僕が学生の頃に、後輩の子が「お父さんも農業関連の仕事なんです」と言って、引き合わせてくれたことがある。それが、財団法人 新農政研究所 の理事長を務めていた松浦氏であった。
その松浦さんがお亡くなりになった。謹んでご冥福を祈りたい。
当時、慶應義塾のキャンパスに畑を拓き、インターネットの普及で農業生産にも変化を、と言っていた僕に対し、お会いした松浦氏は骨太な農業論をガツンとぶつけて頂いた。たしか江ノ島花火大会の日、江ノ島のボートにて酒盛りをしているところに、僕も同席させて頂いたのだ。その後、江ノ島から茅ヶ崎のご自宅まで延々と海岸を歩き(僕の後輩である娘が乗り物に極端に弱いということだった)、家でしばらく歓談。その際に農産物の先物取引の話を熱心にしておられた。
「穀物だけではなく、農産物全般の先物取引が必要だ。これやるから読んどけ」
いただいた小冊子は彼の手によるものだが、当時まったく理解できない代物であった。いや今でもようわからん。しかし、俺なんかがわめいているような茫洋とした農業希望論ではなく、明確に産業としての成り立ちを下支えするためのスキームについての話なんだなぁと、恐れおののいた記憶が残っている。
その後、僕は勝手気ままに活動するのみ。一度、ヤンマーの学生論文コンクールに優勝した際に、報告にお会いしにいったことがある。その時は、僕が作っていたホウレンソウを持っていくと伝えたのだが、いざ畑にいくと、かなりでかくなりすぎていて不格好なので急遽とりやめ、菓子折なんぞを持っていった。すると
「なんだバカやロー慶應の学生が作ったホウレンソウが来ると思って楽しみにしてたのに!」
とひどく怒られた。後に奥さんが、「ほんとに朝から楽しみにしてたのよ」と言われ、うーんそうだったかと反省した記憶が生暖かく残っている。
当時は松浦さんのすごさを理解できないでいたが、今から考えるととてつもない人であった。農業の世界で、テレビなどに出てくる人は、ほとんどが生産者だ。しかし、生産者がいて流通業者がいて販売業者がいて、その他に政策を決める官僚がいて、農林水産分野を得意とする代議士がいる。そして、学術的な見地から政策への提言をする学者がいて、松浦さんのように積極的な働きかけをする、半官半民の立場の研究者がいるのだ。
松浦さんの娘が僕の後輩なのだが、なんの縁やら、その娘の兄が、僕の大学院の同期である。彼は当時すでに社会人で、日経BP社の記者であった。今はフリーライターで、宇宙開発・ロケットの論客としては日本を代表する一人だ。
その彼のblogに、父・松浦龍雄氏の一生期がある。
おくればせながらそれを読み、感銘を受けた。
こんな骨太な人生をおくる人が、これから出てくるだろうか。
■松浦晋也さんのblog
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2004/10/post.html
関心のある方はぜひ。
来週、松浦さんと呑む。親父さんを悼みつつ、呑むことにする。
恐ろしい状況になった。
大田市場の某卸会社の相場で、とうとうレタス1ケースに一万円が付いたらしい。主な結果は下記のとおりだ。ちなみに下記は卸値。ということは店頭価格はこれの4〜5割増くらいと考えた方がいい。
きゅうり 5Kg 7000円 → てことは小売価格が3本で600円くらいか。
レタス 16玉入り 10000円 →小売価格は1玉1000円前後?
ホウレンソウ 1束200g 400円 →小売価格800円くらい?
うーん ここんとここんな相場は観たことがない。
これを観て、多くの消費者が、「ものがないからって高値を付けて、大儲けしているだろうな」と思うだろう。でも違うのだ。いま、市場にも商品が入ってこないのだ。市場は、商品の取引をを仲介することで定率8.5%の手数料をもらうという商売だ。だから、いくら高相場であっても、モノがなければ何もならないのだ。
そして生産者だって、出荷できている産地はほんの一握りだ。誰かが甘い汁を吸っているといっても、そんなのは焼け石に水であり、マクロ的にみれば日本国内全体で野菜・果物は絶対的な供給不足になる。
おそらく台風一過後まで何もできないから、新しく種を蒔いても、12月後半から年明けにならないと、収穫は困難だ。
これを受けて、今までは中国産に見向きもしなかった業者までもが、輸入商社に買い注文を出している。農薬騒動で一方的に取引を切ったりしていたくせに、てのひらを返したようにすがりついてきた、と輸入業者の人が漏らしていた。
ん〜
なんて書いていたら、和歌山の流通業者であるにも同じようなこと津田ちゃんのblogが書いてある。
さっき近くの八百屋「八百周」で親父さんと立ち話をしてもこの会話。
さあ、この試練をどう見るかだ。