2009年07月01日
魚醤界の大傑作がとうとうお目見えした! 諸井醸造所が作りだしたハタハタ100%のしょっつるを10年寝かせた超名品「十年熟仙」
※いましがた諸井社長から連絡があり、昨日だけで120本くらいは売れてしまったとのこと。欲しいと思う人は早めに買った方がいいと思います。
もう、何もいわずに諸井醸造元のWebサイトに飛んで、ぽちっと購入ボタンを押すべきだ。これは、本当にその価値がある素晴らしい魚醤である。
説明するまでもないだろうが、魚醤とは魚を塩漬けにして長期間醗酵させることでできる、醤油のような調味料だ。タイのナンプラー、ベトナムのニョクマム、そして古代ギリシャではガルムというイワシを原料にした魚醤があったという。
日本には主に日本海側に魚醤文化があり、秋田県ではしょっつる(塩汁とかく)、北陸ではいしるが有名だ。そして、発酵食品文化の伝道師である小泉武夫先生のお骨折りもあり、全国の水産関連の産地で、ニュータイプ魚醤が産まれてきた。例えば北海道では、石狩で獲れる鮭のハラワタやアラを原料にした「鮭醤油」が売られている。僕も使っているが鮭らしく濃厚な味わいだ。あと、本ブログの過去ログにもあると思うけど、高知県では鰹のハラワタをつかった「びーみ」という魚醤があった。残念ながらこちらはすでに販売終了してしまったらしいが、、、
そんな魚醤だが、魚醤を使った郷土食文化はかなり廃れ始めている。秋田のしょっつるは日本を代表する魚醤だが、安いナンプラーなどを輸入してブレンドしたりする業者がいたりするらしい。
こういう状況に危機感を持ったのが、秋田県の男鹿半島でしょっつるを造り続ける諸井醸造所だ。その模様は過去ログに詳しい。
■2006年06月26日 総走行距離363キロ!秋田県縦断 日本酒としょっつると旨い飯ばかりの豪雪体験だったのダ! その6 魂のしょっつるバカ一代を観た!穏やかで柔らかいその液体に驚愕!http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2006/06/6.html
その後も諸井さんとの親交は続いていたのだけれども、もの凄い商品ができたよということを先日きいた。それが、こいつだったのだ!
英字新聞に包まれた、凝った梱包を解くと、まるで高級なコニャックかウイスキーかという瓶が出てくる。
1999年に仕込んだという、10年もののビンテージしょっつる。ちなみに原料は、日本海を代表する魚の一つであるハタハタだ。ハタハタ100%のしょっつるは、この諸井醸造所しか造っていない。その味は、しっかりとした旨味がありながら端麗で上品、プンと鼻を突く魚の匂いが「香り」に昇華されている素晴らしいものだ。しかし、、、
この「十年熟仙」は、その上品さが数倍に昇華されている!ドスンと来るアタックが限りなく柔らかくなり、どんなジャンルの料理にも使うことが出来る、深い旨味を湛えた調味料である。
ラベルをご覧いただきたい。手書きでシリアルナンバーが入っている。500本中の94本なのである!
しかも、ラベルに書いてあるとおりの非加熱であるということは、瓶詰めしたこの状態で置いておけば置くほどまた熟成が進むと言うことでもある!
たった200mlで3000円という価格。けど、佳い調味料を使ってみたいと言う人は、我慢してでもこれを買う価値がある。ていうか、外で呑むコーヒーを10回我慢すれば買えるじゃん。無意識に買ってしまうペットボトルを30回我慢するだけで体験できるのである。
俺は大人買いしたよ。とりあえず十年熟仙を5本(!)。それと、ふだんづかいの通常のハタハタ100%しょっつるの1リットル(3000円)を1本。これだけあれば、実に豊かな食卓になるのだ。
「どうやって使うの?」
という疑問があるだろう。諸井さんとこのWebにいろんなレシピがあるから参考にするといいとおもうが、もうね、とにかくパスタに合うのよ。オイルベースであろうとも、トマトベースであったとしても、このしょっつるを垂らすだけでものすごい深みのある旨さが加わる。だって、アンチョビを濃縮した液体のようなものですからな。醗酵しているから、アンチョビ以上にもの凄いアミノ酸のカタマリなのだ。我が家のパスタはこれが欠かせません。
本来的な使い道である和食はもっとかんたん。醤油や塩の代わりに使ってみて欲しい。魚にはがっちり合います。
どうやら限定500本のうち、もう半数を切ったらしいので、早めに買っておかないとなくなるぞ。飯尾醸造の富士酢プレミアムの時と同じくらいの衝撃度で、この商品を推しておきたい。
諸井さん、ほんと、素晴らしいです。おめでとうございます!
■諸井醸造所 http://www.shottsuru.jp/
なんと発売中の「日本カメラ」に 私の食い倒れ撮影風景が2Pも載っているのである
デジタル一眼レフの人気によって、比較的大きな書店にいけばかなりのカメラ雑誌が並んでいるのを観ることが出来る。その中でも老舗・重鎮といえば、「日本カメラ」と「アサヒカメラ」だろう。実は僕がよく買うのは学研のCAPAだったりするのだけど(笑)、この二誌は信頼性の高い誌面としてカメラファンには識られている。
その日本カメラの今月号に、なんと僕の撮影風景が掲載されているのである。
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こんな感じ↓
結構写真点数が多い!もちろん掲載されている料理写真は全部僕が撮ったものだ。
最初、編集部から連絡が来たときには本当に驚いた。
「え、オレでいいの?」
だって、老舗中の老舗ですよ、日本カメラは、、、
趣旨をきいて納得。カメラのアマチュアリズム精神を大事にしようという企画で、バリバリのプロカメラマンを取材する企画ではないらしい。中には写真集を出したりや写真展を開いている人もいるけど、カメラマンを生業にしている人はあまりいないみたい(よくわからない)なページだ。
でも、嬉しいですね。あまたある食べものに関するWebから選んでもらったのは、内容が評価されていると言うことだろうか。ということで気合いを入れて撮ってきたのですよ。
撮影させていただいたのは、日本カメラの社屋に近い、人形町の養殖・芳味亭。
いただいたのは、もちろんこの店最大の名物であるビーフシチューだ!
洋食は「ご飯に合う」ということが至上命題。その点、トマトっぽさがやけに親しみやすく白飯消費量が進む、ここの甘めのドミグラスソースは実に強い。
なんてことをじっくり考える間もなく、撮影についてのあれこれやポーズを撮ったりと大忙し。いやー緊張したけど、カメラ話で盛り上がったのでした。
どうやって撮影しているか、ということが、カメラをかじった人ならなんとなくわかるようになっているので(秘密の秘密はさすがに書いてもらってないです)、関心のある人はぜひ買ってあげてください。
というか、やっぱり、雑誌に大きくドカンと自分の写真が印刷されているのをみると、モニタで見るのとは全く違った物性が宿って、とても感動する。安い雑誌じゃないけど、情報満載。ぜひ買ってあげてください。
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2009年06月29日
畜産システム研究会の会場となったのは北大の静内キャンパス。なんと470haもの敷地内は、動物ワンダーランドだったのである! 肉牛のヘレフォード種と短角種、そして本物の道産子・馬を観た!
※記事内を部分修正しました
この週末は、北海道で開催された畜産システム研究会という組織のシンポジウムに参加していた。「畜産システム」というと、なんとなく高度に情報システム化された畜産方式の研究会と思われそうだが、むしろその逆で、林間放牧など、その土地土地の環境を活かした畜産方式を研究テーマとする会だ。
会場となったのは北大の静内キャンパスということで、僕はてっきり札幌にあるのだと思っていた。しかし、、、静内キャンパスは日高郡にあり、新千歳空港から2時間かかるのである! 今回、週末だったこともあって嫁さんに「シンポジウムの間は札幌で遊んでればいいんじゃない?」といって同行させていたので、直前にロケーションがわかった時、「なにそれー」となってしまった。
しかし、行ってみて気分一変。470haもの広大な敷地の中は、とてつもなく気持ちのいい空間だった。
470haといってもわからないかもしれない。1haは100m×100mだ。それが470個。
この中に、短角和牛と肉牛のヘレフォード種が放牧されている。今回の一つの目的が、ヘレフォード種の放牧風景をみたかったことがある。
この子がヘレフォード種。草を食べて育ってくれるということでは短角よりも効率がいいという品種だ。
ごらんの通り、体は褐色で顔が白い、特徴的な模様をしている。このヘレフォード種、とても人なつこくて、寄ってくることはないにしても、あまり逃げない。短角はすぐ逃げるので、ヘレちゃんが実に可愛く思えてしまう。
実際にみてもらうとわかるが、人間のことなんか気にしないで、とにかく地面に映えている草をムシッムシッと食べている。 だいたい、1haの範囲内で1頭くらいの牛を放牧で飼うのが適正だと言われている。それより多いと、草を食べ尽くしてしまい、糞や尿が環境が分解しきらない、窒素過剰になってしまうわけだ。
適正な規模での牛の放牧は、都府県ではなかなか土地の確保が難しい。やはり北海道の広大な土地は、畜産にとって魅力的なのである。
右側は短角のメス。左の子牛は、、、これは額が白くなっているのでタンヘレかもしれない。ヘレフォード種と短角の交雑種(F1)のことだ。
ここで基礎知識の話をすると、牛の場合はこういう交雑種をあらわす時、オスの名前を先に、そしてメスの名前を後に表記する。つまりタンヘレと言ったときには、短角のオス×ヘレフォードのメスということになる。逆ならヘレタンということになる。
煩わしいことに豚の場合はそれが逆になり、メス×オスの順に表記する。例えば世界で最も多い掛け合わせであるLWDの場合は、ランドレース(L)のメスと大ヨークシャー(W)のオスの掛け合わせをLWと表記し、LWのメスににデュロック(D)のオスをかけたのをLWDと表記する。わかりにくいかな、、、
それにしてもヘレフォード種は、愛情が細やかだ。母子の様子を見ていると、よく頬をすりあわせたり、愛情表現がよくみられる。
ちなみに歩いて移動できる距離ではないので、移動は車。それも、僕は初めて乗ったけれども、メルセデスのハイパワー車であるウニモグ!
山もこれでぐわぐわと入り込んでしまうことができるのである。
右側がこの静内の牧場を統括する秦(はた)先生。なんと東京出身であられるそうだが、ほっかどうの魅力にとりつかれてしまったらしい。
みよ、この広大な景色を!
とてもじゃないがこれを現代人が開墾仕切るのは難しいと思う、、、
北海道を旅行するとよく、こういう草のロールをみかけるだろう。牧草を長期保存するためのものだ。高く生えた草を刈り取って細かく裁断し、こうしてロールにしたのち、厚手のビニールで密封する。そうすると内部で嫌気性の乳酸発酵をし、古漬け状態になり、長期保存ができるのである。しかも動物はこの古漬けの食味が大好きという、両得な餌である。
こうした、牧草などの低カロリーな餌を粗飼料(そしりょう)という。肉牛には粗飼料と濃厚資料という、薄い餌と濃い餌を与えて肉にする。しかし粗飼料は草だから一杯撮れるだろうと思いがちだが、都府県では農地が小さく、そこに安い牧草を植えるよりも米などを植えた方がいい。ということで、日本の畜産では、粗飼料は圧倒的に海外から輸入しているのである。もちろん濃厚飼料についてはほとんどが輸入。だから日本の畜産は海外依存といわれるのである。
僕は、乱暴ないいかただけど、国内で収穫できる粗飼料・濃厚飼料のみで生産できるだけの畜産物しか、つくらないという世界にした方がいいのではないかと思っている。そうしたら、おそらく一週間で畜産物は1回かそこらしか食べられない。けど、それくらいが適正じゃないかしらん。なんていいながら、僕は肉を週に複数回食べているけれどもね。
はるかかなたに、キタキツネが見える。この視察の間、たぬきもみたし、エゾ鹿 などは群れで逃げもしないのを観た。
そして圧巻だったのは、和種の馬である道産子(どさんこ)だ。
ばんえい競馬で走る、足の太いどっしりした体躯の馬が道産子だと思っていたが、実はあれは輸入馬であるということを畑先生が教えてくれた。時代劇に出てくるべき馬は実は、この美しい体躯をもつ、純和製の馬なのである。
「ひとなつこいのは近寄ってきますよ。できるだけしゃがんだりして、馬より小さくなって下さい」といわれたが、僕ははなから小さいので、すぐに好奇心旺盛な道産子が寄ってきてくれた。
僕の長靴の匂いをかぐ馬。か、可愛い、、、
カメラを構えていると、自然とその先端部であるレンズに鼻をこすりつけてくる。
これを顔の鼻 と思っているのだろうか。かれらの鼻水がレンズ面につかないように、レンズフードをつけておくことは必須である(笑)
それにしても、本当に人なつっこい。一頭がくれば、他のも寄ってくる。
フサフサした毛が印象的だ。生臭い息をブフッと吐きながら顔をすりつけてくる。
なんとも透明感のある綺麗な眼。
肉牛を見に来たのに、僕は すっかり馬にやられてしまった!
さてその後のシンポジウムは大変勉強になった。
会長である木村先生 。
そして着替えてきた秦先生。
マルハニチロ畜産という企業ながら、 こうした放牧や有機畜産の支援をするeビーフ認証というのを運営している。
そして、北海道における短角牛生産の第一人者である、襟裳の高橋さん。
熱いお話しを聞けた。 その辺はまた今度。
懇親会は、何ともうれしいことにヘレタンの肉を食べることができた!
「黒毛がキロ当たり1500円以上するのに、このヘレタンを出荷しても、キロ450円(!)なんて安値になっちゃいます。サシが入らないからですね。みなさん食べてどう思いますか?」
ヘレタンの肉、旨い! サシが入っている黒毛和牛の肉は、サシ(脂)が溶けてしまえば、あとはスポンジ状の赤身が残るだけだから、柔らかいのは当たり前。けれど、赤身部分にうま味は薄い。
それに対してヘレタンは、まずその赤身がしっとりと柔らかい。それに、純血短角ほどではないにしろ、うま味がしっかりとのっている。ヘレフォードはあっさりめの肉なんだろう。とにかく、いつまでも食べ続けられるようなうまさの肉だ。黒毛は4口くらいでいやになるけど、これはいい!
参加者が口々に「これで450円かよ、、、」とため息をつく。やっぱり日本の肉の価値基準はおかしいのである。
いろんなことを考えた週末なのであった。
業務連絡 この2日間、携帯電話がありません
週末、所属している畜産システム研究会のシンポジウムで北海道に行ってきたのですが、帰りの新千歳空港内にウィルコムの携帯電話を置き忘れてきてしまいました。発見されたのですが、届けて貰うのが最短で明後日着になる見込み。しばらく電話だと連絡がつきませんので、仕事の関係などはメールにてお願いいたします!
2009年06月24日
日本には識られざる観光名所の予感がする地域がまだまだある。大分県は由布院よりこちらの方が面白いかも! 塚原高原の可能性はでかい! その2 自然食ゆうど
さて湯布院の裏の山の上の高原である塚原の探検はまだ続く。観光協会長の藤澤さんが「さぁ、次にいくわよ!」と連れて行ってくれたのは、どーんと由布岳がみえるロケーションにあるお店。
■自然食ゆうど
http://www.shizenshokuyudo.com/
「ここはまだ新しいお店なんですけど、もうすでに女性に大人気の自然食レストランなんです。自然食なんだけど、美味しい!って評判なんですよ」
と藤澤さんが言う。「自然食」と書いている店でほんとに美味しいなぁと思うことは滅多にない(笑)それは、調味料の使い方がストイックだったり、化学調味料を使わない店の場合、総菜や外食で化学調味料に慣れた現代人的な味覚に合わなかったりするからだと思う。しかし、そうではない自然食料理屋さんもある(つまり美味しいお店)わけなので、やはり自然食だろうがなんだろうが、店の技術とセンスが問題なのだと思う。
で、このお店はどうだろうか。
ご主人の冨高さん。いま公式Webをみたら、この人ぼくと同い年だ。おおう、頑張ってね!
ご夫婦、というかご家族で自然食ライフを満喫しているというこのお店が提供するのは、堂々の一品。
■からだを「素「に戻すランチ
席にはすでに前菜がセットされていた。
この、お豆を炊いたのが非常に深みのある味。クッという噛みごたえと、控えめな豆のでん粉質と風味がいい。
そして、ここのメインディッシュ!
前菜の控えめさからは想像できない、賑やかで晴れやかな大きい一皿だ。皿一面に全て野菜がもりこまれている。 お芋をぱくりと食べて、プンとカレー塩が香る。ああ、なるほどね!さきほどまでの禁欲的な味の世界から一気にカラフルな世界へと変化した感じだ。
この一皿、カボチャや芋などの腹に溜まる野菜があるせいか、実に食べでがある。でも、女性も残らず食べきってしまうそうだ。
「美味しかったでしょう、、、じゃ、次にいきますよ!」
と藤澤会長の声(笑) ゆっくりできなくてすみませんでした、冨高さん。
まじめに美味しい自然食。とにかくこの温野菜サラダは、実に美味しかった!ご馳走になりました!
2009年06月22日
ホンモノの琉球料理の伝承の店がまた一つ、その歴史に幕を閉じる。「琉球料理乃山本彩香」が、本年の8月いっぱいで閉店します。まだ行っていない人、もう一度は行きたいと思う人、沖縄行きのチケットをとって駆けつけるべし。

沖縄に居る人達は、地元新聞「沖縄タイムス」などですでにご存じと思う。県外の人達に対しては、「告知よろしく頼みます」ということなのでここに告知します。(クリックで拡大します)
あの「琉球料理乃山本彩香」が、今年8月末で閉店する。僕は「ホンモノの琉球料理」がなんたるかをあまりわかっていない人間だけれども、僕の信頼する沖縄の人々が「彩香さんはホンモノです」と教えてくれる。そして彩香さんの料理を、僕は大好きである。その「山本彩香」が閉店するという。沖縄にとって、これは一大損失といえるだろう。
最初に僕がこの店を訪れたのは2004年(!)。こうして写真でみるとなんとも若い日々であった、、、この頃はIXY Digital Lというコンパクトデジカメで写真を撮っていたのであった。
前列真ん中が彩香さん、右側が、彩香さんの後見人とも言える川端パパ。ちなみに、川端パパこそが、このブログのタイトル題字を書いてくださった方である。先に揚げた、閉店の告知広告も、川端パパが直筆されたものだ。
彩香さんは琉球文化の粋ともいえる琉球舞踊の家元だったのだけれども、このままだと自分が育った環境の側に自然にあった琉球料理の文化が無くなってしまう!ということを危惧され、なんと料理の道に歩む。

その後、業態を少しずつ変えつつ「琉球料理乃山本彩香」を営まれてきた。
僕がこの店を訪れるとき、料理の指定はまったくなにもしないでお任せするので、他の場合がよくわからないのだけれども、基本的にはコース料理一本だ。そして、だいたいにおいて出てくる料理は決まっている。それはバリエーションがないということではなく、きっちりと様式が決まっているということ。その折々に、魚や野菜が少しずつ変わるので全く飽きることがないし、常に新鮮だ。
必ず出てくるもの。その筆頭が、テーブルに前菜としてまず置かれているとうふよう。
お土産屋さんで売っているような匂いのきついものとは全くもって別物。薫り高いチーズのような、でもチーズよりもコクのある、素晴らしきキューブ。彩香さんがひとつひとつをつけ込んでいるものだ。
ほんの一切れしかないのを、いとおしみながら楊枝でねぶり、泡盛をいただく幸せ。
島の、かた~い、そして味わいの深~い豆腐をつかったゆしどうふ。
その折々の地魚が酢味噌にて供される。一体だれだ、沖縄の魚は大味だと言ったやつは。ということ請け合いだ。
そしてこれはある意味、ここのメイン料理。どぅるわかしーという、田芋(たーんむ)を潰してと様々な具材をあわせたもの。絶品中の絶品だ。
そしてこれも、沖縄料理のメイン料理、らふてー。
「ラフティーって呼ぶひとがいるみたいだけど、それは正しい名前ではない。「らふてー」が本当のこの料理の名前よ」
と彩香さんは言った。彼女のラフテーは味噌仕立て。おそらく初めて食べる人は、この料理のあまりの上品さに心から驚いてしまうことだろう。
豚の角煮、とは全く違う。豚肉の滑らかさ、皮付きの豚脂のねっちりした旨味はいささかもそこなうことなく、くどいものだけを抜き、上質な味噌であくまで優雅に仕上げている。
もちろん出てくる料理は、その時々によって変動があるようなので、御了承いただきたい。
と、いうことだ。
僕はすでに、近い某日を予約した。もう、荷物がどんなに大きくなろうが、オリンパスとニコンの両方のカメラとストロボ機材を持って、きちんと写真を撮ってこようと思っている。
ちなみに山本彩香は、たしか水曜日と日曜日(だったかな?電話で確認してください)がお休みだ。席数には超・限りがある。そして予約は必須!カレンダーとすぐににらめっこした方がいい。
で、彩香さんの今後は?ご隠居? いやいやご安心いただきたい。閉店後は、彼女がずっと集めてきた沖縄の工芸品・美術品を中心としたギャラリーカフェを営まれる予定だ。店を訪れた人ならご存じの通り、彼女の美術眼はもの凄いものがあって、店内に素晴らしい皿、装飾品、布、着物などが飾られている。僕には全くわからないけれども、呉服屋の娘である嫁と一緒にいくと、彼女は眼をキラキラとさせる。そうした品々を飾りつつ、軽食くらいは供する店になるらしい。
だけども、琉球料理をきっちりとコースで出す店を営むのは、これが最後になる可能性が高い。この宝物を味わいに行っておくことを、お薦めする。
以上、告知でした。ふたたび、閉店のご挨拶広告を掲示します。(クリックで拡大します)
2009年06月21日
f1.4の世界は激烈に難しい、、、
知人からAiAFニッコール85mmf1.4というレンズを借りていることは前にも書いたと思う。このたびの京都・丹後地方の二泊三日にも連れて行ったのだけど、本当に使うのが難しくて苦労した。
f値というのは、検索して調べてもらうといいと思うが、レンズの性能を示すもので、値が小さければ小さいほどに明るいレンズだと思えばいい。そして、この値が小さくなるほど、一般的には高級なレンズになる。ごらんのとおり、「前玉」と呼ばれるいちばん先っぽにあるレンズからしてデカイ。「ガラスの塊」と評されるレンズだ。この大口径で光をかき集めるから、安価なキットレンズのような安いレンズ(f5.6とかの)では暗くて写らない場所でも、写真を撮ることができる。
でも、明るい、ということだけではない。f値の小さなレンズで、絞りをそのf値いっぱいに開けると、ボワッと前景と背景がぼけてくれる。冒頭から、掲載している写真はすべてこのレンズの開放値であるf1.4だ。ぼわーんとぼけてる。
カメラ、というかレンズには絞りというものがあるのだけど、一眼レフを使い始めた頃の僕は、まったくその絞りがなんたるものなのかわからなかった。EOS KISS DIGITAL Nを使い始めた僕は、もっぱらPモード(プログラムモード)で撮影をしていた。Pモードとは、その時の環境の明るさと被写体の距離などから、カメラが最適な絞りとシャッタースピードを求めて撮影してくれるという、至極便利なモードだ。つまり最初の頃の僕は、何も考えずに構図だけ決めてシャッターだけ押していたわけだ。
しかしあるとき気づいた。なんだか被写体や撮り方によって、ピントが合っている部分が小さかったり、逆にピントがビシーッと背景まで合っている写真ができてしまう。具体的には、マクロレンズというものを使って、野菜や食べ物をアップで撮影しようとすると、ピントが合う面がやたらと薄い。なんじゃこりゃ、と思ったが、その頃の僕にはわからなかった。たとえばこんな↓写真ね。

こういう状態を「被写界深度(ひしゃかいしんど)が浅い」ということがわかったのは、しばらく勉強してからだ。ピントは、レンズから任意の距離に垂直の面(壁と考えてもいい)に合う。そしてその面には深さがある。深ければピントはそれだけ合い、浅ければ、ピントは本当に一点にしか合っていないように見える。これをコントロールするのが「絞り」というものだ。絞りを開けるとピントは浅くなる。絞りを閉じる(絞る)と、ピントは深くなる。
モノに接近して、クローズアップして写すマクロ撮影の時、さきのPモードというやつは、思い切り被写界深度を浅くする。だからピントが一点にしか合わないのだ。じゃあ、そのピント面を拡げる(深くする)にはどうすればいいか。それはどんなカメラでもだいたい同じで、PモードではなくAvモードというのにダイヤルを合わせる。液晶画面などにf値が表示されるので、それを大きくしていく。キヤノンのEOS KISSシリーズやニコンのD5000とかの入門機種から中級機種まではAPS-C機と言って、Avモードでf8くらいにすれば、通常は十分にピントの幅が深くなる。f値を大きくしていくことを「絞る」というのだ。
僕は実は絞りをかなり絞って、ピントがビキビキに合っている写真が好きだった。dancyuや専門料理などの僕の好きな料理雑誌は、ピントが深く合った写真が多いことがその理由だ。料理のディテールがわからなきゃしょうがないじゃん、と思っていたわけだ。dancyuで仕事をしているプロカメラマンの伊藤さんに「どれくらいの絞りで撮ってるんですか?f16くらいですか?」ときいたら、ニヤリと笑って「f32だよ」と言っていた。銀塩写真ではそれくらい絞ると、画面の全てにピントが合ったようになる。残念ながらデジタルカメラでは、いろんな理由からそこまで絞れない。
また、僕が惚れ込んで使っていたオリンパスのデジタルカメラ規格であるフォーサーズでは、ボケの大きな写真より、被写界深度が深い写真の方が撮りやすい。だから僕も全面的にピントの合った写真を好んで撮っていたわけだ。
しかし、いま使っているニコンD700は35mm銀塩カメラと同じ撮像素子の大きさを持っていて、同じf値のレンズをつけた場合、フォーサーズよりも大きくぼけて写る。僕がいまメインのレンズとして使っている24-70mmというレンズは、f2.8という明るさだ。デジタル対応のズームレンズでf2.8という明るさはかなりスゴイらしい。どでかくて長くて重くて、正直、もって歩くのにくじけそうになるレンズだけど、すこぶる気に入っている。
しかし、このレンズよりもf値が小さいのである、85mmf1.4は!
そして、f2.8とf1.4の差は、僕が想像していたよりも大きかった!
この写真、真ん中に出てきている成長点の先っぽにピントを合わせたら、もうその前後はほとんど合わないでぼやーっとしている。右側の葉っぱの端のほうもピントが合っているように見えるが、これは成長点と平行の位置にあるんだろう。
先のエントリで、飯尾醸造の5代目見習いである彰浩君のこのショット。
飯尾君にピントを合わしていて、前の部分はブワーァッとぼけて、飯尾君から先の背景はややなだらかにぼけている。こんな圧倒的にぼけるレンズは使ったことがなかった。
しかし、だからこそムチャクチャに使いこなすのが難しいのである。 よくいわれる話だけど、たとえばアップで人の顔を撮影する時、ピントの位置はものすごくシビアになる。どれくらいシビアかというと、人物ポートレート写真の基本である、眼にピントを合わせようとしても、下手をするとまつ毛に合ってしまうことがある。それだけの差で、もう眼はぼやっとぼけてしまって、後でその写真をみて「あああああ やっちゃったよ」と思うのである。正直、僕には使いこなすのが難しい。
しかし、こんなに魅力的なレンズもない、、、どうやらまだこのレンズのリニューアルは先のようだし、買ってしまおうかと迷っている。
「なんだよ、食べ物の写真だけ載せろよ」
という声が聞こえてきそうなので、、、この時期、ファーストフードだけども、これは取り合わせ的に美味しくないわけがないという、フレッシュネスバーガーのハモンセラーノバーガー。バンズに砂糖を使わないでくれればもっといいのに。甘さと脂とアミノ酸に頼らないファーストフードってないもんかね。
という、レンズ話でありました。
2009年06月18日
京都府の宮津市・飯尾醸造の田んぼが綺麗です
丹後にある、短角牛と黒毛和牛の交雑種(F1)を生産している牧場の視察があるのだが、それなら手前の宮津で一泊と思い、飯尾醸造さんを訪れています。
まずは恒例の「こんぴらうどん」にて食事。
この店の超絶な出汁の美味しさを知るためにも、何も入れない「かけ」は食べておくべき。
キュッと冷水で締めて冷やした麺の弾力を楽しむために、冷やしものも頼むとベスト。その際に天ぷらものを頼んで、かけの方にも天ぷらを落とすと、バリエーションを楽しむことができる。写真は野菜天せいろ。丁寧に揚げられた野菜かき揚げと海苔揚げが美味しい。
最初、飯尾醸造を訪れたときにも、飯尾君が「ぜひ連れて行きたい店が」という。けれども、せっかく海の近い宮津に来ているのに、しかもなんでさぬきうどん?と不思議だった。
けれども食べてみて疑問は氷解。香川でも滅多に食べられないうどんだ。つゆは昆布ベースなので讃岐とは全く違う。麺の食感も、最近多いとにかく弾力ぶりぶりというものではなく、はんなり・ぶりんっ という妙味。
ちなみにこの大将、飯尾醸造のお酢をたくさん使ってくれている。
「貿易の関係で粉のコンディションが悪いときとかは、お酢が助けてくれるんですわ。うどんを打つときに酢をよういれるんです。これが魔法なんですわ(笑)」
ちなみに卓上には、飯尾醸造の富士酢と紅芋酢をブレンドしたものが置かれている。これをうどんにかけると、びしっと合う!酢酸で味がめちゃくちゃになるかと思いきや、まったくそんなことはない。出汁と醤油のうま味の世界に、また違う線が一本入るのだ。
ご主人には、出汁の話をいろいろ教わった。
「最近、ええ昆布があまり手にはいらんのですわ。関西では昆布はねかせます。打ちが使ってるのは5年くらい寝かせてますなぁ。うちの家にはもう100キロ以上寝かせてあります。そういう単位じゃないと問屋もええのを持ってきてくれんのでねぇ。
いま昆布の世界も後継者不足で、ええ仕事をしてくれる業者さんが減ってきてます。生産者の手取りが低いんでしょうねぇ。けど、問屋の仕事も重要で、やっぱりきちんとしたものを選別してくれる。漁師さんが飛び込みで昆布を売りたいと来ることがありますが、うちでpHを測ると、ちょっとこれはうどんには向かんねぇ、日本料理にはええでしょう、と言うような話になることが多い。やっぱり、漁師さんがいろんなレベルのものを持ち込んできたのを、整理・選別して、寝かせて持ってくるという問屋の機能は重要ですわ。
ただしね、何も知らないで買おうとすると、だまされる世界です。関東ではどうかしりませんが(笑) 何枚かに一枚、別の産地のもんをもぐりこまされるとかは、よくあることです。そういうのを見つけてきちんといえるくらいの眼を持たないと、買う方もあかんのです。僕もようだまされました、、、(笑)」
うちには秘密はなんにもない、といいながら、つけ汁(辛汁)のあんばいを見せてくれるご主人。
あるところでぴたっと止めて味見。
「かえしの量、これくらいでもいいか、と思うでしょう?」
うん、ちょうどいいと思う!
「でもね、これにもう少し足すんですわ」
と、けっこうどぼどぼと足していく! ええええちょっとしょっぱいんじゃ、、、
けれど、その塩梅を強くした汁のほうが、びしっと全体がまとまった味になっている。
「水気をふくんだうどんをつけるんで、強い加減にしておいたほうがええんです。で、これに最後、魔法のお酢(笑)」
飯尾醸造の玄米黒酢を、適量投入。
おおおっ お酢が入ることによって、輪郭がさらにハッキリくっきりと浮かび上がってきた!酸味は感じないレベルで、しかし味全体には明確に差が出たのである! うーむ 素晴らしい!
ご主人が、おみやげに真昆布と利尻昆布を持たせてくださった。
「真昆布のほうはうちで数年、寝かせてますから」
貴重なものをありがとうございました、、、(涙) 宮津を訪れるものは、かならずこの店で宮津風のうどんを食していくべきである。
さて一路、飯尾醸造の棚田へ。
飯尾醸造は、自分のところで仕込むお酢につかう米を契約農家に無農薬栽培してもらっている。しかし昨今、地域の高齢化で耕作放棄値が目立つようになり、蔵人の手でなんとかできないかということで、自分たちで田んぼを借りて栽培もするようになっているのである。
右が飯尾彰浩君、左が稲作担当責任者の伊藤さん。若き日はぶいぶいいわせていたというナイスガイである。
みての通り 手植えである。
この地域はイノシシやヌートリアなどの獣害が激しいため、電柵が欠かせない。下の写真でポールが立っているのが電柵だ。
(ニコンD700 AiAFニッコール 85mmF1.4 )
日本の調味料メーカーで、自前で原料を栽培しているところはいくつかある。でも、お酢に関してここまでやっているところはそうないだろう。しかも、完全無農薬なのだ。 かなり大変ですよ。
こちらは契約栽培の田圃。天橋立を望むことができる。
田が黒っぽいと思われただろうか。これが、古紙を原料にした紙マルチ。田植え時に敷いていき、そこに苗を植えていく。黒い紙が水温を暖め、そして雑草が出てこないように抑制してくれる。稲がしっかり根を張って草負けしなくなったころには分解してくれるという、無農薬栽培には欠かせない優れものだ。
ただし 高い。飯尾醸造ではこの紙マルチは全額を蔵の負担で契約農家に配っている。そして、農家からの米の買い取り価格はびっくりするほどに高い。よくやっておられるなぁ、と思う。安いお酢を買ってる場合じゃないのである。こういう蔵を支えてこそ消費者ですよ。
楽しみな夕ご飯は、飯尾家にお呼ばれ。
超絶絶品な、焼き豆腐の煮たの。もうね、本当にこれがあれば他のは無くてもいいくらいに美味しい。
するめいかの小さいやつ。名前、なんだっけなぁ、、、
トビウオの旬。酢締めされたのがキュウリと合って美味しい。
この辺でもハタハタが揚がり、よく食べるという。けど、ハタハタ寿司にはせず、煮るか焼くかだという。ほろほろした身が甘辛い汁に絡むと最高で、速効でメシをおかわり。
かきチシャの炒め煮。かきチシャは日本に比較的昔からあったレタスの仲間。次々に出てくる葉をかいていくものだが、こうやって加熱して煮含めたのは初めて。とても美味しいものだ。もちろん隠し味に酢が使われているのだが、それがドンピシャ。
あれだけ並んでいたのに、二人でほぼ食べてしまいました、、、
飯尾家の心地よさに感謝。
さて本日は牧場へ移動します。

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