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2004年04月07日

焼き鳥&釜飯 とっておきの秘密の名店を教えてあげよう。 人形町「鳥長」

jpg 焼き鳥は大好きなんだが、一方でバードコートのような高級店も大好きながら、他方ではやはりある種下世話に串をつまめる店が好きだ。かといって、ブロイラーに毛が生えたようなまずい焼き鳥では興が冷める。やはり串自体は旨く、店の大将とツーカーの関係ができて丁々発止できる店が一番佳い。

 そこで、僕のとっておきの店を一つ紹介しようではないか。この店、焼き鳥が旨いのもあるが、なんと言っても〆の五目釜飯が、おそらく日本有数に旨いこと間違いなしの店なんである。 しかも! 店の大将のキャラが最高! 食い方がまずかったり筋の通らない客を怒鳴りとばす、筋金入り江戸っ子オヤジなのである!この大将との心の交流が好きで僕なんかは通っているのである。

■鳥長
東京都中央区日本橋人形町2-26-14
11時~13時 ・ 17時~22時
土日祝(但し第4土曜っていうか給料日後の土曜日は営業している)
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 この店に行く時に絶対に気をつけなければならないことがある!それは、、、焼き鳥の串が出てきたら、すかさず食べること!おしゃべりに夢中になって皿の上で串が冷えてくると、大将がイライラしてくるのが傍目にもわかる。そのうち怒号が飛ぶ。僕が目撃したなかで一番すごかったのは、ある中年客3人がずっと話に夢中で、砂肝が手つかずで皿の上に放置されていた。大将、チラッチラッと目をとばす。ヤバイ、、、そのうちにその客が大将にオソロシイ一言を、、、

「あのさ、これ冷えちゃったからもう一回焼き直してくれない?」

この時の大将の爆発ぶりは忘れられない。顔が真っ赤になって、文字通り爆発であった。

「こっちが備長炭できっちり焼いてるのに、なんでさっさと食わねえんだヨっ!うちは客を選ぶ店なんだからなっ!」

言葉尻だけだと乱暴傲岸に聞こえるかもしれないが、しかし居合わせた他の客は大将の味方なのであった。これは全くその客に非がある。可能な限り食事は料理人の意を汲んで食べるべきだ。話がしたければ店を選んで欲しい。同席した常連みんながそう思っているのであった。

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 さてこの店、大将がかようなキャラの人物だが、上記ルールを守りさえすれば気持ちよくサービスをしてくれる。焼き鳥はお任せでもいいし、自分の好きなモノを頼んでもよい(その場合は2本単位になる)。常連になれば完全にお任せにすると、普通出さないモノも出してくれるようになる。大将との関係性構築の内容いかんにより、全く対応が変わってくるという典型的な店だ。

 僕はいつも座ると大将が、「いつも通り?」と聴くので、その時の体調に合わせて「ガンガン行って」というか、もしくは「バンバン行って!」あるいは「ボンボン出して!」の3パターンである。ま、要するにあるモノ全部だしてくれよというおねだりなのであったが、初心者はやらない方がいい。「あぁ?」と顔をしかめられること間違いない。

 一応注文のスタイルを。まず飲み物だが、あまり期待しないで欲しい。焼き鳥の店なので飲み物はシャビーだ。瓶ビールもしくはチューハイとなる。で、この店のチューハイは青リンゴ系のサワーを使った薄いものだが、これをジョッキで飲むのが乙。これを頼む時に、

「チューハイ 2つ!」  などというのが普通だが、もし覚えられるなら、この「2」の部分を
「チューハイ ニャンコ!」 と言ってみよう。これはセリ用語である。ニャンコは2。以下、
「チューハイ ゲタ! (3)」
「チューハイ ダリ! (4)」

というような感じだ。この時僕は、人数分+1の数で頼む。つまり2人で入店した場合は「ゲタ」で頼む。なぜかおわかりだろうか?当然、大将の分をおごるのである。これもまあ僕と大将との信頼関係なので、初心者はまねしない方がいいかもしれないが。

次に頼むとよいのが鶏刺しである。

この美しい笹身の肌を見よ!湯通しなどしない、完全な生である。ピンク色の肉がねっとりトロリと溶ける、バカ旨の刺身なのだ。

これに添えられているのは本わさびなので、醤油皿にサシをのせ、うえにチョンとサビを乗せて頂く。醤油にも追い鰹が仕込んでいるらしく旨みが濃い。甘めの味が、ねっとりしているが淡泊なサシに絡むと、口中が色っぽくてやるせなくなるのだ。

 続いて焼き鳥に移る。備長炭で焼かれる鶏は、すべて大将の好みでタレと塩が使い分けられているので、何も言う必要はない。

 ここの焼き鳥は秘伝のタレをくぐらせ表面だけはやや焦げ目つき加減にするのが流儀だ。お任せにするとまず焼かれてくるのが、合鴨串だ。
■合鴨

 塩味のこの合鴨は、「私、鴨は苦手なんです」という人がほぼ全て「お、美味しいっ!」と落ちていったほど、癖が無く旨みだけが残る絶妙の焼きである。

そして一番この店のネタで旨いのは、やはり王道の「かしわ」=正肉である。

■かしわ
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 モモ肉とこの店秘伝のタレの相性は、本当に最高だ。柔らかいのである。トロットロなのだ。それはブロイラーのような頼りないぶよぶよ柔らか状態ではない、確信犯的柔らかさなのだ。そして甘い肉汁とタレが絡み、コゲが旨さを倍加させるのだ。これを僕は3本くらいは食べてしまう。これには山椒が合うので、チョッチョッとかけていただくのが佳い。

かしわと一緒に出てくるツクネは、はやりの軟骨入りではあるが、細かくミンチにされているらしく口に当たるほどではない。七味をチョイと乗せて食べるのが吉である。

 さて焼き鳥といえばレバーに砂肝だろう。レバーは、当たり前なんだけど臭みの全くない、トロトロの濃厚な旨みの塊状態だ。いい具合のコゲが旨さを倍増。

■血肝(レバー)と砂肝
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そして、比較的空いている時なら出してもらえるが、貴重な「ちょうちん」である。つまり腹の中にある卵の黄身だ。

■ちょうちん
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気味悪がる人もいるのだが、要するに黄身の塊なのだ。他ではあまり食べられない卵管もくっついていて、これがまた乙なのだ。このくらいの店レベルであればモツの生臭みなんかは全くないので、そんなことを心配する必要はない。黙って前に並ぶ串を頬張るだけなんである。

■手羽、野菜
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■ネック(首肉)

 これはあまり出てこない串だ。ネックは首、鶏で一番動いている筋肉だから、実は一番旨い場所かもしれない。シコシコした歯触りとかみしめるとジワッと染み出てくる肉汁に、思わずため息なんであった。

 そして、秋頃に旨さのピークになるのがこのエメラルドだ。

■エメラルド(ぎんなん)
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 もうこの時期だと貯蔵品だからエメラルド色ではないが、、、秋のぎんなんは本当に最高!大将はこのぎんなんを薄皮つきの状態で串焼きし、火が通ったところで神ワザで薄皮を瞬時に剥き、塩をふって出してくれる。ホコホコホッコリとした粒を噛むと歯にニッチャリとくっつく感触、甘くてちょっとほろ苦く、特有の香りがコタエラレン。

 さて、、、そろそろメインディッシュに行こう。食べ進みながら、適当なタイミングで「五目釜飯」を頼もう。炊きあがりまでに15分かかるから、それを見越していい時期をみつけてオーダーすること。そうすると、専用お釜に、あらかじめ浸水させてあった米をお玉で量り投入。そして別鍋で仕込んである熱い鶏スープをひとすくい。最初の段階で投入すべき具剤をぽんぽんと放り込んで点火。吹いてきた段階で火加減の調整をし、水分がかなり飛んできたところで、第二段階の具(鮭、切り干し大根、錦糸卵、ウズラ卵等々)を配置。蒸しを十分行い、「はいよ~」とできあがるのである。

■五目釜飯
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 まず蓋を取ったら、しゃもじでご飯の周りをザッザッとほぐし、天地を返すように釜肌から混ぜ込んでいこう。上下をよく混ぜた方が旨いと思う。
 中には絶妙の火加減の入った鮭切り身があるのでこれをほぐして飯粒にまぶすべしだ。

 まあとりあえず食って欲しい。他の店の釜飯を食べる時、いつも感じるのは、旨味不足。おそらく鶏スープが貧弱だからだ。この店の釜飯は味がとにかくしっかりしているのだ。それはクエバワカル。だからもうこれ以上言うまい。
 この釜飯が、全日本五目釜飯の部のベスト5に入るであろうことは間違いないと思うのだが、その秘密の一つが、具材である切り干し大根だ。釜飯に入っているのをあまり見かけないだろう?この切り干しが、鶏スープと醤油の旨みを吸って、飯粒に旨みをマッチポンプ式に供給しているのである!切り干しの使用がこの店の最大のポイントであると断言!

 釜飯にネギたっぷりの鶏スープ、お新香とで、もうこれでもかと言わんばかりの量でくるので、大体だれでも満足できるだろう。

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 これだけ食ってチューハイを2杯くらい飲んで、7000円は行かない。僕の場合はなぜかどれだけ食べても、ある値段がいつも提示されるんだが、これはまぁここには書かない。それでもここで紹介する店のご多分に漏れず安いと思うので、安心して足を運んで欲しい。

 裏技として、釜飯の上にかしわ(正肉)の串を2本乗せて食うと、もう言うことはない。最高である。

「ヤマケンちゃん、今日もきっちりやっつけたかい?」

「おう、飯粒一つ残ってねーよ!」

 そういって釜の底を見せると、大将は二カッと喜んでくれるのだ。
 鳥長は僕のパワースポットだ。とにかくひたすら旨い焼き鳥を摂取し、日本有数の釜飯をガツリ食べたいならば、まず迷わず行ってみて欲しい。
 ただし場所は若干わかりにくい。どうしても行きたければ連絡ちょーだい。ま、ホントは教えたくないんだけどね、、、

Posted by yamaken at 2004年04月07日 01:04 | TrackBack
Comments

人形町までは会社から歩いて10分なので、「鳥長」は愛用してます。
ここの「かしわ」と「ちょうちん」、ホントに大好きなんですよねぇ。

Posted by: KIN at 2004年04月08日 00:54

昨日は、新橋の日向という宮崎鶏を出す店にいっとりました。そこにこのエントリー!不思議な縁やねぇ、相変わらず。しっかし、良い店の大将と通じ合えるところがやまけんだよね(笑)

Posted by: at 2004年04月08日 08:55

山万のときに1回だけ行ったことがあります。
釜飯美味かったなぁ。

Posted by: いわもと at 2004年04月08日 10:11

ご紹介いただいてから、もう、2、3回足を運んでいます。
先週、上司2人と一緒にいったのですが、おいしさに大感動してました。なぜか私のおごりだったのですが、値段も財布に優しいところが嬉しいです。
教えに従い、釜飯の飯粒を一粒たりとも残さないようにしており、釜を下げる時、大将、おかみさんともに嬉しそうです。大将も大好きですが、おかみさんもナイスな人ですよね。

Posted by: reitaro at 2004年04月08日 11:36

たびたび登場チビでございます。

あれは確かくらい2年前。
上京した際、ヤマケン様に
連れて行っていただいたときの
あの感動が、よみがえってしまいました。

平日に上京する機会が無く、あれから
一度も行ってないけど、あの味は忘れません。
てか、行きたい。食べたい。
大将に会いたいです(T_T)
私が入れた、新茶を
大将に飲んでいただきたいです。。。

Posted by: ちび at 2004年04月08日 12:12

やまけん、ごぶさた!
かおりんです。鳥長、やまけんとさんでんと行った後、夫と足を運んだよ。実は、3月に人形町から神戸に引越してしまったので、なかなか行きたくても行けないのですが、東京に行ったときにはまた行きたいな。やまけんのblogを見たら、ほんとに行きたくなった。釜飯は最高に美味!

Posted by: かおりん at 2004年04月08日 13:09

はじめまして アメマ大臣です
いつも楽しく読ませていただいています。
私は和歌山在住で大阪で勤務しています。
丸三にもよく行きますし、インデアンカレーも大好きです。

焼き鳥おいしそうでうらやましいです。

首の肉はセセリといいますよね?
それに柚子湖沼をつけて食べるのが好きです。

鳥のちょうちんは、我が家の定番メニューです。母親が養鶏場から新鮮なのを仕入れてきて、しょうゆと生姜で甘辛く煮付けてくれます。
ゴハンにも合うし、最高ですね!

これからも楽しみにしてます。がんばってください。

Posted by: アメマ大臣 at 2004年04月08日 13:12

皆さん:
 行ったことある人はわかるよねぇ~ あの旨さ。よかったよかった。

アメマ大臣さん:
 和歌山在住の大阪勤務とは!ウラヤマシイ条件ですねぇ、、、
 丸三のオヤジは病気直ったんでしょうか?以前出張時に行ったら休業だったんで泣きました。

Posted by: やまけん at 2004年04月08日 16:12

やまけんさん、
ちょうと焼き鳥を食べたいと思っていたところで、
タイムリーな内容に感激です。女性二人でも平気な雰囲気ですか?

Posted by: コバヤシ@なんばん漬 at 2004年04月08日 18:40

ご無沙汰です!
久々にblogをupしました。

この前は、オフ会に参加できず、すみませんでした。
次回は必ず!

Posted by: 鬼辰 at 2004年04月08日 23:56

2年前、兄貴と僕が劇的に再会した店『鳥長』さんの堂々公開ですか!当時、初めてのこの店に入り、チョット緊張気味にカウンターに座っていた僕…。遅れてやってきた体育会系のノリの小マッチョな男「やまけん」は全ての串を食した後、「キジ重」まで注文し、ペロリ!なんて奴だとショックな出会いだった…。そんな思い出の店『鳥長』、江戸出張の際は是非、引率して下さい。

Posted by: 九州弟 at 2004年04月09日 12:59

九州弟:
 おお、ようやくコメント書いたね。よーし
懐かしいねぇ 次回江戸来訪時は連れて行くゾよ。

Posted by: やまけん at 2004年04月09日 14:31

すっかり出遅れてしまいましたが、一言。
鳥長は、妻の元勤め先の近所だったので、よく昼ごはんに通っていたそうです。ぼくも数度連れていってもらいました。なんといっても釜めしのウマさが!!それにしても「切り干しが、鶏スープと醤油の旨みを吸って、飯粒に旨みをマッチポンプ式に供給している」という、表現にはさすがと思いました。

Posted by: マツザワ at 2004年04月10日 22:34

やまけん様!
ぜひぜひ場所を教えてくださいませ。
ついでに、女の子二人で行った時の、概略の予算も教えてちょうだい。
最近、やまけんさんに刺激を受け、(友人も)評論しつつ食べ歩きしています。

Posted by: まさこ at 2004年04月17日 16:31

まさこさん:
 場所ですがwww.mapfan.comなどで東京都中央区日本橋人形町2-26-14をしらべてちょ。
人形町の交差点から5分です。つばさ証券の裏どおり沿いにあるよ。小さいのでわかりにくいので注意。
 予算ですが女性であれば5000円あれば十分と思います。やまけんに教えてもらってきたと言ってください。
「インタ-ネット?なにそれ?」って言われるかもしれませんが。

Posted by: やまけん at 2004年04月19日 23:36

遅ればせながら昨日行ってまいりました。

鳥さしサイコーです!
合鴨、つくね、かしわ、ちょうちん…
ちょうちんはお初でしたが、臭みなんかぜーんぜん無く、おかわりしたいくらいでした。

釜飯も、もちろんいただきました。
ほとんど一人で完食。
スープも大変美味しかったですよ。
満腹&満足。

確かにあまり人に教えたくない店っていうのも納得です。
あー、連れて行きたい食道楽仲間がいるんですけどねぇ…

Posted by: むつむつ at 2004年05月30日 12:32

むつむつ:
 いったか! 美味しかったでしょ。食道楽仲間さん、是非連れて行ってあげてください。

Posted by: やまけん at 2004年05月31日 09:37

はじめまして、ヒマだったんで、「久々に鳥長に行きたいな~」なんて鳥長を検索しててココに辿りつきました。
そして笑った。ほんとに大将(私はオヤジと呼んでるが)キャラ最高!タマちゃんも最高!
知ってる店が出るのって何だかうれし恥ずかし。
でも、ないしょにもしておきたいんだな。
ここ数年は勤め先も遠くなってしまったので、月1、唯一の土曜に顔出せるか出せないかぐらいです、でも今月は行きたいな。
やまけんさんにもその内、お目にかかれますかな?

Posted by: at 2004年07月17日 12:01

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Posted by: cheap Phendimetrazine at 2005年07月19日 04:12