしようという意図が見える。あたかも「これまでとは違う新規参入組による農ビジネスが実効段階に入った」的な記事にタイミングを合わせて社説が出ているわけだ。
ここでいう「世論作り」はもちろん日経の読者層であるビジネスパーソンの世論である。正直いうと社説は、そうとう上部の人が書いているのだろうけれども、相変わらず農業や第一次産業を識らない人が読めば「なるほどそうなのか」と誤認してしまうようなレトリックに充ち満ちている。
とこんな論調だ。そして最後の部分で一転して「国内農業は国民の食を支える重要な柱である。将来への希望や価値を生み出す喜びがなければ、投資も人材も集まらない。」と、日経は明るい農業をサポートしますよ的な書き方で締めくくっている。
ほんとうに相も変わらず意味のないことを言い続けているなぁ、とあきれたのだけれども、原発関連報道の構造を思い出してゾッと背筋が寒くなった。今回の鉢呂さんを辞任に「追い込んだ」大新聞の偏向報道などをみてもわかるとおり、新聞は真実など報道しない。いや、政策的に誘導するべき案件と関わりのない記事ではそうでもないのだろうが、重要案件については真実ではなく、誘導したい方向へと記事を意図的にねじ曲げて書く。ペンの力は大きいのだ。大新聞が繰り返しくりかえし書けば、誰もが「もしかしたらそうなのかも」と思うものだ。
「日本農業は弱いから市場開放できないという後ろ向きな姿勢では農業の未来像は描けない」という。つまり「強くすれば開放しても大丈夫」と言う方向に持っていきたいわけだろう。しかし強くなるためのネタといえば、この社説では「大規模化による生産性引き上げ」である。これが成れば「強くなる」などという論理は、農業関係者であればその多くが「ばっかじゃないの」と思うはずだが、他産業に就くビジネスパーソンからすれば「そうなんだろうなぁ」と思ってしまうだろう。
再三書いてきたけれども、大規模化にはお金がかかる。単に農地をたくさん持つことが出来ても意味が無く、一枚の農地面積が数ヘクタール規模になり、均一な条件で大型機械による作業ができるようになれば、確かに大規模化には意味がある。しかし実際、日本の狭い農地事情ではどうやっても無理だ。いまの時点で田圃や畑は畦に阻まれていたり、高低差が大きかったりする。これを一枚にまとめるには膨大な土木事業費が必要になるのだが、その金はどこから出るのか?日経が本当にこの論を推すなら、後段でこう書くべきだ。
「大規模化を推進するために、農地を集約する意志のある農業者・団体には農地整備のための土木灌漑工事の補助金を交付することが必要だ」と。でもそんな金、出てこないでしょ?
もっと突っ込むところはあるんだけど、時間がないので次。その横にある「日米同盟深化確認へ」の記事内では、うっかりなのか作為的になのか、TPPへの参加圧力が、他でもない米国からの突き上げによるものだということを証明するような文章が。
「底流では、鳩山政権で迷走した普天間移設や、なかなか態度が定まらないTPP問題などで、米国はいらだちを強めているのが実情だ。」
なんで日本がアメリカの「いらだち」に付き合い、譲歩する必要があるのかわからない。そして最後の部分では
「首相近辺は、『今後は普天間だけでなく米国産牛肉の輸入規制問題などで対日圧力が強まるかもしれない』と懸念する。」
と。あのさ、「首相近辺」って誰なんですか?重要な位置である2面の記事に、本当に誰かが言ったのかも明瞭でない「首相近辺は~懸念する」などという書き方。
まあとにかく日経新聞は、自分で告白したのだ。TPPへの参加は「自由貿易の風に日本が乗り遅れないため」などと謳っていたけれども、ホンネは「アメリカさんがTPP参加しろって言うから、僕らは従わなければいけないの」ということだし、なんらかの経済面または安全保障面での条件との引き替えで、TPP参加を進める圧力がかかっているということだろう。
いやな世の中になったものだ。さて、ではTPP問題を考える対談に行って参ります。

おやつを手に入ってきた方こそ、この工房地あぶら・地しょうゆを立ち上げる原動力となった伊東庚子さん(写真右です)だ。左は、工房地あぶらの菊地公代さん。先のエントリにでてきた菊地孝雄さんのご婦人だ。

伊東さんは、実は以前この大東町の学校給食を管理する栄養士だったそうだ。その頃からずっと子供に食べさせるべき食とは何か、そしてこの岩手の大東町に伝わる食文化を残していくために何をすべきかを考え、実行してきた。給食の仕事をお辞めになった後、工房地しょうゆを中心に地域でできたものを地域で加工し伝承していくという、まさに地産地消という言葉が出てくる前からそんな活動をしてきたという。今は、大東町の産直センターの事務局長もしておられ、地産地消の強力な推進者となっている。
「まあまあ、いいから手を伸ばしてください」
と出してくださったのは、岩手県南部でよく食べられてきた郷土のお菓子、その名も「油焼き」だ!

ホットケーキ?蒸しパン?いえいえ、これぞ日本の粉もんですな。工房地あぶらのWebにレシピがあるけれども、焼きたてホカホカの油焼きは実に素朴ながら黒砂糖の複雑な味わいと菜種油のねっとりした香りで、実に美味しい。あまりにうまくて僕はお土産に持って帰らせていただいてしまった。

その横にあるのは、山形県でも「しそ巻き」としてよく食べられているもの。ここでは「味噌焼き」と称するようだ。味噌と小麦粉、砂糖にクルミ、トウガラシを練ったものをシソで巻いて焼く、というもの。やっぱりここでも粉が入っている。
以前も書いたと思うが、僕が短角牛でお世話になっている県北部と、工房地あぶらがある県南部ではまったく食文化が違う。それはそうだ北海道に次いで面積の大きな県で、しかも縦に長いのだ。県北と県南では別の国といっても過言じゃない。県南では比較的、米が生育しやすく餅を食べる文化があり、県北では季節風の影響で稲作がしにくかった時代があり、耐寒性の強い雑穀や小麦作が中心だった。いまでも県北では麦を練って丸め、エゴマ味噌を塗って炙った麦餅がよく食べられている(→ムチャクチャ旨い)。そういうのを観てきているから、この県南で特徴的な粉ものに出会って非常に興味深かったのだ。

家族のようにおやつを囲んで談笑。 、、、と思ったら、なんとまあビックリすることを小野寺君が言うのだ!
「僕が子供の頃、伊東さんが給食のおばさんだったんですよ、、、それが巡りに巡って、伊東さんのもとで仕事をすることになるとは思ってませんでしたよ。」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ?
あなたは、伊東さんの給食を食べてたわけ?
「ええ、その頃は子供ですから地域の食材とかそういうことはわかりませんでしたけど、美味しかったですよ!」
なんと、なんと、なんと、、、
人の輪、縁というのは本当に計り知れないものがあるのだなぁ、と感じ入ってしまった。伊東さんの料理を食べて育った小野寺君が、工房地あぶらの責任者として仕事をする。これほどの絆の深さがあるだろうか。

ちなみにこれが、伊東さんが仕込んでいる「地しょうゆ」。きっちり仕込みの年月が記載された樽が並んでいる。そういえば、県北だが二戸市で僕がぞっこんの蕎麦屋「米田工房 そばえ庵」の米田カヨさんも、自分でしょうゆを仕込んでいる。そのしょうゆが実に味わい深くすっきりしているわけだけれども、岩手県ではどうやらしょうゆを自力で仕込むという文化がきちんと根付いていたのだな、と確認することができた。
さて一休みしたら、あとはタンクに貯められた油を瓶詰めする行程だ。ここは菊地公代さんが担当する。

清潔な板張りの空間で、隣のタンクから配管で引っ張られてきた油を、消毒済みの瓶にいれていく。


ご覧の通り、ぜーんぶ、手作業です。

計量したら、これまた非常に明快な打栓機でポンと栓をする。



これにラベルを貼れば、工房地あぶらの菜種油のできあがりだ。
いかがだったろうか?僕が一連のエントリで伝えたかったのは、元来食べ物や調味料を作る工程にブラックボックスはなかったということなのだ。
一番最初のエントリに書いたように、無味無臭のサラダ油は、高度に化学的な手法で精製されてできるものだ。その過程を製油会社の人に教えてもらうと、素人には「な、なんですかそれ」と物怖じしてしまいそうな工程がずらりと並ぶ。技術者にとってはブラックボックスでも何でもないかもしれないけれども、それと同じことを素人が素朴な機械で行うことは難しいだろう。
でも、菜種油の圧搾は実に明快だ。原料を選び、ゴミなどを取り除いて焙煎し、これを絞る。絞った油の不純物は沈殿させ、さらに上澄みを加熱し、濾紙で漉してできあがり。この間、理解できず見えない工程はゼロだ。
でも、大手の製油企業が複雑な処理を行うのは、安全性や健康面への影響があるのではないの?と言う話もある。例えばオリーブオイルを昔ながらの方式で絞った方がよいというのは今や品質面からいえば間違いで、酸化を嫌うオリーブオイルは、できるだけ空気に触れずに絞って貯蔵できる設備が必要だ。同じことが菜種でも言えるのでは、、、
「もともと菜種油はビタミンEなどの抗酸化物質が豊富で、酸化しにくい油なんです。ですからうちは菜種油をメインに搾油しているんです」
ということ。精製すればするほどこの菜種油ならではの特徴は消えてしまうようだが、少なくとも絞りたての菜種油に含まれているものは、高度に精製し無色透明になった菜種油とはまた別なのだな。ちなみに「うちでは菜種油は使ってない」と思っている人も多いかもしれないが、サラダ油にはコーン油、大豆油と共に菜種油もしっかり使われている。だいいち「キャノーラ油」というのは菜種ですからね(笑)。
僕は勿論、これまで書いてきた「高度に精製された油」が佳くない、と言っているわけではない。クセのない油があるからこそ成り立つ料理は多々あるわけだし、これだけ安価に油を買うことができるようになったのは大規模な製油プラント技術があってのことだ。
けれども、牛肉業界でいつの間にか黒毛和牛とホルスタインばかりが日本の牛肉になってしまい、在来種がほとんど生産されなくなってしまったのと同じで、油に関しても大手の、クセのない、味もないものばかりになってきてしまっている現状が非常におかしいと思うのだ。
だって、圧搾の菜種油はこんなにも美味しいのだから。
お昼の時間。伊東さんがこの絞りたての菜種油で天麩羅を揚げてくれた。


「菜種油はね、腰が強いって言われるの。天麩羅に揚げるような使い方も数回できるし、そのあとは漉して、炒め油につかったりすることができるのよ。ビタミンもオレイン酸もたっぷり含まれているし、第一美味しいからね!」
と言いながら、慣れた手つきで野菜に小麦粉をはたき、衣をつけてカラカラカラといい音をさせながら揚げていく。

果たして、小野寺君の絞った菜種油は泡が湧いて溢れてしまうようなことはない!

さて、完成だ!

よく、圧搾菜種油を「くさい」と言う人が居る。「癖が強くて、これで天麩羅なんかしたらもう菜種の匂いしかしないよ!」という料理人がいる。実際ぼくは製油企業の人がそういうのを聴いたことがある。
そんな人たちに、工房地あぶらのこの天麩羅を食べさせてあげたいものだと本気で思った。いわれているような「匂い」や「くどさ」など全くない! フワッと立ち上る花のごとき香りは心地よく、しかもその奥底にはアブラナ科植物のキャベツや小松菜を炒めた時のような美味しそうな香りがする。油のキレは実に軽やかで、くどさなどどこにもない!

お塩をつけるだけで野菜が美味しい。それは、人間が原初的に快楽を感じる油を摂取したからということもあるけれども、菜種の香りと味がその快楽に奥行きを与えているからだ。

天麩羅とおうどんをいただくこの空間に流れる空気自体も、ご馳走だった。

伊東さん、菊地さんご夫妻、小野寺君。ここにもう一人、ふだんの仕事を持ちつつ工房に関わっている石川さんを加えた5人が、工房全体のメンバーだ。家族じゃないの?と思うばかりの親密で温かい空気がそこに流れていた。
ところで、工房地あぶらの菜種油は直接工房から購入することができる。表参道の「ブラウンライス」などでも購入できるのでそちらで買っても佳いと思うが、僕としては下記にある大瓶の方を買い求めることをオススメしたい。
倍近い量が入っていて、価格は抑えられているからだ。それに、ぜひ揚げ物をして欲しいからだ。それには450g入りの「まごどさ」では少し足りない気がする。送料無料だから、ぜひ菜種油2本入り3600円を、だまされたと思って試してみて欲しい。
サラダ油に比べて高い!というつまらないこという人はどうぜ大量生産されたサラダ油をお使いください。でもね、この菜種油は感動できますよ。油で感動したことってありますか?
お手元に来たら、まずこの油を猪口などにすこしあけて、その香りを嗅いでみて欲しい。そして、口に含んで欲しい。

くどさ、嫌な匂い、などというようなイメージはすっ飛ぶはずだ。菜種油は美味しい。そんな当たり前のことに気づくことができる製品だと、心から推薦する。
放射性物質が気になるという人もいる。今年の冬までは、昨年度の原料を絞るだけの在庫があるそうだ。そして本年度産の菜種に切り替わってからは、しっかり検査を行い、逐次その値を示しながら絞っていくという方針だそうである。

メンバー全員が地元の菜種畑で撮った写真を見ている横で、伊東さんがなんと行灯に油を注ぎ入れ、火をともした。

そうそう、揚げ物にしたあとに炒め物用の油につかって、そんなふうに油を使い回して最後にこんな風流な使い方ができるのだ。

我々はいま、一人の人間には手の終えない、高度に文明化された世界に生きている。食もまたしかり、基礎的な食品に調味料も、どんな工程で作られているかわからないもので一杯だ。けれども、どんな食品・調味料も、だいたいは人の手によって、素朴な技術で作られたものがほとんどだ。

手で作られたものは、効率的な機械で作られたものとは、価値が違う。そんな当たり前のことを理解し、価値の違いにお金を払うことができる人があと一割でも増えたら、この社会は変わっていくと思う。そしてそのチャレンジは、思っているほどに苦しいものではない。だって、その方が美味しいのだから―――

さてバチッと焙煎された菜種からは熱線が放射されている。内包している油もじくじくと熱によって活性化し、ギュッと押すだけで油がしみ出してきそうだ。

この焙煎菜種を、搾油機にかける。搾油するための機械というのが、実に存在感のあるフォルムなのだ。

この機械の中心部と言えるのは、砲丸型の、みるからに重金属という感じのこの部分。

この内部にドリル状の心棒が入っている。

こちらは交換用のものなのだけれども、そうそうどこにでもあるものではなく特殊な合金製らしく、搾油をしなくなった業者さんなどからいただいたりしているらしい。

いかにも工作技術・ニッポン!という感じのする、格好良くそして精度の高そうな造りだ。この溝をよく観ると、写真の下部の溝は深めに空いているが、写真上部に行くほどにその溝が狭まり、途中でギュッと溝がなくなっている部分があるのがわかるだろう。要は、写真下部のほうから菜種が入り、溝に従ってだんだんと移動していって、最後の溝が浅くなっていく部分でギュギュッと潰れ、油が絞られるということなのだ。なんとわかりやすい!ブラックボックスなしの技術である。

まずは、焙煎釜に引き続き、機械を温めるために昨日絞った菜種の油かすを温めたものを、この機械に通していく。

すると、高速回転するドリルに従い、ナタネ粕がびろろろーーんと出てくる!




いやーーーーーーーーー ナタネ粕ってこうやってできていたのか!
農作業をしたことのある人なら識っている人もいるだろうが、ナタネ粕という農業資材がある。というか肥料。それ単体では未発酵のため、水に漬けておいて臭~く発酵させてから液肥として作物に与えたりするのだけれども、こうやってナタネ粕が作られるんだなというのを初めて観てしまった。はい、学生時代からお世話になっておりました。
さーてそれでは焙煎した菜種を投入して、いよいよ一番搾り(?)菜種圧搾油を絞る!

原料投入口に焙煎した菜種を投入し、ぐわーーーんと搾油機が廻っていくと、、、

おおっちょろりと黄金色の油が、、、しみ出てきた!

最初はチョローリ、チョローリという感じだったが、、、

その勢いは段々増していく!

この段階で出てくる油はそれほど美しい!というものではない。それは当たり前で、種のカスやいろんな不純物が混じっているわけだから。
しかしどんどん勢いを増していくうちに油がうつくしーくなっていく!

排出されている油かすを常にチェック。

この油かすの具合で、どれくらい搾油できているかがわかるそうだ。
「うん、まずまずです。」

「やまけんさん、内部も観てみたいでしょ?あんまり綺麗なもんじゃないですけど、、、」
と搾油機を開けてみると、、、

ぎゅわんぎゅわん廻っている搾油ドリル(?)から油やカスがしみ出てエライことになっている!

回していくうち、どんどんと油が溜まり、同事に油かすもてんこ盛りになっていく。

ザルで受けている油かすは適宜ほかにあけて、ザルを交換する。


こうして一斗缶に、未精製の不純物いーっぱいの菜種油が搾油された。

空気を抱き込んだ泡が浮かんでるし、透明な琥珀色とは縁遠い、どす黒い感じの色だ。

「これ、どうやって不純物をとるわけ?」
「いやー それが本当に原始的な方法なんですけど、、、まずはしばらく置いておくって方法です(笑)」
なんと!こうして絞った油は一日~二日ほどおいておき、個体の大きな不純物が沈殿していくのを待つのだ!沈殿したのがこちら。

なんと美しい!

引力の力ってすごい!(笑)だってこんな↓のが、、、

こんなになるんだよ!↓

なんだぁ、これで油できあがりじゃん。
「いえいえ、ここから精製して、さらに濾過するんです。」
と小野寺君、沈殿させてクリアになった一斗缶のうわずみを、大鍋にザザーっとあけていく。


ちなみに、このエントリの第一回目で書いたように、通常の油の精製というのは非常に面倒な工程を経る。化学的手法を使わない場合も、「大量の水で油を洗う」という方式で油を精製していく方法もあるのだけれども、工房地あぶらではそれもしない。とにかく佳い原料をほどよく焙煎し、絞って最低限の精製と濾過をして、瓶詰めするというものだ。
僕もいろんなところで油の精製の話を聞いていたから、未精製の菜種油はそうとうにクセがあって使えたもんじゃない、というようなことを吹き込まれていた。日本料理の料理人さえ「圧搾の菜種油は臭くて使えない」と言うのだ。けど、その「臭い」というのが単にイメージだ、といまでは思うわけだ。だって、オリーブオイルだって臭いんだよ。今はイタリア料理が普及して慣れたからこれを「いい香り」と思うのであって、最初は「何これ臭~い」と思っていた日本人が大多数だったはずだ。
それと同じで、いつの間にか無味無臭のサラダ油が食卓のスタンダードになることで、油には味も香りもないというのが当たり前になってしまっていた。そんな味覚には、菜種圧搾油は癖が強いと思ってしまうことが多いというだけのことなのだ。
そして、そういう癖の強いものほど、慣れればゾッコンに好きになってしまうものだ。実際僕はもう菜種油が大好きである。みんな、こっち側においで。
さて精製だ。

なみなみ注がれた大鍋を火にかけていく。この加熱自体が精製なのだそうだ。そこんとこのメカニズムはよくわからないので、小野寺君に聴いておきます。

熱が通ったら、、、ここでハイテク。手前の鍋に金属製の配管がされているのがわかるだろう。それが、奥にある円筒形の什器につながっている。この円筒の中には濾紙が敷いてあり、この下部からさらに配管がにょきっと出ている。つまり、熱せられた油をここに満たして下から抜くことで濾紙を通って油が最終的に濾されるという仕組みだ。

空気圧を変調させているのだろう、一気にきゅうーんと吸入する音がして、この濾過器に油が満たされてきた。



そして、またもや急速にこの濾過器の下から吸われているかのように、油が今度はタンクの中に入っていく。

こうして、濾過された油がタンクの中に貯まっていくのである。
ちなみに、工房地あぶらでは複数の産地の菜種油を扱うため、厳密にロット管理をし、他地域の油が混ざらぬようにしている。


つねに油搾りの技術を教えてくれている菊池忠雄さんと共に、、、

小野寺君はこの工房を任されて切り盛りしている。実際には、このエントリで書いてきたような流れではなく、いくつもの作業を同時並行でこなしている。このエントリはそれを時間軸純に再構成したものだ。彼はそれぞれの行程が併行に走っているところを、一分の無駄な動きもなく動き、作業をしているのである。恐れ入った!アンタは職人だ。
とそこへ、「さあさあ、おやつにしない?」と言う声が、、、


さてお次、ようやく美味しいお話しです(笑)
続く

先週の天空居酒屋にて、実は写真の牛肉を持参して焼かせていただいた。というのも、前々日に近江牛のサカエヤ新保社長より連絡があったからだ。
「やまけんさん、実はとある場所に熟成用の冷蔵庫を確保して試験的に運用していたんですが、かなりいい仕上がりになってきたので食べて欲しいんです。近江牛のA2や経産牛をドライエージングできたらと思ってね。送るんで、食べてもらえますか?」
このブログでも再三採り上げているとおり、いまや肉の「熟成」はとてもホットなキーワードになっていて、各所で熟成肉というメニューがみられるようになっている。しかし、これも書いてきたとおりだけど、結果的には単に乾燥させているだけでドライエージングビーフ特有の香りがなかったり、腐敗っぽい匂いがでてしまったりしているケースも多いようだ。
でも、僕は今年出荷した自分の短角牛「国産丸」の熟成肉をサカエヤさんにお願いしていたこともあり、ここの熟成には信頼を置いていた。というのも、さの萬さんに依頼した「さち」の熟成香よりはじゃっかん弱かったものの、きちんとNYでも嗅いできたあの香りがする肉になっていたからだ。
そのサカエヤさんが「送る肉は、けっこう端っこの方の、カビが生えてる部分に近い部分です。だから、けっこう香りがキツイかも」というほどのものだ。実際、端のほうは「いっちゃってる」ようにも見える仕上がり。

上の方についている網目は、ガーゼ状の袋の網目です。ドライエージングの肉は真空パックしてはダメ。酵素を含んだ内部の水分が抜けてしまうので、ミートペーパーか布で包まないといけないのです。で、こいつを焼いた結果が冒頭のステーキ。
いやもう、ビックリするほどに美味しかったですね。香りはブワンブワンと漂っているし、筋の部分もタンパク分解酵素の働きのせいか、口から出さずに食べられてしまうほど。筋繊維の分解によって水気が多くなりジューシーに汁がしみ出てくる感じ。もう結構お腹いっぱいになっていた人たちが「うわっ 何これ、初めて食べた!」と驚くような味と香りになっていた。
この肉は経産牛。つまり黒毛和牛の子牛を産むためのメスを、何産かとったあとのものだ。血統をみると、曾祖父に谷福土井など、どちらかといえば増体型の血が濃い肉だった。ドライエージングにする場合、外側を2~3割削る必要があるので、どうしてもロースのバンが大きいほうが有利だ。その点では増体型の血統のほうがいいのかもしれない。
それにしても経産牛でA2以下に格付けされるようなものは、片っ端からドライエージングにしてしまった方がいいのではないか、と思えるほどの仕上がりだった。後日、新保さんから送られてきた熟成庫内の写真をみてまたビックリ。

この熟成庫の写真で観るべきポイントは、新保さんに向かって左側の日本のロースの表面についている白カビの厚み。これはサラシで巻いている訳じゃありません。そして、庫内の清潔さだ。NYで視察した熟成庫は衛生的にはクエスチョンマークがつくようなところもあり、もしかすると微生物の活性のためには庫内が清潔すぎるといけないのではないかと思っていたのだけれども、どうもこのサカエヤ熟成庫を見る限りではかなり清潔度が保たれているような気がする。
サカエヤのこの熟成肉、なんとこの秋から京都のきたやま南山にて食べられるようになるとのこと。詳細が決まったらまた報じることにしたいと思う。関西にまた一つ、おいしい熟成肉を出す店が出てくる。なんだか、関西のほうが関東よりも進んできたような感じがするのは僕だけだろうか、、、
工房地あぶらは岩手県の県南部の大東町という、新幹線の一関から30分程度のところに工房を構えている。この地域の伝統食の文化を残していこうと様々な活動をしていた伊藤庚子さんと仲間が集まってできたという経緯だそうで、実は工房地あぶらの前にそもそも「工房地しょうゆ」という活動があるという。
数年前、サラリーマンをしていた小野寺伸吾さんは、仕事を辞め、地元である大東町へ戻ってきた。実は別の仕事をしようと思っていたそうなのだが、伊藤さんのもとに来る機会があり、最初はお手伝いのような形で油搾りに関わっていたそうだ。それがある時点から楽しくなってきてしまい、いまやこの工房地あぶらの責任者となっている。
彼が、幕張で僕に「この油を味見してください!」と渡してくれたのだ。あの時のまっすぐなまなざしは、この工房での地道でまじめな油作りの中で培われてきたのか、と思う。
今回は一から油絞りを魅せて欲しいとお願いしていたので、前日泊して彼の作業を逐一みせてもらうこととなった。
搾油(さくゆ)は、油脂を含んだ作物(菜種やエゴマやゴマなど)を焙煎し、それを搾油機で絞り、濾過して貯蔵するという段階を踏む。
これがまず最初の段階で使用される釜だ。
耐熱レンガを組みあげたかまどの上に、鉄製の大釜がしつらえてある。
まずは道具を温めるために、本番用の菜種ではなく、前日搾ったナタネかすを炒る。燃料はガス火などではなく実際に樹を燃やし、輻射熱を得る。下の写真はその焚き付けだ。
これが菜種を搾ったかす。
なんでこんなフレーク状になっているかは後ほどわかる。これをザザッと釜に投入。
みておわかりのように釜にはスクリューのように回転する羽がついていて、これが廻ることで中身がかき回される。こんなふうにね。
ちなみに、この羽を回転させる時にさす潤滑油も、もちろん搾った菜種油だ(笑)
食品を自分で作らず、店頭で買ってくるばかりの生活になると、ついつい「車にさす潤滑油と、食用の油は全く違うものだ」と思いがちだけど、もともとは同じものなんだよね、、、現代の潤滑油にはいろんなものが入っていて、もちろん食用には適しませんが(笑)
釜が十分に温まったら、このスターターナタネかすをザザッとあける。
そうしたらいよいよ、菜種油の主役であるナタネ種子の出番だ。
原料となるナタネは、自分たちが育てるものも使うし、極力、大東町の近辺で穫れるものを買い付けるが、北海道産のものも使用することがある。自前で売る分だけではなく、「絞ってくれ」とナタネ農家や農協組織などから依頼されることも多い。つまり地域の搾油所としても機能しているわけだ。
原料のナタネは国産以外は使用しない。ということはもちろん遺伝子組み換え作物ではない。世界的に見ると、ナタネ(キャノーラ)は9割方が遺伝子組み換え作物である。油脂はタンパク質を含まないので、遺伝子組み換えでも人体に影響はないという判断がされているのだけれども、それでもNon-GMOがよいとする人達がいる。僕も、現時点の科学では問題ないとされていても、10年後もそうだとは限らないから、可能な限りNon-GMOを選択する方がいいと思う。放射性物質の含まれたものは出来るだけとりたくないというのと同じで、怪しいものはできるだけ体内に入れたくないからだ。もちろん外食や、家庭でもサラダ油を買った場合には摂取してしまうけど、だからこそ意識して買うことができる時には、Non-GMOを選択する。一言だけいっておくと、TPPが締結されたら「Non-GMOは嫌だ」という意思表示はほぼ意味がなくなると思う。
さて上のナタネの写真を見て、家庭菜園が好きな人は「ダイコンやカブ、ハクサイの種と同じだ」と言うだろう。そう、アブラナ科植物の種はほぼ正円の小さな粒だ。だからダイコンやカブを収穫せずに花を咲かせて絞っても油は穫れるだろう。ただしある種の菜花はアブラナ科植物の中でもバツグンに多く油脂を含む。そういうものが、ナタネ用に育種されてきたのだ。
ただし、野生の菜花にはエルシン酸という、身体に害を為す成分が含まれる。また、グルコシノレートという成分も含まれ、これは油を絞った後のかすを家畜の餌などにしようとした際、やはり家畜の身体に害を為す。ということで、上記の二成分を含まないように育種されたナタネが品種としてよく使われている。
このナタネを、釜の上方からザザーっと流して行くが、飛び散ると行けないので流し込む滑り台の上に布をかぶせている。
ちょっとわかりづらいかもしれないが秒速シャッターで釜に注がれるナタネを止めてみた。
数分間、この釜でナタネが煎られる。この煎り加減が非常に重要なのだそうだ。
「揚げ物をすると泡立って、鍋から溢れてしまう菜種油があります。あれは焙煎の度合いが悪いんです。焙煎は味と香りにも影響しますが、そういう使い勝手も左右するので、かなり気を遣いますね。」
こうして焙煎をしていると、だんだんと煙が立ってくる。
「よし、じゃあ煎り上がったんで、一気にこれを出します!」
ザザーーっと煎られた熱々のナタネが、樹脂ケースの中に落とされる。
見た目、なんとなく艶が出ているような気がする。
さてお次はこれを搾油機に通して、いよいよ油を絞り出すのだ!
(続く)
明治神宮で開催されている海森彩生写真展、いまはかのアルフィーの坂崎さんの写真を展示している。この展覧会の主催者であるアイランドギャラリーは、中央区の京橋、メルシャンのビルの裏にある小粋なギャラリースペース。沖縄の名嘉睦稔(なか・ぼくねん)さんの作品や、写真作品を展示している。ここを営む石島ひでおさんは、音楽ユニットTINGARA(てぃんがーら)の一人でもある。石島さんは東京バルバリの常連であり、それもあってある時店で紹介された。そのときからのつきあいだが、まさか写真展でお世話になることになるとは思っていなかった。出会いとは本当に不思議なものだ。
「うち、トリトンスクエアにあって、眺めだけはいいから遊びにおいでよ」と誘っていただいたので、打ち上げ的に呑みに参りました。その名も「天空居酒屋」。だってこんな風景だもの。
これに、女将の手料理がサササッと並ぶ。
最高なひとときでした、、、どうもありがとうございました!
では北海道へ行ってきます、、、

昨今、美味しいオイルと言ったときによく引き合いに出されるのは、悔しいことにオリーブオイルが多い。数ある油のうちでも珍しい、果実から直接絞り出すことができるオリーブオイルはたしかに香りがよく、美味しいと思うものも多い。オリーブの品種や産地、搾り方によって全く味が変わるところから、ソムリエ的な楽しみもある。イタリア料理の浸透とともに、日本におけるオリーブオイル人気も盤石のものとなった。
しかし!店頭で200ml程度で2000円もするような高いのがバンバン売れていくのを観ると、僕は悔しくなる。日本には、日本食にバチッと合う油があるんだぞ!それをちゃんと認識してるのかい?と声を上げたくなる。だから、このエントリを見て少しでも感じるものがあった人はぜひ、ここで紹介する菜種油を味わってみて欲しい。関東でもいくつかの店で扱っています。
日本のカロリーベース食料自給率は2010年の段階で39%、先進国中ではダントツに低いことはご存じだろう。では、いつも意識せずに使っている“油”の自給率って、考えたことはあるだろうか?実は日本の油の自給率はたったの13%。そのうち8%はラードなどの動物性油脂といわれており、つまり日常的に過程で使う植物油はたった5%程度しか自給していないというのが現状だ。
油は、油脂を多く含んだ原料を、圧搾(圧力をかけて絞る)したり、化学的に抽出したりして得ることができる。油脂原料には様々なものがあるが、代表的なのは大豆やパーム(椰子)、菜種にひまわりといったところだろうか。日本では大豆といえば豆腐や味噌の原料だけど、世界的に見れば油を絞るための原料穀物という位置づけなのだ。
あら?でも私が使っているのはサラダ油。これって何から出来ているの?という方は製品の裏面を観て欲しい。大豆や菜種、コーンといった原料が記載されているはずだ。しかしサラダ油には、これといって作物の風味がしない。大豆っぽさや菜種っぽさって伝わってこないことが多い。それもそのはず、サラダ油というのは高度に化学的に作られている。
例えばよくあるサラダ油の製法。原料に含まれる油を無駄なく徹底的に抽出するため、ヘキサンという溶剤を混ぜる。すると原料内の油がほぼ全量溶け出し、加熱するとヘキサンが蒸発して油のみに分離できる。これをカセイソーダなどを加えて精製し、活性白土というものを加えて色を取る。さらに臭いを取るために高温にし、水蒸気を吹き込んで脱臭をし、最後に冷えると固まる性質を持つロウ分というものを除去する。、、、これがサラダ油の大まかな造り方だ。
「ひええええ、何が何だかわからないけど、すごく手がかかってるなぁ」
と思うでしょ?その通り、サラダ油は多重な処理を重ねて油脂原料の個性をなくすことで、多用途に使えるようにした油なのだ。
逆に、個性のある油ということでいえば、日本ではオリーブオイルが人気だ。オレイン酸が沢山含まれていて健康にいいよ、と言うふれこみだし、最近では香りを愉しむ人も多い。けどね、その前に日本の素晴らしい油の文化があることを、忘れてやしないか?と思ってしまう。今も日本で搾られている、薫り高く美味しい油。それは菜種油なのだ。
以前、タキイ種苗という種子メーカーが開発した菜種(なたね)の記事を執筆したことがある。その菜種を油に絞ったものを、なんと京料理「菊の井」の村田さんに味わってもらい、料理レシピをつくっていただくというものだ。その折りにいろいろと話を伺ったのだけれども、村田さんの語る「日本人にとっての美味しい油」の話に僕は打ちのめされた。
「あのな、昔は油は食べるためのもんじゃなくて行灯(あんどん)の火に使う貴重品やった。そこで使われてた油は菜種油だったから、日本人は昔から菜種油がこげる香りを嗅いでいたわけ。そんで、欧米じゃ肉食文化やから、肉のタンパク質が焼ける香りを『美味しそう』と感じたわけやけど、日本人は穀物を炒りつけた香ばしさを『美味しそう』と感じた。そやからナタネとかゴマとかが人気ある訳よ。やっぱり菜種の香りが穀物に近いことと、昔から嗅いでいたっちゅう記憶があるんやないかなぁ」
なるほど、である。
あ、ここまで書いて、タキイ種苗のネット通販ページに、このときの取材記事がまだ掲載されている(というか菜種油が売られている!)ことを発見したので、リンクしておきます。
http://shop.takii.co.jp/shop/selection/natane0811.html
もちろん、こういう表向きの話だけじゃなくて、油にも「安全性」に関わる話がある。例えばまた違うある料理人さんが、「大きな声じゃ言えないけど」と話してくれたこと。
「あのね、業務用の油にはシリコンが入ってるんだよ。そう、あの整形に使ったりするシリコン(笑)の粉末。なんでかっていうとね。業務用フライヤーとかで大量に油で調理するときに、一番いやなのは油が泡だって沸いてしまうこと。あるでしょ、一気にいろんな揚げ物しようとして鍋から溢れちゃったり。あれを消すのにシリコンの粉末をちょっと入れるだけで、治まるんだよ!」
なんと、、、でもさ。それって身体に影響はないの?
「うーん、、、そうなんだよね、、、科学的な調査がされてるかどうかはわからないけど、業務用フライヤーで毎日揚げ物してる人で、なんか原因不明のアレルギーになっちゃう人とか、いるらしいよ。それに、そういう安い油はたいがい石油製品の溶剤を使って抽出してるから、その関係もあるかもね。とにかく俺はそんな油は使わないね。ヤマケンも気をつけた方がいいよ。」
これはさすがに誰が言ったということは書けない。油メーカーに怒られちゃうだろうからね、、、
そういうことで、僕も数年前から、油には特に気をつけている。だいたい、産直市場とかで農家の手搾り菜種油が900mlで1000円くらいするのに、スーパーに並んでる、1リットル以上入った油が398円で売ってるのってなんかオカシイじゃないか?ということだ。
ということでにわかに菜種油に強い関心を抱くようになった僕の前に、すごい菜種油が現れたのだ。
「やまけんさん、僕の絞った菜種油も味をみてくれませんか?」
僕がタキイのブースで講演をした時に話を聞いていてくれた「工房地あぶら」の小野寺伸吾君だ。

彼からもらった「まごどさ」という菜種油を持ち帰り、皿にすこし垂らした瞬間、その濃い色に驚いた。さらに鼻を近づけると、そこから立ち上る、まさにアロマとしかいいようのない強い花のような香りにびっくりした。蜂蜜のような、そしてアブラナ科特有の香ばしい美味しそうな香り。口に含むと強い香りが鼻に抜けるが、見た目ほどにはくどさがなく、逆にあっさりと切れていく。
僕はこの油を作っているところを観てみたいと思った。そして、観に行ったのだ。

続く

実は、僕が日々使っているデスクトップマシン用のモニタはほぼ30インチ(29.8インチなのよ)の超高級品。ナナオのColorEdge301Wというもので、いろんなコネでナナオさんから超割安にいただいてしまったのである。ColorEdge301Wは、一世代前のモニタになるのだけれども、ハードウェアキャリブレーションができる30インチモニタは他にあまりない。
ちなみにこれ↑は新機種です。僕が持っているのはこの前のモデル。
週刊アスキーで以前、このモニタをレビューした際にナナオの人にいろいろ聴いたのだけれども、モニタの色というのは本当にメーカーや工場によってバラバラなのだそうだ。だから、映像や写真をきちんとした色で写そうとするならば、キャリブレーション(補正)が必須。キャリブレーションにはソフト方式とハード方式があるけど、安いモニタだとソフトウェアキャリブレーションしかできない。
うろ覚えなので間違ってたらゴメンだけど、色がおかしいというのはRGBのそれぞれの出力比が狂っていること。ソフト方式もハード方式も、そのRGBの出力を整えてあげるのがキャリブレーションだ。でもソフト方式だと、例えばBの出力が落ちてるという場合、他のRとGを落としてやることで整えるというイメージになる。つまり、もともと発揮されるはずだった出力の範囲がRGBみんな仲良く落っこちてしまう。だから、本当の意味での補正にはならないのだという。しかしハードウェアキャリブレーションは、モニタの出力を機械式に調整することが出来るので、本来モニタが持っている実力を発揮できるのだ、、、というような説明だったように記憶している。うーん、専門用語をあまり知らんので、間違ってたらゴメン。
で、ナナオのカラーエッジシリーズはハードウェア方式のキャリブレーションができるモニタなのだ。しかも30インチですぜダンナ、すごいっしょ?実は僕のオフィスにカメラマンの友人が来ると、一番びっくりされるのがこれだ。
「なんだよ~ 猫に小判だ、俺に貸せ!」
と言われてしまうくらいのハイスペックモニタなのである。でもこれ、一度使ったらもう小さい画面がストレスに感じてしまうような感じ。いま僕が使っている解像度は2560×1600だけど、A3横をかる~くそのまま表示できる大きさなのだ。だからしばらくの間、メインPCを修理に出してノートPCで仕事をするのがつらかった。だって、こんなにも大きさが違うんだもん↓

ThinkpadX201sの解像度は1440×900。カラーエッジは2560×1600。実際に使ってみると、数字で観る以上の差があるのです。
ところが!
ハードウェア方式のキャリブレーションができるからばっちり!と思っていたが、重大な落とし穴があった。海森彩生の写真展の少し前から、モニタの色がおかしいなと思って調整しようとしていたら、、、なんとキャリブレーターという、計測器が劣化していたのだ!
当初、キャリブレーターとしてついてきたのがi1Display 2という製品。かなり広く使われてきた商品なのだけど、、、実はいろんなところで「久しぶりに使おうとしたら色が変な風になっちまうよ!」という問題がささやかれていた。ということは、今回こんなことになって初めて僕も知ったのだけど。
つまり、アメリカなど空気が乾燥した国では全く問題ないんだけど、日本のような高温多湿の国では内部のフィルタ部が変性してしまうらしい。先日、この点を改良した製品が発表されたんだけど、それを待とうかなぁとも思っていた。
けれども、新製品がふたたびColorEdge301Wのキャリブレーターとして使えるようになるかどうかは未明。サポートに聴いてみたけど「現時点ではわかりません」という返答しかかえってこなかった。まあそりゃそうだよね。
僕には選択肢がいくつかあって、それはまず一年間くらいすると必ず壊れるであろうi1Display 2をもう一つ買うか、発表されたばかりの新製品を待つか。もしくはi1Display 2以外の製品を買うかどうかというのもある。ただ、i1Display 2は一番安いキャリブレーターであって、他の製品は結構高いのだ。うーん、、、と唸っていた。
そうしたら!
プロカメラマン御用達のショップである「銀一」のチラシに、上級者向けのColormunkiDESIGNというキャリブレーターが安く(29800円)で箱ずれ品として登場しているじゃないか!この製品、普通に買えば5万円する商品だ。

念のため、i1Display 2とColormunkiの双方の代理店となっている加賀電子に問い合わせをしたら、迅速な返答が返ってきた。それは、i1Displayの新製品が如何に改良されていても、総合的にはColormunkiの方が上位にあるということ。
(ホントはもっと詳細に教えてくれたんだけど、何か問題になったらいかんのでこんな表現にしました)
ということで本日、銀一にいって買ってきましたColormunki!
半年以上キャリブレーションできてなかったから、ソフトウェアもアップグレードされててビックリしてしまった(笑)
こんなふうにキャリブレーションします。

可愛い白い筐体なんだけど、黒い布製ケースがついていて、ヒモ部分にウェイトが入っているので、モニタの裏側にたらして固定することが出来るわけだ。

これでようやくばっちりな色でモニタを使えてます。加賀電子さんありがとう。銀一さんもありがとう。
ちなみにナナオのカラーエッジシリーズは、これに懲りたのか最初からキャリブレーターを内蔵する方式に変わった。僕が次にモニタを買うときも、ナナオを買うだろう。「モニタにだって国産グレードというのがあるんです」と誇らしげに言っていた担当者さんのことを思い出すのだ。
PS ところで、色調整が出来るようになったので、本格的に撮影をsRGBからAdobeRGBへ移行しようと思う。以下、上記エントリの画像をAobeRGBで保存したものと比較するテスト。関係ない人にはゴメンナサイ。



ウナギを食べるなら2000円以上して当たり前、だって貴重な魚なんだもん。極端に安い価格で出すお店には行っちゃダメ!本当にそう思う。だってウナギはいまや絶滅危惧種になりかけているんだから。
しばらくまえ、料理人の会で講演を頼まれた。いつものごとくに言いたい放題やったのだけれども、水産物や農畜産物の世界にもこれからは「エシカル=倫理的」という評価項目を入れなければダメだという話をした。
欧米はすでに畜産物や水産物に対して、美味しさや安全性以外にも重要な基準を設定するようになった。例えばここに書いたホールフーズの畜産物の5ステップや、以前ここで書いた、サステイナブルシーフード研究会でやっているような水産物の話など。
日本は道徳観や倫理観の強い国と思っていたけど、いまのところ食資源についてはこうした発想が遅れ気味だ。そういう話をしたのだけれども、全体の食いつき自体はそれほどよくなかった。
しかし! 講演中からズーッと強い目線をくれていた人が居て、終了後に積極的に話しかけてきてくれた。それが日本橋の老舗鰻屋「いづもや」の若旦那である岩本公宏さんだ。
「やまけんさん、今日の話はすごく参考になりました!でも、、、僕のやっている商売は、実はサステイナビリティが確保されていない分野なんですよ、、、」
ああっ そうか、ウナギかぁ、、、 これは非情に難しいテーマだ。
識ってる人はよく識っていると思うけれども、ウナギはいまやその資源枯渇が危ぶまれている魚だ。
日本人が昔から食べてきたアンギラ・ジャポニカと呼ばれる日本ウナギは、いまや養殖で食べられることがほとんどだ。現時点ではその養殖の方式は「稚魚を捕ってきて、大きくなったら食べる」というもので、これは資源枯渇につながりかねないものだ。本当は「稚魚を捕ってきて、産卵させてから食べる」という方式にしなければいけない。
つまり、魚が自然に卵を産んで孵らせて、成魚になるまでのサイクルを壊さないように、適度に獲る分には資源は減らない。問題は、いまの漁船や網の性能は非常に高くなっていて、小さな船でも広い海域の水産物を根こそぎ獲れてしまうくらいになっているということだ。網も、その網目の大きさなどを小さくすると、本来は来年獲るべき稚魚まで獲れてしまう。でもそうした小さな魚は商品にはならず、むざむざと捨てられる運命にある。
ちょっと横道にそれたけど、ウナギはその最たるものだ。残念なことにウナギの完全養殖はビジネスとして成立する段階にほど遠いらしいのである。なんつったって生態がよくわかってない。先日、ようやくマリアナ海溝付近でニホンウナギの稚魚が孵化しているということがわかったくらいなのだから。
ちなみにEUでは、ニホンウナギとは違う種のウナギがいるわけだが、これがもう枯渇しそうな状況で、積極的な保護政策をうちたてている。もちろん、ヨーロッパウナギが減少した大きな理由の一つが、日本の企業がヨーロッパウナギを中国に持っていって養殖し、安い蒲焼きなどで販売していることである。日本は、ビジネスとはいえかなり他国の水産物に迷惑をかけている。原発事故による海水の放射能汚染まで含めると、本当に日本は水産国といえないような所業をしてしまっているといえるのだ。
「そういう状況なんで、私たちも本当は漁獲制限をするとかした方がいいとは思っています。けれども、そうなって販売量が少なくなると、我々ウナギの業界としてはすごく困ってしまうと言うのも事実なんです」
ふうむ、、、ホント、これは大変なことだ。
減少した水産資源は、しばらく獲らずにおけば復活する。秋田県民が大好きなハタハタという魚は、1980年代に乱獲による影響で漁獲量が減ってしまった。そこで、90年代に3年ほど全面禁漁を行った。とはいえ、近県である新潟や青森では獲られていたわけだけど、それでも資源はかなり復活し、いまは心配なく食べられるようになっている。
けど、その間、ハタハタを原料とする仕事をしている企業は大変だったはずだ。僕もこの時期、秋田に講演に行った際に料亭でハタハタの塩焼きをいただくときに「これは今や高級魚です。一匹2000円します」と言われて、思わずへへーっと平伏しそうになったことがある。これが、日本全国津々浦々で愛されているウナギになったら、、、鰻屋さんはやっていけない!
だから、乱暴だけどこう思う。
ウナギの完全養殖技術が軌道に乗り、また天然ウナギの資源量が回復するまでは漁獲制限するべきだ。ただし前面禁漁ではない。その間、一定量のウナギ獲るものの、それを取り扱いできる人・店を制限する。それはモチロン、これまで長くウナギ専門に商売をしてきた飲食業者であって、安い輸入養殖ウナギを量販していた小売店や外食チェーンはダメ。
当然、ウナギは高くなる。けれどもそれは当然のことじゃないだろうか。ものの値段は少なくなれば高くなる。ウナギはもうそういうレベルになっているのだ。
「庶民には手の届かないものになってしまうではないか!」
と言う人が必ず出てくるけど、庶民とか関係ないですよ。そうでもしないと絶滅しちゃうんだもん。ただし、目標として設定した資源量の回復が認められたら、それに応じて価格が安くなっていくように誘導するという何らかのオプションをつけることは必要だ。
と、僕は現時点ではそう思っている。思いつつ、ありがたくウナギを食べてますゴメンナサイ。その代わり、ちゃんとした店でそれなりのお金を払って食べること、これが自分の戒めにもなる方法だと思う。
で、「いづもや」だ。
日本橋の三越本店に行く人なら、地下一階のイートインブースに「いづもや」が入っているのを知っているだろう。あの本店が、三越をでて神田側に歩き、通りをひょいっと曲がってしばらくのところに本店がある。

本店は座敷のみで、テーブル席は横に廻ったところに入り口がある。
実はこの日は奈良のイ・ルンガのオーナーシェフ・堀江純一郎君が東京にいるというのでメシを誘ったのだ。

座敷にて岩本さんをご紹介。

奈良市というロケーションにもかかわらず、いまだに店は絶好調。近くの商業施設内にカフェも併設したらしい。もちろん料理からお茶に至まで、できあいのものは一切使わず。ジェラートだけは信頼できる業者さんのところで製造してもらっているそうだが、それもばっちりレシピや素材を自分でセレクトしているとのことだ。
「よくカフェに入るとさ、アイスティー頼むと紙パックからチョロッと入れて600円とかだろ?あんなのふざけんなだよ!」
いや全くその通りです。こんど食べに行くわ。いつかこいつのカレーを食ってみたいと思っていたんだけど、カフェメニューにはばっちりあるらしい。
「もちろんスパイスから俺が調合してるスペシャルだからね」
うん、うん、そうだろうな。
さてこのエントリは堀江君エントリではないんであった(笑)

この店のウリである、あっさりしつつも静かなコクのある、おちついたタレの重ね塗りによる肝焼き。
そして、ここにきたらこれを食べなきゃダメ、がこの「生醤油焼き」だ。

蒲焼きではなく、白焼きでもなく、香りと旨みの強い生醤油をさっと塗って焼いたこれが実に美味しい。
蒲焼きのタレはは醤油に酒やみりんといった、それだけで旨みの濃いものが原料であり、これに毎日焼いた蒲焼きをドボンと入れることで、ウナギの焼き汁がどんどん入っていって熟成されていく。だから変な話、タレだけご飯にかけたって美味しい。
けどこの生醤油焼きは、白焼きよりもウナギの個性がわかるようなそんな焼き物になる。常連さんの多くが「生醤油焼きをご飯に載せてどんぶりにしてくれ」というらしいが、それもよくわかる。甘さがない分、先鋭的な味になるのだ。

う巻きを挟んで、でました鰻重!

写真はリコーGXRで撮影しているが、他の日に撮ったニコンD700の写真も掲載。

そういえばこの時D700につけていたレンズはツァイスのマクロプラナー50mmだ!圧倒的にウナギが色っぽいぜ、、、

なんか、本当に大切なものをいただいています、という感じがする一品。タレはあっさりしているので、インパクト重視の人には他の店の方がいい。けれども、鰻の持つ滋味をじんわりじんわりと味わうのなら「いづもや」がいい。
美味しゅうございました、、、
実はこの「いづもや」岩本さんが密かに温めている、ある食べ方がある。食べ方というか料理というか調味料というか、、、その試作品を僕は食べさせてもらった。驚愕した! 通でもないのに鰻の歴史に新しいページが加わるのではないか!?と興奮してしまったくらいだ。
その料理が日の目をみることができますように、、、それには鰻の資源が回復しなければならない。
安い鰻を買うのはやめよう。牛丼チェーンなどで廉価な鰻丼を食べるのはやめとこう。だって買うと言うことは、その商品の背景を肯定し、サポートすることだからだ。たまに、お金出してよい鰻を食べるにとどめよう。もはや食べること自体が罪に近いけど、食べることはやめられないから。鰻は元来、ありがたい食べ物。滋養に満ちたこの魚、あるべき価格で支持しよう。と、そう思う。
あるていど貯まったら振込、貯まったら振込と続けてきたので累計がよくわかっていなかったのだけれども、とうとう先日、炊き出しシェフへの支援金が600万円を超えました。んー 赤十字に集まった金額に比べれば少ないけれども、けれども炊きだしシェフへの真水となるお金としては重要な、ありがたいお金。支援していただいた皆様に改めて感謝です。
先日はロレオール伊藤シェフより、僕の短角牛第2子「国産丸」の肉を送ったのを料理したという連絡をいただいた。
やまけんさんに頂いた「国産丸」で赤ワイン煮とローストビーフを作りました。仮設にはご年配の方も結構いらっしゃるので赤ワイン煮は大丈夫かな?と思っていましたが、食べ終わってからわざわざ出てきて「とても美味しかったー!」 と言いにきてくれた人も何人かいました。
赤ワイン煮はブリスケです。いい感じの脂の乗り具合でした。さっと焼いて味見しましたがしっかりした感じ。
ローストは外ももとシキンボウで作りました。外ももはかたさもある部位ですが充分でした。シキンボウはとても柔らかくしっかりした味でとても美味しかったです。
シチューを仕込み中に感じたのですが、赤ワインでマリネしたブリスケをリソレ(焼き色をつける)するとき時の香りがものすごくいいんです。もうこの段階で違う!
味は素晴らしかったですよ。
もちろん、やまけんさんの試食分は保存してありますから岩手にくることがあったら是非お立ち寄り下さい。
国産丸を食べていただいた皆様、ありがとうございました。おいしく食べていただければ、きっと彼も成仏してくれたと思います。
続いて伊藤さんの近況報告を。
炊き出しと近況報告です。
8月20日(土) 前沢4:30発 9:30~15:00
行き先 気仙沼 NUMA-FES 300名分
炊き出しメニュー サーロインステーキ(AUST)
ポテトサラダ
人員 GINNZA KANSEI 坂田シェフ
GINNZA KANSEI 鈴木君
小暮シェフ
他4名
伊藤
合計 8名東京より夜行バスで到着の坂田シェフ一行を一関でピックアップして気仙沼へ
気仙沼NICCOキッチンコンテナで仕込み。
今回は気仙沼の方より連絡があり、港まつりが震災の影響で中止になったので
代わりに気仙沼出身の若者たちが故郷のために企画したお祭りで出店して欲しいと
の要望に応えたものです。イベント会場での料理提供です。
私は店の営業があったので仕込みを手伝い、会場までの輸送だけで9時30分には
気仙沼を後にました。みなさんこのイベントを楽しみにしていたらしく朝から結構な人出でした。
会場が2箇所にわかれ様々なボランティアの方々が入りいろんな企画がなされていました。
8月23日(火) 前沢14:00発 17:30~20:00
行き先 陸前高田 長部小学校仮設住宅 160名分
炊き出しメニュー 国産丸(短角牛)の赤ワイン煮
パプリカとズッキーニのサラダ
青葱風味のピラフ
大船渡産 イサダとワカメのスープ
カボチャのムース
人員 千葉県市原市「料理・かもせん」 伊藤 和也 氏
千葉県千葉市 上村 氏
ロレオール 伊藤 他2名
合計 5名千葉から幼馴染の友人が来てくれました。
仮設住宅においてはじめての食事提供です。
今回は全戸の方々に来ていただけたようです。
お弁当の支給も終わり、これからの食生活も不安があるようです。
くまなく回れればいいのですが、コンスタントに続けていきたいと思います。8月28・29日
東京にてダイナースクラブ・フランスレストランウィーク10月4日~
についての打ち合わせ。
フランス料理をひろく気軽に楽しんでもらうことと被災地支援のためのイベントです。9月23日(金)に行う、出張レストランの打ち合わせ。
これは釜石・東部漁協が養殖漁業の復興イベントとして行います。
県より支援してもらうテント(番屋)にシェフたちにメッセージを書いて欲しいということで
出張レストランをします。
会場は廃校になった小学校の体育館、ここにイベント用テーブルでクロスもかけて
レストラン風にします。
協力していただけるのはラ・キャラバン・ボン・アペチ、フランス料理文化センター
フランスレストランウィーク、アラン・デュカス・エンタープライズです。
ホテルメトロポリタン盛岡の狩野シェフも参加してくれます。
なかなか外食をすることもできないので、ほんのひと時でも楽しい時間を
ともに過ごしていただけたらと思います。9月5日
今日は大槌・吉里吉里の「マリンマザーズ」のおばちゃんたちのところへ
南部鉄器の鉄板を持って行きます。
特産品の鮭を使った焼きそばを教えに行きます。
すんごく美味しいですよ。
やまけんさんも元気になったおばちゃんたちを激励しに一緒にいきませんか。
お忙しいでしょうから近い将来にぜひ。もう一つの目的は山田でお店を流されてしまった料理人に会いに行きます。
彼はお店だけでなくご家族も亡くされました。
このような状況でもまたお店を再興したいと行動を起こしはじめました。
同じ料理人が自分らでは計り知れない状況のなかで
料理を捨てず、生き抜いていく事を決意したのだと思います。
私にどれくらいのことが出来るのかわかりませんが、話を聞きに行きます。
これからのこと、何か相談にのっていただくやもしれませんが、その際は
ご指導、ご助言よろしくお願いたします。今後の予定 9月21日 大槌・佐藤君の「岩戸」1日限定の復活を応援
9月23日 釜石 出張レストランロレオール 伊藤
とのこと。
山田町(かな?)で店もご家族も流されてしまったという料理人さん、それでも復活を期すということ。なんとか応援してあげたいものです。僕もぜひ話を聞きに行きたい。ああ、また東北が呼んでいるなぁ。
9月3日の「野菜の学校」は実に痛快、楽しかった! 野菜の学校は、NPO法人「野菜と文化のフォーラム」が主催している、野菜の食べ比べ勉強会だ。故・江澤正平先生が常々言っておられた「野菜は食べてみなけりゃわからない」という言葉を大事にし、とにかくその時期集められる野菜を集めて食べ比べてみようという会である。僕も出席率はそんなに高くないけど、スタッフの末席に座っている。
■「野菜の学校」
http://www.yasaitobunka.or.jp/katsudo.html
今年の野菜の学校のテーマは各地の在来野菜なんだけど、9月のテーマは兵庫県の在来野菜。どうも兵庫県は非常にこの分野に協力的ではなかったようで、問い合わせてもらちがあかなかったようだが、僕もその著書に心動かされたこの方に行き着いたらしい。
兵庫県周辺の在来品種を大切に収集し、かつ「種採り」の技法などを伝えている山根成人氏だ。この方とは2007年、庄内でお会いしている。
■2007年12月08日 山形県の庄内地方にはものスゴ~く深く広い食文化が横たわっているのであった! 山形県在来作物研究会のフォーラムに参加し、農家民宿「母屋」に泊まり、それはそれは濃い一泊二日をおくったのであった。 在来作物研とアル・ケッチャーノの食事、そして母屋。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2007/12/post_1094.html
このエントリの翌日、藤沢カブの焼き畑風景の視察をご一緒させていただいた。その折の写真をプリントして送ったら「あんたがどういう仕事してるかわからんけど、興味深いな」とご返信をいただいた。
秋葉原の会館に入ってすぐ挨拶にうかがうと、「おー あんたの顔、どっかで観たことある」と(笑)本当にご無沙汰してました。
さて兵庫県の在来野菜は非常に層が厚い。というのは、行政とか団体が決めた伝統野菜的なくくりではなく、個人が種採りをして、だんだんと個性的な形になっていったものを民間で伝承しているので、とにかくいろんなのがあるのだ。
しかも、実に興味深いのだけれども、どれも「美味しい」。
と書くと「伝統野菜、在来野菜はどこでも美味しいものなのではないか?」と言われそうだが、それは今日的な、勝手なイメージである。もともと伝統野菜・在来野菜といわれるものは、「その地域では土質や気候的な制約からこれしかできない」というような、ある種ネガティブな立ち位置もあったわけだ。実際ぼくが食べさせてもらった全国の在来品種の中で、万人受けするような美味しさを持つものは少ない。むしろ非常に味を構成する要素のどれかが突出した、アンバランスなものが多い。それが、アンバランスさを補正するような郷土の料理文化を誘発し、郷土食というものを創り上げていったと考える方が自然なのだ。
一方で、「美味しい在来野菜」も存在する。例えば大阪は泉州の馬場ナスや、愛媛県西条市の絹皮ナスなどは誰が食べても目を見開いて「こんな美麗なナスは食べたことがない」と言うだろう。けど、皮が極端に柔らかくて傷つきやすく、流通に乗りにくかったりする。作り方が難しくてやりたがる農家が少なく、ほとんど市場出荷されないなどの理由で、一般品種にならず「在来品種」に甘んじているケースもある。
兵庫県近辺は気候も極端に暑かったり寒かったりすることもなく比較的落ち着いていることから、「食べて美味しい在来野菜」が多く残っているのかもしれない。
ところで、氏の写真をみておわかりのとおり、山根さんの講義は抱腹絶倒。
ご自身が命名された品種などの話、農家の話などが面白くて、ついつい引き込まれる!
ご自身は農家出身ではなく、1985年、思うところあって有機農業の世界に入る。有機の世界はもともと自家採取を奨励していたのでそちらに目が行くようになり、だんだんと種の交換と自家採取への関心が加速し、いまや「ひょうごの在来種保存会」を率いているわけだ。この辺は彼の著書に詳しい。
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中でも感動しちゃったのは「ぺっちん瓜」。
マクワウリの仲間だが、濃緑色の皮がビロード(ぺっちん)のようで果肉はメロンのごとき芳香がある黄色。加古川、明石周辺で栽培されていて、浅漬けにするという。
本当に、このぺっちん瓜の浅漬け(塩漬け)が最高! まずその繊細な食感が絶妙で、白瓜のようなざくざくというものじゃなく、歯が果肉に入っていく時には「ペリリリ」という感じで、細胞サイズが小さいのかとにかく繊細! しかも、立ち上る香りはうっすらとメロンの香りで、それが塩味で供されるのがまさに極楽。こいつは最高グレードの瓜だね。
もふたつ、「御津の青瓜」と「網干メロン」も素晴らしかった!
写真左上の、緑色の濃いのが御津の青瓜。
シマウリ群の黒門系だという。瓜類はそれほど突っ込んで調べたことがないのでわからないが、これも歯触り絶妙。白瓜のように漬物にして食べるが吉。
もう一つの網干メロンが、唖然としてしまうほどの美味しさ!
断ち割ってみると本当にメロン!どうやらマクワウリと洋種のメロンを掛け合わせたものらしいが、大正時代から栽培されていたらしい。150g程度の、手のひらに載ってしまう小ささなんだけど、愛らしい形状、割るとその種は実に小さい。
「種ごと食べてしまえるんやで」
とおっしゃるので種もそのまま食す。
ホントだ! 種もパリパリと難なく噛み切れ、そのクランチ感が逆に美味しさに転化している。果肉からは淡い甘さとメロンの美しき香りがする。時期的に少し遅かったようで、本来はもっと甘いらしい。なんと素晴らしい品種か!
ちなみに、この野菜の学校では凄腕調理スタッフが数人居て、毎回これらの在来野菜を美味しい料理にして試食させてくれる。その一環で、一つの野菜をテーマにして、数種類ならべての食べ比べをする。このコーナーの司会進行を(出席している時は)僕がやっている。
この日は、兵庫在来種の「八ちゃんナス」と、日本で最も一般的な品種である千両、長なすのトップシェアである築陽、そして熊本の赤ナスと比較。
これがもう八ちゃんナスが圧倒的に美味しい。というのは、しっかり個性のある味がするわけだ。千両と築陽はこれに比べると本当にナス感の弱い、だからこそ何にでも合うというような感じ。「在来野菜は主張する」のである。
ベストシーズンの八ちゃんナスはものすごくピカピカに艶やかで、形ももっとハッキリ美しいという。ぜひ食べてみたいものだ。
その他、山根さんの著書に載っていてずっと食べてみたかったハリマオウにんにくも、とうとう実物をみることができた!
こいつが、もんのすごく強烈に臭いらしい(笑)
これもご自慢の大納言。
瓜文化と豆文化については兵庫は非常に深いものがあると実感。
それと、生でかじっても爽やかに美味しいオクラ。
そして、何より感動したのは種を広めていこうとするその気持ちだ。2007年の在来作物研究会の席でも、大納言の説明をしながら「この種、後ろに置いときますから、興味のある人は持って帰って」と、おしげなく種を分けておられた。下はフダンソウの在来種「とっちゃ菜」。
こちらは「富松一寸空豆」
山根さんは種子会社による食糧支配を非常に警戒しておられた。
「種は本来、誰のもんでもない。いま、世界的な種子会社はターミネーター種を投入しようとしてる。これは遺伝子操作をして種子が次世代に命を伝えられないようにする技術。つまりタネを取っても発芽しない!そうなると、農家は必ず種を買わなければならなくなる。当然、多様な品種は減ってしまい、生命の多様性も無くなってしまう。そしてアメリカを中心とする食糧支配が完成してしまう!」
これはオーバーな話ではなく、本当に差し迫った世界だ。事実、日本では震災後のごたごたに乗じて、遺伝子組み換え作物の輸入が解禁されそうな気配だ。
「わしんとこにひっそり、遺伝子組み換え作物に関するアンケートがきよった。こういう重大なことは、他の重大事が起こってる時にひっそりやるんや。」
とおっしゃっていたが、ホントにそう思う。僕も今年の上期からこの話題をいろんな場所で耳にしている。このままだと遺伝子組み換え作物はここ数年のうちに日本でも許容される流れが出来てしまいそうだ。僕は遺伝子組み換え作物は反対だ。その遺伝子組み換え技術の危険性がいまだよくわからない云々もあるけれども、それより何より遺伝子組み換え作物を認めたら、技術的に先行している世界的なコングロマリット企業の独占市場になってしまうのが危険だというのだ。少なくとも日本の種子メーカーを守っていくことが何より重要でしょ。
そして、日本の各地域に「まだ」残っている在来種の灯火を消してはいけない。生物多様性は植物の多様性からである。そんなことを改めて思い出させていただいた一日だった。
山根成人氏の著書「種と遊んで」は名著である。興味を持たれた方はぜひ読んでみて欲しい。
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そう、この北大マルシェでとんでもなく奇跡的な出会いがあったのだ。
「あの、菅野と申します。今年のはじめに、福島から経産牛の肉を送ったものです。」
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
マジで!? 本気でビックリした!
実はさかのぼること今年の正月あけてすぐの1月11日、菅野さんから初めてのメールをもらう。菅野さんは福島県で繁殖牛の生産をしていたのだが、繁殖用に適さなくなった(つまり受胎率が低く、子牛を育てる能力が衰えた)メス牛はタダ同然の廃用牛として値付けされてしまう。これを、経産牛として商品開発できないかと試行錯誤しているといのだ。
このブログでは何度も書いているが、経産牛は美味しい。条件によっては未経産の牛よりも断然美味しいのではないかと思うことが多い。和牛産地では誇らしげに「未経産(妊娠していない)の処女牛に限り育てています」というように銘打つところが多いけれども、僕からみればナンセンスなことで、経産牛のほうが肉の味の深みが出てくることは間違いない。ただし、特徴的な香り成分も増してくるので、ある時点からそれを「匂いがする」と知覚する人も出てくる。美味しい香りだと思う人もいるので、この辺は肉にどのような目標を置くかで変わってくる。
それはともかく、経産牛はもっと評価されていいのだが、現状はそうではない。そんなことを書いてきたわけだが、それに勇気をもらったという文面だった。それからしばらくして、肉が届いた。
サーロインとヒレで、どちらも放牧&自家乾草のみで育てた経産牛だという。それにしてはけっこうサシが入ってるなぁと思う。
早速焼いていただいた。グラス中心のサーロインにも写真のようにけっこうな小ザシが入る。これは先日の赤肉サミットに出品した、国産飼料100%の井さんのくまもとあか牛で確認済みだ。けど、実はこのサシはあまり脂ぎっていないので、結果的に食べてみると「すげーあっさりした肉」と感じる。
実際、サーロインもヒレも同じような感想。あっさりしていて、若干肉の固さは強く、かみ応えのある感じ。ストイックな旨み。黒毛特有のブドウのような香りは浅い。おそらくコーンなどの穀物中心の再肥育をしていないからであろう。僕は十分に美味しい牛の肉だと思うが、これを「黒毛和牛」として出すと、イメージ的に違うだろう名と思った。
ということを、ブログに書いてからメールで送ろうと思っているうちに、、、3月11日を迎えたわけだ。申し訳ないことに、本件をすっぽり忘れてしまった。
その菅野さんが、北大マルシェにきていた! でも、なんで!?
「福島でこれからも牛飼いを続けることは難しいと考えて、経営をたたんできました。しばらく北海道の知人のほうに身を寄せて、今後を考えようと思っています」
そうなのか!
福島には今月僕もずーっと気になっていた産地を周りに行くが、すでに彼の地を去った人も居る。本当に残念だ。きちんと賠償金等出ているのだろうか、気になるところだ。
写真は、そんな菅野さんのありし日の牧場風景をカードにしたもの。もちろん買わせていただきました。
「これから牛飼いやらないの? 短角牛なんかどう?」
と北大牧場の管理者である秦先生が笑いながらオルグする。短角牛がいいかはともかく、せっかくだから牛飼いの道を再度目指していただきたいなぁ、とも思う。だけども、牛肉を巡る状況は空前の酷さだ。牛飼い達に先が見えない状況になってしまった。
ともあれ菅野さんの今後の道のりが拓かれることを心から祈る。菅野さん、不思議な再会でしたね。また会いしましょう。
この後も、出店している農家さんを紹介してもらい、試食や話を楽しんだ。
そろそろ帰ろうか、と妻と一緒に出口に向かおうとしたところで、大ボス発見!
林 美香子さん。元札幌テレビアナウンサーであり、現在慶應義塾SDMの特任教授であられる。先日、ホクレンT氏のご紹介で一緒にホルモンを一緒に食べた(注・林さんは肉を食べられない方なので、野菜とシーフードのみ)のである。いやぁビックリ!
「小林先生にヤマケンさんが来てるよって言われて探してたのよ!会えてよかった!」
こちらこそですよ!母校がお世話になっております。
という、実に様々な人とのつながりができた北大マルシェだったのである。
ところでこのマルシェの仕掛け人である小林先生から「ぜひ、辛口な批評を」ということだったので、マルシェ運営側に対する評価をば。
一言でいうと、これは内輪受けでゆるされる学園祭ではなくて、学外の来場者に向けたマルシェなのだということをきちんと認識しないとダメだよ、ということに尽きる。学生よ、もっとちゃんと「仕事」しなさいってことだ。
一日目の各ブースをぶらついたが、学生がサポートに入っているものの、どうも彼らの物腰が「手伝います」的スタンスから脱していない。気合いを入れて客を呼び込んだりコミュニケーションしているのは、農産物生産のハイシーズンである夏にわざわざ商品抱えてやってきた生産者や関係者自身である。マルシェは北大が主催しているのだから、そこの一員として、学生はもっと「自分ごと」として取り組まないとダメでしょう。
出展者から文句も聞いた。各ブースの出展者は事前に、プロフィールや売り文句など、けっこうな情報量の書式を提出させられたらしい。それを看板やPOPのようにしてブースに飾るからということで、面倒だけれども提出したと。しかし、ふたを開けてみたらそんな看板や情報が書かれたものはどこにもない!たしかに各ブース、印刷された紙で小さく何を売っているか書いてある程度で、情報量が圧倒的に少ない。準備側がおいついていなかったそうだ。二日目にはリカバーしたのだろうか?
それ以外にも、エレゾ・マルシェ・ジャポンは前日入りして、プリンを600人分仕込む予定だった。そのための調理施設などを用意しておくということが通っていたにもかかわらず、なんとそのスペースが確保されていなかったという。これには彼らは怒りを通り越して、虚脱していた。
まあ、所詮は大学だからネ、、、というあきらめの言葉ではゆるされない、非常によろしくないことです。きちんと運営しましょう。などと好きなことを書いたけど、「そんなこと言うなら手伝えよな」と坂下先生・小林先生から言われそうで戦々恐々(笑)
北大マルシェ、頑張ってください。来年も期待しています。
海森彩生写真展の最終日に、なんと「専門料理」の写真を撮影している大山カメラマンが来てくれるという連絡があったので、急遽スケジュールを変更して明治神宮へ。飯食う時間はあると言うことだったので、原宿のカレー「みのりんご」へ。大山君はカレー好きで、カレーの撮影の仕事が入るとウキウキしてしまう人なのだ。
みのりんごは、たしか昨年のdancyuの夏号カレー特集でみて気になり、一度足を運んだ。みのりんごスペシャルというチキンとキーマをあいがけにしたものは、味の意外性はないものの丁寧に作られている感たっぷりで、スパイスがあとからじんわり効いてくる感じの美味しいカレーだった。でも、そのメニューのなかで一番気になったのがこのポークカレー。再訪したかったので丁度よかった。
写真は、ポークご飯大盛り。実はこのほか、ビーフ中盛りも食べました(笑) ビーフは激辛と銘打つだけあってビリビリ来たけど、やっぱりポークが絶品によかった。
クローブがほの苦く感じるほどぶち込まれている。辛さも、食欲を喚起させるほどよさ。この日は豚バラではなくスペアリブだったが、肉の煮込まれ度もトロトロ過ぎずでよし。これは大当たりでしたね。
ちなみに、「おとなの週末」のカレー特集に「dancyuにも食楽にも載ってない店」としてみのりんごが載っていたような気がするけど、dancyuに載ってましたよね?確か僕はそう記憶してます。
まあどっちでもいいや。原宿にいったら、お茶とスコーンはクリスティーズ。サンドイッチはカフェ・マスミヤ。カレーはみのりんご。そんな感じですな。