やまけんの出張食い倒れ日記

ニホンウナギの絶滅危惧種指定を受けて、日本では「もうウナギを安く食べるのはやめよう」という声が多く挙がらなければならない。専門店だけにウナギを買える免許をもたせて、スーパーやコンビニ、安い外食店でのウナギ提供を規制するのが必要。けれども日本でいままでそうした規制がしかれなかった理由があるんだよなぁ、、、

昨日のWWFのサステナブルシーフードセミナーにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。おかげさまで満員だったようです。わたしは30分ほどの対談でしたが、いかがでしたか。

で、そこでも話した訳だけれども、3年ほど前からシラスウナギの漁獲激減が声高に言われ始め、そして2年前から一般のメディアおもにテレビで採りあげられるようになり、昨年の土用の丑の日前にはかなりの番組が「ウナギが食卓から消える?」という論調で特番を組むことになったわけだ。

しかし、放映された番組のほとんどが「これから日本人はウナギを食べられなくなる?」というものばかり。ニホンウナギという品種を、一民族が消費し尽くし、消し去ろうとしていることについての反省を促すものはほとんど観られなかったといっていい。もちろん一部には三重大の勝川先生など、資源減少に警鐘を鳴らす学識経験者の先生をコメントを放送するものもあった。しかし同じ放送局のバラエティ枠ではほぼみな「ウナギが食べられなくなる!」の合唱。

そして、なにを採りあげるかと言えばニホンウナギ以外の、外国種を輸入するだの、そういう話。昨日も話題に上がったのだが、こんかい日本ウナギは絶滅危惧種1Bという、危機のレベルで最高度となる指定の手前で留まった。しかし重要なのはそこだけではなく、ニホンウナギ以外の近縁種もいくつかがリスト入りしたという。これはどういうことか?

 

推測だが、「ニホンウナギだけを指定したところで、日本は他の品種の消費に手を伸ばすだろう、だから近縁種も同様に保護しなければならない」という判断をIUCNはしたのではないか、ということなのである。

これはとても恥ずかしいことである、、、 日本は「資源枯渇に際しても、自己を抑制する力をもたない未開国」と思われているのだ。でも、それも当然だ。日本はウナギ同様に資源減少が不安視されているクロマグロだって、いまだに食べることを控えようとしていないのだから。

メディアは、もう今年ははっきりと「ウナギを食べる量を抑制しよう」とメッセージを出していかなければいけないと思う。それが倫理的にみて当然の話だ。

そして以前から書いてきたけれども、そろそろウナギの取扱を免許制にする必要があると思う。スーパーやコンビニ、安価な外食チェーンなどのウナギ取扱を禁止し、例えば売上の8割以上がウナギで、●●年の取扱の歴史がある鰻専門の料理店だけが提供してよいとか、そうした基準を作って施行する。

ウナギさばいているところ

必ず「ウナギが庶民の口に入らなくなる」と言う人達が出てくるが、昭和かの時代らウナギはどちらかといえば高級品でした。牛丼チェーンが出している1000円以下の価格のほうがおかしいんです。

以前、ある弁当チェーンのMDさんから聴いたことがある。

「やまけんさん、弁当チェーンやコンビニの鰻丼弁当ってのはね、780円とか980円とかで他のメニューより高いと思われるけど、あれは完全に赤字です。赤字になるんだけど、チェーンとしてやらんわけにはいかないんで、赤字でもやる。そういうものなんです」

というのだ。だから、あの価格は実勢価格ではない。本来は高いモノを安くしている。それは消費者にとっては「うれしいこと」かもしれないが、本当は価格が高くなるはずのものを安く売っているということで、資源の側から観ればよろしくないことである。高いモノは消費量が抑えられるが安くなれば消費量が増える。そして資源は減るのである。

そもそも養鰻業者に近いところにいる鰻加工業者が、土用の丑の日周辺の価格が上がる時期以外のオフシーズンに、鰻をせっせと白焼き加工して冷凍しておく。そうすることで一年中需要が生まれて、鰻の市場価格が高値安定し、養鰻業者は儲かる。そしてオフシーズンにつくって冷凍しておいた鰻加工品がスーパーやコンビニ・弁当チェーン・外食チェーンに販売されて、1000円以下の安価な鰻商品が蔓延する。

土用の丑の日前後のハイシーズン中、宣伝力のある外食チェーンが鰻のノボリを掲げ、かなりの量のウナギ商品が巷に出回る。しかも、安くはないが手は届く価格で。それによって消費者は「ウナギが枯渇しそうっていうけれども、意外に手の届く価格で売ってるし、売ってるってことは大丈夫ってことじゃね?」という認識に陥ってしまう。

これがいまの日本の実情だと思う。だからやっぱり出口規制をかけるしかないと考える。

しかしそうなるとウナギの生産・流通・販売において生計を立てている人はどうなるという問題がある。まず生産だが、養鰻業者の市場縮小は避けられないだろう。問屋ももちろんそうなる。ただし出口として専門店を残しておけば、「ウナギ食という文化がなくなる」という危険が回避できるくらいの流通量は確保できるはずである。

一説によれば日本におけるウナギの総流通量の中で、鰻専門店が買う割合は3割程度、実に7割がその他スーパーコンビニ弁当外食チェーンに行っちゃっているという。7割を規制すれば、資源量は自然増に転じるのではないか、という希望を持てそうではないか。

前にも書いたが、秋田県の県魚であるハタハタが減少したとき、秋田県民は3年間の漁獲禁止を我慢した。その後、ハタハタの資源量はまだ満足に回復はしていないようだが、しかし以前よりは改善した。そんな我慢をできるのが日本人が本来持っていた美徳であるはずだ。

ただし、このウナギの規制に関しては、なかなか法的拘束力を持つものができない「ある理由」が存在するようだ。それについては、、、ブログなどでは、とても書けない、、、とても怖い理由があるようである。

僕が今年ウナギを食べることができる回数はあと2回、と自分で決めてある。先日、週アスの撮影で食べちゃったからね。しかも一つの鰻重を編集者・カメラマンと分けあって食べたんだけど(笑) あと2回はもちろん高価な専門店で、ひとくちひとくちを惜しみつついただこうと考えている。

さて、こんなホットな状況なので、来週月曜日発刊のメルマガ「たべもの最前線」では、違う特集記事を予告していたんだけど、急遽ウナギについての記事に差し替えることにします。でもそのメルマガでも、先の「ある理由」は書けない気がするんだけどね。