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2004年11月20日

ヤブイズオーバー 国会議事堂潜入第二弾 超上質蕎麦天国と、国政のための戦闘食を垣間見た! その2

さて
国会議事堂を出てすぐ目の前にある憲政会館に移動する。

M氏はしきりに、「あそこにレストランなんてあったかなぁ?」と首をかしげている。議員秘書も知らない激レアレストランなのか?

修学旅行生らしき一段をやり過ごして館の中に入る。案内板みたいなのがないので受付におっちゃんに食堂を聴くと、かなり奥まったところにあるらしい。言われた方に歩いていくが、食堂があるようなスペースは見えない?つき当たりには何もなさそうなのだ、、、と思ったら、何やら蝶ネクタイを締めた給仕風の男性が手持ちぶさたに立っている。そして僕ら一団を観るとしずかに「こちらでございます」風のゼスチャーをする。そのつき当たりの壁に、小さく「←食堂」の表示がしてあるではないか!

ガラス戸を引き開けると、全く予想だにしない典雅な空間が拡がっている!テーブルなどの調度品は基本的に国会の食堂と同じような感じで、それほど高価なものではなさそうだが、落ち着いた庭園に面していて、絨毯が敷き詰められており、なにより給仕の服装がビシッと決まっているので、ホテルのラウンジにでも迷い込んだ感がある。現に、国会にはまったく場違いな露出度高いカップルが食事をしていたりする。

メニューを眺めると、明らかに価格体系が違~う!カトウ秘書から教えてもらったビーフシチューは1417円!牛ひれステーキに至っては2520円である!

「これはまた、100メートル離れただけで全く値段が変わるんだねぇ、、、」

おうさるさんはやはりロメスパ研究者らしくスパゲティナポリタンを、僕とM氏はビーフシチューを頼む。

待っている間に、M氏から国会議事堂の食堂制覇のための基本的な知識を教えてもらおうと、一体どれくらいの食堂があるのかを書き出してもらう。

余り知られていないことだが、国会議事堂とその関連施設で働いている人たちは非常に多い!霞ヶ関の官庁なみ、だから3000人くらいはいるのではないか、ということだ。そして議事堂周辺は繁華街などから隔絶されているから、昼時に飯を食いに出ようとしても周辺には何もない!従って、議事堂施設内に充実した食環境が必要不可欠なのである。

議事堂関連の食堂を書き出していってもらったら、後から後から増えて全く把握できない。よくわかったのは、「全制覇には無茶苦茶時間がかかる」ということである。またもう一つの問題は、制覇する前にM氏の上司つまり議員先生が万が一落選されてしまった場合には、彼はその日から無職になってしまうのだ!ただし彼は「政策秘書」という資格を持っているため、また違う代議士に秘書として就くことになるのだが、秘書の世界も楽じゃないのである。
そうそうちなみにこれが今回使わせて頂いた許可証である。

議員先生の名前はもちろんぼかしてあるので悪しからず。これをなくすと洒落にならないらしい。

さて
しめやかに優雅にビーフシチューが運ばれてきた!

なんとも、なんとも典雅な佇まいである。ヤブイズオーヴァーが遙か彼方の地平に思えてしまう。肉は牛バラ芯で、ドミグラスソースでホロリとなるまで煮込んである。ナイフとフォークを入れて食べる。M氏も食べる。

んー

美味しい味である。特にソースは特筆してもいいほどの出来である。でも、これだったらもっと肉よりもソースをジャボッと味わいたい。肉はドミソースに旨味が相当量流出しているので、若干味気ないが、ビーフシチューとしてはこれでよかろう。でもあれだな、ナイフとフォークでこうやって食ってると今ひとつ盛り上がらない。

ということで、食い倒れ仕様としてメシに全部のせてしまった。

フォークでわしわしと口に運びながら、「やっぱりナンだな、ヤブイズの230円を観た後じゃ、コストパフォーマンスでいえば勝負にはならないね」などとのたまう。いやおそらくこの店に単品として食いに来たらいいのだが、国会内の食堂と並列にするもんじゃない、ということだ。逆に、意表をついたデートコースとしてはかなり使えるかもしれない。だってあまり他のお客さんもこないし、サービスはバッチリだし。お忍びデートにはもってこいでしょう。

「ご馳走様でした~」

食い終わって外に出る。蕎麦を都合3杯とビーフシチュー&ライス&サラダ&スープをたいらげたのでかなり腹はきつい状況になってきている。

「よし、腹ごなしの意味も込めて、少し歩きましょう。せっかくだから、面白いところにお連れしますよ。」

といって議事堂のちょうど裏に当たる方面へと歩く。静かな午後、議事堂周辺は見えない緊張の糸が張り巡らされているようだ。

と、彼が向かったのはなんと!自民党本部であった!

「自民党の党員がいつもどんな食環境にいるかみてやって下さい。」

そういって彼はどんどん中に入っていく。許可証を持っているので僕らも入ることができた。エレベータで階を上がり、勉強会などをやっている部屋をいくつかみせてもらう。

議員やその秘書の仕事の多くは、勉強会に出席することである。今で言えばFTAやらWTOだとか、とにかく最新の情報を収集しておかなければ政策なんぞ建てられるはずがないのである。彼が見せてくれたスケジュール表には朝から晩までビッシリと勉強会が入っていた。

「ここが自民党の食堂ですね。」

すでにランチタイムは終了していたが、これが自民党員の腹を満たす食堂であった!

サンプルの入ったケースを見た印象では、議事堂内の食堂に数段劣る内容だった、、、

「僕らが検討会などで長時間詰めている場合は、党からメシが出るんです。朝なら和定食、昼ならカレー。どんな会議でも昼はカレーって決まってるんですよ。」

これがそういう会合の席である。テレビでもよく出てくるアノ部屋だ。

そしてこちらもテレビによく出てくるアノ演壇である(笑)

いやーしかし実に考えさせられるものがあった。自民党内部は、かなり活気があった。政党の建物に入ったことなどなかったから、これは新鮮。みな政策を立てるために勉強しているし(議員が勉強しているのかどうかは知らないが)、世間で流布される政治家というイメージとは違うものを感じる。

さていい腹ごなしになったので国会地下に戻る。

「前回食べられなかったウナギを食べましょうかね。」

と向かうのは、前回の国会潜入で魂の友となった、寿司「初花」の石原君がまつ寿司食堂である!彼とはメールを交わす仲となったのである!

「おっいらっしゃい!」

明るく迎えてくれた彼をみてちょっと嬉しい。なんてったって国会の内部者と俺はダチなんである。

さて鰻のセットはAとBがある。Bはなんと2匹分の鰻重に握りが2貫という凄まじい質量だ。しかし今日はさすがに無理。Aセットを頼む。

Aセットも、鰻が2枚載っていて握り二貫にポテトサラダ、みそ汁がついて850円とリーズナブル。

おうさるさんは隣で特上にぎりを食べる。M氏は午後の仕事に差し支えるといけないので無食待機である。

石原君とまた楽しい語らい。彼の軽妙なトークは実に最高なのだ。

「ごちそうさま~! さすがにもう食えないな!」

国会潜入第二弾はこれにて終了。

さて総括をしよう。国会内の食を重ねてわかったことがある。重点的に配されているのは蕎麦屋。そして、それ以外の通常の食堂のメニューをみればわかるとおり、炭水化物中心!脳内のハードな勉強スケジュールと、いつになったら時間が空くかわからない国会関係者に最適チューニングされた、まさにこれは戦闘食だ! 政治が悪い悪いと言っても、間接民主制を採るこの国において、議員が担う責務は大きい。それをビシッと実行してもらうためにも、彼らに必要十分な糧食が供給されなければならない。そうした観点からいえばこのカーボローディング効果抜群(ていうかそれだけ)なメニュー群は理想的であろう。さらに言えば、どこのメニューをみても米か蕎麦が中心である。さすが日本の国会!

今回も非常に意義深い勉強をしてしまった。Mさん、どうもありがとう!カトウさん、シチューはソースが旨かった!おうさるさん、また行きましょうね!
そして翌日、M氏から連絡があった。

「いろいろと事情聴取したところ、参議院議員会館の喫茶店のスパゲッティ&カレーが超大盛の上に味も上々との情報を仕入れました。スパは多分ジャポネ系のたたずまいではないかと思われるので、また次回攻めてみましょう!事前に調査した上、報告します。」

うおおおおおおお
行くしかない!
第参回国会潜入を期待して待て!!

Posted by yamaken at 2004年11月20日 10:11 | TrackBack
Comments

実に面白い!

週刊誌でよく「議員先生の優雅なお食事」みたいな内容で赤坂とか永田町でのお店情報はよくあるけど、国会内を実食しての情報はあまり記憶にありません。

食って食って食いまくって戦って頂きたい。

よろしくお願いしますよ先生方!

Posted by: MAX at 2004年11月20日 18:04

「戦闘食」

多忙な国会議員の先生や政策秘書の方々の力の源!?

「食は文化」と言いますが、まさにその地域社会の文脈に沿った食があるのですな!どこでも一様な質と量のメニューを提供するファミレス・ファーストフードの店に対して、「地元」の食堂がもつ強みってそんなところなのでしょうか。

それにしても、学食なみの価格で本格的なお味とは、、うらやましい・・・

Posted by: ゆうた at 2004年11月21日 14:46

"ということで、食い倒れ仕様としてメシに全部のせてしまった。"

今回の肝はここですね。
ここだけで笑ってしまった。


Posted by: つだ at 2004年11月22日 10:08