Archives
Recent Entries
Search


Links
Creative 
Commons License
This weblog is licensed under a Creative Commons License.

2004年11月29日

第二回 銀座食学塾 「おコメは好きですか? おコメのことを知ってますか?」

先回も告知した、銀座 食学塾の第二回が開催されるので告知させて頂きます。今回のテーマはずばり「お米」。今回は僕は裏方で、シンポジウムコーディネータは元・ニューズウィーク編集長の藤田さんです。生産者、流通業者、業界のジャーナリストさんなど面白い話・裏話が聴けると思います。交流会では色んな種類の米の食べ比べをしますので、ふるってご参加下さい。


第2回 『銀座 食学塾』のご案内 

【タイトル】  『おコメは好きですか? おコメのことを知ってますか?』
                    
今回のテーマはおコメです。ご飯を毎日のように食べておられると思います。でもお
コメのことを知っていますかと改めてたずねられると多くの方が詰まってしまうので
はないでしょうか。生産のこと、流通のこと、価格のこと、輸入のこと、安全のこ
と。いろいろな立場の人に語ってもらうことで、おコメのことをもっと知ることがで
きたらいいなと思います。そして消費者、生産者、そして流通に携わる人たちで率直
な意見の交換をしましょう。それが明日のおコメにつながります。

【日時】  平成16年12月7日(火)
       
       受付け 18:30~
       第1部 シンポジウム          19:00~20:45
       第2部 おコメの食べ比べ試食会&交流会 20:50~22:00

((続きは下記↓をクリック))

【会場】    シンポジウム : 畜産会館(紙パルプ会館向い側) 
         試食会&交流会 : 紙パルプ会館
         〒104-8193東京都中央区銀座3-9-11
 (お問合せ) TEL03-3584-8111(代表)
  (アクセス: http://www.kamipa-kaikan.co.jp/ )

【シンポジウム】(19:00~20:45)

ファシリテーター :藤田正美 フリージァーナリスト

[1948年東京生まれ。東洋経済新報社で経済記者を14年務めた後、ニュ-ズウィー
ク日本版に参加。1994年に同誌編集長に就任、2001年より編集主幹となり、2004年4
月に独立。フリージャーナリストとして、国際問題、政治・経済などに関して発言を
続けています。]
                              
パネラー     :船久保正明 ふなくぼ商店経営者 米・食味鑑定士

[ お米のソムリエ”食味鑑定士”の船久保さんは、お米に合わせた一番美味しい精
米をする精米職人でもあります。現在、江東区でお米屋さんとお握り屋さんを経営
し、銀座の飲食店にもお得意先がたくさんいます。美味しいお米の炊き方から、米流
通の裏話まで、普段聞けないおコメの話しが聞けると思います。]

            斉藤公雄   農業生産法人アグリクリエイト 代表

[ 有機農業を目指す仲間たちと『有機栽培あゆみの会』(会員250名)を結成
し、代表として活躍中の斉藤さんは、有機農業は発酵の世界だ!とおっしゃっていま
す。自らの米作りや有機農業の現場の話しをお聞きしたいと思います。また、第1回
で聞けなかった、『消えた、秋田こまち』の続きを楽しみにしてます。 ]  
                                      
          
            大久保利克 株式会社商経アドバイス 事業部長

[ 同社は、コメ流通に関する専門新聞(同名)を発行しています。消費者にはあま
り馴染みのない新聞ですが、コメの生産から流通に至るまで、コメを消費者に供給す
る側が必要とする情報を掲載しています。コメ販売が民営化となった昭和26年に創刊
されました。大久保さんは、同社で食管法時代より記者活動を続けられ、新潟支局長
の経験もあるそうです。]


【おコメの食べ比べ試食会&交流会】 (20:50~22:00)

今回は、おコメの食べ比べをして頂きます。5K3,500円のコシヒカリと、5K2,000
円のコシヒカリ、また、新米・古米の4種類です。その違い、分かるかな?!・・・
また、特別企画、銀座食学塾コアメンバーで、寿司の伝道師、岡田大介が寿司を握り
ます。寿司飯で、古米・新米の食べ比べ体験をしてもらいます。
どうぞ、ご期待ください!!
       
【主催】     『銀座 食学塾』

『銀座 食学塾』は、
「農」的な物や、土から一番離れたイメージの銀座で、
こだわり農業生産者と、「食」を提供するお店の人、そして
皆さん(お客さん)が出会い、
「食」に関連した、「農業」、「健康」、「食育・農育」、
「食の国際化」などのテーマについて意見交換する
コミニケーションの場です。
この出会いから生れる、食や農を意識した生き方や
価値観を、銀座から世界に発信していきたいと思います。
 


【協力】     『未来塾21』
          『新世代の会』
          『日本オーガニックネットワーク』

【参加費】   第1部 シンポジウム   一般 1,000円
                         学生   500円

         第2部 試食会&交流会 一般 3,000円
                         学生 1,500円
         (参加費は当日、会場にて申し受けます。)
【定員】 50人

【申込み方法】
以下のフォーマットを、貼り付けてメールでお申込みください。
お申込み先  info@aguri-tokyo.co.jp

*お申込みは、12月2日(木)までにお願いします。
 会場の都合で、50名を超えた場合お申込みをお受けできない場合があります。
 お早めにお申込みください。
   
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2回 『銀座 食学塾』 参加申込書

第1部 シンポジウム     参加 ・ 不参加

第2部 試食会&交流会   参加 ・ 不参加

1.氏名
2.所属(会社名等)
3.TEL&FAX
4.メールアドレス
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【お問合せ】

『銀座 食学塾』事務局  (農業法人㈲アグリクリエイト内)
高安 和夫
TEL:03-5540-4117 FAX:03-5540-4118
E-mail: takayasu@aguri-tokyo.co.jp
****************************************

Posted by yamaken at 23:47 | Comments (2) | TrackBack

やっぱりハタハタは秋田の郷土の心だ!秋田料理 「ちゃわん屋」(後編)

さて いよいよこれから魚が出てくる気配が!まずは燗酒で喉を暖めておく。

そういえば、秋田の人は純米酒や吟醸酒を燗では絶対に飲まないようだ。給仕の若旦那も「燗で」というと心外な顔をするし、助役もNさんも「ふううううん、、、」という腑に落ちない顔をされる。郷に入っては郷に従えと言うのだが、冷酒でいくとせっかくの味蕾が縮んでしまうので、なんと言われようと燗にしてくれとお願いした。

呑んだのは飛良泉(ひらいずみ)を中心に、秋田の地酒ばかり、それも純米ばかりにする。やはり飛良泉の上燗を少しおいて冷ますくらいが一番、秋田の味覚に添うような気がする。

「はぁーい、ハタハタの塩焼き!」

■鰰(ハタハタ)塩焼き

おおおおおおおお
いきなりでたぁ! ハタハタの塩焼きだ!

前編にも書いたとおり、このハタハタが僕の秋田でのナツカシ味覚である。中ぶりの、15センチくらいのハタハタだが、ブリコがぎっしりと詰まっている。頭から思い切り腹までかぶりつくと、卵がはちきれてぽろぽろと落ちる。

プリコを噛みしめると、あのブチン・ブチンという感触が弾ける!そして、やはり魚卵臭くない、優しい旨味のエキスが油分とともに舌をなめらかに撫でていくのだ!

「おおおっ旨いよぉおおおお、、、何年ぶりだぁ、、、」

本当に数年ぶりに食べた! ハタハタ自体は数回口にしたが、それはハタハタの麹漬けなど、身を調理したものばかりで、このはち切れたブリコを食す機会は本当に数年ぶりである。感動に視界がかすむほどに旨い!あっという間に平らげると、「やまけんさんこっちも食べてください」ともう一匹差し出される。嬉しい、、、

「塩汁(しょっつる)で最後、またブリコが出てきますから、それまで他のを楽しみましょう」

と出てきたのが、出た!ダダミ刺しである!

■ダダミ刺し

この脳ミソ状の白い物体、鱈の白子である。北海道では「タチ」と呼ぶこの最高な食材が、秋田では「ダダミ」。なんたる言語感覚の隔たりであろうか!底には優劣や美醜はない。ただ、
「なんでそういう名前なの?」 というプリミティブな疑問を呈するばかりだ。まぁ解答はないんだけどね。

このダダミ、北海道で食べるタチよりも柔らかでなめらか。北海道のタチだともうすこし個体としての要素が強く、プチンとしたあとムッチリトロトロとなる。けどこのダダミは最初からトローンとしている。ん?もしかしてこのトロトロドロドロの感じが「だだみ~」っていう言語感覚に繋がってるんだろうか。大変に興味深いぞ。

■あん肝

秋田でもあん肝を食べるんだな。立派なでかさのあん肝はほどよく蒸されていて、コクがあって最高に旨い。

助役とN氏、I氏の会話も弾む。村役場と県庁の立場はちがえど、みな秋田をこよなく愛しなんとか良くしていこうという気概に満ちた人ばかりだからだろう。酒を呑み、旨い郷土料理を前にすれば、ポリシーの違いは簡単に吹っ飛んでしまう。

■男鹿の活タコと活ブリ

そういえばここまで刺身が出なかったが、いやもうこの刺身の鮮度と旨さは何も文句のつけようがない。

みよ!プリップリな活タコを!

みよ!このトロリと脂を一枚まとったブリの刺身を!

濃い口醤油につけ、つつと口に運ぶと、なんとも上品な味とコクが拡がる。そうだ、秋田の海の幸は全て品がある。それがキーワードかな。

■舞茸と豚ホルモンの炒め物

「何か食べたいものは?」

と訊かれたのでこの炒め物を頼んだ。まだ行ったこと無いが、秋田では豚のホルモンを使った料理がかなり有名だ。なのでここでも頼んだのだが、一口食べて驚いた。
いや、味は非常によい。旨い。けど、この夜始まっていままで口にしてきたどの食べ物とも違う世界観だ。

それは、油脂の存在だ。これまで出てきた皿には、人工的に抽出した油脂はまったく介在していなかった。そこにいきなり、かなりの強さをもつ油脂と、動物性タンパク質(ホルモン)の登場である。味覚の地平の違いに、本当にびっくりした。

結論として、この一皿も非常に旨いのだが、こと山菜と海の幸を食べている合間に置くべき皿ではなかった。この辺、僕自身のセレクト眼が上手く機能していなかった。反省。でも、料理としてはすんごく旨いぞ!豚ホルは下処理がいいのだろう、臭みも少なく舞茸の繊細な味わいとマッチしていた。濃いめの味付けにご飯を欲してしまうがここは踏みとどまる。なぜならこれからがメインだからだ。

「はい~っ 塩汁(しょっつる)よ!」

■塩汁鍋

何を隠そう、僕は塩汁を食べるのが初めてである!そりゃそうだ、ハタハタを食べる最もポピュラーな料理がこの塩汁なのだが、ハタハタ自体を口にしてこなかったのだから、、、

ちなみに「しょっつる」というと、ハタハタや雑魚を塩漬け発酵させて魚醤という調味料にしたてたものを言うが、同時にそのしょっつるで味を付けた鍋物のこともしょっつる(塩汁)というらしい。この日の午後、大潟村からホテルに向かう途中、車中で村役場の方とこういうやりとりがあった。

「(調味料としての)しょっつるって、なんの料理に使うのが一番ポピュラーなんですか?」

「ん~ しょっつるですねゃ」 (←秋田弁!)

「いや、そのしょっつるを使った料理って何があるんですかね、ってことなんですけど」

「ですから、しょっつるですねゃ。」

「、、、」

そう、鍋の名前もしょっつるなのである!野菜類とハタハタを、塩汁で味付けしただし汁で煮たのがこの塩汁鍋だ。

「やまけんさん、我々はハタハタはいりませんから、3匹分食べてください。」

えええええええええええええええ
塩焼き分も合わせると都合5匹食ってしまうのか、俺は、、、

塩汁鍋のだし汁を取り皿にとり、一匙すする。濃厚なだし汁に魚の旨味と塩気が溶け込んで、豊かな味だ! しかしこの時気がついた。この味、非常に豊かなのだが、縦軸の線がピンと屹立している旨さだ。そう、明確にさきほどの舞茸と豚ホルの炒め物の味世界と違う。

秋田の郷土の味は、強くしなやかなピアノ線を何本も束ねて縒り、ビンと張った単色・単線の味世界なのだ。引き算の世界で、シンプルにして強い旨味を一本だけ。だからご飯に最適にマッチするものばかりなのだ。水墨画の世界がモノクロームなのに無限に豊かであるのと同じ意味で、秋田の食世界はストイックにして豊かだ!これを発見して僕は小躍りしそうになった。

さきの舞茸豚ホル炒めには、コシヒカリのような、油脂と肉にマッチした米が合う。でも、伝統的な秋田県の郷土食には、もう少し主張の柔らかい、ストイックな線の米品種が合うのではないか、だからあきたこまちが現れ、農家の家ではひとめぼれが食べられ、ササニシキが珍重されているのだ。ここしばらくの秋田詣でで、自分なりの解釈に行き着いた。的はずれかも知れないが感動してしまった。

思わず言ってしまうぞ ビバ、秋田!

ブリコがはみ出したハタハタにかぶりつく。塩汁の強い塩気とブリコのブチブチ感、そしてなめらかな旨味が僕の舌を撫でる。ホロリと引きちぎれる身も旨味が濃く、白菜や葱と合わせると甘みも滲んできた。

もう言うことはない。3匹ハタハタを食べて、もう腹一杯です。

「いや、ご馳走様でした!」

「いやぁ、ぼくら秋田県人でもこの店はあまりきたことがなかった。助役、どうもありがとうございました、、、」

このちゃわん屋、前編に秋田のヤング米農家”ひろっきい”のコメントがあるように、地元の人間もイチオシの店である。僕をそういういい店に導いてくださって、本当にありがとうございます。

急な階段を下り、N氏がカクテルを飲もうと言い出した。川反のバーでマティーニを呑み、助役とお別れ。N氏がいたずらっぽく笑いながら

「そばでも食べに行きますかぁ」

と言う。そりゃあ行くしかないだろう。何せ今日は、秋田の食のイメージを完全に自分の中で視覚化した記念すべき日だ。

ということで、この後に蕎麦一枚と中華そばを食べ、ブリコ以上にはち切れそうな腹をかかえてホテルでバタンキューだったのだ。

Posted by yamaken at 11:09 | Comments (6) | TrackBack

やっぱりハタハタは秋田の郷土の心だ!秋田料理 「ちゃわん屋」(前編)

 僕が初めて秋田に行ったのは大学院修士の頃、農業情報という分野で研究をしていた僕はに、大潟村という先進的な米作地帯のある機関から講演依頼を受けた。その頃、若手で農業とインターネットを結びつけた研究を行っていたのは僕くらいだったから、話が来たのだろう。秋田に飛んだ夜、市内の料亭でメシを食べさせてもらった。

そこで初めて食べたのがハタハタだ。秋田県民の心といっていいこの魚を、関東で育った僕は初めて観た。ウロコが無く、ぬめっとした感じの魚。頭からかぶりつくと、口の中に「ブチブチブチっ」という強い弾力感が走った!それが「ブリコ」と呼ばれる、腹に卵を抱いたハタハタだったのだ。強い食感の割には、魚卵特有のひねた香りがほとんどし無いマイルドな味。

「旨い魚ですねぇ~!」

「これが20センチくらいですから、一匹2000円くらいですかね。今、出漁規制されているので高いんですよ、、、」

そう、秋田では乱獲でハタハタの個体数が激減したため、長いこと禁漁ということになったのである。県民の苦しみやいかばかりであったろうか。居合わせた人たちが口々に、

「昔はトロ箱1パイが500円くらいで買えたのに、、、」

「ハタハタなんて、毎日出てくるおやつだったのに、、、」

という愛惜の念のこもった細い糸のような言葉を繰り返すのだった。その日僕は1匹2000円のおおぶりなハタハタを3本食べた。そのブチブチというブリコの食感と上品な身の味は、今に至るまでよく覚えている。

「いやぁよかったですよ、もうハタハタは獲れるようになりましたから。」

秋田の大潟村助役と県庁のN氏がニコニコとしながら、秋田市の繁華街である川反(かわばた)の路地を歩いていく。

そう、本日は大潟村での仕事だったのだが、夜は別件でお付き合いいただいている県庁のN氏、I氏とも飲み交わそうということで川反に来ているのである。

「ここです!やまけんさんが美味しいと思うかどうかわかりませんが、、、」

と言いながら助役が階段を上がっていった。

■ちゃわん屋(詳細は下記画像ご参照)

階段を登ると、威勢のいいおばちゃんと若旦那が迎えてくれる。民芸調の居酒屋である。特にきらびやかでも嫌らしくもない、本当の居酒屋という内装。ここには地元の人が沢山くるのだろう。まったく飾っていない店内に好感を覚える。

座敷にはすでにI氏が座っていて、僕を迎え入れてくれた。

「今日は秋田の味を堪能していただきますよぉ~」

この店を選んで下さったのは助役である。N氏もI氏もここは初めてだといい、品書きをとっくりと観ている。この品書きがまたイイ!


どうだ? 久しぶりに煌めく品書きを観た!いい店のお品書きからは光が放射されるのである!「ダダミ刺し」ってなんだ???「くろも」?? こういう、地のものをリーズナブルに出す店に来ると、本当に品書きを観るだけで心が豊かになる。

嬉しくなって、皆さんがビールで始めるところを、僕だけ初っぱなから燗酒をいただく。

「はいよ突き出し!自家製の豆腐にとんぶりを混ぜてあります。」

と、いきなり秋田名産「畑のキャビア」とんぶりが仕込まれた豆腐である。

これがしみじみと旨い。豆腐には柔らかく火が通っていて温かい。すでに寒空の呈をなしてきた秋田の夜にこの温かさが心を和らげる。

「今日はね、コースでいきますけど、絶対にこれはたべたいってものありますか?」

と女将が訊くので、「ミズのたたきと塩汁(しょっつる)鍋!」と叫ぶ。ミズは東北の誇る山菜で、これをミソと一緒に形が無くなるまで叩いたのが最高なのだ。

8品くらいのコースでこうやって出すものを訊いてくれるのは嬉しいな。柔らかいアタリの女将さんがメモしてくれた。

そこに出てきた二品が、これまた秋田の名産だ。

■じゅんさい(左)ととんぶり

じゅんさいって秋田名産だったのだが、知ってました?

実はこの初夏、じゅんさい収穫が最も盛んになる時期に地域を周り、収穫風景をみたことがある。沼のようにした田に小さな舟(九州の干潟で使う”ガタ”のようなヤツだ)で入り、じゅんさいを摘んでいく。猛烈にやってみたくなったのだが適わなかった。この時期食べられるとりたてのじゅんさいは、「醤油味の小鍋仕立てにすると美味しいですよ」という。これも食いそびれた!

もう一つのとんぶりだが、これも小鉢に一杯盛られてくる。ウズラの卵黄を割って醤油をかけて混ぜる。一匙口に運ぶと、ひんやりした冷たさと清々しい香り、ごく密やかにプチンと弾ける感触が気持ちいい。

キャビアのような魚卵くささはもちろん皆無なので(植物だもんね)僕は和食の前菜にはこちらのほうが断然いいのだ。

「はい、ミズ玉の漬け物ね。」

■ミズ玉

前回の秋田のエントリにも書いたが、このミズ玉の漬け物がめちゃくちゃ旨い!ミズ本体も旨いのだが、このミズ玉のシャクシャク感と、炸裂したあとの粘りが最高なのだ。

そして僕の大好物が来た!

「みずのタタキでーす」

■みずの味噌たたき

でた!こいつがタタキである。山菜のミズをトロトロに成るまで薬味と味噌を加えて叩いたこの一品、もしかすると秋田料理の中でも一番好きなものかも知れない。

箸で持ち上げるとツーと粘りが糸を引く。食べると、少し残ったミズのしゃりしゃりした食感と、味噌の香り、それをまとめるトロ味が舌になめらかに載り、堪えられない。

「め、メシが食いたい~」

と叫ぶがそれはまだ後だ!

「はい、クロモと生イクラね」

■クロモ

男鹿半島で獲れる天然もずくがクロモだ。南国産のそれとは違って、テラテラと黒く、そして一本のもずくがしなやかに堅い。

歯を立てて噛むときっちりとした食感が返ってくる。二杯酢に咳き込まぬように啜り混むと、ミズに引き続いてのネバネバが口中に拡がるのであった!

■生イクラ

この美しき赤玉をみよ!我ら男子には赤玉はかなり危険な響きだが(笑)、、、イクラの赤玉さ加減は本当に蠱惑的である。
ここのイクラは脱水が効いているのか、ブチ、ブチと極めて強い食感。その後にトロリと旨味成分と新鮮な香りが拡がるのだ。

■キノコ →名前ワスレタ

まったく名前を忘れてしまったが、このキノコの煮付けもプリプリ、ヌメヌメとしており、しみじみと旨いものだった。

スギヒラタケのように急に毒性を強めてしまうキノコもあって怖いけど、キノコの旨さは何者にも代え難い。植物のようで植物ではない。だからその旨味成分や香りは、野菜には出せないものなのだ。

さて、ここまでは前菜。一気にこれからメインディッシュへと進むのである!

(続く)

Posted by yamaken at 09:31 | Comments (7) | TrackBack

2004年11月27日

深夜番組で僕のblogが紹介されたらしい

11月26日の深夜2時(日付としては27日)に、ある番組で僕のWebが紹介されたらしい。そんなの、全然聴いてないぞ!だれか録画した人いませんか??

読者のKOKEさんが録画していたので、送って下さることになりました。どうもありがとうございます!

Posted by yamaken at 18:05 | Comments (8) | TrackBack

冬晴れの日六本木、堀江家の昼飯はなかなかに素晴らしきものであった。





六本木ヒルズのレジデンスに住む堀江さんの家に行った。僕のblogの右側サイドバー(こっちね→)のお天気情報を提供している気象ロボット「ウェザーバケット」を堀江家のベランダに設置するためである。

「いいっすね、六本木の住民がこれをみると天気がわかるからね(笑)」

このためにわざわざ常時接続用の気象情報サーバ用のPCを会社からもってきてもらい、出動。ヒルズからレジデンスに入ると、一気に空間が変わる。エレベータで遙か上に登り、寝ぼけまなこの堀江君に出迎えてもらう。

バケットの設置は1時間程度で終了。富士山が見える眺望のベランダに、ウェザーバケットが設置されたのである!


ソフトウェアの設定にあれやこれやと手間どうが、さすがIT系企業のトップで、どんどん設定を進めていく。2時間くらいで動作確認。記念写真を西村さんに撮影してもらう。

この画像みて気づいたのだけど、最近忙しすぎてトレーニングしている時間がないので、顔が丸い!やばいな、、、

「メシ、食ってってくださいよ。4合炊いときゃ足りるかな?」

とやおら彼はばかでかい冷蔵庫を開ける。ほぼ業務用のでかい冷蔵庫にウラヤマシイ声をあげていると「もう一つあるんすよ」とセカンド冷蔵庫をみせてくれる。ん~ 家が広いのはどうでもいいけど、冷蔵庫二個あるほうがウラヤマシイね。はっきり言って。

「じゃあ、ソフトシェルクラブ食べましょうよ。あと宮崎の冷や汁もいいな。豆乳とニガリがあるからこれで豆腐も作ろう!」

と、凄まじい食卓になっていく。さらに、北海道のアグリウェザー社の横山社長と鈴木さんから、サロマの2年モノの生牡蠣が箱一杯送られてきた!

僕が牡蠣を剥いている横で、堀江君がソフトシェルクラブに小麦粉、ガーリックパウダー、塩をまぶす。

「これ作るのは初めてだなぁ」

といいながら手際がいい。彼もなかなか料理やっているようだ。

まんべんなく粉がまぶされたソフトシェルクラブをミホちゃんが揚げてくれる。

大阪生まれの彼女はなんと、あのインデアンカレー阪急梅田店に学校帰りによく通っていたそうである!わかってるね、やっぱり。

さて凄まじく旨いものばかりの食卓になってしまった!ソフトシェルクラブの揚げ物、サロマ産生牡蠣、ホンモノのししゃも、宮崎の冷や汁(よせ豆腐入り)、浜松の鰻である。

これに加えて、堀江宅に僕が愛して止まない山形の「なんばんの粕漬け」を一本プレゼント。
三人でしばし無言で食いまくる。

食いながら話をしている最中、彼はやはり福岡の農村で過ごした幼少時代の話をしてくれる。世間ではいろいろと尾ひれはひれがついて喧伝される彼の人物像だが、そういうところははっきりいってようわからん。俺が言えるのは、彼はこと農の問題にたいしてはなんらかの形で取り組みたいと思っているようだ、ということだけだ。いずれ農業の構造改革の時代には、何らかの形で登場してくるだろう。頑張って正しい方向に活躍して欲しいと思う。

なーんていいながらもう腹一杯だ!食いまくった。ソフトシェルの唐揚げ最高!たんに旨いもんを食べるだけではなく、料理が出来るやつは偉いぞ!どうもご馳走様でした!

Posted by yamaken at 17:32 | Comments (7) | TrackBack

2004年11月26日

神田で昼飯はハシゴが基本だよね。 天玉そば「かめや」と親子丼「伊勢」

東京駅からほど近い「神田」って、渋い大人の町(というかサラリーマン天国)だと思うのだが、昼飯を食おうと思うと選択肢が一杯ありすぎて困る。どこもかなり工夫していて激戦区なのだ。けど、腹が激減りで、かつ急いでいる時に僕が使うコースはここしかない、というのをお教えしたい。ていうか絶対にこの近辺に居る人は、同じコースを楽しんでいると思うんだが。

それは、極上の路麺系天玉そば~トロトロ半熟系親子丼の二連戦というコースだ。

まず、JR神田駅の東口(ていうのだろうか)を出て横断歩道を渡り、ガード下の右側にでたところの奥にある立ち食いそば「かめや」に直行。

都内中心に数店舗展開されている店だが、天玉そば元祖の店と銘打っている、路麺界の一流店である。神田には西口にも店舗があるらしいがそちらには行ったことがないんだよな。

昼時はかなり満員率が高いのだが、なんとか潜り込もう。天玉そばは380円。店員に声をかけ、カウンターにダーク(狭いカウンター内で肩を斜めにして立つこと)で立とう。ダークで立たないとケンカの元だからね。

カウンターにおいてあるかき揚げをみると、ふんわり柔らかく、白く上がっている。卵の含有量が少ないのだろうか、この白さがここのかき揚げの特徴なのだ。

この店ではけっこう茹でたて麺が食べられる率が高い。この日も僕の注文から新しく麺を茹でていた。「すこーし麺茹で、待って頂けます?」と言われるが、茹でたて食えるなら待つのは大歓迎である!ザッザッとザルをあげ流水で洗っている量をみると、5玉分くらいと少なめに茹で上げしている。ということは、 一回の茹で量を少なくしている=こまめに茹でている ということで非常に良心的なのだ!

「はい おまちー」

出た!どうだろうかこの白いかき揚げ。ふんわり感が漂ってくるだろう。右中央についているのは温泉卵。ここの天玉は温泉卵なのがポイントなのだ。これにはかなり賛同する。完全な生の白身は、つゆの温度を急激に下げてしまうし、中途半端に固まるので処理にこまることがあるからだ。

つゆは完膚無きまでに醤油色の濃い関東風で、甘めだ。この甘め加減が絶妙で、かき揚げ天を崩してつゆに浸し、温泉卵の黄身を削ってチョイと載せ、下に横たわってる蕎麦と一緒に口に啜り混むと、もう堪えられない世界が拡がるのだ!この感覚を味わうためには関西風の透明度の高いつゆでは無理。

昔から関東風と関西風のうどん・そばつゆの比較で「醤油そのままじゃんか」と言われてきた関東風のつゆだが、愛媛出身の母を持ち、埼玉にいながら関西の味付けの食卓で育った僕ながら、関東風のつゆは大好きである。両者は明らかにベクトルが違うものであって、対立するものではないのだ!

元来、千葉の銚子や埼玉の川越といった醤油蔵がある街が点在していた関東では醤油に含まれる複雑なアミノ酸の旨味世界を最大限に活かした味付けにこだわった。他方、関西では醤油よりも昆布やいりこ+塩分で仕上げたつゆに合わせるため、うどんや蕎麦の麺質もそれにコーディネートされたのだ。昔、蕎麦の専門誌で実施した調査では、関西と関東の蕎麦屋での仕入れコストに占める醤油・昆布・かつお節の割合が全く違い、上述のような結果が出たそうである。

まあ、そんなことはどうでもいい!関東風のドブドブと茶色い濃厚な醤油出汁も大好きなんだ!ていうか通常おれはこっち派だもんね。この醤油の旨味成分の濃さがかき揚げ天に染みこむことによって、天ぷら・玉子・蕎麦の素晴らしき三位一体世界を形作るのである。そういえば関西であまりかき揚げ天を観ないのは(海老天が多いよね)かき揚げが出汁を吸った時、関西風だと味が添わないからではないか、などと推考。

まあそんなことを考えながら2分くらいで蕎麦を啜り混んでしまう。ちなみにここの蕎麦は立ち食いの中ではかなりレベル高い。盛りで頼んでもいいくらいである。

さっと食べ終わり店を出る。かなり深い満足感に浸っているものの、まだ腹は減っている。

そこで先ほど駅から渡った横断歩道を戻り、北に10メートル歩くと、駅のガードに沿ってあずまや風の小さな風体の親子丼「伊勢」がある。

この店は「伊勢ろく」という鶏料理専門店の支店で親子丼しか出さない。
※注:というのは嘘で、夜は焼き鳥やさんになるらしい。夜にいったことないからしらんかった!funaeさんご指摘ありがとうございます。
親子丼といえば湯島の鳥つねやバードコートが有名だが、この伊勢では680円で気軽に食べられるのが吉である。大盛りは100円増しだ。

やたらと狭い店内のカウンターに腰掛け厨房をじっと見ていると、深めのバットに卵を割り入れリズミカルに掻き混ぜている。

親子鍋に二回に分けて卵液を注ぎ、ふんわりと仕上げて白飯に盛り、蓋をして出てくる。

蓋を開けると、半熟トロトロの親子世界が拡がっている!湯気とともに心が踊る瞬間である!

地鶏なのかなんなのか、それほどインパクトの強い鶏肉ではないが、臭みもなく旨い。親子には適している品種なのだろうな。この店では特製七味をふりかけて蓋をしばらくして蒸し、それから食べることを推奨されている。たしかにそうすると旨い!

あとはもうこの親子世界を掻き込むだけだ!水分が多いので、急いでいる人が掻っ込むにはちょうどいい。これぞ丼の真骨頂だろう。

神田お急ぎ充実昼飯コースといえばこれに尽きるかな。JRの改札に戻るまで、15分~20分だ。腹は満腹、心はせわしないが、それもまた東京らしいじゃないか!

Posted by yamaken at 09:58 | Comments (11) | TrackBack

2004年11月25日

メインディッシュはタイ料理「バンコク」店長のノート君でキマリだ。

このblogでも何度か紹介した六本木の裏通りにあるタイ料理「バンコクレストラン」。久しぶりに電話をいれると、ノート君が受けてくれる。

「おおっヤマケン!来てください~」

来たよっ なんだか最近も僕のblog経由で来店する人が多いらしく、オーナーの女性(日本人です)も僕に「いつもどうもありがとうございます」と深々と頭を下げてくださる。いやそんな、、、という感じだが、美味しいからみんな損しないよ!

「ノート君、あれね、あれ!」

というだけでもはや通じてしまう。ニコッと笑って彼が持ってきたのはこいつである。

この炒め肉かけご飯目玉焼きのせなんだが、鶏肉バージョンと豚肉、そして牛肉バージョンもあってそれぞれ名前が違うのでようわからん。けど、こいつが最高に旨い!頼めばタイ並みに辛くしてくれるので、どんなに寒い冬でもタラタラと汗を垂らしてしまうことは間違いない。

運ばれてきたら、ナンプラを少しかけて、卵をぐちゃぐちゃにして混ぜましょう。

旨いなぁ、旨いねぇ。タイ料理って、トムヤムクンや各種カレーよりも、こういう何気ない炒め物が最高に旨いのだ。

「で、どうよ、彼女できたのノート君?」

そう、彼はジャニーズ系イケメンなのに、恋人募集中なんである。

「うーんできないね、、、機会がないんだね、、、」

「君はそんなにイケメンなんだから、学校(彼は日中、コンピュータの専門学校に行っている)の女の子達にもてるでしょ?」

と言うと、ノート君、複雑な顔になる。

「うーん タバコをスパスパ吸ったり、礼儀がよくないない人は好きじゃない、、、」

おおおおおおおおおおおおおおおおおお
素晴らしい!
彼は真面目な人なのだ!
今どき、そんな価値観で生きている人もなかなかいないだろうに、タイからやってきて地道に仕事をし、日本語ペラペラになり、そして倫理観は絶えず持ち続けている!こんな素晴らしき野郎にはあまりあったことがない。

どうぞこのblogをお読みになった女性で「我こそは」という方がいらっしゃったら、バンコクにノート君を「釣りに」行って頂きたい。夜6時半くらいからいつも居るはずだ。

さてそれともう一つ情報が。

このバンコクに数年前まで居たタイ人店長のマーさんが、なんとミャンマーにタイ料理の店を出したそうだ。ミャンマーまでわざわざ見に行ったというカメラマンの方が名刺を見せてくださった。

なんでも、ミャンマーを訪れた際に、一軒だけあったタイ料理の店で食べたら激マズだったため「俺が店をやろう」と即決したらしい。かなり成功を収めているようだ。

しかし、、、ミャンマーってそう簡単に行けたっけ?もし読者さんでミャンマー行く人いたら(居ないか!)ぜひよろしく。

Posted by yamaken at 16:31 | Comments (4) | TrackBack

この冬初めてのジビエ・野鴨を三浦で味わった!ゴージャスリッチコースとうたた寝

 さて先日のトリュフ獲りの後、戦果を携えてフレンチレストラン「シエラザード」を訪れたのである。店の詳細については過去ログご参照
まだ開店前だったのにシェフが迎え入れてくれる。彼もトリュフに興味津々だったのだ。そこからの顛末は先日のトリュフ編のとおり。

「で、どうする?軽くつまんでく?」

という伊崎シェフの声にまんまと載ってしまった。実際には「軽くつまんでく」なんてレベルではなかったのダ!

「今日、ヤマケンが来るって言うから野鴨を仕入れてるんだよ。うちも今年初めてだね。どう?」

なにぃいいいい
ジビエ好きの僕にそれはないだろう、、、
本当は長島君と、この後に別の店に行こうと思っていたのだ。しかしこれはどうしたものか。
しばし悩む僕を尻目に、シェフがまたなにやら取り出してくる。

「北海道から牡蠣が入ったよ~。少し出すね」

と言ってカシャカシャと牡蠣包丁で殻を空け、氷の上に盛って出された牡蠣が超美人。

これに、鷹の爪の輪切りを漬けた赤ワインビネガーを垂らして啜りこむ。

ツルリと喉に送られる牡蠣は海のミルクの異名通りのなめらかさとコクだ!それが鷹の爪のピリッという刺激とビネガーの酸で引き締まり、食欲を最大限に喚起させてしまった!

「うまいじゃん~ こまるよこんなの」

「でしょ? じゃあ、蟹でも食べる?」

と、ズワイガニをいきなり丸茹でしだす。

「全然フレンチじゃないけどねぇ(笑)」

といいながら、蟹の丸茹でにアイオリソースが付いてくる!

殻を剥いてみると、蟹ミソがミッシリと詰まって、その周りのプルプル質も旨そうである!

この蟹ミソにアイオリソースを混ぜる。

アイオリはマヨネーズの原型で、ニンニクを磨り潰し卵黄と油でソースにしたものだ。蟹ミソその磯の風味と塩気を、ニンニク風味のアイオリの油脂分が包み込み、なんともいえない快楽物質に変容する!

「アイオリ、うめぇー!」

「旨いよね、ようするにニンニクマヨネーズだけどね。」

こいつを蟹の身にもつけてむさぼり食う。

旨いに決まってるのである。10分ほど、勝美君と僕は無言。残骸をちらばらせて、まったくここはフレンチらしからぬ空間になってしまった。

続いて運ばれてきたパテもしみじみと旨い。油分が効いてる方が旨いんだよな、カロリーは高いけど、、、フレンチでしかパテは食べないけど、なにか美学を感じるのだ。

厨房の覗いてみると、フライパンになにやら載っている。

「サザエをエスカルゴ風に焼くとね、エスカルゴより旨いんだよ。」

と、新鮮なサザエにニンニクパセリバターを仕込んだのを、上火でジュッと焼き出す。

ジュワジュワとパセリバターが泡立つサザエをほじくって食べる。歯応えの強いサザエは旨味成分もたっぷり含んでいて、パセリバターと合う!

しかもこのサザエの肝の部分がまた、濃厚な旨味とほろ苦さで、胃液を分泌させまくるのだ!

「旨いなぁ、、、旨いよ。 あれっ なにつくってんの?」

と厨房を観ると、シノワで鳥のガラから出た旨味を漉している。

「鴨のソースだよ。これが出来るまでの時間を稼いでいるわけだよ。」

ということで、もう鴨を食うことになっているのであった!

「はい、この料理、ホタテに火が生ぬるい状態で入っている微妙な加減の一皿。」


フランス語で「生ぬるい」という意味ティエード(tiede)という料理!ホタテには本当に微妙な熱が通されている。そのおかげで生の状態より遙かに旨味が増している!ソースはレモンピールならぬ柚子ピールの入った爽やかなバタークリームソースという感じで、可愛らしく軽やかだ。

次ぎに出てきたのがブイヤベース風の魚の煮込み。魚の名前はワスレタ。

この魚、ホロリと身が崩れ、ネットリゼラチン質も含んでいて旨い。ブイヤベースに合う魚だ。

「具材は長島農園の里芋と西洋カブだよ!今年の里芋は絶品の旨さだね。カブも力強い味でイケル。」

とシェフが言うとおり、里芋のネッチョリ感は最高、旨味も強い。カブは勝美君によれば『気候的に最悪の出来の年』にも関わらず、評判は高いという。

この間マダムも加わりワイワイとやる。と、厨房の奥に見慣れない黒いモノリス状の物体が、、、

「釜浅で、炭火焼き機を買ったのよぉ。そしたら思ってたより大きくて大変なのよぉ。」

という巨大炭焼き鉄台であった。鴨はフライパンで焼いてオーブンに入れるのがよく観る焼き方だろうが、炭火焼きはまた野趣溢れる味になる。なんといっても脂が垂れて炭火で燃え、その煙が鴨にかかることで、絶妙な燻し香がつくのだ。

「バードコートさんみたいな突き詰めた焼き方はできないけどね、でも炭火の方が旨いからねぇ!」

と、伊崎シェフはご満悦だ。そうだろうな、炭火で肉を焼くのは本当に楽しい。シェフも絶対に楽しいはずだ。

「はい、今年初めての野鴨!」

うおおおお
うまそうだよぉおおおおおおおお

濃い血の色の肉にかぶりつくと鴨のジューシーな脂が舌に落ち、途端に炭火の燻し香が立ち上る。中心部がほんのり温かい状態に焼かれた鴨肉は、まだこの時期の鴨はアッサリ目なんじゃないかという予想を嬉しく裏切って、濃厚!

手羽の部分には蟹に引き続き、手でかぶりつく!ブロイラーでは感じ得ない歯応えと野趣溢れるゴツゴツとした旨味!もう最高である。

「まだこれも食べてよ~」

出たっ!砂肝&レバー&ハツである。レバーはほろ苦みが強く、赤ワインとガシッと組み合う。ハツが出色の出来で、フニフニという絶妙に官能的な食感だ。砂肝は、これが砂肝か?と思うくらいの上品な歯触りと旨味。ちとこれは感動した。

ふっと一息。最後にデザートでブラマンジェが出てくるが、何気なくたべてビックリ!すぐさまとろけてしまう柔らかさだ!

「ゼラチン濃度をギリギリまで低くしているから、舌の上で溶けるんだよね。クリームソースも皿も冷やして出すと、みんなビックリするよ。」

うーむ
今回はかなり楽しめたなぁ、、、前菜からデザートまで、トリュフを含めて趣向たっぷりの素晴らしい一時だった。

「あのね、ヤマケンさんのWebのおかげで、『じゃらん』が取材に来たのよ。特集コース組んでくれたみたい。これでお客さんが沢山いらしたら、ヤマケンには何か御礼するわよ!」

まじ?まじっすか?
ということで、横須賀近辺の皆様、ぜひシエラザードに足をお運びください。ジビエや各種素材は前もって相談しておくのが吉。気まぐれシェフ&マダムだからね。長島農園の野菜はほぼ常に使っているし、新鮮な三浦の海の幸がある。そしてこれからはジビエの季節だ!予算をあらかじめ伝えれば、伊崎シェフが色々と考えてくれるはずだからご安心。料理に赤、白ワインを飲んでも、都心のフレンチから比べると全然リーズナブルな価格になるのだ!

トリュフオムレツも食って、こんなに食べて、かなりご満悦になった僕と別れ際、勝美君が笑いながらささやく。

「やまけん、そのうちここも耕作放棄地が沢山出てくるんだから。そしたらうちの近くに農地買いなよ!」

そうだな、それもよい。こうやって全国に住みたい土地候補ができていくのであった、、、

Posted by yamaken at 16:18 | Comments (2) | TrackBack

2004年11月24日

六本木ヒルズ二連戦 FiftyOne Clubでは昼飯だけで5000円オーバーだった

二日連続で六本木ヒルズに出かけることになった。最初の日は、東京会場研究所の理事長であらせられる石井威望先生のお話を聞くためである。石井先生は慶應義塾SFCでの僕の恩師だ。卒業後もなにかと気にして下さり、教えていただいている。実は今、大きく学問分野に地殻変動が起きているのだが、その最前線にいてジャッジをしているのが石井先生である。

加賀谷、カネコ、しんのすけと連れだって、49階のアカデミーヒルズの会議室にて先生の薫陶を受ける。内容については食い倒れ話ではないので加賀谷のblogに譲りたい

で、本日はまたこの慶應SFCの研究成果発表の場であるオープン・リサーチ・フォーラムというのが開催されている。これを観に行くというわけではなく、國領次郎先生と村井純先生という両巨頭に「メシでも食おう」と呼ばれているのである。國領先生とは、経済産業省とかe-Japanとかの制作委員会に名をよく連ねている方で、僕からみたら宇宙人である。村井さんについては説明必要ないだろう、世界のインターネット関係者がその存在を知る方である。

なんでこんな二人と飯を食えるかというと、僕は昨年度、このお二人を学識経験者に祭り上げて、農林水産省の実証実験のとりまとめをやったのだ。
農水省のページの表に「青果物流通研究会」というのがあると思うが、これが僕が手がけた実験だ。ICタグを長いもの箱に貼付して産地から卸売市場、そしてスーパー店頭へと流通した実験で、青果物では世界で初めてEPCコードというのを採用したのだ。ま、関心があるひとは覗いてみて欲しい。

でもまあそんなことは関係ない。とりあえず飯を食った場所が六本木ヒルズ倶楽部だったというのが今回の話なのである。六本木ヒルズの51階にあって、会員になるために100万円くらい必要で、というアレだ。実は僕はこのヒルズ倶楽部には数回行ったことがある。当然ながら全て人の財布でだが、、、

「僕はねぇ、このフロアに一杯あるレストランの中で実は、この入り口にあるFiftyOne Clubが一番美味しいんじゃないかって思ってるんだ」

と國領先生が仰った。そう、我々はFiftyOne Clubに居るのだ。51階からの眺望はもはや綺麗とかそういうレベルじゃないのであった。


■FiftyOne Club
http://www.roppongihillsclub.com/dining/dining01.html

「あのさぁ、ここは僕がおごるの?それとも國領さんが出してくれるの?」

と笑いながら村井さんが訊くと、國領さんが笑って「当然僕が出しますよ」と仰る。この日はとりあえず國領先生の日なのであった。

「おれ、3皿くらい食べていいですか?」と訊くともちろんいいよとのことであった。


ここのメニューをみると、予想はしていたがやたらと高い。何とか豚のスペアリブ、ナシゴレン添えというやつと、いわい鶏ときのこと海老のタリアテッレカルボナーラクリームソースというのを頼んだら、もうそれだけで5500円くらいになってしまうので、恐ろしくなってもう一皿は頼まなかった。

「やまけん、ここの料理は盛りがすごいよ、、、」

と國領先生が言うが、こんな綺麗な店でそんなに沢山出てくるわけがない!とタカをくくっていた。この時点では。

そういえば村井さんは、ピザとかが大好きな典型的アメリカン味覚世界の人なので、以前は顔色も悪くお太り気味であらせられた。しかし数ヶ月ぶりにお会いしたら、なんだか痩せた。

「そうなんだよ、実は野菜ばっかり食べるようにしたら、10Kg以上痩せちゃったんだよ!」

と言う。もう、どこへいってもベジタリアンと偽って野菜を食べているのだそうだ。そのとおりこの日もグリーンサラダを別注文して食べていた。

しかし彼が頼んだメインは「タイ風レッドカレーを、無茶苦茶辛くしてくれないと困るんだけど」とオーダーしていた。その後に國領先生が、「僕は普通にしてね」と笑って注文。

両巨頭のオモシロ話を聴いているうちに僕の豚スペアリブが運ばれてきた気配が。鉄板がジュージューいう音がするのだ。振り向いてビックリした。巨大な鉄浅鍋から脂と白煙がジュワジュワと立ち上っている。

「うおおっ これはデカイ!」

ちょっとビックリのボリュームである。そうか、この店は、一皿で満足いくようなポーションにしてあるんだ!だからあの価格設定なのか、と納得。ん、まてよ、とするとパスタの方も量が多いのか?

「おまたせしました、奥においてもいいですか?」

おおおおおおお
こっちもすごいボリュームである!

しかも食ってビックリした。旨いのである。いや、この価格帯でこの場所なら当たり前だけど、味がよろしい。


スペアリブは最近はやりの端麗なだけの豚ではなくしっかりした豚だ。それを甘辛ソースでホロホロに煮込んだのを鉄板にのせ、ジュワジュワと焼いてくる。その下には和風のナシゴレンが敷いてあり、ルッコラが載っている。

「ちょっと頂戴。 おっ 旨いな!」と村井さんも舌鼓を打つ。

パスタの方も、このカルボナーラクリームが、超カロリーオーバー気味だがコッテリしていて旨い。具材もさすがにこれだけの値段をとるだけあってゴロゴロ入っている。

僕ともあろうものが、かなり腹が一杯になってちょっときつめ。そして優雅なヒルズ倶楽部内で、汗ダラダラである。

「よかったらデザートも食べなよ」

まじっすか!?

じゃあこの栗のプリンとタピオカ ココナッツジュースがけと胡麻アイスクリームなんらたかんたらを頼むと、それは1500円以上もするのであった。

栗のプリンは本当に栗の味がして旨い。蒸すか茹でるかした栗を裏ごししてプリンにしたのだろう。粒状感もあまり感じずなめらかな舌触りである。上品なココナツジュースと大粒タピオカが旨い。

村井さんも國領さんも超多忙な方々なので1時間で会食終了。にこやかにお別れをするが、、、

昼飯で7000円以上食べてしまった。

自腹でない分、気が引ける、、、國領先生、ご馳走様でした!

しかし、今ひとつという印象ばかりうけていた六本木ヒルズ倶楽部だが、入ってすぐの空間に拡がっているFiftyOne Club、味は実に旨いと感じた。で、実は25日木曜日もこのフロアで別件の会食なのである。もちろん、自腹ではない!また気がとがめる食い方をするんだろうなぁと自分で怖いのであった。

Posted by yamaken at 02:48 | Comments (3) | TrackBack

休日は裏山にトリュフを採りに行こう! 三浦半島で日本のトリュフを大量に採ってフレンチを堪能した!





「ヤマケン、なんか三浦でトリュフがごろごろしているらしいから、採りに行きましょう!」

と、長島農園の勝美君から連絡があった。こういう面白そうなことがあると必ず電話をかけてくるのがヤツである。

日本の山林でもトリュフが採れるということは、以前から知ってはいた。それで町おこしの起爆剤にしようとしている事例があったりするが、まだ大々的に実現したところはないはず。安定的に採れない要因があるのだろうし、味についてもホンモノとは若干違うのではないか、と推測していた。しかしそうはいってもトリュフである。折しもこれからのジビエの季節がトリュフ大活躍の場ではないか!これは食い倒れ党首としては行くしかないだろう。

ちなみに今回の案内をしていただけるのは、神奈川県のキノコ研究家であるSさんである。

「これから採りに行く場所は、絶対に内密にしてください」

と言われているので、場所は書けない! 三浦市内だということだけでご勘弁いただきたい。

「でも、実は皆さんの近所でも採れるはずなんですよ。その生育条件さえ分かっていれば、案外お近くに見つけられるはずです」

とSさんは仰る。13時半に声をかけていただいた10人くらいで集合し、まずはA4サイズのプリントを配布され、講義。

以下、Sさんに教わったこと。

===================================
・トリュフとは正式にはセイヨウショウロ属菌と言う。チャワンタケというキノコの仲間が地下に潜って円くなったきのこである。

・ブナ科の樹(スダジイ、シラカシ、コナラ等)かカバノキ科(イヌシデ等)、マツ科(クロマツ等)などの樹木の下に発生します。

・重要なのは、「攪乱地(かくらんち)」に発生しやすいということ。攪乱地とは、造成される等で一度掘り返されたりして、攪乱された土地という意味。従って、古くから人の手が入っていない山奥などには逆に発生しにくい。案外、都会の公園なんかでも、樹があって攪乱地であれば獲れるかも。

・ちなみにフランスで食べられている黒トリュフはペリゴールという品種だが、残念ながらこれと全く同じものが日本で獲れるというわけではない。日本を含む東アジアでよく獲れるのは、学名T. indicum 和名イボセイヨウショウロという品種である。ただしこれも強い香りを発する。
================================================

ということなんである!日本であろうとどこあろうと、条件が整えば発生するのであった!

まあしかし、品種が違うと言うことで、合点がいく。我々の業界でいえば、アールスメロンという高級品種と、アンデスメロンの違いという感じか。でも、アンデスメロンも実に旨い。だからそれくらいの気持ちで採取すればいいな、という感じだ。

「では、知識がついたところで現地に行きましょうか。」

と車で集合場所のとある公園から5分。車がビュンビュン走る公道のすぐ脇にある森林に分け入っていく。分け入ると言っても、数十年前にデベロッパーが植林をした造成地である。つまり、攪乱されているということだ。


これをずんずんと進んでいくのかと思いきや、公道から5分も歩かないうちに佐々木氏の足が止まった。

「さて、この辺で獲れるんです。足下の落ち葉をどけて、地面を見つめてください。トリュフは土中ではなく地表に出ていますので、すぐに分かるはずです。絶対に地面を掘らないように!掘ってしまうと翌年には発生しませんよ。」
と言うので、目をこらす。長島勝美君がすぐ横で興奮した声で「あ、ほんとだ有ったあった!」とはしゃぐ。マジ?

あったぁ! この写真の真ん中に写っている、動物の糞のような丸いのがそれである。

これかよぉ、、、と感慨に浸る間もなく、落ち葉をどかしただけでゴロゴロとしているのである。

「おおおお 次々に見つかるじゃん!トリュフ犬なんていらないじゃん!」

と一同もう狂乱である。

学者肌のSさんは、資源として取り尽くされては困ると践んだのだろう、開始10分後くらいには「はい、もう終了!しゅーうーりょーうー!」と声をかけて皆を引き戻した。菌が生えているシロには、基本的に人が入って荒らすのは困るのだ。

改めてみると、このゴツゴツしたマツボックリ状の物体がトリュフなのである。

Sさんが小刀で二つに割る。すると断面にはマーブル模様が入っているのがわかる。

「このマーブル模様が見分け方の決め手です。よく似た感じのキノコがありますが、割ってみてください。こういう模様があれば大体トリュフです。」

やたらとマニアックなキノコ辞典のような海外の本を引っ張り出し、僕らが採取したイボセイヨウショウロの写真を見せてくれる。いや、実に面白い!

何が面白いって、条件さえ合えば、このトリュフが都会の町中にもあるかもしれないのだ。痛快だな!

Sさんに御礼を言って解散。なんと、埼玉の川越からわざわざ駆けつけたキノコマニアの方もいらっしゃった、面白い一団であった。


さて
勝美君と、シエラザードへ行く。シエラザードは長島農園の野菜を購入し料理に使っているフレンチレストランである。横須賀には珍しいきっちりとした素晴らしい料理を出す店だ。以前のこのエントリをみていただきたいのだが、ここのジビエは旨いし、見た目も麗しい!このblogの写真の中でも最も旨そうに撮れているエントリだと思う。


さて
伊崎シェフに見せると、「おお~ほんとうだ!」と興奮。

トリュフはまずこのごわごわの外側をナイフで剥く。剥いた皮も薫り高いので、容器に入れて油を注げば、トリュフの香りがオイルに移るという。
さてこの美しいトリュフの薄切りをみていただきたい!

この断面にあるマーブリングが、トリュフの証である。なんて美しいのだろう!

ちなみに、一つのトリュフはあまり香りが漂ってこないが、もう一つの色が濃い方は、プンプンとトリュフ香が立ち上ってくる!

トリュフといえば、卵との相性が抜群によいことで有名だ。なので、まあ今回は味見ということで、トリュフを刻み込んだオムレツを焼いてもらう。

「昔、ホテルに勤務していた頃以来だなぁ、オムレツなんて」といいながら、フライパンをポンポンと叩き丸め込んでいく。

大量にトリュフの入ったオムレツができあがる。同じ量をフランス産のトリュフでやったらどうなっちゃうんだろう?かなり怖~い、、、

さて味はどうか? 濃い色の成熟したトリュフからは、間違いなくあの芳香が立ち上った!ペリゴール種とは香りの性質は違うのだろうが、でもトリュフの香りだと言うことはきちんとアイデンティファイできる!

「いやぁ、すごいね、粗刻みのトリュフを噛みしめると、ブワって香りが立ち上るね。これ、一日目でこんなに薫るんだから、もっと熟成させたら大変なことになりそうだね!」

トリュフは米をしいた密閉容器にふんわりとおいておく。米のおかげで水分調節ができるのだ。これは、シエラザードにプレゼント。

いや、面白い!間違いなくホンモノのトリュフであった!先に挙げた条件が満たされる場所で有れば、身の回りにトリュフが落ちているかも知れないぞ!ぜひ皆さん、お近くの公園や林の中を散策してみてください。

繰り返し注意しますが、掘り返してはダメ!次年度に発生しなくなります。地表に顔を出しているケースが多いので、それを採るに留めること。

シエラザードではこのオムレツの他に、今年初の野鴨などをさんざん食べたので、これはまたアップしますね、、、いや、いい一日だった!

※当然ながら、トリュフが採れるかどうか、そしてそれらしきものがあったとしても、食べるかどうかというのは個人の責任でお願いします。もし何かあっても責任はとれませんので悪しからず。

Posted by yamaken at 02:03 | Comments (2) | TrackBack

2004年11月22日

アスキーF岡さんとの邂逅と門仲フルコース、支那そば 晴弘の暖かみを味わう

仕事を終え、地下鉄日本橋の駅に向かう。夜、週刊アスキーの元編集長として名高いF岡氏とお会いするのである。F岡氏はライブドア堀江氏との対談等の機会で、しょっちゅうこのWebのことをご自分のblogに書いてくれているので、僕もコメントをつけさせていただいていた。で、どうせならお会いしましょうと声をかけたわけだ。お迎えするのは当然ながら、門仲フルコースである!

もう言うまでもないが、門仲フルコースとは①寿司処 匠~②支那そば 晴弘~③Bar オーパというラインナップである。ただし、同行するお相手の胃力・体力・精神力に応じて、②を抜いたりすることもある。今回はどうしようかな、と思いながら歩く。

日本橋高島屋前から地下に入って地下鉄入り口の通路を歩いていると、ソニーのPSPの実機が飾ってある。どれどれとのぞき込む。綺麗な液晶だなぁ。僕の他にも数人が足を止めている。その中に、どこかでみたことがある女性がいらっしゃるのが気にとまったが、ひっかかっただけでそのまま改札へ進む。メトロカードを差し入れると残額不足だ。券売機にいこうときびすを返すと、女性とぶつかりそうになる。「あ、ごめんなさい」と相手の目を見た瞬間に驚いた。先ほど後ろ姿をみたことがあると引っかかっていた女性であり、その人はナンと!支那そば 晴弘の女将さんではないか!
「あらまぁ!」

と向こうも驚いている。実は、僕がよく行くクリーニング店でも一度顔を合わせたことがあるのだが(笑)

しかし今回は、それだけではなかった!

「あのぉ、、、インターネットに色々書いて下さっているんですよね?」

「あ、はい!すみません勝手に色々書いてます。」

「いえ、本当にどうもありがとうございます、、、プリントして持ってきて下さった人が居て、お顔が映っていたので、店のみんなで『ああ、あの人だ』ってわかって、、、」

いやぁ どなたか知らないが、僕のページを印刷して持ち込んでくれたのですね。どうもありがとうございます。しかし面白いのはここからだった。

「それで、自家製麺を楽しみにして下さっているということなんですけど、、、」

この辺の事情はこちらをご参照のこと。そう、この晴弘の支那そばをパワーアップするため、製麺機を購入したとのことなのである!すごいゾ晴弘、これで自家製麺か!と思ったら、それ以来全然自家製麺が出てこない。店のおやっさんに「どうなってるの?」と聴いても「いや まだダメなんです、、、」というばかりだったのである。

「製麺機はあるんですけど、、、うちの主人はのめり込む人なので、製麺を始めたら、また夜も寝ずにやってしまうと思うんです。必ず身体を壊すことになるので、実は店のスタッフ全員で止めているんです。楽しみにして下さるのに大変申し訳ないんですが、、、」

なんと! そういう事情だったかぁ、、、

しかし納得のいく話だ。あのおやっさん、店の従業員全員から止められてしまうほどに仕事の鬼なのだ!そんな鬼のペースで製麺などされたら、倒れてしまう。これはしばらく我慢するしかないなぁ、、、

「わかりましたよ、では気長に待ちますね!」

と、女将さんとはお別れする。今日、行くかも知れないとも言っておいた。

「私は今日は店には出ないんですが、開店はしていますので、ぜひ!」

よし、F岡さん、本日は①②③全部廻るよ!と決めたのであった。

さて
東西線門前仲町駅の出口2番を出たところでしばし待っていると、年齢不詳(若そうに見える!)の、子供のような眼をしたF岡さんが声をかけてくれる。なんだか、昔から知っている人みたいだ。挨拶をして匠に。匠ではいつものお任せコースと「るみ子の酒」のお燗。F岡さんが楽しんでくれたかどうかは彼のblogをご覧いただきたい

さて寿司を平らげ晴弘へと向かう。女将さんは当然出ていないが、すでに顔見知りになった従業員のみんなが僕の顔を見てニッコリしてくれる。

晴弘は、支那そばが旨いわけであるが、僕はそれと同じくらいにここの酒肴が好きだ。しいたけのうま煮、八頭の煮物などを頼んでみて欲しい。350円という凄まじい低価格で、割烹料理屋ではないかとみまごう内容の一皿が出てくるのである!F岡さんも「なんで?なんで支那そばやなのにこんなに旨いの?」と感動して下さっている。

今回旨かったのはトマトと春菊のサラダ。甘めの醤油ドレッシングがよく絡んで、生春菊のシャクシャク感とほろ苦み、トマトの酸味とベストマッチだ。


そしてそろそろ色がエメラルドからイエローに変わりつつある銀杏。これで芋焼酎・島美人のお湯割りを傾ける。

しばしF岡さんと旨いもの談義。彼は僕なんか足下に及ばないほど食い歩いていらっしゃる。週刊アスキーには、全国のホテルの名レストランを巡る連載があるのだが、それを執筆しているのはF岡氏と、あの「恨ミシュラン」の神足氏である。うーんウラヤマシイ!

「俺もぜひ書かせて下さい!」

と直訴をしておいた。果たして成るだろうか?

つけ麺大盛り(やまけん)と普通盛り(F岡氏)を頼んでトイレへ。帰りにおやっさんに声をかけると、僕の顔を見て眼を細めてくれた。

「今さっき女将さんに日本橋でばったり遇って、、、製麺機、難しいんですって?」

と訊くと、

「うん、まず置き場がないんだね。大きいから、席を潰さないと入らないんですよ。それと建坪率の問題とか絡んできて大変なんですよね、、、」

という話になる。そうか、彼の体調の問題だけではなく、建築基準上の問題もあるのであろう。なかなかに大変だ。残念だがもう少し待つしかない。読者のみんなも密やかに期待しましょうね!決して催促してはいけません。

つけ麺を大盛りと、F岡氏が少し残したのを食べてオーパへ移動する。カクテルを飲みながら、F岡氏の旨い店巡り話は尽きるところがない。羨ましいなぁ。俺も食い倒れることが仕事になればなぁ、、、(←誤解している人が多いので言いますが、食い倒れ日記は仕事ではありません!)

F岡氏との語らい、食い倒れ日記の今後の方向性、晴弘の製麺機、いろんなことがぐるぐると頭の仲を周り、すごく面白く、かつなぜか温かいものを感じる夜だった。

F岡さん、また旨いもの食べに行きましょう!次ぎは無二路に行きますか?

Posted by yamaken at 01:38 | Comments (4) | TrackBack

2004年11月20日

ヤブイズオーバー 国会議事堂潜入第二弾 超上質蕎麦天国と、国政のための戦闘食を垣間見た! その2

さて
国会議事堂を出てすぐ目の前にある憲政会館に移動する。

M氏はしきりに、「あそこにレストランなんてあったかなぁ?」と首をかしげている。議員秘書も知らない激レアレストランなのか?

修学旅行生らしき一段をやり過ごして館の中に入る。案内板みたいなのがないので受付におっちゃんに食堂を聴くと、かなり奥まったところにあるらしい。言われた方に歩いていくが、食堂があるようなスペースは見えない?つき当たりには何もなさそうなのだ、、、と思ったら、何やら蝶ネクタイを締めた給仕風の男性が手持ちぶさたに立っている。そして僕ら一団を観るとしずかに「こちらでございます」風のゼスチャーをする。そのつき当たりの壁に、小さく「←食堂」の表示がしてあるではないか!

ガラス戸を引き開けると、全く予想だにしない典雅な空間が拡がっている!テーブルなどの調度品は基本的に国会の食堂と同じような感じで、それほど高価なものではなさそうだが、落ち着いた庭園に面していて、絨毯が敷き詰められており、なにより給仕の服装がビシッと決まっているので、ホテルのラウンジにでも迷い込んだ感がある。現に、国会にはまったく場違いな露出度高いカップルが食事をしていたりする。

メニューを眺めると、明らかに価格体系が違~う!カトウ秘書から教えてもらったビーフシチューは1417円!牛ひれステーキに至っては2520円である!

「これはまた、100メートル離れただけで全く値段が変わるんだねぇ、、、」

おうさるさんはやはりロメスパ研究者らしくスパゲティナポリタンを、僕とM氏はビーフシチューを頼む。

待っている間に、M氏から国会議事堂の食堂制覇のための基本的な知識を教えてもらおうと、一体どれくらいの食堂があるのかを書き出してもらう。

余り知られていないことだが、国会議事堂とその関連施設で働いている人たちは非常に多い!霞ヶ関の官庁なみ、だから3000人くらいはいるのではないか、ということだ。そして議事堂周辺は繁華街などから隔絶されているから、昼時に飯を食いに出ようとしても周辺には何もない!従って、議事堂施設内に充実した食環境が必要不可欠なのである。

議事堂関連の食堂を書き出していってもらったら、後から後から増えて全く把握できない。よくわかったのは、「全制覇には無茶苦茶時間がかかる」ということである。またもう一つの問題は、制覇する前にM氏の上司つまり議員先生が万が一落選されてしまった場合には、彼はその日から無職になってしまうのだ!ただし彼は「政策秘書」という資格を持っているため、また違う代議士に秘書として就くことになるのだが、秘書の世界も楽じゃないのである。
そうそうちなみにこれが今回使わせて頂いた許可証である。

議員先生の名前はもちろんぼかしてあるので悪しからず。これをなくすと洒落にならないらしい。

さて
しめやかに優雅にビーフシチューが運ばれてきた!

なんとも、なんとも典雅な佇まいである。ヤブイズオーヴァーが遙か彼方の地平に思えてしまう。肉は牛バラ芯で、ドミグラスソースでホロリとなるまで煮込んである。ナイフとフォークを入れて食べる。M氏も食べる。

んー

美味しい味である。特にソースは特筆してもいいほどの出来である。でも、これだったらもっと肉よりもソースをジャボッと味わいたい。肉はドミソースに旨味が相当量流出しているので、若干味気ないが、ビーフシチューとしてはこれでよかろう。でもあれだな、ナイフとフォークでこうやって食ってると今ひとつ盛り上がらない。

ということで、食い倒れ仕様としてメシに全部のせてしまった。

フォークでわしわしと口に運びながら、「やっぱりナンだな、ヤブイズの230円を観た後じゃ、コストパフォーマンスでいえば勝負にはならないね」などとのたまう。いやおそらくこの店に単品として食いに来たらいいのだが、国会内の食堂と並列にするもんじゃない、ということだ。逆に、意表をついたデートコースとしてはかなり使えるかもしれない。だってあまり他のお客さんもこないし、サービスはバッチリだし。お忍びデートにはもってこいでしょう。

「ご馳走様でした~」

食い終わって外に出る。蕎麦を都合3杯とビーフシチュー&ライス&サラダ&スープをたいらげたのでかなり腹はきつい状況になってきている。

「よし、腹ごなしの意味も込めて、少し歩きましょう。せっかくだから、面白いところにお連れしますよ。」

といって議事堂のちょうど裏に当たる方面へと歩く。静かな午後、議事堂周辺は見えない緊張の糸が張り巡らされているようだ。

と、彼が向かったのはなんと!自民党本部であった!

「自民党の党員がいつもどんな食環境にいるかみてやって下さい。」

そういって彼はどんどん中に入っていく。許可証を持っているので僕らも入ることができた。エレベータで階を上がり、勉強会などをやっている部屋をいくつかみせてもらう。

議員やその秘書の仕事の多くは、勉強会に出席することである。今で言えばFTAやらWTOだとか、とにかく最新の情報を収集しておかなければ政策なんぞ建てられるはずがないのである。彼が見せてくれたスケジュール表には朝から晩までビッシリと勉強会が入っていた。

「ここが自民党の食堂ですね。」

すでにランチタイムは終了していたが、これが自民党員の腹を満たす食堂であった!

サンプルの入ったケースを見た印象では、議事堂内の食堂に数段劣る内容だった、、、

「僕らが検討会などで長時間詰めている場合は、党からメシが出るんです。朝なら和定食、昼ならカレー。どんな会議でも昼はカレーって決まってるんですよ。」

これがそういう会合の席である。テレビでもよく出てくるアノ部屋だ。

そしてこちらもテレビによく出てくるアノ演壇である(笑)

いやーしかし実に考えさせられるものがあった。自民党内部は、かなり活気があった。政党の建物に入ったことなどなかったから、これは新鮮。みな政策を立てるために勉強しているし(議員が勉強しているのかどうかは知らないが)、世間で流布される政治家というイメージとは違うものを感じる。

さていい腹ごなしになったので国会地下に戻る。

「前回食べられなかったウナギを食べましょうかね。」

と向かうのは、前回の国会潜入で魂の友となった、寿司「初花」の石原君がまつ寿司食堂である!彼とはメールを交わす仲となったのである!

「おっいらっしゃい!」

明るく迎えてくれた彼をみてちょっと嬉しい。なんてったって国会の内部者と俺はダチなんである。

さて鰻のセットはAとBがある。Bはなんと2匹分の鰻重に握りが2貫という凄まじい質量だ。しかし今日はさすがに無理。Aセットを頼む。

Aセットも、鰻が2枚載っていて握り二貫にポテトサラダ、みそ汁がついて850円とリーズナブル。

おうさるさんは隣で特上にぎりを食べる。M氏は午後の仕事に差し支えるといけないので無食待機である。

石原君とまた楽しい語らい。彼の軽妙なトークは実に最高なのだ。

「ごちそうさま~! さすがにもう食えないな!」

国会潜入第二弾はこれにて終了。

さて総括をしよう。国会内の食を重ねてわかったことがある。重点的に配されているのは蕎麦屋。そして、それ以外の通常の食堂のメニューをみればわかるとおり、炭水化物中心!脳内のハードな勉強スケジュールと、いつになったら時間が空くかわからない国会関係者に最適チューニングされた、まさにこれは戦闘食だ! 政治が悪い悪いと言っても、間接民主制を採る