やまけんの出張食い倒れ日記

新方式のクーリングコイルを使用した冷蔵庫でのドライエージングビーフ実験の中間経過。やはり、庫内ファンを装備して風をあて、水分活性を促さなければきちんとエージングはできない。

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オリンパス E-M5 12-50mm 自然光にて撮影

ドライエージングビーフの実験をいろいろ共同でやっているマルヨシ商事に、神楽坂のカルネヤ高山シェフと行く。実は、表題にある新方式の冷却構造をもった冷蔵庫が、肉の熟成に使えるのではないかと言うことで、実験機を持ち込んで熟成の試験をしているのだ。

その肉もそろそろ頃合いだということで、切り出して焼いてみようということに。じゃあ焼いてくれる人といっしょじゃないとな、と高山君を連れ出したわけである。

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冷蔵庫の全容はお見せできないので、庫内状況だけ。ご覧のようにカビはびっしりと着いている。ただし現状ではスペースと構造の関係上、庫内にファンがつけられなくて、風をあてることができないのだ。それでも「コイルでの冷却でいけるはず」という開発者の声を大切にして、とりあえずは無駄になっても、ファンなしでやってみようかと。

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ガビガビ部分をグリ剥きして切り出した肉。写真ではわからないとおもうが、かなり水分が残っている。香りは悪くなく、軽いナッツ香もついているが、とにかく水分が多い。

赤身肉はその赤身度が上がれば上がるほどに水分量が多くなる。脂は水分じゃないからね、当然のことです。けれどもその水分が外側に抜かれること過程で、熟成に大事なさまざまなことが進行する。だから、風をあてて自由水を飛ばしていく工程は大事なのだ。

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高山君ともあーだこーだ。じゃ、焼いてみましょうか!

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この人ほど、いろんなところのドライエージングビーフを焼いている経験値が高い人間は、関東では他にいないだろう。決まった業者さんのを焼き続けるということなら他にもいるが、高山君は手に入るところからとりまくってお客さんにだしてるからね。経験値高いです。

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しかも、常温に戻ってない冷たい肉をそのまま焼いて、ベストな状態に持って行く名人でもある。「だって、営業中に予約無しできたお客さんが「肉食べたい」って言ったときに、40分待たせちゃ駄目でしょ?」とのこと。ごもっともです!

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はい、焼き上がり。

食べてみました。以下、冷蔵庫開発者さんに送った感想。

本日肉を切り出して、シェフに焼いてもらって食べましたが、熟成香はほのかに
ついているものの、肉の水分が多く、香りとうま味の凝縮がうまくできていません。また、菌が繁殖しやすい自由水が肉の内部に残っているため、これ以上置いておくと腐敗する可能性のある、特徴的な臭いも感じられました。

メール添付した各写真をご覧下さい。●●さんの冷蔵庫で熟成したものは、カビ
は着いて菌も良好に繁殖してはいるようですが、実際に切ってみると肉の中の
自由水がかなり残っており、これが悪さをする(味と香りの凝縮がない、雑菌の
繁殖を許すなど)と思われます。マルヨシ商事が通常のドライエージングをした
ものの写真と比べると、みかけだけでも水分の多寡がわかると思います。

しかし、マルヨシ商事の、表面上は水分が枯れているように見える肉でも、焼い
て切るとたっぷりの水分が残っています。これは細胞と結合した結合水というも
のです。結合水には雑菌が繁殖せず、風をあてても水分が出きってしまうことは
ほぼありません。

ということで、風を回さず、クーリングコイルの力だけでNYスタイルの熟成を促すことはできなかったというのが結果です。ただし、熟成に必要な菌類の繁殖については良好であると思われるため、冷蔵庫としての冷却機能はとてもよいという評価です。ぜひファンをつけたタイプで再試験をしませんか。

ということで、再試験することになりました。愉しみダ! この冷蔵庫、小型版を作って、自宅において自分の短角牛のロースを一本入れておきたいものだが、、、(笑)

ちなみに、マルヨシ商事の通常熟成をしているホルスの肉。

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こちらは、若干熟成が進んだ部位だったからか、水分がぬけすぎ感もあったが、おそらくリブロース部は最高の味になっているでしょう。ブンブンと香りがして、味わいも深みが倍加しています。

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日本型ドライエージングの道のりは多岐にわたっており、そして長い。本当に冒険ですね。このテーマ、まだまだ続きます。