宮崎の大根やぐらが唯一無二である理由。それは、ブルーシート巻き上げ機構の発明である!農家自身が創り上げたこのすごい文化をみよ! 写真展「大根百景」で登場しない写真で解説しよう!

2017年9月27日 from イベント,カメラ,首都圏

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いよいよ今週土曜日から写真展「大根百景」始まります。

さて、土曜日初日16時からのギャラリートークでも話すけど、宮崎市田野町およびその近隣の大根やぐらにしか存在しない、ある大発明がある。僕はその存在を知ったときに「これこそが文化だ!」と衝撃を受けてしまった。今回はそのことについて。

■大根百景 http://islandgallery.jp/14961

まずこの写真↓をみて欲しい。

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骨組を三角形に組んでいる。横棒はまだ6段目までしか組んでいないので、あと4段追加すれば、標準的な6メートル高さのやぐらが組み上がる。

ところが!

こちら↓の完成したやぐらの写真をみてほしい。

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またはこちら。

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三角形の外側に、ぜんぜん大根干しに貢献していなさそうな余分な骨があるのがわかるだろう。

いったいこれは何か!?

大根干しは冬場に行われる。田野町のシンボルとも言える鰐塚山(わにつかやま)という山から吹き下ろす強い寒風と、昼間の強い日差しの二つによって大根を干していくことができるからだ。ただし、この時期は常夏の宮崎県といっても、夜になるととても寒くなる。それこそ氷点下に達することもある。そうすると、無防備に大根を干していると、凍ってしまい、品質が劣化してしまうリスクが生じる。

また、もし雨が降ったりしたらどうなるか。大根は水を吸い、カビが生えたりしてしまう。

この二つのリスクを回避するため、古くはむしろのようなもの、今はブルーシートをやぐらにかけて、寒さや雨をしのぐのである。

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やぐらは明け方までこんなふうに、ビニールシートでぴっちりと覆われている。氷点下になりそうなときは、中で灯油ストーブを焚き、あたためているのだ。

このビニールシートかけ、以前は人がシートを持ってやぐらを登り、かけていた。そりゃ、普通それしかないよね。でも、ビニールシートを二人か三人で持ち上げているところに突風でも吹いてみたとしよう。風をはらんだシートの力によって、人が落ちてしまうことを想像してみて欲しい。実際、そういう事故が頻発していたのだ。

やぐらは一番高いところで6メートル。落ちたらタダではすまない。いまでも毎年、落下事故があるというのだから。

そのことに頭を悩ませる人が多かったのだろう。すごい機構を考えた人がいた。ビニールシートを自動的に巻き上げる仕組みを作ってしまうのだ。

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上の写真をみると、やぐらの下にブルーシートがずっとむこうまで続いているのがわかるだろう。これ、やぐらの長さ分のながーいポールが渡されていて、それにブルーシートをつなげている。これを巻き上げる仕組みがあれば、人がえっちらおっちら登らなくてもいいということになる。

でも、みておわかりの通り、やぐらは長い。普及サイズで50メートルくらい、長いものは100メートル以上ある。すっげー重さになるし、力学的に人力で持ち上げるのは難しい!

そこで、シートの上げ下げをする仕組みを装着するのだ。

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上側のシートを巻き上げたり、逆に下げたりする部分をどんな動力で動かすのかというと、車(軽トラや農機)で引っ張るという方法と、ウインチのような機械を使うのと二種類ある。人力では無理です(笑)

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で、この農機が引っ張るロープは、とても精妙な滑車システムを駆使して、動力をシートに伝えている。

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ちょっとわかりにくだろうけど、、、

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ほら、この紐を引っ張ると、シートが全部持ち上がるんだよ、と説明をしてくれているのは、この仕組みの元祖をつくりあげた人から教わったという方だ。まだ、この自動巻き上げ機の発明家はご存命なのだ。

それではこの仕組みを使って、朝にシートを下ろしているシーンを!

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反対側も!

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やった!

これと逆の動きが、巻き上げとなる。

どうですか、こんなスゴい仕組み、農家が自分で考えて創り出している。驚きを通り越して感動しちゃうね。ちなみにこの仕組みは地域一帯で共有されていて、ある程度以上の規模のやぐらには必ずこの仕組みが装着されている。そして、宮崎以外の地域では、おそらくこの精妙な機構は存在していないのである。

この機構についての話しも、しっかりギャラリートークでさせていただきます。お楽しみに!

 

■大根百景 http://islandgallery.jp/14961