September 20, 2004

BSEに関して今、感じておくべきこと

こと農業という分野について、インターネット上で有用な情報を収集することはとても難しいのだが、日本語で書かれている資料という点ではさらに難易度が高まる。それも当然で、技術情報については、産地間での極秘事項であり、クローズドな場でしか公開され得ない。

ただ、政治的な側面の話となると事情はまた別である。僕が日頃、海外の農政関連の動きを参考にしているサイトが一つある。

■農業情報研究所
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/

米国やEUの農政の動向を専門的な視点からレポートしてくれるこのサイトを、常に尊敬の念を持ってみてきた。長いこと、どういう人が運営をしているのかがわからなかったのだが、久しぶりに覗いてみたところ、お名前と、これまで何をしてきた人なのかが明記されるようになっていた。

トップページをみればわかることなのでここには書かないが、やはりそうだったかというお立場だった方だ。定年退職されたということで、今後ますます鋭い視点からの執筆を期待できるだろう。

このWebの中で比較的新しい記事に、以下のようなものがある。

■米国産牛肉輸入再開の決定が迫る 懲りない人間たちにつける薬は?http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/highlight/04091301.htm

最近、BSE問題に関する消費者の意識が沈静化してきたかのように「見える」が、事態は全く変わっていない。BSEを根絶するために必要なことは、不自然な牛肉生産の方法を是正すること以外にないはずだ。しかし、報道されている内容をみると、「BSEの疑いがある牛を出荷前に識別し、取り除くこと」に意識が注力されている。これをオカシイと思わないだろうか?

本来は、

「BSEが発生しない牛肉生産方法とは何かを明らかにし、それを普及すること」

が成されるべきではないか?しかし、そうした論はほとんど一般紙ではみられない。

そういえば本題とは離れるが、一般紙の農業問題に関するレベルの低さは一体どうしたものだろう。特定の企業や省庁、研究所がぶちあげた荒唐無稽な構想を、専門的な視点からの吟味を全く通すことなく一面に掲載する。一般人は「あの新聞に載るくらいだから」とそれを普遍化された情報と認識する。しかし我々業界内部の人間からみると、まったく箸にも棒にもひっかからない話だ、ということが多々ある。猛省を促したいが、僕ごときが言ってもゴマメの歯ぎしりだな。

さて
BSEのような事態を生み出さない飼育環境とは、おそらくCodex基準としてまとめられつつるオーガニック畜産に近いものであろう。その内容についてはここでは詳述しないが、効率重視の大量生産を旨とした近代畜産とはかけ離れるものになる。つまり、ビジネスとしては効率性が悪いため、広範に採用されることは難しい。もし、消費者がそちらの方向性を支持したらやっかいだという意識も働いているのだろう。

僕は農産物を巡るビジネスをしている人間なので、効率重視の農業を完全に否定することはしない。しかし、自分が農業生産を行うのであれば、おそらくそれを採ることはないだろう。それは、選択性の世界だと思うからだ。

しかし、選択性の世界が存在するためには、選択肢がなければならないのは当たり前のことだ。牛肉に関しては、小売店頭では表示をみればどこの国のものかがあるていどわかるが、業務用つまり外食や弁当などについては、分かりようがない。そこには依然としてリスクが存在することを理解した上で、選択をするべきだ。

BSE問題はまだ終わっていないし、今後も消えることはないだろう。上記サイトにはかなり濃い情報が載っているので、参考にされると良いと思う。

Posted by yamaken at 05:12 AM | コメント (262)