ここしばらく、この食い倒れ日記だけではなく、いくつかの動きを始めていきます。
まずは姉妹blogといってよい、農業関連のblogを、きっちり充実させていきます。
■「俺と畑とインターネット」
ここでは、農業に関心のあるなしにかかわらず、農業や農産物の流通に関わる現状をお伝えし、僕の取り組みを紹介し、そして同調していただける方々と、ネットワークを創っていきたいと思っています。少しでも関心のある方は今後、チェックをお願い致します。
それと、先日書いたとおり、絶品の芋焼酎を醸す宮崎の「京屋酒造」のblog運用を任されました。
つまりヤマケン責任編集です。京屋酒造の焼酎を売ることが目的じゃありません。芋焼酎の良さを、ブームとは関係なく理解して頂くためのblogにしていきたいと思います。ここでは僕だけではなく、気鋭の利き酒ウーマンである佐々木ちえさんも共同で執筆していきますので、お楽しみに。Barオーパなどの名店に芋焼酎カクテルを創ってもらうなど、企画は目白押しです。
そんな感じで活動を拡げていきますが、食い倒れ日記はこのままずーっと続けます。
あくまで商用ではなく、私の勝手気ままな食い倒れ記としてやっていきます。暑い夏に成りそうですよ。予告しておきますと、
■タイ国農業視察 (8月6日~10日)
農業の視察だけどきっちり食い倒れてきます。
■沖縄初上陸&食い倒れ(9月7日~12日)
なんと私は沖縄に行ったことがないんですねぇ で、素晴らしき水先案内人である川端たくというヤツが、故郷参りに同行させてくれることになりました。
ふっふっふ、、、暑い夏の始まりですよ!
仕事を早く、片づけようっと。
今年の母の日は、妹が両親と僕を招いてフレンチをご馳走してくれた。大して期待していなかったのだが、これが存外に美味しく、また唸るほどリーズナブルで気に入った。その店を、埼玉の浦和駅からすぐの処にある「ビストロ・ド・タニ」と言う。
ちなみに僕の実家は埼玉県にある。高崎線で大宮を更に20分ほど北上したところにある北本駅という、なーんにもない街である。僕が子供の頃、都会といえば大宮か浦和であった。ジャッキー・チェンの映画を観るために大宮に行き、吉野家の牛丼を食べ、ゲームをして帰るのが唯一の娯楽だった。高校に入ると、浦和の須原屋という、当時としては大きな書店に本を漁りに行ったものだ。ただ、県庁所在地とはいえ、当時から大宮の方が勢いが良く、余程のことがない限りあまり浦和には立ち寄らなかった。先だって浦和や大宮が合併して「さいたま市」になったので、現在は駅と地名の区分しかないが(←いまだになじめない)、浦和が持つコンテンツといえば県庁しか思い浮かばないという状況であった。
「浦和にさ、野菜の美味しいフレンチレストランがあるんだよ!」
と妹が言う。妹が勤務する会社の関係で初めて訪れて、あまりの美味しさと安さにびっくりしたらしい。恥ずかしいことに、店名にもなっているシェフの谷さんには僕の本「実践農産物トレーサビリティ」を謹呈したという。
母の日当日、その噂の店で食べたのだ。確かに旨い。そして野菜がふんだんに使われていて、繊細さを感じる。残念ながらこの時、デジカメ紛失期間であったので、撮影できていない。ということで、再度妹を呼び出し、食ってきたのである。
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■ビストロ・ド・タニ
埼玉県さいたま市浦和区岸町7-6-13県パンビル1F
048-824-0993

店は浦和駅から県庁に向かう途中をひょいと左に曲がり、150m程歩いたところにある。十分徒歩圏内である。
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店のある通りは、メインストリートを一本折れるため少し寂しいし殺風景なのだが、外観は優雅である。

店内に入ると、中央のテーブルにトマトとパインアップルが並べられている。この店では、確か奥さんの実家だったと思うが、そのお父さんが野菜を栽培して店に提供しているらしい。だから、ふんだんに新鮮な野菜が盛り込まれた料理を提供できているということだ。
「いらっしゃいませ、いつもありがとうございます。」
コックコートの谷シェフが挨拶に来てくれる。まだ40代だろう、若く、本当にまじめそうな腰の低い方である。こういう人は好きだ。写真を撮るのを忘れてスミマセン →谷さん
この日はランチなのだが、コース内容は限りなくレギュラーコースに近いと思う。1800円、2100円、2800円といった段が付いている。2800円は、前菜に魚、肉、デザートというほぼフルのコースだ。今回は、2100円で前菜、スープ、メイン、デザートというコースにして、アラカルトで数品頼むことにした。
厨房を観ると5人くらいで回しているようだ。若くしっかりした人たちが立ち働いている。ホールを担当しているのは奥様だ。
■前菜
★野菜のサラダ

さすがに野菜サラダはふんだんに具材が使われている、食べ応えのあるサラダ。とうもろこし、ジャガイモ、オクラなどの火の通った野菜が旨い。
★冷製茄子とトマト、鶏胸肉のバジル風味

僕はこういうマリが大好きだ。トマトと胸肉の下には、揚げられた大きな茄子の切り身が敷き詰められている。バジルドレッシングの香りと甘さ、酸味が冷えた揚げ茄子のトロリ感とコクと相まって、旨い。

★スズキのカルパッチョ

季節的に定番のカルパッチョにも野菜がふんだんに振りまかれている。ラディッシュ、キュウリ、シブレット、セルフィーユ、枝豆など。うだるような暑さが続く関東ではありがたい涼やかさなのだ。

■アラカルト
★うずらのガランティーヌ
単品で採ったのは、うずら肉の骨を抜いた部分にフォアグラを詰め、ガランティーヌにしてコンソメの冷製ジュレをかけたひと皿だ。

うずら肉は臭みも無く、シコシコとした食感。温かい皿ではないので肉の旨味を少なく感じてしまうが、フォアグラ好きの妹はウズラ肉とフォアグラのコンビを喜んでいただいていた。
★スカンピのグリルバルサミコ風味
スカンピは定番素材だが、ここは仕入れがよいのだろうか、品質の良いスカンピが出てくる。

僕は国内では、三浦の長島農園から近い長井漁港のスカンピをよく頂くことがあるが、1本で1000円くらいとかなり高い。タニのスカンピは、2匹分が半分に割られて4片載っていて2000円に満たない。なんだかリーズナブルに思ってしまう。バルサミコソースを身になすりつけると、身の甘さ、旨味と酸味が相まって極めて旨い。みっともないが、手でつかみ頭部のミソ部分を啜り、殻を囓る。ビストロだからいいよな。だって旨いんだもん。
カボチャの冷製スープをいただいて一息つき、メインだ。
■メイン
★鮭のソテージャガイモのマッシュ添え

多量の野菜で隠れているが、ジャガイモのマッシュの上にノルウェーサーモンのソテーが載り、そこに温野菜(モロヘイヤ、青菜←なんだったろう?と麦など)が散らされている。モロヘイヤのトロ味と、油脂を感じるマッシュポテトの相性がなかなか良い。
★豚肉のロースト

もう一つのメインは豚のローストだ。観ての通り、こちらも野菜がちりばめられている。
観てきておわかりと思うが、どの皿も分量的にはかなり一杯に盛られている。もちろん野菜が占める割合が大きいので、ボリューム感の割にお腹に優しい。しかし、「カラフルで野菜一杯でヘルシー」なだけではつまらない。きっちりとした味付けで、腹も一杯になる。僕のような大食い男性にも、欲張りな女性にももってこいだろう。
しかも、この日は3人でテーブルを囲んだのだが、会計は12000円程度だった。アラカルト2皿を加えてこのボリューム感で一人4000円はリーズナブルだ。ま、ワインなどを飲まなかったからだろうけど、納得感のあるボリュームだった。店も、あれよあれよという間に満席になり、入れない人もいたくらいだ。そりゃ、人気でるよな。この価格なら全くお手頃だ。
逆に、おそらく埼玉県という土地柄は、価格的にはこれくらいに押さえないと厳しいのだろう。東京であればまず2割高に価格設定けしないとまかなえないはずだ。ボリュームがあって美味しく、かつリーズナブルな店を探すなら、やはり首都近郊の外縁部か。(←浦和は県庁所在地だから外縁とはいえないかも知れないけど)
この店以外にも、町田で野菜を旨く食わせるダイニングを教えてもらっている。これについてもまた書こう。
ともあれ、野菜をストレートに素材に組み合わせて供する、けれんのない佳い店が出てきつつある。いい時代になってきていると思う昼下がりだった。
一つ前のエントリの、Barオーパに行く前の匠でのひととき。本日のヤマケンサイズは穴子である。
「穴子は、タレ 塩 どっち?」
「タレ、つゆだくで!」
もちろん右が通常サイズです、、、

シンコはいよいよ味が乗ってきた!最高だ。

ちなみにこれを撮影したのは先週だ。1週間経つのでまた大きさが変わっているだろう。
本日も仕事半分で行くので、また確認してみようっと。行く人は、僕の分のシンコを残しておくように!
北海道の夕張郡周辺で名産の赤肉メロンには、色々な品種がある。僕が一番好きなのは、ここでも何回か書いた「キングメロン」という品種だ。正直、これに勝る品種に出会ったことがない。しかし、キングは収穫時期も限られるので、用途によって生産者が使い分けているのが現状だ。
僕の友人のI氏は、キングを比較的早めに収穫し、7月後半からはTAメロンという品種を収穫している。キングより2周りくらい小ぶりになるこの品種は、果肉がしっかりしているのだが、昨年までいただいた感じでは、なんだが人工的な味と香りがし、僕としては「美味しくない」という評価を彼に返していた。
そして今年、満を持しての自信作が送られてきた。ほとんど期待せずに中身を割り、食べてみたところ、これまでの評価を全く変えざるを得ない味と香りに進化していた!
「今年は雨が続いて日照が不足し、最悪のコンディションです。後半、少し陽が出て、取り戻しましたが、、、」
とI氏が言っていたのだが、どうしてどうして。こんなに旨くなるのであれば、来年からはTAも注文しようと思ってしまった。
さて今回、TAメロンは3玉送られてきた。
「できればオーパの水澤さんにカクテルを創って欲しいんですよ。」
これを先日のオーパ常連BBQの日に水澤君にお願いし、快諾を得ることが出来た。予め1玉を予習用に持参し、後日、僕も飲ませてもらうために、メロンの半割をもっていった。
なぜ半割か? それは、寿司処 匠の加藤ちゃんが半分食べたからである、、、
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最近のオーパは、競技会優勝フィーバーから少し落ち着いたとはいえ、いつも9時頃には満杯である。あまり忙しいと頼みづらいのだが、水リンはニコッと笑って出迎えてくれた。

「いや、本当に美味しいメロンですね。こういうメロンを使う場合は、素材の味を活かしたカクテルでないと勿体ないので、シンプルに考えてみました。」
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■メロンのシャンパンカクテル
・メロン果肉10分の1程度をミキサーで滑らかになるまでかける。
・レモンまたはライムで酸味をプラスする。
・ボストンシェイカー(大きいグラスのシェイカー)に氷と、ミキシングしたメロンジュースを入れ、シェイク。メロンを冷やすのが目的。
・ロンググラスにメロンジュースを6分目くらいに注ぎ、冷たいシャンパンを満たし、軽くステアする。
※聞き書きなので分量等は適当です。
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味は、、、まずいはずがない! シャンパンのアルコール分がメロンの香りで押さえられて、フレッシュジュースのような味わいなので、スルスルと飲んでしまう。これは、どんどん女性に飲ませたい(笑)カクテルだ、、、
もしこのカクテルを所望されたい場合は、水澤君に「食い倒れ日記にあった、夕張メロンのカクテルを!」と言ってみて欲しい。ま、メニューにはないものだから通常は飲めないと思うけど、あまりに要望が多かったら、きっとメロン取り寄せになるだろうな。

今日あたり、また一杯やりにいってみよう。
比内地鶏のきりたんぽ鍋のエントリに呼応して、とある畜産関係者から、比内地鶏に関する情報が寄せられた。かなり取り扱い注意情報かも知れないのだが、、、面白いから載せてしまおう。もし内容の真偽について論のある方は、メールください。コメントだと収集つかなくなると困るのでご勘弁。
曰く、
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(1)実は比内地鶏がこの時期安心して食べれるの様になって、まだ10年たたないのだ。
比内地鶏はキリタンポとセットのため出荷時期が米の収穫期に偏っていて秋しか食べれない地鶏だったのです。10年前に私が秋田県に出張した際(1月)、県庁にて食べれる店を紹介してくれとお願いしたところ、自信がないといって断られました。ためしに秋田駅前の比内地鶏の看板のお店で頼んだところ、見事にブロイラーが出てきました。店主いわく「鶏がいないのでブロイラーに地鶏の肉汁を付けて出しています。指摘を受けたのは初めてです」という信じられない体験をしました。
その時の秋田県の生産量は約3~5万羽。現在の1/10。今の生産量は36万羽です。ただし、6月に行った時ですらタクシーの運ちゃん曰く、今でも安心してお連れできるのは、㈱秋田ひない屋(27万羽を取扱い)のお店だけ、チェーン店等は避けるべしとの怖い話を聞きました。有名地鶏の宿命でしょうか。
(2)売られている比内地鶏にはメスしかいないのを知ってますか。これが生産者等のこだわりのようです。
平均170日、卵を産み始める寸前の一番美味い時期に出荷するから値が高いのです。本物の比内地鶏が美味い理由はここにあります。美味いはずです。オスは雛の時に捨ててしまいます。県の試験場ではオスの利用を推進しているがなかなかうまくいかないと嘆いていました。
(3)実は比内地鶏という品種は何種類もいるというのも最近になって知りました。
「比内鶏」という品種は天然記念物ですから食べれません。県が開発したのが、比内鶏×ロードアイランドレッドで、これを秋田比内地鶏と呼びます。それ以外の組み合わせが多数あり、半分が比内鶏であれば比内地鶏と呼んでいるようです。つまり発育をよくするため(太る鶏)に色々かけているようです。当然味は秋田比内地鶏が一番とのこと(県畜産試験場談)です。ですから食べる前に、「これは秋田比内地鶏ですか」と聞くのが通だとのこと(なかなかやるなとくるわけだな)。
(4)比内地鶏の推進は民間が行なった。
県は比内地鶏については原種の維持以外はほとんどノータッチのようです。県が関わっていたときは生産量を伸ばす事ができなかったというのが本当のところ。ただし、比内町だけは町をあげて推進している。取組みは見事だね。庁舎が比内鶏の形をしているのは面白い。
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ふううん
なるほどぉ
比内地鶏については色んなところでみかけるが、掘り下げていくと奥行きがドーンと出てくるのだな、、、次回はぜひ「秋田ひない屋」に行ってみたいなぁ。
続いて運ばれてきたのは、店名にもあるように本来この店が得意とする魚料理だ。
■スズキのソテー
タルタルソースの添えられたスズキは、夏の白身の代表格にふさわしいコッテリ感を演出していた。こういう洋風のものが出てくると意表をつかれて、佳い。

■お造り
特筆すべきはウニだった。最近、寿司処 匠の、ミョウバンを使っていないウニの香り高さに慣れているのでうるさくなっていると思うのだが、ここで食べたウニはまさに一片の臭みもない絶品だった。

そして、刺身も旨かったが、添え物にあった菊が嬉しい。そういえばこの日の午前中に寄った農家さんの直売所でも、食用菊をみかけた。秋田でも広い範囲で食べられているようだ。刺身醤油にチョンとつけていただくと、柔らかにシャクっとした食感と、華やかな香りが立ち上がった。

ここで、僕に自家製のいぶりガッコや山菜のミズを送って下さっている、県のI氏が登場する。この方が理論的・体系的にに秋田の食を教授してくださるので、僕も半可通になっているのである。
「やまけんさん、岩ガキを食べましょう!鳥海山の沸き水が海に流れ込み、それを栄養源としって育つ岩ガキです。本来は少し後が旬なので、いつもと違う地域の岩ガキですけど、美味しいと思います。」
■岩ガキ
ぷっくりと掌より大きい岩ガキを想像していたが、運ばれてきたのは一回り小さなサイズの、ミルクを湛えたようなプルプル体であった。

あまりのセクシーさに寄ってみた。

殻からはずしレモンを搾り、三杯酢に浸けて一口に啜り込む。歯を一番太った部分に立てると、ヌプヌプとした感触が決壊し、ジュワリと旨味ジュースがほとばしった。旨い。
「岩ガキというと色んな産地が有名ですが、案外秋田のことは知られていません。地元の人たちは食べて居るんですけど、口べたで、、、」
秋田県人が口を揃えて言うのが、この「口べたで、、、」である。そういえば隣県の山形でも同じことを言っていた。ならば! オレが言います声高に言いますから、旨いものを教えてください! と思ったヤマケンであった。
さて
その時間がやってきた。
「山本さん、きりたんぽがそろそろいいようです。」
中田さんが、蓋を取り払った。真夏の夜の鍋大会。ブワッと水蒸気が上がる後、上品な、しかし芯のある香りがたちのぼった。
■比内地鶏のきりたんぽ鍋

「きりたんぽには、セリとネギが欠かせません。それと、一般家庭ではきりたんぽを作るのが面倒なので、単に米をつぶして丸めて作るダマコモチというのが普及してます。今日はそれも入れてくれてますね。」
なるほど、鍋の内容は、主役のきりたんぽとセリ、ネギ、ゴボウ、糸こんにゃく、ダマコモチ、そして比内地鶏である。
「この店では通常は、比内地鶏はスープだけを取って、赤鶏という地鶏を食用には入れます。けど、今日は山本さんに比内地鶏の実力を知って欲しいと思って、肉にも地鶏を使って欲しいと言っておいたんです。」

まず、そのダシを一口啜ってみた。濃い色、こっくりとした醤油ベースの味付けのスープに比内地鶏から染み出た脂の玉が浮いている。一口啜ってみた。醤油の香りの一瞬後、とてつもなく濃い旨味成分が舌を襲う、、、しかし、その旨味はあくまで上品である!そして鶏の香りがあまりにも高貴だ。
「おおおお こいつぁ 旨い!」
I氏も「美味しいですか」と僕の表情をうかがいつつ、ダシを一口啜る。やや間をおいて匙を置き、
「山本さん。Nさんの店のセレクトは完璧です。僕はこの店には始めてきましたが、このきりたんぽのダシはとても旨い!」
「いやそうかね、よがったぁ~」
県職員N氏の面目躍如の瞬間である。実に最高である!
いやしかしマジで旨い!ダシだけではなくきりたんぽを食べてみた。餅米の餅とは違い、口の中でホロリと崩れる食感。それにモロモロに染みこんだダシの味。きりたんぽを食べながらセリやゴボウ、ネギを口に入れると、尖った香りがきりたんぽに七色の表情を現出させる。
「このきりたんぽが、火が通るにつれて柔らかくグズグズになっていくと、これまたウマイんですよ!」
「ほんとだウマイ!」

もうヤマケン、満面の笑みである。自分で言うのもなんだが、ナカナカこれだけの旨いゾ顔に出会うことは少ない。3人分の鍋を、ほとんど一人で食べてしまった。「いいんです、最初からそのつもりですから存分に食べて下さい!」とおっしゃるN氏とI氏。俺は再度、秋田ファンになったぞ!
「やまけんさん、比内地鶏の塩焼きも食べてみましょう。」
おお、望むところである。残念ながらモモ肉が売り切れているようなので、手羽先の唐揚げと胸肉の塩焼きを所望する。
■手羽の唐揚げ


■胸肉の塩焼きタルタルソース添え

これらを食べて思ったのは、比内地鶏は魚で言えば鯛である、ということだ。強力無比な旨味を発しつつ、極めて上品で高貴な味と香り。どんな料理でもその存在感を輝かせる。塩焼きは繊維感がはっきりと感じられ、胸肉とは思えない旨さだった。これは、北千住のバードコートで使っている奥久慈地鶏の資質と少し似ているかな、と感じたが、どうだろうか。僕の個人的好みからすれば静岡の駿河若シャモの濃厚な旨味の方が好きだが、味と食感のベクトルが全く違う。比内地鶏、さすがの風格であると感じ入った。でもやっぱり、きりたんぽ鍋のダシ汁が、一番その能力を発揮するかも、と思ったのであった。あの、濃厚な旨味は忘れがたい。
「やまけんさん、じゃあしめのご飯は大好きなミズの叩きでいきましょう!」
おお!自分でもまねてみたミズの叩き! 秋田の隠れた代表的山菜である「ミズ」を、包丁でたたいてネットリさせたものだという。それを訊いて自分でもやってみたことがあり、それなりに旨かったのだが、運ばれてきたものをみて絶句した。
「えええ? ここまでたたくのぉ?」

それは出刃で完膚無きまでたたき込まれ、たとえて言えば鰯をたたきまくって味噌と合わせる「なめろう」レベルまでヌタヌタにされたねばねば物体であった。この物体、当然、糸を引く!

「これをご飯にかけて食べると、最高なんですよぉ」
それをやりたくてここまで来たんだ!さっそくご飯を所望する。

暖かいご飯にミズの叩きをかけ、食べる。ねばねば物体に隠し味に刻み込まれたエシャレットの香りが効いて、「この取り合わせもまた、旨いですね」とI氏に言わしめる。ひたすら、旨い。
久しぶりに言おう。
「ビバ!秋田県!」
これまでの不調・不振は完全に払拭された。秋田には旨いものが一杯あるゾ!
、、、ただし店は選ぶべし。
I氏と握手。もう僕の笑顔は崩れすぎている。覚えておいて欲しい、この顔は最上級の旨かった顔である。

I氏とホテルに戻る途中、繁華街の川端地区を歩く。
「お連れしたい珈琲店があったんですけど、、、潰れちゃったかなぁ」

幻惑的な川端のネオン街は、やはり最盛期を過ぎた閑散とした雰囲気が漂っていた。珈琲店は閉店しているようであった。しかし、地方は死なない。旨いものがあるうちは、その文化が死に絶えることはないのである。
「東京がら来た人が食べるんでね、地元のめずらすぃ料理をお願いします。」
仕事を終え、秋田市内に向かう車中、Nさんが店に電話を入れてくださる。このNさんの秋田弁は掛け値なしに最高だ。空港を降り立ち一言挨拶を交わしただけで、身も心もすっかり東北・秋田に来たのだ!という実感が沸いてくる。
言葉は文化。そして方言は国の宝だ。東京で起居する僕には、空港に降り立った後に感じるこの絶妙な言語的差異が本当に心地よい。からかう訳では全く無く、真似してしまう。
「いやこっちは普通に(標準語で)しゃべってるつもりなんだけども」
というその口調がすでに秋田なのである。そうそう、車中でこんな会話があった。
「山本さんは、彼女なんにん?」
え? 何人の彼女がいるかって? かなり汗をふきだしながら、
「え、え~と、、、うーん 10人とか答えればいいんですかねぇ」
「ん? 何年って訊いてるんだけども」
「ああああ なんにんじゃなくてなんねんかぁ!」
このように車中は爆笑の連続なのであった。
僕が発見したのは、語尾に「にゃぁ~」というような音が付くケースである。相手の発言に同意の相づちを打つ時に、短く「ですね」ということがあるが、これが秋田では「ですねゃ」と聞こえることが多い。昔、友人にそれを指摘すると「いや、『ですね』って言ってるよ?」という。その時は聞き違いかと思ったがやっぱり違うぞ!N氏も同じ発音である。
「まあ、一般的秋田人は全く意識してないでしょうねぇ、、、」
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さて 車は秋田県庁がある山王(さんのう)地区周辺へと向かう。秋田市内の繁華街といえば「川端(かわばた)」なのだが、本日は僕の止まっているホテルが県庁近くなので、県庁があるもう一つのおとなしめ繁華街の山王地区で店を探してくださったのである。
「前に子供のクラス会で使ったことがあるんですが、、、旨かったんですよ!」
ようやく旨いものが食べられるのか!期待に胃袋が拡がる。いったんホテルにチェックインする。今夜泊まるパークホテルは、なんと一泊4100円の安さである。その分、風呂が共用の大浴場しかないが、全然Okである。その1Fレストランでカレーフェアというのをやっていて、インドネシアのナシゴレンやタイのカレーなどがメニューに並んでいた。キーマカレーが500円!のけぞる価格に食べたくなるのを必死に押さえる。帰ってから食べようかなぁ ラストオーダーは9時か、じゃあ2時間で帰ってこよう、と、この時点では思いながら出発。
県庁の庭先では、秋田市の竿灯祭りに向けた練習が行われていた。

昔、和太鼓を打っていた僕には懐かしい響きがしていたのであった。
その横を通り過ぎ、山王の繁華街へと入る。程なく、青い看板がみえてきた。
「ここですここです。」
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■海味(うみ)
秋田市山王2-7-19 ロイヤル山王ビル2F
018-863-6723


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「はい、いらっしゃーい」
美人女性2人の仲居さんと女将に迎えられ、座する。

店名のとおり魚が有名らしいのだが、鍋や肉料理も旨いという。

「ここの塩くじら鍋ってのが本当に旨いんですよ! 鯨のコロ(皮と脂身)を塩蔵したものの鍋に、山菜のミズの叩いたのをどさっと入れて、トロトロになったのを食べるんですヨ!」
うおおおおおおおお
旨そぉおおおおおおおお!
次回は絶対にそれなのである。この店には食べる前から旨そうな雰囲気が漂っている。かなり期待していたその矢先、突き出しが運ばれてきた。
「はい、ミズのぼんぼんのガッコ」

おお?なんだこれは!
「これはね、ミズの先に着く円い部分を一つ一つとって、漬け物にしました」

これもミズなのか!一つ口に運ぶ。

円い部分を噛みしめると、中からトロリ爆弾が炸裂し、あのトロトロのしぶきがプチッとほとばしる!その後に塩味が跳ね、一気に山の味を現出させるのだ!
「旨いっ 文句なしに旨い!」
これだけでもう大当たりである。同じく運ばれてきた白魚も鮮度がいい。

そして、期待の一品が早くも並べられる。
「はい、ミズと野菜のがっこ。」

キャベツ、キュウリ、そして赤ミズをふんだんに使ったがっこ(漬け物)だ。ほどよい塩加減に旨味がついた漬け汁に浸されたミズは、一瞬表面の歯応えを感じるが、カリッと噛みしめた途端に甘い汁とトロトロを染み出させる。

「おおおお これも旨いぃいいいい これがホントのミズのガッコかぁ、、、」
感動である。これまでこの店に行き着くまでに討ち死にしてきた秋田の飲食店の不満を一掃する旨さである。この店、佳い!
「やまけんさん、これがきりたんぽ鍋ですよ!」

N氏がまだ火のついていない鍋を開けて見せてくれる。美しい、、、きりたんぽは、米を練り、ちくわのように棒にくっつけ、囲炉裏端で焼き目をつけた郷土食だ。
「ここでは普通、出し汁は比内地鶏でとって、実として食べるのは赤鶏という地鶏なんですが、今日は比内地鶏をそのまま実として使ってくれと言ってあります。」
おお! いうまでもなく比内地鶏は国内有数の地鶏に数えられる名鶏である。ただし単価が高すぎて、飲食店で使うのには相当に苦労する。それをきりたんぽ鍋にダシ&実で使ってしまうのだから贅沢だ。 うーむ
「さて そうすれば、鍋も始めましょう。」
上で出てくる「そうすれば」というのも秋田言葉で、「それじゃあ」という意味でよく使われるようだ。とにかく、N氏により点火がされた。真夏の鍋の始まりである。
(続く)
※これから所用で長野のネット環境の無いところに行くので、火曜日更新となります。
今年二回目の秋田出張である。二週間ほど前に、「これから秋田です」と宣言したにもかかわらず、秋田特集が出ていないことに不審な思いを持っている人も多いだろう。
なぜだと思う?
食い倒ラーはおわかりであろう。残念ながらあまり旨いものに出会えなかったのダ。なので今回はその雪辱に来たのだが、それよりも今回は重要な視察があった。
仕事として請け負っている調査で、太田町という米どころの特別栽培米の販売に向けたお手伝いをしている。その田圃を観に来たのだ。ご存じの通り、今年は新潟、そして福井で相次いで凄まじい規模の災害が起こっている。新潟では、農産物と農機具をあわせて60億円以上の損害と言われている。恐ろしいことだ。農業が背負っているリスクは果てしなく重い。そしてそれに見合う価格は保証されていない。 ま、その辺の話は姉妹blogの方でやろうと思うが、とにかく連続して起こる災害ネタで「秋田もやばいんじゃ、、、」とびびっていた。しかし、秋田空港に着くと、灼熱地獄の東京とは一変してかなり涼やか、周りに拡がる田圃は美しく、青空が拡がっていたのであった。
「山本さん、今日は、現場を観に行きたいと思うんです。」
秋田県のNさんが車を運転しながら仰る。いつもは打ち合わせに終始してしまいがちなので、現場を観る時間を創ってくれたのだ。秋田空港から車で1時間程度のところに太田町はある。
しかしなんと、面白いハプニングが。近道をしようとしてNさんが路を間違え、どんどんと田舎道の方にさまよってしまう。
「あれっこんな道じゃなかったはずだけど、、、あ!間違えて大内町まで来てしまった!」
大内町というのは、まったく違う方面にある、これも米が有名な産地である。そして、最近僕が食べているミルキークイーンを生産している伊藤裕樹君、あだ名「ひろっきー」の田圃がある町ではないか!彼は日頃は東京で経営コンサルタントをし、数日間秋田に戻ってくるというライフスタイルなので、この日は秋田にはいない。けれどもこれはぜひ報告しなければ、と思い、お茶を買ったたばこ屋からメールをする。するとすぐに電話がかかってきた。
「やまけん、そのたばこ屋からたった2kmで僕の田圃があるんだよ!わっはっは!」
訊けばなんと明日朝一便(つまり本日だ)に秋田に来るというので、僕が帰る便と合わせ、空港でお茶をすることにした。いや本当にこういう巡り合わせには笑ってしまう。
嬉しいハプニングの後、気を取り直したN氏が車をぶっ飛ばして太田町に向かう。周りは田園風景が拡がっている。まぶしい緑が美しい。途中、太田町の農協に寄り、田圃を案内してくださる職員のTさんとお会いする。車を乗り換え田圃に向かう。5分足らずで、標高差100m、山際にある田園の集落に着いた。そこは、綺麗な綺麗な、稲の国であった。

今回の僕の仕事の対象品目は、特別栽培米という。特別栽培とは、いわゆる「減農薬」や「減化学肥料」もしくは「無農薬」「無化学肥料」などを言う。先般、農水ガイドラインの変更があり、これらを総称して「特別栽培」と言うことにしたのである。消費者にはまたわかりにくくなるだろうなぁ。
太田町の米は、県を代表する銘柄「あきたこまち」が主流だが、これを減農薬・減化学肥料でやっていくということだ。常々言っているように、化学肥料を有機肥料に変えることで、食味が向上するというのが僕の実感だ。太田町では、米ぬかを主原料とした「米の精」という有機質肥料をメインに使おうとしている。下の写真は、米の精を使って3年目を迎えた実験圃場だ。

「ちょっと葉の色が濃いですね、、、窒素過多になってるんですかね?」
「ええ、この栽培方法では、この時期若干葉色が濃くなって大丈夫です。分けつ数が少ないのですが、幹が太くなり、穂の重量は増加します。」
という会話をしつつ圃場を巡る。

日頃、東京駅から15分の場所に住んでいるせいか、やはり産地に行って田畑に出ると、ホッとする。そこには本当に癒しの空間が拡がっているからだ。(農薬散布の季節にはホッとできないのだが、、、)
流れる空気、マイナスイオンの波、鳥の声と川の流れる音、微細に振動する空間があるのだ。

ということで秋田編第一発目はメシの食い倒れではなく風景を食い倒れたのであった。この後、昼飯を食べたのだが、その店自慢という10割手打ち蕎麦と稲庭うどんは、まったくもって大したことの無い内容だったので書かない。
そして怒濤の夜、「夏なのに比内地鶏のきりたんぽ鍋」編へと進むのであった、、、
まったく困ったものだ。今月号のdanchyu誌、毎年夏恒例のカレー特集なのだが、僕が好きな店ばかり掲載されている。以前紹介した丸善ビルのレストラン丸善、そして本格カレーのデリー新川店など、静かに通っていた店がこれでまた行きにくくなる。
そして最も「やめろー載せるな~」と思ったのが、この日本橋千疋屋の1Fスナックコーナーである。のっちまったもんはしょうがない。向こうを張るワケではないが書いてしまおう。
千疋屋といえばトップクラスの果物屋さんである。僕の会社の事務所が日本橋にあることもあり、三越本店の向かいに在る店頭をウォッチすることが多くなった。手のひらにすっぽり入る黄桃がひとつ2000円だったり、一つ8000円のマンゴーがあったりと、考え込んでしまう価格帯の商品が並んでいるが、トップを狙おうとする場合これは仕方がない。このクラスになると、生産者レベル、そしてその生産者の園地の「この樹の、かつ外側に生った実だけよこして!」というような買い方をするのである。従って生産者に支払う価格も高いはずだし、それなりの価値はあると思う。
しかし正直、そんなフルーツについてはここで買う必要はないのであった。目当ては違うところにある。この千疋屋、二階がレストランになっていることはかなり有名で、かなりハイソサエティ向け価格で営業をしている。これも僕には縁がない。そして意外に知られていないのだが、1Fの果実売り場の隅に、ドリンクや軽食を出すコーナーがあるのだ。

ここが、日本橋における超・穴場ランチスポットであることを知る人はそれほど多くない。だからあまり掲載したくなかったんだがしょうがない。

品書きを観ると、スパゲッティやハヤシライスに並び、「マンゴーカレー」というのがある。これが実に最高なんである!マンゴーというと、なんだか甘ったるいイメージがあるだろうが、ピューレ状にしたものを甘味と旨味増強のために惜しげなく放り込んでいるのだろう。実に深くコッテリネットリとした味わいの極上カレーなのだ。
そんなカレーがなんと580円、しかもデザートのフルーツポンチ小皿付きである。一体どうしたことなのだろうか。ここがほんとの穴場である。

ちなみに大盛りにすると、100円増しで僕でも「おお!」と声が出てしまうほどに盛りが佳くなる。左側が大盛りである。

このネットリ感を想像して欲しい。横には福神漬けではなく甘酸っぱいピクルスのみじん切りが付いてくる。タップリかかったカレーを白飯にまぶし口に運ぶ。マンゴーという語感から連想されるような甘さではなく、実に抑制された、「旨味」と同義な甘さが拡がる。スパイシーなカレーを期待してはいけない。日本風トロトロカレーではあるが、そのトロ味は小麦由来ではなくフルーツであることが一目瞭然である。
そして意外なほどに肉がゴロゴロ入っている。豚バラの角切りらしき肉片がかなり入っており、トロトロに煮込まれている。マンゴーには肉の繊維を分解する酵素がかなり含まれているので、相乗的に柔らかく煮込まれるのであろう。
久しぶりに食い倒ラー仲間と訪れた千疋屋、予想以上には混んでいなかったのでよかった、、、みんな、あまり来ちゃダメ。でも、まったりトロリ系カレーが食べたい人には超お奨め。しかもリーズナブル。
ちなみにカレーに含まれるスパイス類は、結果的に身体を冷やす。暑い夏を乗り切るためにもカレーは必須なのであった。
黒板みたら、「激辛ココナッツカレー」ちゅうのが出ていた。む、試さねば。
昨今、「京野菜」といえばなにやら美味しいイメージがあるので、人気が高い。テレビでも、京都の農家とレストランのシェフとの交流を描く番組がかなり出ており、素材と料理の関係もまた一つ時代が移ったという感がある。
しかし、京野菜というのも一つのブランドであり、もっと細かく観ていくと、結局栽培をする人が誰かというところに尽きる。また、商標としての京野菜と、伝統的な種を守り続けて播種しつづける京野菜農家とを同列に語るのも、どこか片手落ちのような気がする。
さて
京都大学農学部の偉いセンセイとして教鞭をとっておられる大石から、賀茂茄子が届いた。大石は、学生時代からの付き合いである。当時の京都大学には、このblogでも数回紹介している、関西の農業ネットワーカー「のざけん」が居て、僕と密な情報交換をしていたのだが、大石も当時から強力な磁場を形成していた人間だ。彼は京都大学で、周辺農家の畑に援農にいくサークルを率いていたのだ。そして今や、京都大学で農学原論を教えるセンセイである。
この大石、上賀茂にある生産者さんの母屋を借りて起居している。かなり古い木造建築で、生産者さんご一家は新居の方に住んでいるのだが、古い方を大石とその妻子一家が借りているのである。この家が、古くてひなびていて、実に最高なのだ。
その生産者さんというのが、上賀茂にあることからおわかりの通り、京野菜の、特に賀茂茄子を得意とする農家で、田鶴さんという。最近いろんな雑誌に出たりしているのでご存じの方もいるだろう。この田鶴さん、京都を代表する料亭である「○亭」(←店名は二文字、といえばおわかりだろう)に賀茂茄子を卸している農家さんだ。無論、茄子以外にも、豆、ししとうなどの伝統的な種をずっと守り続けている、ホンモノの京野菜農家だ。
大石曰く
「賀茂ナスも最近はかなり出回っているみたいで、京都駅の新幹線コンコースに土産品として並んでいたのにはのけぞった。うちの田鶴さんに言わせると『今でこそ賀茂ナス言うて騒がれてるけど、ブームになる前は、賀茂ナスの種を自家採取できちんと残して作り続けてきた農家は、この賀茂でも2軒くらいしかなかった』とか。うち1軒はうちの田鶴さんのことね。
だから「ホンマ物」(笑)の賀茂ナスには微妙な特徴がいくつかあるという話。まあ品種改良されてないから、ばらつきも大きいし、絶対的な特徴ではないんだけどね。
今じゃ、種屋や苗屋で賀茂ナスを買えるんだけど、品種改良されていない原種のおもしろさってあると思うから、そういった種は守っていって欲しいよな。」
とのことである。うーむなるほど、賀茂ナスといって店頭にならぶものは多々あれど、原種に近い物を保存している農家は少ないはずだ。その貴重な賀茂ナスを分けて頂いた。至福である!
実はこの賀茂ナス、数年前に大石家に泊まりに行った時に食べたことがある。飲んだくれた翌日、大石が母屋に分けてもらいに行ったら、「ちょうど○亭に納品するところだから、余ったのあげるわ」と、数個の茄子をいただいたのだ!
「この茄子、なんにするなぁ」(大石)
「3コもあるからなぁ、、、1コは伝統的な田楽にするとして、後2つは、、、思い切って麻婆茄子でも作るかぁ!」(ヤマケン)
「! な、なに?? 賀茂ナスをマーボー茄子にしちゃうのぉ、、、?(汗)」(大石)
そして強引に麻婆茄子を作ってしまった。当然ながらムチャクチャ旨かった!けど、大石は最後まで「賀茂ナスを麻婆なんて勿体ない、、、バチが当たるわ」といいながら食べていた。懐かしいなあ、大石よ!
さてよく切れる包丁でスパッと一気に切る。断面にはうっすらと心室が分かれているのがみえる。

今回は大石も「やまけんに贈ったら何にするかわからん」と思ったのか、できあいの田楽味噌も同封してくれた。思わず笑ってしまったが、性懲りもなく1つは茄子のパスタに贅沢に使ってしまった。スマンな、使い方まちがっとるかな?
茄子を半割にして格子状の刻みを入れ、ダッチオーブンのフライパンであるスキレットに油を満たし、じんわりと揚げる。中まで火を入れてこんがりと揚げるのには少々時間が必要だ。

茄子と油の相性は最高だ。この照り輝きは非常に美しいではないか。

同封されていた田楽味噌でいただく。山椒の葉っぱがないのが悔しい。用意しておくべきであった。

大石が書いている「ほんまもんの賀茂ナスにある特徴」がなんなのか、僕は知らない。けど、包丁を入れずとも、茄子の心室に沿ってさっくりと自然に箸で割ることができる。この肉離れのよさは、米茄子では味わえない。そして、果肉のトロリとした食感と、立ちのぼる魅惑的な茄子の上品な舞妓さんのような香りは、賀茂ナスしか持ち合わせない美的な特質である!
「うーーん 旨いなぁ、、、」
一人ぼやきながら食べる。本当に綺麗な味だ。これはホンモノの京野菜だな、、、こういうものを食べるときは、僕はアクをわざと抜かない。アクこそが味だと思うからだ。そしてこの賀茂ナスからは、実にきっちりと、独特の「味」が伝わってきた。毒にも薬にもならない野菜が多い中、野太さと上品さを併せ持つ野菜を生み出せるのは、土地の恩恵と、代々伝わる営みを継承していく生産農家の意志そのものだ。
今年もいいものをいただいた。大石、どうもご馳走様でした。
追伸:
掲載内容の確認した時に大石に「ほんまもんの特徴」を訊いた。 ふうむなるほど という内容。しかしもう食っちゃったから確認のしようがない、、、
「19日に、お客様に日頃の感謝を込めてBBQ大会をやりますので、ぜひおいで下さい。」
と、門前仲町のBarオーパ店長である水澤君からお誘いをいただいた。嬉しい限りである。我が家の近所の木場公園が会場であり、一も二もなく参加である。水澤君が優勝したバーテンダー技能競技会を一緒に観戦した和歌山の流通業者である津田君から、スイカや野菜、ゼリーなどの大量の差し入れを自転車の荷台に満載し、灼熱の太陽の下を木場公園へと急ぐ。
途中、水澤君から電話が入る。
「やまけんさん、もうみんな人間じゃなくなりつつありますから、早く来てください!」
なんだなんだ何が起こってるんだ?と足を速める。木場公園に着き、皆の姿を探す。店では男性はオールバック、そして男女ともにビシッとジャケット着用の姿を見慣れているが、本日はみな普段着のはず。夏の行楽日の人混みのどこにいるのか分からない。
と、「ヤマモトさ~ん ここですここ!」 なじみの岩本君が僕を見つけてくれる。

、、、もうすでに皆、できあがっている。猪木イズムのTシャツを着たオーナーバーテンダーの大槻さんを筆頭に、みなもう立派な酔っぱらいである。顔を紅潮させた水澤君が迎えてくれる。髪を下ろしているのでいつもより10才くらい若くみえる。
「そうなんですよ、海外でバーに入ろうとすると、必ずパスポートをチェックされるんですよ、未成年じゃないかって、、、」
内藤君がジントニックを作ってもってきてくれる。
「これ、できあいのものじゃないよね、当然、、、?」
「もちろんです、ここで作ってます!」

愚問であった。今をときめくオーパ軍団が野外BBQで作る、紙コップ入りのジントニック。味もビシッと決まっていて最高に旨い!

オーパの常連さん達にご紹介いただく。勝ち鬨駅の駅ビルでパスタ屋「ミキ」を営む白石夫妻とその娘さん、その店で働くポーランド美人のカミラ、そのパートナーのレシェック、そしてダンサーのヨアンナと仲良くなった。

和歌山の津田ちゃんからの差し入れスイカは、さすがに流通業者のセレクト、絶品ものの甘さで、皆の喉を潤した。快く心地よく気持ちよく酔いが回る。

突如、水澤君の細君であるヨーコさん(美女、バーテンダー、数年前にレディースのバーテンダー大会で優勝)が妖精に変身した。ふーらふーらしながら微笑み、鳩をおっかけて「おいしそー」と掴みかかっているのを、女性が手洗いに連れて行く。数分後、「あれ、手洗いにヨーコさんがいない!」との声に、水澤君立ち上がり、「いつもこうなんですよ」と言いながらダッシュで探しに行く。オーパ軍団ほぼ総出で決死の捜索の末、発見されたヨーコさんは微笑みを振りまくまさに妖精であった。
「○○○○○○協会の理事長にも平気でからんで頭バンバンぶつんですよ。その理事長さんも『これがなけりゃな』って言ってます、、、 もう連れて帰りますんで、お先に失礼致します」
と水澤君、タクシーを拾うが、実にラブラブである。いい夫婦だ!

大槻さんの挨拶と常連さんの3本締めで閉会。ポーランドの人たちにはこの「〆」という観念がわからないらしく、説明に苦慮する。家に帰って辞書検索してみた。
「物事の成就を祝って、関係者が揃って手拍子を打つこと」
そうだな、このオーパという店が成就したことは多々ある。そしてこれからもだ。若きホープ内藤君は明日(19日)、大会が控えているという。頑張れ!
灼熱の太陽の下、よく食いよく飲みよく笑った! こんなに旨い野外ジントニックはこれ以降味わえないだろう。ごちそうさまでした!
韓国が大好きだ。僕の高校の修学旅行は生徒が自分で行く先を企画できたので、韓国ツアーの実行委員になり、旅程を組んだり、韓国の勉強(ぼくはもっぱら料理担当だった)をしたりした。それにしても学校の調理室で冷麺を作ったのはもう15年前か、、、(無言)
ソウル市内では高校生の家にホームステイし、同年代の韓国の学生と親交を深めたのであった。学校から彼らの家に向かう中、ずっと相手のジェーウクが僕の手を握っていたので、「おいおい、もしかしてこいつって、、、」と思って怖かったのだが、これは韓国での親愛の情を示すものであった。そして家庭料理の数々をもてなして頂き、韓国の歌を熱唱したという思い出である。
次に行ったのはいきなり仕事。前の会社で韓国の農業組織よりオファーがかかり、韓国の農産物を日本で売ってくれと言う。その視察に行ったのであった。済州島のみかん生産農家を廻った時は、その温室みかんの品質に驚いた。日本からも商社がバンバン来てオファーを出していたという。夜は済州島名物のトゥジェ・カルビ。豚のカルビだ。厚めにスライスした豚バラ肉を炭火で焼き、サンチュにキムチ類と一緒に包みひたすら食べる。ここで僕は威力じゃなくて胃力を遺憾なく発揮し、ひたすら「旨い旨い」と大量に食い続けたことで向こうの組合長に気に入られ、「息子、息子」と言われながら豚肉攻撃を毎晩受けることになったのであった。
このように韓国好きではあったのだが、この日本で韓国の人と遊ぶことは今まで無かった僕にある日、メールが来たのだ。
「山本先生、はじめまして。韓国農協のカンデヨンといいます。月刊JAの連載を読ませて頂きました。」
そう、今年からJA(農協のことね)の機関誌である月刊JAという雑誌に連載を書いているのだが、それを読んでの質問メールをくれたのだ。以来、数回メールの交換をしたのだが、正直メールでは書ききれないことが多いので、オフィスに来てもらうことにした。
エレベータから現れたカンさんと、同行のキムさんは、当たり前だが韓国人ぽい顔立ちのオトコ達であった。「アンニョンハシムニカ!」と握手をする。カンさんは僕とほぼ同年代で35才、キムさんは39才。どちらも韓国に妻子を残して日本に研修にきている。
中心となる話題は、「有機農産物」についてのものだ。韓国では有機農産物の普及・推進を国レベルで進めている。その上で起こる諸問題をどう解決すべきか、日本での事情を教えて欲しいと言うことであった。しかし、残念ながら日本では有機農産物に関する規定はあるものの、それを明確に「推進」していく体制は、国レベルではないといってよい。それを苦々しく伝えると、カンさんはとてもびっくりしていた。まあ、その辺の話は姉妹blogである「俺と畑とインターネット」で書こう。
それはともかく、1時間程度の情報交換の後、僕らはうち解け合い、是非今度飲もうと言うことになったのである。できれば、韓国人が行くような韓国料理の店にいきたい、と。
「山本先生、任せてください!新大久保に私たちがよく飲みに行く店があります!」
それは乗らなければなるまい。早々に日程を確保し、行ってきたのであった。新大久保駅改札に面した大通りのガード下をくぐり、まっすぐ歩く。
「山本先生、二つ候補があって、サムギョプサルの店と、色んな家庭料理の店があります。どちらがよいでしょう?」
おおおお サムギョプサルは韓国料理の中でも僕が大好きな一つだ!決まりである。
「ここです!」
そこには、とても旨い店にはみえないファンシーな看板の店があった。
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■とんちゃん

※新大久保店の情報が見つからないので、歌舞伎町店を掲載しておく。新宿区歌舞伎町2-14-8 メトロプラザビル2 1F
03-5287-4133


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何だか安っぽいチェーン店みたいな店構えだなぁと思いながら入店すると、一転して古い丸テーブルと簡易椅子。そのテーブルには、ガス管が繋がれた不思議な鉄板のようなものが一つ乗っている。
「これ、石板なんです。」
ああそうか、オンドル石というやつか、、、
店内にはハングルが飛び交っている。当然店員さんも韓国人のようだ。カンさんが韓国語で矢継ぎ早に注文を飛ばす。
サムギョプサルとは、豚のバラ肉を焼き、サンチュと様々な具を一緒に包み込んで食べる料理である。サンチュ以外に何を包むかが店の個性のようで、僕はエゴマの葉を一緒に包むのを好む。しかしこの店は、完璧に韓国式のようで、具材もみたことがないものが並びそうだ。
まず、韓国では当然なのだが、キムチ類が並ぶ。

韓国ではこれらは無料でお代わりし放題である。しかしカンさん曰く、
「最近の韓国の若者はキムチを食べない。ニンニク臭くなるのが嫌だそうです。」
とのことであった。そんなことでいいのか!と思ったが日本でも伝統食は絶えつつあるので同じかもしれないなぁ、、、
ちなみにかなり気に入ったのがこれ。

なんとナスのキムチである。
「ナスを丸のまま煮て、タマネギ、唐辛子、ヤンニョム(キムチの素みたいなもんだ)とごま油を合わせてよく混ぜるだけです!」
これがトロトロしたナスの食感とキムチの味が相まって最高。今度作ってみよう!
さて豚肉が運ばれてきた!凄まじく脂の厚い三枚肉(バラ肉)だ。

向こうの人はバラ肉好きだ。脂も味も乗ったこの部位が最高のご馳走なのだろう。
熱した石板の上にペチュキムチ(白菜)と豚を載せる。


豚はすぐにはさみで一口大に切る。ジュージューと脂が爆ぜてきたら、岩塩を振る。この岩塩が色んな味成分が含まれていて旨い。

豚が焼けてきたら、脂でニンニクも大量に焼く。このニンニクの量が凄まじいので、翌日にプレゼンなど控えている人は要注意である。

ここで包みの儀に入る。サンチュを拡げ、豚を載せ、ネギの薬味を載せる。このネギ薬味に色んな秘密がありそうなのだ。

そして青唐辛子もしくはニンニクを挟み込む時に、付いてくる韓国味噌を適量、豚に塗る。そうして包んで一口で食べるのである!
カンさんの模範映像を撮影しているので、ぜひご覧いただきたい。
このサムギョプサル、「ただの豚肉巻きじゃん」と思ってはいけない!岩塩、薬味、味噌、そしてニンニクの風味が一体となる激旨肉料理なのである!韓国の肉食文化はやはり素晴らしい。焼き肉とは全く違う、上質の料理である。
「おおおおお 旨い! マッシスムニダ!」

マッシとはハングルで「旨い」ということである。これ以降、一口ごとにマッシを連発してしまった。本当に旨いんだもん!どんなに落ち込んでいても絶対に元気になるであろう突貫的韓国式元気料理である。
それはいいんだが、韓国人はジンロ飲み過ぎである。

「山本先生!韓国ではジンロを沢山飲みます!」
といって、小さいグラスをキュッキュッと空けてしまう。そして韓国での親しい人への儀式というか、自分のグラスを満たして一口のみ、相手に差し上げるマナーを教わった。当然受け取ったら飲み干さねばならない。韓国直輸入の甘い旨いジンロを、3人で5本くらい空けてしまった。フラフラである。

「山本さん!私は嬉しい!韓国に来たら一日私が車を運転して案内します!これはお守りです!」

と、カンさんは僕に1万ウォンをくれた。そしてなぜか熱烈なキスをされた。同行のキムさんが笑いながら言う。
「このカンさんは韓国人らしくない韓国人ですから、誤解しないでくださいねぇ~」
わははは カンさんは相当に熱いひとなのであった。
最後に冷麺を食べる。

日本でも出てくるムルネンミョンと、辛いタレをまぶしてあるピピンネンミョンをいただく。


やはり旨い。日本の盛岡冷麺とは全く違う本場の味わいである。(蛇足だが盛岡冷麺は、麺の原料が韓国の冷麺とは違う。どちらかといえば盛岡冷麺の麺は「カルククス」という韓国料理の麺に似ているといわれている)
この後、カラオケに移動し、ハングルの歌を歌う。なんと僕が修学旅行でホームステイした時に教えてもらった歌が歌われており、懐かしく合唱してしまった。
こうしてハングルの熱い夜は過ぎていった。
そして翌日、久しぶりにひどい二日酔いで吐きまくり、かつ身体から立ち上るニンニク臭で誰も寄ってこないという状況だったのであった、、、
夕張のキングメロン半割のエントリを書いたら、どどっと「メロン食わせろ」メール攻撃を受けてしまった。タイミングさえ合えば食べさせてあげたいのだが、何しろ届いた当日か翌日には食べないといけないデリケートなメロンなので、ナカナカ難しい。
先日は、いつも僕がメロンをお願いしているI氏が紹介してくれた、同じ町内でメロンを生産している寺島君からキングメロンが送られてきた。彼は20代後半にして一家を背負って立つメロン農家。パワーあふれるナイスガイで、「やまけんさん、来年は俺のメロンも食べてください」と約束してくれていた。それを忘れずに果たしてくれたのである。オトコの価値は、長期に渡る約束を守ることだな、やっぱり。

「トロトロに熟したメロンが好きって言うことだったんで、そういう玉を送りました。」
というとおり、熟度的には僕にちょうど良いものだった。半割にした食べると、友人I氏のメロンと若干違う傾向。味の濃さ、香り、糖度ともにバランスがとれていて。非常に旨いメロンである!やはりキングメロンは最高ダ!

しかし感想を伝えると、
「いや、今年のメロンは会心作が一つも出ません。北海道はずーっと雨で日が出てきてないので、メロンはかなり大変な状況なんです。だから、不本意なんですよ、、、」
こればかりはハウスを建てようがなんだろうが、人知ではいかんともしがたい。そんな悪コンディションの中、よくぞここまでのメロンを育て上げたと思う。
しかし、熟が進んでいるので、こいつもまた俺が一人で食べることになるのかと思っていたら、ちょうど親友の加賀谷と金子から連絡が来る。
「いま広尾に二人で居るんだけど、遊ぼうよ」
「いや それだったらメロンがあるから木場まで来いョ!」
「おおおぉおおおお 行きますよ社長大将!」
ということで二人が拙宅を襲撃。慶びの表情である。
ちなみに加賀谷は食い倒れ党広報担当。金子は何回も紹介しているが、僕のイラストを描いてくれた張本人で、週刊少年ジャンプのデジタル漫画を連載中だ。
(このリンク先の、一番右の「トラベル&トラブル」が彼の作品だ。是非観て欲しい。)

半割分を二つにカットして出してやると、二人とも驚愕の表情。
「こんなデカイの食べていいの?ほんと?」
「いや、俺はいつも半割を食べてるから小さいよ」
「ヤマケン、社長になると人格が変わるんだな、、、」
変わんねーヨ! 前からメロンはこういう食べ方だいっ!
さすがに出張疲れで微熱があり頭が痛かったのだが、親友二人と馬鹿話をし、メシをつつく内に元気も復活してきた。寺沢家のメロンはまだ出荷が続くようだ。是非食べてみたいという人には連絡先を教えようと思うのでメールで連絡してください。
コンビニや持ち帰り寿司で必ずみかける「サラダ巻き」とか「レタス巻き」。海苔巻き寿司の中身に、エビやレタス、そしてマヨネーズという組み合わせで食べさせるものだ。子供でも食べられるので、かなり昔からスタンダード化している。しかしこの原型・ルーツが宮崎にあるというのをご存じだろうか?宮崎市内にある寿司「一平」が、その元祖を名乗っているのである。
その話はずいぶん昔からきいてはいたのだが、足を運ぶチャンスは無かった。出張で行った際に店の前まで行って、定休日で地団駄を踏んだこともある。そして4年ほど前、宮崎の農協への出張の折、初めて一平に足を踏み入れた時の衝撃は忘れられない。
「これが元祖レタス巻きかぁ、、、」
レタス巻き用に最適なチューニングをされた自家製マヨネーズは、酸味が抑えられ非常にクリーミー、そして和のテイスト。念入りに下処理された茹でエビ、そしてレタスを酢飯できっちりと巻き込んである。軽く醤油を漬けていただくと、酢飯の酸味と特製マヨネーズ、そしてエビの香り甘みが渾然一体となる。レタスのパリ感とエビのホックリ感も楽しく、5人前くらい食べたくなってしまって困ったものである。以来、宮崎に足を運ぶ際は、できるだけ「一平」のある宮崎観光ホテル近辺に足を運ぶのだ。
そんなわけで今回の宮崎滞在の夜。
「アニキ、宮崎市内で飯を食べましょう!」
僕の九州の弟分、沼ちゃんが車を走らせシーガイアに迎えに来てくれる。彼はとある農協の職員で、残留農薬などの成分分析のエキスパートだ。仕事上の相談にも多々乗ってもらっていて、頼りがいのあるヤツなのだが、なぜか僕のことをアニキと呼んでくれる。身長190センチの体躯で極真空手をやっていた猛者だが、性格温厚、情に厚く農家からの信用も厚い、ナイスな野郎なのである。ちなみに彼が農薬残留分析の修行先からぶんどってしまった奥方はこれまた美人である。
「沼!やっぱ一平だよな」
「そうでしょアニキ、一平でレタス巻き食べましょう!」
シーガイアから車で20分程度走らせ宮崎市街へ。メインストリートである橘通りの一番街を横目に、大淀川沿いの名スポットである宮崎観光ホテル近くに、一平はある。
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■元祖 レタス巻き 「一平寿司」
宮崎市松山1-8-8
0985-25-2215


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このちょっとチープな風情の看板が溜まらないのだが、、、のれんをくぐるとカウンター、テーブル、座敷とかなり客席数は多い。

「いらっしゃいませぇ!」
テーブルに着席しとにかくすぐに
「レタス巻き2人前とサバ寿司!」
と注文を入れる。そう、実はここのサバの握り寿司も絶品なのだ。青魚マニアの僕としてははずせないチョイスである。
一平の品書きに、レタス巻きの誕生秘話が掲載されている。こんな感じだ。

友人の作曲家の野菜嫌いを治すために考案されたのがこのレタス巻きだという。なんだか僕は違うエピソード(野球選手が野菜を寿司で食べたいと言ったので考案した)で覚えていたので「あれ、そうだったっけ」と思ってしまったのだが、店が書いているんだからこちらが真実なのだろう。
ちなみにレタス巻きは950円。宮崎の物価指数からすれば高い方かも知れないが、絶対的確実に旨い!のだから迷ってはいけない。

ほどなく
「はい、おまちどおさま」
と、運ばれてきた これが元祖レタス巻きである!

均等の圧力でスパッと米が割れている切り口。エビの美しい断面とレタスの巻き。レタスの細胞組織を崩さないように全体を巻いているはずだが、ご飯はしっかりと圧力がかかった巻き加減となっている。この辺、かなり奥深い技術が隠されているはずだ。

片面を醤油につけていただく。醤油はやはり若干の甘みがある。その甘みの後、しっかりと巻かれたご飯の中心からプチというレタスとエビの歯触りがする。そして一気に海苔巻きの世界に凝縮されたマヨネーズ香りとエビの旨味が解き放たれ鼻孔に抜ける!
「うおぉおおお 旨いぃ! やっぱ他の店じゃこの味が出ないんだよなぁ、、、」
過去、一平の定休日に他の寿司屋にてレタス巻きを作ってもらったことがあるのだが、やはり非なるものなのだ。この絶妙のバランス感覚は一平にしかない味わいだ。

レタス巻きをほどいてみる。レタスは一枚の大葉を巻き込んで成形している。こうすることで細胞の断面を少なくして、歯触り確保しているのだろう。
「やっぱ旨いですねぇ」
宮崎に住む沼も和歌山出身の奥さんも、旨い旨いと手を伸ばす。

同行の木島ちゃんも「初めて食べましたけど、美味しいですね」と止まらない。思わずもう一人前追加してしまう。
そう、もう一つこのの店ではサバのにぎり寿司が欠かせない。

適度に酢じめしたサバの切り身を握っていて、こういう形の寿司は宮崎は結構あるのだが、特筆すべきはこのサバの分厚さである。

どうだこのド迫力!渋く鋼のように光るサバの背部が実にソソる。青身好きにはこたえられない醍醐味がここにある!こいつを甘い醤油に少し浸して口に放り込むと、〆酢の酸とサバの香り、酢飯の甘みが口を満たす!
いやもう、お手上げである。

本日はこの後、一番街に行き地鶏の腿焼きを食べ、帰りにチキン南蛮を食べる予定なのでこの辺で「一平」を出る。しかしいずれ、ここで5人前くらい食べに来たいなぁ。
宮崎観光ホテル周辺には、昔書いた釜揚げうどん「しげのい」もあり、名スポットであることに間違いない。今後出張で宮崎に行かれる際は、少しフンパツして宮観ホテルにいくことをお奨めする。 絶対に後悔はしないはずだ、、、
本ページ右側のカラムの最下段に、Googleの広告を入れてみました。お金がそれなりに入るようになったら、このblog用のサーバ運用でお世話になっているプロコムジャパンさんに還元してあげないといけないのです。このサーバ、企業向けのハイパワーのサーバで運用してもらっているのですよ。いつも心苦しくて。
本サイトではできるだけ商用行為をしたくないので、色んなところから来る広告(こないだは、結婚紹介の○ーネットの広告依頼が!)を断っているのですが、Googleの場合はテキストのみの広告表示ができるのと、本ページ内のキーワードに関係した広告を表示するという仕組みなので、本サイトの雰囲気を損ねる広告は出てこない可能性が高いかと思ったわけです。しばらく運用してみますが何かあればコメントくださいね。
日南海岸でのザ・魚食いまくりの一夜が明けたら、無性に肉が食べたくなった。大丈夫、きっと京屋酒造の渡邊社長は僕の性分を理解してくれているはずだ。きっと昼はあの店へ、、、
宿泊のシーガイア内のコテージから一路日南へ。そうそう、今回は人数が多いので、シーガイアのコテージヒムカというところに宿泊した。シーガイアといえば現在はシェラトングループが運営しているリゾートだが、ANAやJALなどのツアーパックで行くと、凄まじく安い。それで完璧リゾート気分が味わえるので、最高だ。仕事なんだろうか、ホント?という気がした。
さてこの日は京屋の芋焼酎の蔵見学だ。残念ながら瓶(かめ)での仕込みはしていなかったが、もろみを蒸留する工程は稼働していたので、ざっと見せていただく。そして、真っ昼間から京屋酒造の「かんろ」ブランドのテイスティング。
この辺は、今後京屋酒造のblogにて書いていくので、ぜひ楽しみにして欲しい。
蔵内の見学の後、サツマイモ畑へ。

そう、京屋酒造は、自ら使う原料芋を生産している。9町歩という大きな面積で、農業生産法人を自前で立てて生産をしているのである。極めてまじめな取り組みである。

加熱気味の焼酎ブームだが、2年先にはこういうメーカしか生き残っていけないだろう。芋の生産方式についても色んなやりかたにチャレンジしていて、かなり面白い畑訪問となった。
とまあそんな話をしながら腹が減る。
「じゃあ、メシに行こうか。」
ん?社長、どこに食いに行きますか?ときく間もなく、車に乗り込み移動。畑から15分ほど走らせ日南郊外へ。ドキドキする心臓。そして直線上にあの大きな立派な建物がみえてきた!

「やった! 焼き肉とむらだ!
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■堀川焼き肉 とむら
宮崎県日南市園田3-1-11
0987-23-8989


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この「とむら」、地元では有名な企業だ。和牛の生産農場を直営する肉屋であり、食品スーパーも展開している。非常に旨いのは当然なのだが、とにかくここの焼き肉タレが最高に旨いのである。
地元のコンビニで、ナショナルブランドのエバラとかのタレではなくて、この「とむら」のタレを置くところがあるくらいなのだ!僕は数年前にここに連れてきてもらって一発で虜になってしまった。宮崎に住む弟分にタレだけ送ってもらっていたほどだ。
座敷に上がる。そこにはタレ入りの容器が鎮座ましましている。

このタレこそが、日本有数の旨い焼き肉ダレなのだ!うーんこれごと持って帰りたい。

「はい お肉ですよ~」

来た! さてこの肉の皿を凝視して欲しい。左側はタンだが、右側の肉は何にみえますか? カルビだと思うでしょ?

なんとこれ、実は牛バラ。凄まじくサシが入っているため、そうとは思えない。
そしてこのメニューをみて欲しい。

なんと牛バラ、1人前が577円なのである。モチロンこいつが極めつけに旨いのダ! うーむ 恐るべし日南焼き肉。
「いただきまぁ~す!」

はしたなく一番真っ先に割り箸をとって焼きにかかる。片面は焦げ目が付くまでじっくり焼き、裏面はさっと炙る程度にして仕上げる。そして誰がなんといおうが、この焼き肉にはタレをべっとりと付けよう。

肉をほおばると、僕を待っていたかのごとくジュワッと肉汁が溢れる。そして、タレの甘みとニンニク・ゴマの香り、旨味が拡がる。ん~ こいつが食いたかったんだ! ご飯にもタレをかけてガツガツと掻っ込む。もう止まらない。
「こっちの地蟹の汁も食べてごらん。殻ごとよくすりつぶしてフワフワにしてあるんだ。旨いよ。」

これがまた絶品。フワフワの卵のように仕上げてある浮き実は、殻がプチプチと口の中で爆ぜて楽しい。