やまけんの出張食い倒れ日記

今月号の専門料理「やまけんが訊く!」に、あの素晴らしい写真集「吉兆」を撮り下ろした三浦健司先生をお招きした!目の前でマジカルな自作撮影器具が炸裂した幸福の一時!スマホでできる撮影の工夫に、料理人がカメラマンにどうオーダーしたらよいかまで。ぜひ読んで下さい!

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Nikon D810+24-70mmf2.8

「専門料理」今月号の僕の対談連載は、カメラマンの三浦健司先生をお相手にさせていただいた。このコーナーの対談相手は、僕が関心を持つ人というのはもちろんだけど、最近では編集部から「こんな方がいらっしゃるのですが」と提案していただくことが多い。そのほうが僕も愉しいので、ここしばらくは編集部からの提案企画が多かったのだが、もちろんこの回は僕から「三浦先生にしよう!」と提案した。

B06XW8GJJP 月刊専門料理 2017年 06 月号 [雑誌]
柴田書店 2017-05-19

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三浦先生はカメラマンの傍ら、何冊もの初心者向け写真入門書を出しておられる方だ。おそらくこの辺の表紙を見たことがあるという人も多いだろう。

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中でも、一番上にある「新・プロが教えるデジカメ撮影テクニック」は、数年前に大ヒットした本だが、なんとこの2月に大幅に増補改訂して新版を出されたという。しらなかったーーーこの本は、いわゆる撮影ボックスと蛍光灯を駆使してプロっぽいライティングを実現してしまおうというもので、コンパクトデジタルカメラやスマホのカメラでも「おおっ」と驚く写真を撮れるよというものだ。ライティングに興味があるけど、いきなり大型ストロボ買うのも気が引けるという人は、この本を一読してみるといいと思う。

新・プロが教えるデジカメ撮影テクニック 人物、商品、生き物の魅力を引き出す119例 (WEB PROFESSIONAL)
新・プロが教えるデジカメ撮影テクニック 人物、商品、生き物の魅力を引き出す119例 (WEB PROFESSIONAL) 三浦 健司

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僕も読ませていただいたが、旧版よりずっとよくなってる!ズルイ~(笑)

でも、僕が三浦先生の代表作だと思うのは、なんといってもこれだ。

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4770041209 京都兆(日本語版) - Kitcho: Japan's Ultimate Dining Experience
徳岡邦夫
講談社インターナショナル 2011-02-17

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出版されてすぐ、事務所近くのタロー書房に置かれていたのをみて衝撃を受けましたね。でも、今回お話を伺って驚いたのは、この本の中身は細かな打ち合わせをしないまま臨んだほとんど一発どりばかりということ。どんな状況にも対応できる経験がなければ撮れるもんじゃない。徳岡さんの素晴らしい料理の一番美味しい瞬間が美しく表現されている。いま、中古でしか手に入らないかもしれないけど、買っておいて損はないよ!僕は日本語版と英語版と両方持ってます。

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インタビュー内容は三浦先生のご出身の十勝の話しなど多岐にわたるので、ぜひ読んで下さい。ここでは、あまり誌面に載せられなかったカメラ話について(笑)

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先生が愛用しておられるのはニコンのD4s。1世代前のフラッグシップだ。これには理由があって、ニコン純正のRAW現像ソフトであるcaptureNX2が使用できる最後の機種だからだ。

「僕ね、Photoshop使えないんですよ」とニコニコしながらおっしゃったので驚いたが、CaptureNX2の開発陣にアドバイスをしていることもあり、このソフトでの仕事のフローがもう身体化してしまっているということなのだ。そう、実際ぼくも長いことCaptureNX2を使ってきたけど、Photoshopでは出せないところまで色や階調を引き出すことができる。使えなくなってしまったのが本当に残念。

しかしもうひとつ理由があって、それは先生の使用レンズがPCレンズ(キヤノンでいうTSレンズ)、つまりティルト・シフトをできるレンズだということ。

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「これはね、もう最高ですよ」とニコニコしながらみせていただいたのは85mmf2.8。30万円くらいする高級レンズです。このレンズはマニュアルフォーカスなのでふつう三脚につけて使うものだけど、先生は手持ちで使用される。

「三脚なんか使ってたら、機敏な撮影ができないでしょ。だから目であわせるんです。」

そのためには、ファインダーはクリアに見えなければダメ。だからフラッグシップ機を使うのだ。

もうひとつ、三浦先生といえば撮影道具を自作したり、カスタマイズしてしまう名人でもあられる。

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このソフトボックス、一番前面にあるはずのディフューザーがすこし内側に入っているが、これは純正品ではなく自分でベルクロをつけて装着したもの。なんでこうする必要があるかというと、、、それは三浦先生の本を読んで下さい。すっごい意味があるんです。

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クリップオンストロボをつけるアンブレラホルダーにも一家言。

「最近の製品はダメ。クリップオンストロボとディフューザー面を自由に調整できるつくりになってないんですよ」

とおっしゃってたけど、本当にそうなんですよね。

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これは自家製スヌート。たんに黒いボール紙をまるめたもの、ではありません!

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この楕円形のレフ版、どこかの製品かと思ったら、、、

「これ、自分ごのみの形がなかったから、作っちゃいました」

だって!?マジですか、、、でも、製品になっているものより断然軽い。自分で作るってとても自由なんだなと思ったのだ。

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この日は、自作の撮影機材を使って料理プロセスを撮ると仮定した時の写真も撮らせていただいた。編集のWちゃんが炒め物を作るところを撮るのだが、先生が左手に持っている自作ディフューザー付きのストロボに注目!これだけでスゴい効果が。

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そして、この写真じゃわからない「ある技」を使って、コンビニ食材を炒めた一皿を撮影(先生、料理人の一皿でなくて申し訳ありませんでした、、、)。

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うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

素晴らしい!

メインライトでしっかり全体を表現しつつ、ある方法でサブの光を入れてハイライトを立たせることで、立体感が出ている! 本気で感動してしまった、、、

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この辺の秘技はこちらの本に掲載されてます。

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カメラで料理を撮影することが好きになっちゃった人、もう一歩進みたいなと思った人はぜひ購入してみてください。三浦先生のテクニックは本当に素人でも使えるものが多いのでお薦め。ただし、相応の投資とクラフトマンシップは必要です。といっても、クリップオンストロボは2万円程度で買えるようになったし、100円ショップで買える素材を切り貼りしてライティングに使うということが書かれているので、たいした出費ではありません。

三浦先生、対談をお受けいただき、本当にありがとうございました!