革命的な商品二つのその1 工場生産主体の大手メーカーが、なんと手でニガリを打つ、本気で美味しい豆腐商品を売り出す面白さ!

2017年7月 2日 from 食材

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D810+TAMRON90mm

青森に本拠をもち、日光の近くで首都圏向けの豆腐工場を持つ太子(たいし)食品。大学の後輩がこのタイシ食品の社長さんの息子であるということもあって、親しくさせていただいているのだが、このブログでも取り上げてきたとおり、革命的な商品をこれまでも打ち出してきた。

まず人手を極力介さない工場生産を実現。というと美味しくなさそうに思うかも知れないが、そんなことはない。質のよい大豆(輸入も国産も両方のラインナップがある)と本物のにがりだけを使い温豆乳で寄せた豆腐を衛生的に出荷するための方式であって、味は素晴らしい。

そして、このブログでも取り上げたが、「箱入り娘」という商品ではおそらく大手メーカーとしては初の、充填水を入れず、出荷前の殺菌処理もしない豆腐を出した。

佳い豆腐です! 工場生産品では今まであまりない”生の豆腐”で、保存水を一切使わない、そして素晴らしく美味しい豆腐だ! 青森の太子食品の心がこもった「箱入り娘」がデビューした。東急ストアが近くにある人はまず買って、他の豆腐と食べ比べて欲しい!
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2014/10/10235.html

上の記事のタイトルでは保存水と書いているが、スーパーで買う豆腐は、パックに豆腐が入った外側に水が充填されている。あれがなんのためにあるかというと、もちろん豆腐が崩れないようにという意味合いもすこしはあるかもしれないが、それは主目的ではないらしい。

スーパーに出荷する場合、一般生菌数を下げて日保ちをよくすることが重要視されるため、豆腐をパックに入れ、フィルムでシーリング処理をした後に80度前後の温度をかけて、殺菌する。この時、包装と豆腐の間に空気の層があると熱伝導が悪いこともあって、水を満たしておくわけだ。

この殺菌は豆腐の凝固温度よりは低いので、それほど風味を損なうものではないと言われているけれども、やはり豆乳由来の香りや甘みは飛んでしまうという。だから、豆腐メーカーは殺菌を見越して、風味を強い豆乳を作ることを重視するらしい。

でも、本来よい豆乳を使って豆腐を寄せているならば、殺菌をせずに出したいものだとタイシ食品の工藤社長は考え、製造ラインを徹底的に衛生管理し、二次殺菌を必要なくすことに成功した。だから、「箱入り娘」は二次殺菌の熱を加えていない、生の風味のある豆腐だというわけだ。実際にこの豆腐は、大手メーカーのものとは思えないほどに風味があり、また弾力がその辺の安い豆腐とまったく違う。まだ食べたことがない人はスーパーで他メーカーのものと一緒に買い求めて比べてみるといい。

さて、それは本題ではなかった。

大学の後輩である工藤君から「じつは新製品が出ました」という連絡があって、事務所に送ってもらったのがこの「蔵王の匠が寄せた手造りおぼろ」だ。

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ちょっと驚いた。というのはこの商品、タイシ食品が得意としてきた工場生産品から一歩立場を変えた商品なのだ。

というのは、、、ラベルの商品名のとおり、ほんとうに手で寄せているらしいのだ。製造風景の写真もみせてもらったが(企業秘密の技が写っているらしいので、ここで公開はできない)、ほんとに手寄せだ。僕の大好きな両国の「豆源郷」の横井君がおぼろ豆腐を寄せているのをみたことが数回あるが、それと同じように本気で手寄せをしている。

といってもよく伝わらないかも知れないけど、要するに工場生産主体の大メーカーが、街の美味しい豆腐屋さん的な手造りラインを作ったということだ。なんでいまさらそんなめんどいことを?

と思いつつ食べてみる。

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おぼろ豆腐というのは、大きな桶(寸胴のような)で豆乳を寄せ、トロンと固まったのをおたまなどですくって容器に入れる。おもしをして脱水させたりしていないので、凝固剤を入れて固めた断面そのものがあらわになる。みっちりと重みのある凝固で、見事である。

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味がですね、とてもよろしいです! これは文句なしに美味しい。

豆乳濃度がとても濃い。さいきん、口に入れたとたんに甘さや香りを「感じすぎる」豆腐が多いが、あれはだいたいにおいて、本来は必要のないモノグリセリドなどの油脂分を入れているものが多いと思う。乳化にがりとかね。あれはちょっといやらしい味になるんだよなあ。

けれどもタイシ食品は乳化にがりを使わないメーカーだ。ほんとうのにがりだけでよい豆乳を寄せたこのおぼろ豆腐、いやらしい濃さはない。筋のいい大豆のスッキリしたうま味と香りで、塩や醤油をかけずとも口が満足する。

まあしかし、タイシ食品らしくパッケージからその美味しさ感がぜ~んぜん伝わってこないので、店頭では売れないだろうなあ、と思ってしまう。どうやったらいいんでしょうね、おぼろ豆腐のパッケージって。難しいなあ。

この商品、現在はイトーヨーカドーで販売されていて、これからヨークマート、いなげや、東急ストアなどでも販売される予定。いちど食べてみて欲しい。その際は、かならず他の豆腐メーカーのものと一緒に買い求めて、食べ比べをしてみて欲しい。そうじゃないと豆腐の味って比較のしようがないからね。それでも、1000円超えないんだから、気軽に楽しめる食べ比べだよ。

食べてごらん、食べれば分かるさ、味とこころざしの違いは!