日本における馬の待遇を改善しようという思いから生まれたジオファーム八幡平のマッシュルームはエシカルに溢れた、美味しいマッシュ。これから有名になっていく食材であること間違いない!

2015年7月 6日 Category:食材

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いつも僕に「この食材、佳いよ。」と教えて下さる溝口さんからメッセージが来た。

「突然ですがマッシュルームを送りたいので事務所にいる日を教えてください。
岩手の八幡平にあるジオファームという施設での、馬糞を堆肥化して販売しビジネスにすることで殺処分される馬の行き場を作ろうという活動の産物です。
ご存知のように八幡平には地熱発電があり、その地熱によって質の高い堆肥ができます。マッシュルームはその堆肥と地熱を使い育てました。
何より凄く美味しいです。力が漲っています。正直、○○○○さんより味は濃いと思います。乾燥させた商品に差が出ました。」

マッシュルームか!

これが、殺処分される馬を思いやってのプロジェクトだそうだ。ご存じとは思うが、日本では馬はもう競馬か馬術競技に供するくらいしか道がない家畜で、中でも競馬用の馬は、引退後はほとんどが殺処分されてしまう。種馬として残るのはほんの一握り、なぜなら成績を残せない馬の精子を残しても仕方が無いからだ。

その馬たちに、ひとつの道を作ったのだ。そこにマッシュルームが関わる。

マッシュルームはキノコなのだが、その畑ともいえる菌床には、堆肥を使用する。この堆肥に馬糞を使うのだ。そういうと「なに、糞を使うの?」と思う人も居るかもしれないが、糞を使うわけじゃない。糞を完全に発酵させ、その過程で発生する発酵熱を利用して殺菌する。そうして完熟した堆肥に他の副資材を混ぜ込んで、キノコが生成できる床を作るのである。

しかし、疑問に思う人もいるだろう。馬糞でなくてもいいんじゃない?鶏・豚・牛の糞がいっぱいあるでしょう?

実は、それがちがうのだ。マッシュルームはヨーロッパで生まれたキノコで、馬糞堆肥から発生させたのがいちばん美味しいのである。しかし日本では馬が日常にいる環境が少ないので、マッシュルームを製造しようとすると牛糞を使う業者さんが多かった。しかし、それだと形がこの特徴的なマッシュルーム型にならなかったり、味がのらないという欠点があったのだ。

だから、いまマッシュルームでガンガン成功している山形の舟形マッシュルーム、北海道は十勝の十勝マッシュなどは、どちらも馬糞を得ることができる環境で栽培しているのである。

で、八幡平のジオファームだ。馬糞があればマッシュができる。ならば現役を終えた馬を八幡平の自然環境に連れてきて、どんどん馬糞をうみおとしてもらう。その馬糞を堆肥にして、マッシュルームを生産しようというのだ。しかも八幡平の温泉熱を利用して、施設の暖房にする。

これによって、エネルギーをあまり使用せず炭素排出を減らし、馬の生命を大切にするマッシュルームを産み出したというのだ。

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とどいたマッシュルームは実にきれいなものだった。

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僕もキノコ生産者のところはかなり廻っているけれども、こうしてまじまじとマッシュルームを観る機会というのもない。

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さてどうやって食べようかな、パスタにでも刻んで入れ込むかとも思ったが、マッシュルーム単体の味わいを食べなければ意味がない。

ということで、まずは生のサラダをホワイトで。

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レモンとタマネギすり下ろし、オリーブオイルでヴィネグレットを作り、クレソンと和える。あいにく美味しくない植物工場・水耕栽培のクレソンしかなかったのだが、、、

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マッシュルームが旨いから、とっても美味しいサラダになった!

生のマッシュはクキックキッと心地よい食感に、なんともいえない透明感のあるまろい香り、そして強い旨みがあるのだ。クレソンの青い香りになんともマッチして、素晴らしい!

そして、もうひとつマッシュルーム自体をしっかり味わいたいと思って、フライをつくってみた。

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市販のパン粉をフードプロセッサーでさらに細かくして塩も混ぜ、小麦粉と卵でしっかり目に衣をつけて、非加熱圧搾の「御なたね油」でしっかりと揚げる。

もちろんこちらはホワイトとブラウンの両方を揚げてみた。

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これが、とっても美味しい!

噛んだ瞬間、マッシュルームに内在していた水分がスープとなってジュバッとほとばしる。やけどしそうになるけど旨い!卵を吸ったパン粉の塩気だけでもガンガンいけるが、マヨネーズをつけるとさらに美味しさが拡がる。

ブラウンマッシュはやはりこっくりハッキリした味わい。ホワイトは上品な香りで、あと口がいい。どちらも標準レベル以上の美味しさである。

舟形マッシュルームや十勝マッシュルームなどと並べて食べ比べていないので、優劣はわからないのだが、日本にまた面白いマッシュルームが出てきたと思う。エネルギーの観点からも、またエシカルの観点からも納得できるジオファーム八幡平に今後、注目したい。

実はまだ八幡平に行ったことないんだよな、車で通り過ぎただけで。八幡平サーモンもあるし、じっくり廻ってみたいんだけどね、、、

溝口さん、ごちそうさまでした!

NHKラジオ第一「マイあさラジオ」のやまけんコーナーは、放送後一ヶ月はネットで聴けます。最新版は坂農苑さんのブルーベリーの放送!

2015年7月 6日 Category:食材,首都圏

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毎週土曜日朝に放送されているNHK第一の「マイあさラジオ」に出ています。旬の食材を紹介するというものなんだけど、これ放送後にネットで聴けるんですね。

ブログを読んでいる人にはなじみがないかもしれないけど、僕はコンサルタント業がメインなので、話すことが仕事。実はしゃべりもけっこうイケるんですよ(笑) お暇があればお聞き下さい。いま最新の収録は、坂農苑のブルーベリー!

この時のはなしですね↓

■茨城県は優れた農産物の宝庫です。鳥山さんの導きでとうとうここに来た!坂農苑の6町歩に及ぶブルーベリー畑にぶっ飛び感激!「ブルーベリーはわしづかみにして食べるものです」。http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2015/06/6_10.html

ラジオ番組はこちらの、私の顔写真のバナーを押してどうぞ。

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いろんな熟成肉が出てきている中で、ホンモノの加工肉職人が作るものはひと味違う!ホルス経産牛を特殊フィルムでつつみ、万人に好まれる熟成を追求した町田「クロイツェル」の熟成技法はなかなか興味深い!

2015年7月 5日 Category:ドライエージングビーフ,首都圏

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3年くらい前からドライエージングという言葉が一般化したように思うが、それにともなって、冷蔵庫にただ置いといただけの肉、腐敗に傾いた肉を出す店がとても多くなってきている。僕の廻りではすでに実害も出ていて、食中毒になってしまった(病院で診断された)人もいる。おいこら関西から出てきて池袋あたりに出店してるあんたら、ちょっとまずいと思うぞ。

ドライエージングは簡単にはできない。いったい誰がどう監修してこんな内容になってるのかといぶかしく思う本がいっぱい出ているが、だいたい温度と湿度と風のことをサラリと書いているだけだ。それをみたにわか職人が、その3要素だけを真似てやってみたのを、客に出す。空恐ろしくなるようなことが行われている。

でも、一方で肉のプロ達が、日本における熟成肉の可能性を高めるチャレンジをしている。今年の2月にうちの会社が開催した「赤肉サミット」に参加してくれた人の中で、最前列近くで食い入るように目線をおくり、休み時間には前に出て熟成肉の香りやテクスチャを確認する人がいた。

「ただもんじゃねえな、、、」

と思わせる、鬼気迫る態度だった。

終了後に名刺交換をして合点がいった。東京の町田市でドイツのハム・ソーセージを製造・販売するクロイツェルという店を営む、吉岡さんという人だった。僕にも突っ込んだ質問をしてきたのだけれども、それがすでに初歩段階と中間段階を超えていて、かなりの核心に迫る内容だった。ひとことでいえば

「ハムやサラミの熟成と共通の部分がありますよね?」というものだ。そう、実はかなり共通している部分がある。

ならば、ということで彼は、知り得た技術による熟成肉を産み出そうとさまざまな試行

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錯誤をしてきたのだという。

「特殊なフィルムを用いて熟成したホルスタインの経産牛を、食べていただけませんか」

ということで、送っていただいたのである。

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経産牛らしい、深い深いワインレッドの肉色。脂はそれほど色素が沈着しておらず、どうやら配合飼料による再肥育をかけたものなのだろう。

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さっそく焼いていただきました。一緒に着いていたピクルスアスピックを添えて、、、

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実は最初から安心していたのだが、とてもコンディションのいい肉だった!というのは、ドライエージングにチャレンジしてみました!という人からいただいたり食べさせてもらう肉の多くが、若干の腐敗臭がするケースが多いのだ。しかし、さすがプロの食肉加工職人、いっさいそうした不安になるような匂いはしない。実にいいコンディションである。

その分、香りなどのフレーバーはあまり濃くないかもしれないと思いながら、薄く塩をしてフライパンで焼いた。

焼き上がった肉を一片、口に運ぶ。熟成香はおだやかですがきちんと存在する。またホルスタイン経産はそれだけでも旨みはある状態のはずだが、その旨みが熟成によって増しているようで、とても美味しい。先にも言ったがいっさい腐敗臭の類いもなく、良好な熟成状態である。僕につきあってよく熟成肉を食べている妻も「これは美味しい!」と言っていた。

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NYスタイルの熟成は細菌由来の美味しさを求めるものと思う。そして、ヨーロッパはどちらかというと細菌に依存しない、加工肉との共通性を感じる。どういうことかというと、フランスで食べた11ヶ月熟成のシャロレーは、まるで純度の高い生ハムだったのだ。今回の肉にもそうしたテイストを感じた。

ただ、ぼく個人の好みとしては、もう少し自由水が抜けている方がいいと思う。NYスタイルの熟成は、入庫してしばらくのあいだ、強烈な風を回して自由水を引き出す。それによって旨みの凝縮度も増すように思うし、肉自身のテンダネスも最高度に達成するように思うのだ。

「じつは、菌をつけると旨みが増し、香りも強く出ることはわかっていました。でもその分、お客さんを選ぶのです。お客様によってはこの強い風味が嫌だという方もいらっしゃいます。そこで、菌による影響をわずかにして、酵素の活性は最大限に利用するという方式をとるために、特殊なフィルムで覆っての熟成を試みたんです。いわば、セミドライエージングとでもいいましょうか」

なるほど!セミドライとは言い得て妙だ。旨みと香りを増すところは重点を置きつつ、フレーバーを生じさせすぎないことで、ふだん食べ慣れている肉の特徴そのままに、美味しさだけが拡張する感じで、万人に勧められるものになるわけだろう。

ただ、それにしてもすこし自由水が多く、水っぽい印象を受けた。それと、フィルムに包むことで嫌気性環境になってしまうので、好気性環境下ではたらく要素が遮断されてしまう。そのデメリットについても指摘したが、それらは吉岡さんも認識している問題だった。

ともあれ、プロが熟成をつきつめると、こうなるという実にいいケーススタディだった。おそらくもうほんの一歩のブラッシュアップで、クロイツェルのセミドライエージングは完成するだろう。とても美味しくて、だれもが取っつきやすい、いい熟成肉だと思う。

吉岡さん、完成を心待ちにしてます。ごちそうさまでした!

■クロイツェル
http://www.kreutzer.gr.jp/

日本最高の茶師であった故・築地勝美さんの後を継ぐものが丹精した東頭(とうべっとう)の茶、きたる。これぞ静岡は本山の茶だ!

2015年7月 5日 Category:

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しばらく前にこのエントリで書いたように、日本一の茶師だと思っていた築地勝美さんが亡くなった。

■本一の茶師が逝った。 静岡県静岡市 本山の築地勝美さんの茶は、他に真似のできない美しく旨い茶だった!生産から揉みまで全てにおいて完全だった勝美さんの茶をいただきつつ、ご冥福を祈ります。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2014/10/post_2166.html

もうこれで、あの極上の煎茶である東頭ものめなくなるのかも、と思っていた。東頭と書いて「とうべっとう」と読む。これは筑地さんの茶畑の中でも、いちばん標高の高いところに位置する茶園だ。煎茶の茶葉にとって最高の条件が備わった畑で、ここで穫れた茶葉は他の畑のものとは区別して揉まれ、その名前を冠した茶に製茶されていた。

某高級スーパーの店頭で、50g5000円で販売されていたのはこの茶である。それをおろしていたのが、僕がお世話になっていた、静岡でももっともマニアックな茶を商う葉桐という問屋であった。

そして、このとびきり高級で、とびきりに美味しい茶を一般向けに販売するのが「錦園」の石部さんだ。あまりに茶に魅せられたあまり、理想的な急須までてがけてしまっている人である。その石部さんから、お茶がおくられてきた。

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ご覧の通り、いままでどおりの「築地東頭」と書かれている。

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築地さんの晩年に陽の目を見た「蒼風」もだ。

実は、勝美さんが逝く前、甥ごさんが後を継ぐべく修行に入っていると教えてくれた。その甥御さんと、勝美さんの素晴らしきパートナーである美幸さんとが、一緒に茶葉を丹精し、揉んだのがこの茶なのだ!

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みよ、針金のように揉みこまれたみごとな茶葉を!

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これぞ、煎茶なのだ。

世間では深蒸し茶を美味しい茶と錯覚している人がたくさんいる。いや、深蒸し茶そのものを批判するつもりはないけれども、深蒸し茶とはその特性上、茶葉の香りや味わいを後退させて、平準化させたものだと僕は思う。

深蒸しとは深く蒸すこと。薄い茶葉を深く蒸すのと、浅く(短く)蒸すのとでは、どちらのほうが茶葉本来の味や個性が残るか、考えてみて欲しい。さいきん、スペシャルティコーヒーの世界で浅煎りの価値が浸透しつつあるが、豆の個性を活かすには浅煎り〜中煎りのほうが有利である。香味成分などは揮発性のものであり、煎れば煎るほど消えていくからである。あ、もちろん煎ることで他のよさが出てくるので、浅煎りのほうが美味しい、などというつもりはない。そうではなくて、茶の特性のことを言っているのである。深蒸しは、その度合いにもよるけど、茶葉の個性は飛んでしまう。

そして、世間から忘れ去られようとしている浅蒸し(若蒸し、伸びともいう)の茶は、生産する側にとってとても面倒なものである。まず生の茶葉生産の段階でレベルが高くなければ美味しいものにはならないし、よい茶葉ができたとしても、それを収穫後すみやかに蒸して揉み、火を適切にいれるという製茶の技術が高くなければ、とてもこのようなビンと一筋の線に葉を揉み込むことはできない。

この茶をみるかぎりにおいて、築地勝美は甥御さんをみっちり仕込んだのだと思う。ありがたいことである。あの日本最高峰の煎茶を、まだこれからものむことができるのだ。

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これを煎れるのに最適な、たいらな底を持つ急須が会社にあるので、自宅にはいい急須がないのであった。けれどもはやくのみたいので、嫁さんのおばあちゃんが愛用していたという湯飲みで直接煎れることにした。

湯温は、僕の場合、極限までゆるくぬるくして、じっくり旨みを引き出すのが好みだ。沸騰した湯を湯飲みに注いで、指で触れてビビッとこない状態まで、5分以上置く感じ。それを茶葉に注ぐ。

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ビンと一本の筋だった茶葉が、みるみるうちにゆるまっていく。

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世界の発酵茶と違い、日本の煎茶は発酵の力を借りず、茶葉の持つ美味しさを極限まで要素をそぎ落として出す、いさぎよい茶だ。

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ほら、4分もするとこんなふうに筋だったものが、ふくよかな葉に戻る。そして、湯だったところに茶の成分が溶け出して淡いグリーンとなる。

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最後の一滴まで煎れなければならない、最後の一滴が一番旨みが濃い、と茶の師匠である葉桐の会長から習いました。

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これが、煎茶である。

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深蒸し茶とは全く違う文化なのである。

まるで鰹だしのような旨み、それをサッと切ってくれる特有の緑の香りが、喉の奥からフワッと戻ってくる。口の中にはなんともいえないまろみのある世界が、じんわりと持続していく。

まさしく東頭の味である。50g5000円の価値がある、ほんものの極上煎茶である。

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二煎目はやや温度の高い湯でさっと煎れて。一煎目の感動はないが、十分に美味しい。それにしても一煎目のめくるめく世界から一気にあっさり味になり、茶葉の潔さに感じ入る瞬間だ。

石部さんがおくってくれたこの茶、少しでも味を識って欲しいので、僕の事務所に遊びに来てくれた人にはふるまいます。

興味のある人は、すこし安めに値付けしてくれている錦園のWebで買ってあげて下さい。飲み方の解説もついています。

■錦園のWeb
http://www.nishikien.com/index.html

築地勝美さん、よかったね、あなたの味はちゃんと受け継がれましたね。天国で、満足しておられることでしょう。あとは、この素晴らしい煎茶の文化が消えないように、PETボトルのドリンク茶ばかりにならないように、われわれがのみ伝えていかねばなりませんね。

北海道大学の裏には牛が放牧されていた!北大農学部畜産学科の、昼夜放牧・粗飼料中心で育てられた牛乳が信じられないほどに美味しい!

2015年7月 3日 Category:出張

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北大の研究に来ている。北大農学部・農学院には興味深い研究をしている人がけっこういるのだが、そのなかで突出しているのが特任助教の三谷朋弘さんだ。

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彼の専門は酪農なのだが、僕が前から牛乳に関して持っていた疑問にフルに応えてくれるような研究をしている。例えば、「牛乳は餌と飼養管理によって味が変わる」というのは当たり前のことなんだけども、何人もの酪農家の生乳が混ざってしまい、超高温殺菌されてしまうことで個性のない牛乳になってしまうので、そんなことを言っても意味がないとされてしまう。

しかし、牛乳がミネラルウォーターより安くても売れなくなった現在、牛乳の価値を再定義するとき、その「美味しさ」というテーマは一番のキーになるものだと思う。

三谷さんは、牧草などの粗飼料を中心に給餌している酪農家と、穀物飼料中心の酪農家、またその中間など、さまざまな条件分けをしながら生乳の味を調査している。

「やっぱりね、草を食べた牛の乳が美味しいんですよ!それに、穀物与えるよりはるかにコストが安くなりますし、その方が牛の健康にもいいですからね。これからの日本の酪農は、草を与えて乳を搾るということをもっと考えなければいけないと思うんです。」

いやもう100%賛成!

その三谷さんがいるのは札幌の北大キャンパス。じつはこの広大な面積を誇る学内で、その最先端(?)の研究がなされているということで、見学させていただいたのだ。

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航空写真で撮ったキャンパス。建物が建っていないところは農場だ。そのうちの20ヘクタール程度が、畜産学科のための粗飼料生産や放牧のためのスペースである。

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ここが、牛の搾乳施設である!

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中に入ると、20頭の搾乳牛がのんびりとデントコーンサイレージをハムハムと食べている。

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彼らが食べているのは、学内で生産されたデントコーンのサイレージ(トウモロコシの茎や葉を細かく粉砕して乳酸発酵させたもの。)だ。

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つまんで食べてみたけれども、実によい味。塩のない糠漬けのあじわいである。

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ここで搾乳された生乳はバルククーラーで冷却され、ちゃんと乳業会社に出荷されている。でも、量が少ないので他の酪農家さんの生乳と混ぜて製品になるので、北大牛乳の味にはならない。これが超残念!

「以前は牛乳瓶に充填する設備もあったらしいんですが、売却しちゃったんですよね。それに、対外的に販売するとなると、責任をどこがとるかとかそういう問題でなかなか許可も下りないんですよ」

というのだが、これは残念だね!いま大学ブランドって素晴らしく受け入れられる世の中なのに。「北大牛乳」って呑みたくなるでしょ!

外に出ると、ここが札幌駅から徒歩8分で着く距離にあるキャンパスとは思えない光景が拡がる!

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これこれ、これなんですよみせたかった風景は!

北大の敷地を出るといきなり都市部。この背景とのギャップがすごいでしょう!?

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楽園ですよ、いや酪園というべきか!?

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うれしいのは、粗飼料しか食べさせていない牛たちが、実にいい体つきをしていること。

「今年は草の状態がめっちゃイイんですよ!だから牛たちもいい身体してます。もちろん牛乳も旨いっすよ!」

とのことだが、もともと草食動物の牛だけに、穀物をあまり食べさせないでいると本当に調子が良さそうだ。

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都府県では草地が足りないので仕方が無いが、北海道では草資源が多いのだから、思い切った差別化のためにも牧草牛乳という方向に舵を切ってもいいんじゃないかと思ってしまう。

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で、、、

牛乳だ!

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他機関からの視察受け入れのため、低温殺菌設備があるそうで、USDA認定の低温殺菌方式を採用しているという。

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ミルカーをあけてみると、クリームが分離しつつある。よく見るとおわかりだろうが、草を食べているので脂肪分が黄色い!これを看護とカシャカシャふると、、、

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こんな感じで混ざってくれる。

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さあ、その味は、、、

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うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

旨い!

今年のんだ牛乳の中でぶっちぎりに一番美味しい!

いやーーーーーびっくりしましたね。春のそよ風のように爽やかな飲み口、自然な、しかしはっきりと感じる甘さ、そして心地よい香り。

「草の香りがします!」

と同行の萌ちゃんがいうが、本当に素晴らしい草の香りだ。日本では草の香りがする肉や牛乳を「臭い」という輩がいるが、それは単にリッチな草を与えた牛の肉や牛乳を口にしたことがないだけだろう。

良い状態の草を与えた畜産物は素晴らしく美味しい。それを識らずにけなす人が多いのが、実に悲しいことである。カロリーの高い穀物を与えれば、それはもうリッチな味の畜産物になる。けれども、それは本来的な味わいとは違う、工業的な生産物である。そういうものがあってもいいけれども、もともと動物用に穀物を栽培する面積の余裕がない日本で穀物中心になるのは少しおかしい。

もっと草、粗飼料の可能性を世間が理解しなければならないと思う。いや、理解する必要はあまりなくて、口にすればわかるはずだ。「こっちのほうが快くて美味しい!」と。

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牛が草を食べて出してくれたお乳って本当に美味しい。その魅力を証明する研究に、三谷さんには邁進していただきたい。

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三谷先生、ありがとうございました!

俺はとうとう、あのライカのユーザーになったぞ!ライカって言ったらあれです、ドイツのLeicaの、、、

2015年6月29日 Category:カメラ

ちゃんとした一眼レフカメラを持ってからまだ10年しか経っていないこの俺が、とうとうやっちまった!

カメラの大先生である八木澤師匠だって「俺だってもらえるなら欲しいけどね」と、手を出していないあのライカ。カメラのボディだけで100万円、レンズ一本50万円するのが普通で、しかもお金を出せば買えるというものでもなく、手に入らないものはどーやっても入らないというあのライカ。

そういえば、宮崎日日新聞の社カメさんも、プライベート用にM9を持っていたっけ。レンジファインダーを覗かせてもらったけれども、ピント合わせが全然わからなかったんだよなぁ。

そんな俺が、、、ライカを買ってしまったのだ。とうとう、、、

 

何を買ったと思う?

 

ちょうどつい先日発表された、28mmレンズ固定式のLeica Qか?

いやいや、僕は28mmという焦点距離があんまり好きじゃありません。

じゃあ、その前に出てセンセーションを呼び起こした、いまどき白黒写真しか撮れないLeica モノクロームか?

いえいえ、白黒写真って僕のブログにほとんど出てこないでしょ?白黒で勝負できるほどのウデはありません。

 

 

 

 

俺が買ったのはですね、、、

 

 

実は、、、

 

 

 

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三脚ですっ! テヘペロッ

 

いやいやいやいやいやいや ライカのカメラなんて買えるわけ無いじゃん! 買わないよ!

ライカが三脚なんて売ってたかって!? 知らないのアンタ? それが売ってるんだよ!

ほらっ!

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しかも、ヨドバシカメラで69000円程度と、比較的買いやすい価格。

ね、おそらくオレ達にいちばん身近に買えるライカ製品なんですよ。期待した人、ゴメンナサイ。こういうオチでした。

残念ながら質実剛健な三脚ボディのどこにも、赤いLeicaマークはついてない(マジで残念)。けれどもこんな風にクレジットは入ってます。

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嬉しいのは、メイドインジャーマニーってこと。

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全伸高は151cm、重量はたったの1.2kg! トラベラー三脚なので、ローアングルやセンターポールの逆づけももちろん可能。

いわゆるジッツォの二型トラベラー三脚と同等製品になるのだろうけれども、さすがライカ、かなり剛性感はあります。

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カタログスペックだけど、耐荷重は10kg。超望遠をほぼ使わない僕には十分でしょう。

ロケ撮影時に使う三脚で、軽量だけどあるていど剛性のあるものをと探したのだが、定番のジッツォやマンフロットは誰でも持ってるからつまらないしなぁ、と思っていたら、ライカが出しているのを知ってしまったのだ。

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ヨドバシ店頭でみようとおもったが、案の定ライカの製品は展示されていない。

「ないの?」ときいたら奥から出してくれた。触ってみたらとてもいい感じ。ということで、即決で買ってしまったのである。

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ちょっと悩んだのは雲台をどうするかということ。このトラベラー三脚を想定しているのか、ボールヘッド雲台が同時期に発売されている。けれどもそれ、クイックシュー方式なんだよね。俺はクイックシューは好きじゃない。

なので、以前から出ているライカのボールヘッド雲台を検討したのだけれども、ちょっとこのポールに意匠が合わないんですよ。

なので、信頼の梅本製作所の自由雲台でしばらく運用することにします。

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ちょうどぴったりのサイズ!

ほんとうはブツ撮り用に細かな調整ができるギア付き雲台の、マンフロットから出た新しいやつを使いたいんだけど、、、あれだとせっかく削減した重量がかさんじゃうので断念。

これでいい写真とることに頑張りまーす。

さて明日から金曜日まで北海道だ!

全日本のタマネギ好きに捧ぐ。これがあの「七宝」の採種圃場だぜ!出張先で偶然遭遇したタマネギの楽園に感動してしまった!

2015年6月29日 Category:出張,食材

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こんなこと書いても、タマネギ栽培をしたことがある人にしか理解されないだろうけれども、、、僕は数ある野菜の中でもタマネギが一番好きだ。他の野菜がなくても、タマネギさえあればいい、というくらいに、ほとんどの料理にタマネギを使う。これはうちの母親がいつもタマネギをいろんな料理に入れていたからだと思うが、、、

大学で畑をやっていた頃、もちろん最初の作物にタマネギを植えた。あの時の品種、なんだったっけ、、、思い出せないのが悔やまれる。自分で栽培した玉葱は、牛糞と落ち葉混合堆肥ベースだったせいか小粒なものだったが、ぎゅぎゅっと果肉が引き締まって超絶に旨いものができた。苗の段階ではひょろんとしている細い葱で、定植してからも年を越して3月になるまでは大してドラマチックな展開をみせない。しかし、春先になると一気に地上部も地下部も成長し、鱗片部が肥大していく。この春の肥大期は、ほんとうに興奮してしまうものだ。

で、タマネギの世界で有名な種苗会社といえば香川県の七宝(しっぽう)だ。淡路島をはじめとする名産地でことごとく、七宝の早生品種・中生品種がスタンダードに栽培されている。

先日、仕事で訪れた香川県。ヨーロッパから来日した10人のシェフを連れて肥育農家の牛舎を見せて廻っている時、田んぼのかなたに葱坊主が見えたのだ。

「あれは、アレやで、シッポウの種をとるための葱坊主やで」

えええええええええええええええええええええええええええええっ
あれが七宝の採種圃場なのかよっ

ということで、シェフ達が牛とふれあっている時、僕はそちらに廻ってしまったのである。もちろん、人の圃場なので、立ち入りすることはしない。長めのレンズで外周道路から失礼しました。場所も、なにかあっては困るので書きません。

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いやあ、感動しちゃいましたね、マジで。みわたす限り、タマネギが開花している。

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通常は農家は種を購入するので、ここまでタマネギを畑に置いておくことがない。僕も、タマネギの種採りをしたことはないので、これは初めての光景だ。

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ニラの花を連想する人も居るだろうが、ユリ科植物の花はとても可憐できれいだ。

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以前、下仁田ネギの採種したものをみせていただいたことがあるが、この一本の葱坊主に黒い種がかなりの分量、できる。

この広さの圃場が何十枚もあるのだろうから、ものすごい管理になるだろう。

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品種が違うのか、ハウス内で採種されるものもある。七宝もたくさんの品種を出しているから、そのコンタミ(混ざること)が起きないようにするにはいろいろと苦労しているはずだ。

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ということで、おそらくタマネギ栽培する人以外にはまったく刺さらないであろうエントリで、申し訳ありません(笑)

でも、日頃農家が蒔いている種というのがどこから来るのか、思いを馳せてもらえるとちょっと嬉しい。全ては人の営みの結果なのですよ。