やまけんの出張食い倒れ日記

今年も出ました「そばうどん2017」! 一年一回刊の、そばとうどんの専門誌。今年号から連載特集「練りもの百景」開始。初回はやっぱり愛媛は南予地方の練りものを往く!かまぼこってこうやってできるのか、原料のエソってこんなに旨い魚なのかと驚きの連続!

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■そばうどん2017 (柴田書店MOOK)

そうそう、ちょっと前に出ていたのですが、忙しさにかまけて告知し忘れていました。今年も出ました、柴田書店が一年に一回だけ出版するそばとうどんの専門誌「そばうどん」2017年度版です! といっても、この本ほど、普通の人が手にとったことが少ない本もないかもしれない。本屋さんもこの本をどこにおいていいのか悩むらしい。そば屋さんやうどん屋さん向けの本ではあるけど、じつは一般の人が読んだって愉しくて、そしてちゃんとおいしいそば屋・うどん屋ガイドにもなっている。

まあ、初めての人もぜひこの目次をみて下さいよ。柴田書店のサイトから、最初の19ページ分を立ち読みできるから。

 

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■柴田書店のページへ

僕が関わるようになってから、「麺と郷土」という郷土そば・うどんのページと、前半の特集ページの二企画をやらせてもらっている。今年度の特集企画はずばり「練りもの百景」だ。

そばやうどんによく添えられるものが練りもの。温かなそばにかまぼこが乗っていたり、またさぬきうどんにちくわ天は付きもののひとつだ。そんな練りものを掘り下げるということは、これまでそうなかったらしい。

昨年、愛媛県は松山市のうどん「ことり」と「アサヒ」を取材した帰り、時間がすこし余ったので、編集のサイトウ君と松山の三津浜を歩いたのだ。港近くには場所柄だろうか、ちいさな工場に隣接した蒲鉾店があった。四国に縁の無かったサイトウ君は、きっと愛媛特有のかまぼこである「す巻き」を識らないだろうと思って、す巻きとちくわを買い求めた。歩きながらす巻きのストローをむしって、かまぼこをちぎって食べさせた。そうしたら目を見開いて叫ぶのですよ。

「なんですかこれ! こんな食感のかまぼこ食べたことない! 魚の味がするっ!」

そうなんですよ、愛媛県人は練りものにうるさいですからね、、、俺も埼玉で育ちつつ、母の実家から送られてくるす巻きやじゃこ天の味を覚えて育ったので、関東で食べる練りものが嘘くさくて嫌いだったんだよね(もちろん関東でも素晴らしくおいしい練りものがあることを、後に識るのだけれども)。

「こういう練りものもそばやうどんの名脇役だよね、、、」

と呟いた瞬間、僕とサイトウ君の脳裏にほぼ同時に”企画になるじゃんこれ”とよぎったわけだ。その記念すべき第一回は、やっぱりひらめきの土地である愛媛県。ただし、練りものの本場と言えば、じつは南予地方のほうがディープである。ということで、JR松山駅を訪れる人なら識っているであろう、その場で揚げたてのじゃこ天をうどんにのせてくれる「かけはし」からスタート。

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「そばうどん」ではなく「うどんそば」の順番であることに注目!これが四国や九州のデフォルトだ。

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このじゃこ天をつくっているメーカーが、じつは松山ではなく南予の宇和島のメーカーである安岡蒲鉾店!

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絶品だったのが、油揚げにすり身を乗せて芸術的な手さばきで巻き、蒸し上げた「揚げ巻き」。これ、存在はしっていたけど、こんなに旨いとは識らなかった!

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じゃあこのかまぼこがどんな段階を踏んでできているのかに肉薄するため、朝から午後まで密着取材をお願いしたのは、、、

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八幡浜の無添加じゃこ天で有名な「鳥津商店」さんだ!

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鳥津さんと初めて会ってからもう5年以上経つが、こうして取材で伺ったのは初めて。ようやく実現して佳かったぁ~

 

しかも、今度書くけど、このエソというかまぼこの原料となる魚、おいしいんですよ!その一番おいしい、かまぼこ屋さんらしい食べ方を味わせていただいたのだ!これは誌面には載ってないので、今度ここに書く!

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そして、「練りもの百景」でいちばん苦労したのは、図鑑のようにかまぼこ製品を並べたページ。だって大きなメーカーさんだと一社で50アイテム以上あるんだもん。それをひたすら並べて切って撮影させていただくのにお付き合いいただいたのは、おがた蒲鉾店。

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ご対応いただいたのは、、、

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堀江君や二宮清純さんといっしょにじゃこ天ツアーをした際に廻らせていただき、その後、ぼくの食い倒れ本にもご登場いただいた河野さんだ! 本当にありがとうございました!

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これは、誌面には載っていない焼きちくわの製造工程。最高にエキサイティングでしたね。

日本はこれから水産資源に関して、資源管理をきちんとしなければならないという圧力にさらされる。それはとてもよいことで、このままの調子でとり続けたら、クロマグロやウナギだけではなく、さまざまな魚がいなくなってしまう(今年はイカが獲れなくて大変だけど、これもきっと、、、)。

しかし、それ以前に雑魚と呼ばれている、未利用の魚がとっても多いということにも一つ問題があると思う。未利用魚は人気が無い魚であったり、おいしいけれども小骨が多いとか、流通にのせてスーパーで売るには難しい魚であることが多いだろう。そうしたものをすり身にしておいしい食品に仕上げることには意義があると思う。

練りもの百景はそんな思いを抱きながら、日本の練りもの文化を練り歩いて、紹介させてもらう連載にしていきたいと思っている。来年はどこにいこうかな。ということで、「そばうどん2017」をぜひ読んで下さい。よろしくお願いいたします。

そばうどん2017 (柴田書店MOOK)
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