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2004年02月07日

山形蕎麦の時代がきっとやってくる! 山形遊行編その1 山形スタンダード「庄司屋」

shoujiya.jpg ずーっと心待ちにしつづけてきた山形出張の日である。しかも2日連続講演、従って宿泊である。仕組んだわけではない。農業改良普及所の講演を受託した翌日に、こんどは県の方から農業者向けの講演依頼をいただいたのだ。どうせなら日程を連日にしてしまおうということなのである。
 しかも今回、改良普及所も県の方も、どちらの担当者さんも僕が食倒れにしか関心がないことを よーーーーーく 知っている。 なもんで、綿密にコースをたてて頂いているのであった。

 山形といえば僕にとっては蕎麦の一言に尽きる。東京で一番旨いと思う蕎麦屋は、虎ノ門「ゆとり都山形」というアンテナショップに入っている「出羽香庵」であり、ここは山形の名店「庄司屋」が出店しているのだ。そう、今僕が一番好きなのは山形蕎麦だったりするのだ!北海道の栗山町で、粉を挽くところから初めて自分で打たせて貰って食べた蕎麦が、これまで最高の体験ではあるが、店で食べるという場合にはやはり出羽香庵が最高だ。
 そして本日、山形に足を踏み入れてすぐさま連れて行って頂くのは、この出羽香庵の本店である「庄司屋」なのだ!

 庄司屋は蕎麦好きばかりの山形市内の中でも、まず最初に名前が出てくる老舗だという。老舗といっても、山形市内だけで10件は老舗と呼ばれる店があり、それぞれに麺やつゆの個性が違うらしい。通になると「あの店の蕎麦をこの店のつゆで食べたい」などという高度な談義をするらしい。店によっては箸を刺すとそのまま直立するくらいに盛りが深い(盛りがいいということだ)蕎麦だったり、本当にいろいろらしい。そう、山形蕎麦といっても、一口には語れない、個性に富んだ食文化なのだ。
 しかし、そんな個性溢れる老舗群の中で、やはり筆頭に名が上がるのは間違いなく「庄司屋」なのだそうだ。その秘密はどこにあるのだろうか。東京の支店しかしらない僕としては、なんとしても本場のそれを味わってみたいと思っていたのだ。

 僕を庄司屋に誘ってくださったのは、県の担当者のK氏とO氏だ。どちらも勿論蕎麦好き、そしてO氏は枝豆を自分で栽培している方だ。山形駅の改札で僕を迎えてくださり、駅ビルの上にある講演会場でPCのセッティングのみ行い、すぐにタクシーで庄司屋へ。1メーターで行けてしまう距離ではあった。ちなみに山形は雪である。先週まで北海道に行っていたから、雪ナンざぁびっくりもしないやと思っていた。しかし、、、東北の雪と北海道の雪は違うんだなぁ、、、なんというか、山形の雪は「重さがある」という感じだ。北海道は横にだだっ広いが、山形は世界がタテなのだ。勢い、雪の質もタテにつもり、重さを感じるのだ。

 さて庄司屋は立派な一軒家ではあるが、老舗にありがちな観光対応ではまったくない。近在の勤め人が三々五々食べに集うという感じの、無理のない構えである。入店して板場近くの座敷に座る。
 出羽香庵ではいつも板蕎麦のみだが、ここでは相盛りがある。相盛りとは、通常のせいろと更科蕎麦のあわせ盛りだ。僕はこれに天ぷらをつけたものを頼んだ。それがこれだ。
aimori.jpg

 ふうむ、出羽香庵のせいろ蕎麦とまた少し違う。こちらの方が細め泣きがする麺である。海苔はいらないんだけどなぁ、、、と思いながらチョンチョンとつゆにつけ、たぐりすする。文句なしに旨い!やはりこれは出羽香庵で親しんだ蕎麦である。二八くらいの割合なのだろうなぁ。のど越しよく、外見よりストロングな噛み応えを持つ蕎麦である。

seiro.jpg

そして東京の出羽香庵には置いていない更科蕎麦をすする。これはとにかく抜けるような透き通った白色である。蕎麦の香りは当然ながら薄いが、ぷつりと潔く切れる感触が心地よい。
sarashina.jpg

さてこの時点で僕にはこの相盛り天ぷら蕎麦ではまったく「足りない」ことがわかったので、即座に「鴨汁せいろ大盛」を頼んだのであった。要するに旨いので食欲に火がついたわけである。
鴨を使った蕎麦は、生来たんぱくな蕎麦に奥行きのあるコクを与えてくれる、ベストマッチな一品であるといえる。
kamotsuke.jpg

鴨汁の濃さと鴨肉の厚み、ともにばっちりである。柚(ゆず)の皮が強く効き過ぎだったかもしれないが、それもまた風味があって旨い。蕎麦の盛りは僕にも満足モノであった。思い切り蕎麦をすすりこみ、噛み締める。

 そう、山形の蕎麦は、つゆにちょんとつけてすすり、噛まずに飲むという体のものではない!

 山形のそばつゆは、江戸前とは違って辛つゆではないのだ。そのまま食べて美味しい加減になっている。だから、存分につゆに浸してそばをすするのがよい。江戸前は、蕎麦を食べ進むにつれてちょうどよくなっていくくらいにチューニングされている。だから、蕎麦につゆを漬けすぎると辛くて食べられたもんじゃない(最近はそうでもないといわれているが)。噛むということについてもそうだ。山形蕎麦は、江戸前に比べると若干太めに打たれているケースをよく見かける。これは噛み締める食感を大切にしているからではないか(←思いっきり私見。)。

 だから僕は、板ソバをたべるときはもう時間をかけてもぐもぐもぐもぐもぐもぐ噛んで食べるのである。だってその方が旨いんだもーん。

yamaken-shoujiya.jpg

庄司屋は、やはり山形市周辺の蕎麦のスタンダードと言える店であった。安定した火力をいつでも発揮できる店だ。タクシーで1メーターだし、山形に立ち寄る方はぜひ寄って頂きたい。

このようにご満悦の表情で会場入りし、講演を務めたのであった。
そういえばますます僕の出張が「メシ食ってるだけじゃん」と疑う人がいるんだけど、ほんとに仕事してるんだよ!一応仕事場面をお見せしよう。

■ほら!僕の名前が書かれてるでしょ?
kanban.jpg

■お客さんも160人観に来てくれてるんだよ!
okyakusan.jpg

1日目はまだ終わらない。この後に続く、、、

Posted by yamaken at 2004年02月07日 22:41 | TrackBack
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