やまけんの出張食い倒れ日記

今、日本の納豆が安すぎる。納豆の正当な価格はいくらであるべきなんだろう!? その2

食のジャーナリストによるメルマガ「たべもの最前線」最新号はいよいよ、納豆の価格構成に迫ります。これを読んでいただくと、やっぱり58円納豆はあり得ない、どころか、78円納豆もオカシイ!?ということがおわかりになるはず。

消費者の可処分所得が減るからといって、安い食品を作れとメーカーを追い込んだら、美味しくない原料を使ったり、偽装するしかなくなったり、もしくは多様な選択肢が無くなってしまったりしてしまう。結局しわ寄せは消費者に来るのです。

その一方で、小売業者とくにスーパーやディスカウントストアが納豆を安く売りすぎる傾向は是正されません。しかも彼らはきっちりと利益をとっていたりするのです。

そんな内側を、数字つきで書いています。

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■納豆の店頭価格から、現状を推察する

まず先回の「その1」で、読者のみなさんの周辺で一番安い納豆(3個パックたれ・カラシ付き)の商品価格をレポートしてほしい、というお願いをした。ありがたいことに、二名の方から情報をいただいたので、まずはここに紹介させていただこう。

★一件目
地域:函館市内
店名:マックスバリュ
商品名:小粒納豆
メーカー:トップバリュのPB商品です。 北海道の工場で製造との記載あり。
価格:45円(40g×3)※タレ・カラシは無し、大豆はアメリカ産

特に販売期間などの張り紙も無かったので、一時的な特売商品ではなさそうです。ちなみに、すぐ下の段には、同じく、トップバリュPB商品で、極小粒納豆があり、こちらは、73円(45g×3 タレ・カラシ付き)でした。

普段、激安納豆は買わないので、気がつきませんでしたが、まさか、45円とは。良い勉強になりました。

★二件目
地域:宮崎市内
店名:マックスバリュ
商品名:おかめ仕立てミニ納豆
オープン特価 48円(45g×3 タレ・カラシ付き)
この日オープンだったので一日限定で、翌日からは78円に。

情報を寄せて下さったお二人に感謝。どうもありがとうございました。この納豆の価格の話をするのに、ギリギリ面白いタイミングになったなぁ、という感想だ。まず、どちらも40円台であるということ。税金がつくと50円台になるものの、これ、いったいどうやっているんだろうね?という価格だ。

一件目はどうやらレギュラー商品としての価格であるらしい。ただし、タレ・カラシはついていない。これはイオングループのトップバリュ商品であり、PB(プライベートブランド)だ。先週書いた、大手が納豆メーカーを食いつぶす手口を思い出していただけるといいのではないだろうか。確実に、この価格では利益が出ない。そうすると、他の棚に並んでいる納豆がどこのメーカーかというところが気になる。情報をお寄せいただいた方には、ぜひ追跡調査をお願いしたい。

そして二件目。これはオープン特価、一日限りの価格ではあるが、タレ・カラシ付きで48円。翌日から78円になったところをみると、新規オープンでメーカーが泣いたということだろう。スーパーとメーカーの関係の中で、メーカーが泣かざるを得ないタイミングがいくつかある。その最初がオープン特価への協力だ。客寄せのため、スーパーの仕入担当者から半ば既成事実のように、特価協力への「要望」が来る。それに応えなければ、、、わかってるよね?ということだ。

オープン特価以外には、数週間ごとの特売への協力もある。むしろこちらの方が、オープン時以外にも定期的に来るわけで、メーカーにとってはきつい。正直なはなし、二件目の価格は、業界第一位であるタカノフーズの「おかめ」シリーズだからこそできるのだと思う。

私も都内のスーパーを歩いてみたが、どうやらいま現在の納豆3パックタレ・カラシ付きの価格は、税抜き78円が相場のようだ。2年前に地方で48円や68円の商品がレギュラーで並んでいたことから見えれば、少しは価格が上がっているようにもみえる。

が、しかし、そうではないということをこのメルマガの読者ならおわかりだろう。円安に振れたことで、相対的に円の価値は低くなり、ほぼ輸入に頼っているレギュラー商品むけの外国産大豆の価格が上がっているのだ。また、石油由来製品であるポリスチレン(PS)容器やタレ・カラシの袋、そしてラップフィルムの価格も上がっている。

つまり、78円に戻ったとしても、原材料費分だけの値上げだろうと思われるのだ。先週書いたように、スーパー側は納豆のコスト計算をよく理解してしまっている。だから、納豆メーカーに便乗値上げはさせず、原材料費部分だけを補っているのだろうと思う。

さて、それではいよいよ、納豆の価格がどんな構造になっているのかに迫っていこう。

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また、今週号では衝撃的な話もあります(しかも冒頭)。

■食べもの最前線
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