やまけんの出張食い倒れ日記

銀座~合羽橋散策から、びっくりするほど美味しいコーヒーとオニオンサンドとの出会いに嬉しくなる!

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じつをいうと僕はほとんどグルメガイドを読まない(dancyuとあまから手帖は除く)。なぜかというと、思わぬ出会いというのがなくなってしまうからだ。「ああ、この店は前に読んだあの店か」となるよりも、「なんだなんだこの店は!」と驚き愉しむ方が、何倍も嬉しい。自分の嗅覚で入った店が美味しいことこそが、食い倒れ人生の勲章だからだ。

今日は、都営線の一日周遊切符を使って午後の散策。東銀座からキヤノンギャラリーへ行って、伏見行介さんの写真展へ。

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伏見さんは正月の三が日の間、ヨドバシカメラ新宿店の店頭で、ライティングをしての撮影をしてくれる。今年これに夫婦で撮ってもらったのだ。その出来たるや、これがプロか!という素晴らしいもの。

その時のカメラはOLYMPUSのE-M1に12-40mmレンズ。つまり僕がいつも使っている組み合わせ。でも、レンズの前ガラスが曇っているのであれっと思って聴いてみたら「これはね、保護フィルターにワックスを塗ってわざとソフトな写りになるようにしてるの」と教えて下さった。

今日も在廊しておられたのでご挨拶。デジタルなのに粒状感の強いざらついた表現。「これはね、シルバーエフェクトっていうソフトで、わざとそうしてるの。ぼくらの年代は粒状感がないと写真っぽく感じないんだ」と。

無料で観られる写真展なのに素晴らしい作品群でした。ありがとうございました。

4時からギャラリートークだったのだけど、実はこの日、買い物があったのでなくなく離れて浅草駅で降りて合羽橋へ。家の片手鍋をステンレス製に変えようと物色。その帰り道。

和菓子店でアイス最中と書いてあったので、むむっそこで詰めてくれるの?と店内を観たら、奥で新聞を読んでいた店主と目が合った(気がした)。ので、入ってアイス最中を所望。

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バニラがなかったのだが、北海道産小豆をつかった小豆がたべたかったので、そちらで。

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こいつが大正解!

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皮のパリッと感と香ばしさ、なかのラクトアイスの控えめな甘さ、とても美味しい!

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店先のベンチでパリパリ食べてたら、道行く人達がガン見してくる(笑)

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この辺にはとにかく古い喫茶店が多いのだが、多くはまずドアが曇りガラスだったり茶色のガラスで店内がうっすらとしか見えない。そしてうっすら見えるソファが黒か茶色の革製の年代物っぽい。きっと居心地はいいんだろうな、でも煮染めたようなコーヒーが出てきそうでちょっと入りにくい。ナポリタン食いたいときは入るんだけど。

そう思いつつ六区から少し歩いてまた路地に入ったら、透明なガラス戸で、カウンターがぐるりと厨房を囲む小体な喫茶店、そこの店主とまた目が合ってしまった。それも、僕が通り過ぎるまで数秒間。

うーん

なんか美味しそうな気がする。古い店なのに清潔感があって、なによりその佇まいがプロフェッショナル。看板を観たら「浅煎りの豆をネルドリップで」と書いてある。へぇ~、そんな店なのか。

で、入店した。

「いやー おやっさんと目が合っちゃったんで入っちゃいました」

「あー それはそれはありがとうございます、、、」

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嫁さんが「このお店、何年くらい前からやっておられるんですか?」ときいたら、なんと「昭和37年からやってるんですよ」と!(うろおぼえですがの生まれ歳より前なのは確か)

コーヒーはブレンドとストレートと書いてある。

「コーヒーのストレートって、なんですか?」

「うちはどちらかというとブレンドを評価していただいてるんですが、とくにどの豆がとおっしゃる方には、ストレートで出してます」

えっ
予想よりとっても本格的な、、、でもこういう場合はやっぱりその店独自の味が出るブレンドで。

おおぶりで厚めの白い無地のカップが出てくる。そうしてそこに、我が家にもある白地のホーローポットからコーヒーが注がれる。

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あー、 その都度ではなくて、一度に落としたコーヒーをぽっとで温めて出すのか。 そう思って、まあいいかと口にした。

ん?

んんんんんん?

美味しい、、、

色からすればそれほど浅煎りという感じではないのだが、酸味がきりりと残っている。しかも、最近のサードウェーブにありがちな、酸味しか感じられなくて、飲み疲れてしまう味じゃない。適切な煎りで出るコーヒーの美味しさ、香りがしっかり感じられる。

「お、おいしいね!」と嫁さんもとなりで目を丸くしている。あとで聴いたのだが、僕から見えないカウンターの中で、嫁さんからは入れているのが見えたらしい。

「ちゃんとその都度ネルドリップで淹れてたのよ。あのポットに直接ネルを張って、お湯を落としてた!」

そうだったのか!観てみたかった、、、

それと、さきのメニューの「トースト(1枚)」にかなり興味を引かれて、ピーナツトーストをオーダー。そうしたら嫁さんが「じゃ私はオニオントースト」。

へ!? オニオントースト?

よくみてみたら確かにあります、オニオントースト。

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こちらは280円。えええ、とおもって待っていると、、、

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ピーナツトースト! 写真じゃわからないだろうけど、通常のパンより一回り小さい、おそらく業務用の特製パン。トーストの具合が実にすばらしく、カリッとやかれ中はサクリと。

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ピーナツバターのまえにちゃんとバターを塗っている。ピーナツバターはすこし粒の残ったもので、それほど糖分を加えておらず、渋い味! これも美味しいわ、、、

そして、そして、本日最高の一品。

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これが嫁さんセレクトのオニオントースト!

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絶妙な厚みのオニオンスライス(生)とキュウリのピクルスという組み合わせだ!こんなの初めてだ、、、

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この感動、どうやったら伝えられるのだろうか。ほんのりとだけ熱が入って、タマネギ特有の辛みと、火の通った甘みの双方が味わえる。そしてピクルスの酸味と塩味が実にすばらしく効いている!

最高だ、、、

徐々に、地元の常連と思わしき人達が店に入ってくる。相撲をみながら、演芸場の演目のはなしをひとしきり。常連さんがいごこちよく長居する店なんだろう。

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その名は「喫茶アロマ」。帰宅してから嫁さんが「ねえねえ、あれすごく有名なお店らしいよ~!」という。そうですか、それはそうでしょうね。

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でも、僕はほんとうに心の底から、ここを知らなくて本当に幸せだったと思ったのだ。こんな出会いをゼロからできて、ほんとうに嬉しい、、、

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となりにはこれまた懐かしい「マルイシ」の看板まで掲げる自転車屋。

いい浅草散歩だった!