やまけんの出張食い倒れ日記

現在発売中の専門料理5月号はイタリア食文化研究家・長本和子さんとの対談。イタリア料理界にはこんな素敵な方がいらっしゃった!なんと嬉しいことに長本さん宅のパーティーにご招待いただき、イタリア料理の神髄を味わう僥倖! その1

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プロ料理人必携の雑誌「専門料理」の連載「やまけんが聴く!」今月号はイタリアの食文化を日本の料理人に紹介し、イタリア料理の文化的成り立ちを啓蒙してきた立役者であられる長本和子さんにご登場いただいている。そのご高名には何度も触れつつも、お目にかかるのは初めてだった。

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朗読のプロになろうと劇団・青年座に入るも、イタリアの食文化に魅せられてしまい、イタリアの料理学校で学び各地の歴史・文化を学んでこられた。それはまだ日本でイタメシブームが始まる前で、イタリア料理がフランス料理よりも格下だとみられていた時のこと。

 

帰国して、フランス料理とは成り立ちの違うイタリア食文化の本当の姿を、料理界や一般に発信し、またイタリア現地との太いつながりを活かして、日本の料理人をイタリアのレストランに長期滞在させる研修プログラムを展開。あのビコローレヨコハマの佐藤護シェフはその第一期の研修生。他にもミラノで独立開業し話題を呼ぶ「RistoranteTOKUYOSHI」の徳吉洋二シェフも卒業生だ。

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いつもお相手の仕事場などで取材・撮影をさせていただくのだけど、「川崎の自宅においで下さい」と言っていただいた。行ってみたらもうビックリ、ここは日本じゃないでしょ!?と驚く素敵なロケーションにあるお宅! 月に数回、ここでイタリア料理の料理人やソムリエ達の研修セミナーを開催しているということで、そのセミナーも座学だけではなく、長本さんご自身が腕を振るってコース料理を作って食べるのだという。

なんたる贅沢なセミナー! うらやましいなあ、と言っていたら、、、

「あら、じゃあ専門料理の編集部のみんなも混ぜて、パーティーをしましょう!」

えっ 本当ですか!? とはいいつつお忙しいだろうし、、、と思っていたら本当に「やるわよ」と言って下さったのである! なんたる僥倖!ということで行って参りました。

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「はい、じゃあまず前菜はね、テーブルではなくて上でやりたいから、持って行ってくれるかしら?」

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上? 上って、、、 といぶかしく思いながらベランダのらせん階段を上がると、、、

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おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお なんですかこの天国に近いスペース!

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アンティパストは5種!

まずは

■イワシのベッカフィーコ

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これは専門料理編集長の淀野君が「ベッカフィーコ食べたいです!」とリクエストしていたものだそうだ(笑) これがまた美しくて、そして美味しい! 近くで、長本さんの求めに応じてイタリア野菜を作ってもらっているという農園のセルバチコがまたビリッと効いていい!

■カツオのワインビネガー風味、野生のフェンネルをのせて

サバの予定だったが鮮度のいいカツオにしたとのこと。こちらにのっているのも農園産のフェンネル!

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香りが強くてカツオの個性を引き立てる。白い野菜の軸部分があるのが見えると思うが、イタリア料理好きなら「あ、フィノッキオ(フェンネル)だ」と思うだろう。しかしこれ違うんですよ。

「野生のフェンネルは株ができないのね。それで、フェンネルの株の部分の食感ににてるものを探したら、、、白菜!なのよ」

という「みたて」である。白菜も軸部分だけなら瑞々しく、サラダに向くのだが、こういう使い方をするとは!

■サルデーニャ風タマネギのスフォルマート

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これ何?と思ったら、僕の愛する炒め玉葱に、チーズをのせて焼いたもの。タマネギがトロントロンになるまで炒めてあって、その甘さとパルミジャーノのうま味、焼き目のパリパリが合わさって、こんな小さい容器ではなくどんぶり一杯分食べたい味わいである!

■プーリア風パルミジャーナ

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これうまかったなぁ、、、メランザーネ(ナス)で、味をつけたパン粉を包んでいるのだけれども、その中のパン粉にクスクスのような存在感があって、でも滑らかで、ナスの甘いジュースを吸ってトマトソースと合わせるとジュワッと美味しい!

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■モリーゼ風仔羊のチーズたまご風味

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これがね、一番の驚き!まるでタルトのような感じで鍋ごと持ってきてあって、茶色いぷつぷつしたものがのっているので「小豆のタルト??」なんて思ったら、、、茶色のは仔羊肉!

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「これはね、本当に知恵の料理。仔羊の肉をそんなに使わずにみんなでお腹いっぱいに食べるため、仔羊を茹でてその出汁ごとたまご、チーズと混ぜて焼くのね。そうすると、仔羊の出汁の味がたまごに行き渡るから、満足感があるの。」

これが今回のアンティパストで一番印象にのこった料理! たまごにしっかり仔羊の出汁が染み渡っていて、本当に滋味という言葉が当てはまるあじわい。キッシュとも、だし巻き卵とも違うのだけれども、イタリアのマンマがこういう料理を作るんだなと納得できる存在感なのだ。いや、本当に美味しゅうございました。

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しかも食べながらその場で長本先生の解説つきだもん、それはもう最高です。

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「さあ、それでは下のテーブルに移動しましょう」と降りたところで、柴田書店の編集長と別冊編集長が遅れて到着したのであった。

このエントリ、続きます。