やまけんの出張食い倒れ日記

懐かしの中山商店街で、道産小麦ハルヨコイのうどんをすすり、昔を思う。

Sahoda

横浜線の中山駅改札を出て、駅前の小さなロータリーが視界に入ってきた時、おもわず涙が出そうになってしまった。横浜市緑区の小さな街、中山。この駅前商店街こそが、社会人となった僕の初めてのクライアントさんだったのだ。

奇跡的に大手の民間シンクタンクに入社した動機は、面接時に「農業に関係した仕事もあるから」と言われたのが決め手になっていた。しかし入社後、上司に挨拶にいくと「ああ、あの仕事ね、無くなっちゃったから」と軽〜く言われて愕然とする。待っていたのはまったく土地勘のない、旅行代理店やCVSチェーン、大手卸などの進行中案件。新人は議事録を書けといわれてついて回るが、専門用語がまったくわからないので、後から誰も判読できない議事録で、何度も提出した議事録をゴミ箱に捨てられた(比喩ではなくマジで)。

そんな中で、農林水産省のモデル事業であったこの案件だけが僕の憩いの場だったのだ。「電子御用聞き事業」という、生鮮品を販売する商店街の活性化方策として、ネットやFAXなどを使って商品情報を受発注でき、商店街が荷物をまとめて戸別に宅配を行う仕組みを作るもの。いまようやくビジネスベースに乗ってきたネットスーパーを商店街が行うというものだ。1997年のことだから、楽天市場だってまだ離陸し始め。コンセプトとしてはずいぶん早すぎた。二週に一度は商店街に通って、いろんな商店主さんと話をし、実施可能な方策を探った。おそらく二年半に渡る実証事業の報告書は、農水省のどこかに積まれているはずだ。

そんな中山商店街で、当時おつきあいのあったカメラ屋さんが、テレビで僕を観て「商店街の勉強会で講義して下さい」というメールをくれた。そんなわけで昨晩は20時から中山商店街で講演だったのだ。

写真は、宅配事業に参加してくれた「政多屋製麺所」に併設された、蕎麦「佐保田」のおそばとうどん。

「やまけんさん、来てくれると思って」

と、特別にハルヨコイで打ったうどんを用意してくれていた。細麺なのにぶりんぶりんした食感に、なんともいえず漂う麦の香り。美味しいですよ!

15年ぶりにお会いするみなさんの顔をみて静かに感動。ああ、俺のキャリアってここからだったんだよなぁ、、、と。

その節は能力の低さから、ご迷惑をおかけしました。そしてありがとうございました。また、中山に来よう。