やまけんの出張食い倒れ日記

NYドライエージングビーフツアー2日目 怒濤の視察にて、シタレラとフェアウェイを観まくる。NYのDAB単価は昨年並みで、ポンドあたり20ドル前後である。

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さて、ちょっと間が空いたけどドライエージングビーフ(DAB)の視察ツアー二日目。高級スーパー&デリカテッセンを視察し、DABがどのような位置づけにあるのかをチェックする。コースはWholeFoods, Fairwayt, Citarellaで、昨年も回ったところばかりだ。ただし今回は旅の後半に鉄板焼きをしてもらえる場所があるので、実際に肉を買って試食することができる。

前回は店頭で販売されている肉を購入することができず(ご存じの通り生肉は帰国時に持ち込めません)、味見ができなかったのだ。けれども今回は、昨年も圧巻の鉄板焼きパフォーマンスを見せていただいた石川さんのShiroOfJapanという店で、焼いてもらうことができる。そこで、DABを買ってみようという寸法だ。

結論として、価格に関していえばNYにおけるDABの単価は、1ポンド(約450g)あたり20~30ドルの間。平均をとって25ドルとするならば、今なら日本円で2000円程度ということだ。円高を考慮に入れる必要があるが、この価格、高いと思うだろうか?日本で黒毛和牛の等級の高いものであればもっとするのが普通だ。とはいえ、家庭で肉を食べるとき、通常で100g500円以上の商品を買う人は限られてくるので、「どちらかといえばわりあい高級」というべきだろうか。

それでもアメリカではこの価格はかなり高級だといえるそうだ。今回、いろんなところでヒアリングをしたが、やはりDABを購入する層はアッパークラス。逆に言えばDABを買いに来るアッパー層が住んでいる場所以外に、DABを売っている店は無いと考えた方がいいらしい。

さてまずは、食料品をうずたかく積み上げる方式の店内陳列が有名なFAIRWAY。

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残念ながら店内撮影はかなり厳しくチェックされているようなので難しい。それでも精肉売場にいくと、そこのおっちゃんが「おう、いいカメラじゃん、ここを撮りなよ」という(笑)現場とマネージャークラスの齟齬だろう。

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さてここでちょっと嬉しくなっちゃったのがこのショーケース内の肉だ。HEREFORDとある。僕は英語がほぼできないので最初これを「ヒアフォード」と読んでしまった(笑)きっとヒアフォード牧場ってところなんだろうと。

でも、ショーケース前から立ち去ろうとした瞬間にハッとした。 これって「ヘレフォード!?」

そうだ!ヘレフォードとは牛の品種で、放牧で草を食べて育てるのに向いた伝統的な肉用品種である。僕のブログでは、北海道大学の静内牧場にいった際に、秦先生が育てているヘレフォード種を紹介したことがある。

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■畜産システム研究会の会場となったのは北大の静内キャンパス。なんと470haもの敷地内は、動物ワンダーランドだったのである! 肉牛のヘレフォード種と短角種、そして本物の道産子・馬を観た!

https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2009/06/470ha.html

 

 

 

 

 

こんな品種だ。ヘレフォードのポーターハウス(いわゆるTボーン)が21.5ドルか、なるほどなるほど。みたところおそらくUSビーフの最高格付であるプライムではない。穀物飼育のアンガスビーフが主力となるアメリカで、ヘレフォードはほんの少しだけ格落ちする感じで受け止められているとは思うのだけれども、それでも検討しているね。あまり時間がなかったこともあってこの肉、買わなかったんだけど、いまちょっと後悔している。

さて次は、そのFAIRWAYに隣接しているCitarellaだ。

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FAIRWAYに隣接していると書いたが、この二店はどうやらそうとうに仲が悪いらしい。というのも、下記の写真を見て欲しい。

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FAIRWAYのロゴ入りのブルーのひさしが歩道のかなり前の方までせり出している。このアングルからは見えないが、シタレラ側からみても側面にはFAREWAYの大きなロゴが見えていたはずだ。

これをきらったシタレラは、なんとも可愛い対抗策をとったのだ。それは、ちょうどFAIRWAYのひさし部分が隠れるくらいのサイズの超薄いひさしを取り付けて、シタレラ側からはFAIRWAYのロゴが見えないようにしてしまったのである!

ほれこのとおり↓

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そうとうに笑えますね。いやー 合法的にケンカしてるわ。

さてそのシタレラは、DABをもろに前面に押し出したショーケースで有名だ。

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ここは熟成庫ではなく、すでに熟成のできている肉を並べているだけだと思うのだが、それにしても圧巻。日本でもこんなプレゼンテーションをできる肉屋が現れるといいね。

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さてここではストリップロインを購入しました。アメリカのステーキ肉のカットはかなり厚みがあるので、大対1枚が650g程度になる。だからだいたい40ドル程度になった。バキュームパックOK?と訪ねると真空パックをかけてくれる。

売場のあんちゃんに「いまDAB見て回ってるんだよ。ここの肉の等級はプライムかい?」と訊いてみたら、「そうだよプライムだよプライム。隣の店なんかチョイスだぜきっと」といって爆笑していた。マジ?と訊いたら肩をすくめていたのでジョークだろう。ただし同行のプロ達の厳しい眼は「いやでもこの店の肉もプライムじゃないんじゃないかなぁ~」と言っていた(笑)

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それにしてもこの時期のNYは暑くてやばかったけれども、湿気がそれほどないので助かる。緑は美しく、とても楽しめた。

お次のWholefoodsは、カメラチェックが厳しかったので店頭をざっと観ただけ。ただし、DABのショーケースはあったものの、実際の精肉ケース内にはAged Beefと書かれた肉が並んでいない。注文をうけてからその場で肉をカットすることは難しい(骨を外して外側のガビガビをとるまで、最低でも20分はかかるだろう)ので、あまり売れていないということなのだろうか。ちょっと気になった。

ホールフーズのアイテムは昨年と代わり映えがしなくて、ちょっとだけ残念。店を出ると、バスを待つツアー一行が、なんとも絵になる感じだったので一枚。

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この辺はビルばかりなので、窓ガラスが鏡面になって、乱反射した光が巨大なレフ板のように人の顔に当たる。だからちょっとしたライティングをしたような写真になっているんだね。

そんなこんなで二日目の午前~午後は、この辺のDABの小売状況を観たのでありました。