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2005年03月16日

富山の豊饒な海の幸は、回転寿司でも十分ゴージャスリッチだ!

さて富山のある米の生産組合に出張である。富山県はコメどころで、篤農家の多い地域である。いうまでもなくコシヒカリの大産地だ。しかも、コメが旨い上に富山湾の海の幸は最高だ!海流の関係上、独特の魚種が獲れるため、日本海側でも絶品な魚が、とくに海老類が豊富である。

富山空港からバスで一路、高岡駅前へ。ここで次に乗る電車を1時間あまり待つので、昼飯タイミングである。この日は、新人の研究者であるY内君が同行してくれている。

「彼は出張は初めてなので、いろいろ教えてやってください」

とその上司の方から言われているので、これはしっかり教えてあげなければならない!そう、出張の快楽を!!

ちなみに冗談ではなく、出張時に心がけていることがいくつかある。まず出張先では、移動時にはなるべく昼寝などせず外を観る。「観る」と書いているには意味がある。ぼーっとみるのではなく、その土地の風景から文化を観ずるということだ。例えば僕は農林水産業の研究者だから、その土地の事情を風景から読むことが重要。空港から高岡に至るまでの田圃の密度や一枚の面積、形状、土質、等々を観るのだ。これが、地域によって全然違う。土質が違えば堅さ、土の粒子構造が違うから農具も変わる。当然種も変わる、、、のである。

「と、いうわけできちんと観察するように。」

と偉そうに言うのだが、実は僕の脳裏にはそんなのは無い!この時、同時並行して昼飯の算段をしているのである!

電車の時刻を確認して切符を買っておき、駅舎を出る。すかさずタクシー乗り場にいって「おいちゃん、この辺の旨い回転寿司屋、教えて!」と声を掛ける。すぐさま、タクシー運ちゃん同士で「あそこがええな」など会議が始まる。その内におばちゃんが「あたしが連れてってあげるわ、800円程度でいけるわよ!」と手を挙げてくれた。

とこのように、僕は事前調査はあまりしないで現地の人に訊いてしまうのである。

「こっちに来たらね、寿司屋なんて回転寿司でいいのよぉ イキがいいから安くて美味しいの!」

とおばちゃんが色々と教えてくれる。ちなみに名物のかぶら寿司はもう時期が終わってしまったらしい。残念!

「あ、ここよここ。帰りは南口に行ってくれって運転手さんに言った方が安いわよ!」

と親切に教えてくれて、ガハハハと笑いながらおばちゃん去っていった。こういうコミュニケーションこそがご馳走である。

さて案内されたのは富山一帯に展開している回転寿司チェーン「すし食いねぇ」の高岡店である。


「回転寿司で美味しいんですか?」

とY内隊員は不安げであるが、ここ富山においては回転寿司でも東京のその辺の店より旨い寿司が食えるのである!回転寿司とは言っても、回転と同時に入店しているので注文を言えばその場で握ってくれる。そのネタはなんとこんなラインナップなのだ!

この黒板はあくまで本日のオススメ。これがもう一枚、内容の違うのがある。そして標準メニューにイカ・アジなどが載っているという豊富なラインナップなのだ!しかもここ、一皿2個入れでこの値段である。安い、、、

そして怒濤の注文が始まったのである。

■ガス海老

この不思議な名前の中型海老を食えば、富山の海の豊饒さがすぐに分かる!トロリとした食感に濃く甘く海老の香りがプアッと突き抜ける、素晴らしい海老なのだ! Y内隊員、一口に食べてしばし沈黙。

「う、旨いですね!!! これは確かに、東京では食べられません!!!」

あとは一気呵成である。

■太刀魚

■サバ

このサバが激旨!大型の脂の乗ったサバを薄く絶妙に〆ていて、昆布の薄切りが乗っている。

とろける舌触りとサバの香り。最高だ!

■ホタルイカ酢みそ

■活白貝

その場で板さんが捌いてくれる白貝、美しい二枚貝だ。

見た目だけじゃなく、中身も最高!綺麗な味と香りだ。

■ブリトロ

富山といえばブリだ!その通常の握りと腹側のトロの握りを食べたが、どっちも旨い!個人的にはトロじゃない方が香りがあって旨い。

■こぶ鯛

■白海老

いつも門仲の寿司処 匠で食べ慣れている白海老は、産地の富山ならもっと旨いだろうと思い注文した。匠では白海老の繊細な香りを尊重して、軍艦にはしない。海苔の風味が強く海老の旨さが伝わらないからだ。ここでは軍艦で出てきたのだが、やはり海苔の香りが強く少しぼやけてしまった。
とはいえ!やっぱり旨いよ、白海老!

■ざす

「ざす」ってなんだ!?というのがわからなかったので頼んでみた。なんとこれ、カジキマグロのことだそうだ。ふうううむ 後にこれが面白い商品になっているのをみかけるのだが、とにかくここでは喰っておきました。

さてこんな感じで食べ続け、僕は13皿(一皿で2個入りだから26個)食べて、アラ汁を頂いた!これで会計がたったの3400円だ!

「うーん 本当に美味しかったです!」

とY内隊員も感動している。よかった、、、彼に出張の素晴らしさを少しでも分かってもらえたようだ、、、

勇躍、駅へと戻り、電車に乗って出張先へ向かった。
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さて、ヒアリングが終了した。今回の産地の担当者さんは、なんと!なんとなんとなんと!僕の著書「実践農産物トレーサビリティ」の読者さんであったのだ!

「山本さんの本の通りに、仕組を作ったんですよ。いやぁ、その著者に会えるとはなぁ、、、」

と、お互いに感動しつつ、和やかにヒアリングを終えた。

駅に戻ると、40分くらいのアイドルタイムがある。そこで目指すは地域のスーパーマーケットである。

「スーパーに行くんですか?」

そう。スーパーはその地域の食文化を写す鏡だ。調味料コーナーと惣菜コーナーを覗けば、地域の食の一端を理解できる。案の定、この富山の町では素晴らしいアイテムが多数発見された!

それらをすべて買い込むと3400円に上ったが、もうそんな金額はどうでもよいのだ。早速電車に乗り込みボックスシートで包みを拡げる。

「ここで食べるんですかぁ?」

そのためにハシと醤油も買ってきたんだよ、Y内君!

■うるめイワシの刺身

関東ではマイワシかカタクチイワシくらいしか生で食べないが、実はこのウルメイワシの刺身は絶品なのだ!マイワシにはない繊細さがあって、でも足が超早いので、鮮度がよくないと食べられない。揺れる社内で醤油をかけ、バクバクと口に放り込む。とろけるような繊細な身が溜まらなく旨い!

■かぶら寿司(サバ)

パックに入っているのは、ブリではなくサバの身を挟んだかぶら寿司だ。これがまた庶民的で旨い!一パック平らげてしまった。

■どじょうの蒲焼き

実はこのどじょうの蒲焼きが、本日のヒアリング先の町の名物なのだ!これで町の名前が分かる人、いるだろうか、、、

「若い子はたべないねー」と売り場のおばちゃんがいっていたが、このどじょう、実に旨いのだ。

串に小さな切り身が刺してあり、カリカリに焼かれて甘辛タレに漬けてある。身が薄いから旨味が濃いわけではないが、淡水魚らしいアッサリ感と骨がカリカリと歯に当たる感覚、そして甘辛タレの香ばしさで、酒のつまみとしては最高の部類にはいるだろう。あ、でも僕はこう言う時には酒は飲みませんが。

そしてこれが今回最大の謎。「べっこう」という惣菜だ!

■べっこう(濃) ←この「濃」というのがまた、謎だ。薄いのもあるんだろうか。

これ、味付けした出汁に玉子を溶き入れて、かきたま状態になったものを寒天で固めたようなものだ。

このべっこう、興味津々で買い求めた。ハシで割って食べると、甘めの味だが旨い。寒天の濃度はそれほど強くなく、口の中でモロモロと崩れて甘みと旨味が溶けていく。しかし、これはどういう時に食べるんだろう?ご飯のおかず?それともおやつ?家庭でも作ることあるのだろうか?

富山ご出身または在住の読者さん、ぜひ教えてください。

そしてこれは家に帰ってから食べたのだが、「ざす」である。寿司屋ではカジキのことをざすといっていたが、スーパー店頭では、カジキまたはサワラを昆布締めして、昆布で挟んだ状態で売っているのを「ザス」というらしい。これが数種類、並んでいた。こんなの観るのは初めてである。

■ざす

写真は家で切り分けているが、切り分ける前は昆布とカジキの3層くらいのサンドイッチという状態だ。わさび醤油につけていただくと、余分な水分が脱水されたカジキの身と昆布の旨味があわさって旨い!

いやぁ
富山、最高!本当に楽しめる。出張って本当に素晴らしい。いい旅でした。富山のみなさん、色々教えてくださーい!

PS: 富山出張中に「あそこが美味しいよ」とコメントやメールをくださった皆さん、どうもありがとうございました。今回は行けませんでしたが、次回は必ず、、、

Posted by yamaken at 2005年03月16日 11:16 | TrackBack
Comments

うちのかみさんが富山の人なんで、富山の旨いもんには目がありません(笑)
回転寿司というと、「きときと寿司」ってのがまたうまいですよ。ただ、店舗によってなぜか旨いまずいがあるらしく、僕がいくときは氷見店ですが、やはり関東で食べるネタとは違ったものが楽しめていいですよね。夏場だとトビウオとか色々と楽しめます。

白海老ですが、僕はむき身を醤油をちょんとたらしてよくかき混ぜたのをご飯の上にのっけて、わさびをちょこんとのせてかっこむのが好きです。
昆布締めは、甘エビの昆布締めとかがうまいですよ!

あと、どじょうの蒲焼きって金沢のどこの町の名物でしたっけ?前に食べたことあるんですが町の名前を忘れちゃいました^^;

Posted by: kuraki at 2005年03月16日 12:29

>ぼーっとみるのではなく、その土地の風景から文化を観ずるということ

これが日本でも海外でも楽しいんですよね。電車で移動する時はほとんど窓にかじり付いて楽しんでますよ。子供みたい。
トヤマは北前船の集積地だったから昆布の消費量が多いらしいです。あと、何故かわかりませんが蒲鉾などすり身製品も多いですね。生ホタルにはまだちょっと早かったんでしょうか?あれを食べられてたら完璧だったかもしれないですね。

Posted by: らっぱー at 2005年03月16日 13:19

さばが美味そう。回転寿司でこういうピンとしたさばにはなかなかお目にかかることが無いです、私は。かぶら寿司も良さげ。あとうるめの刺身もいいなあ。
どじょうの蒲焼きは先週のくいしん坊万才でやってましたね。3/7放映としてHPに出てますよ。

Posted by: kaz at 2005年03月16日 13:37

富山出身者です!
「べっこう」懐かしいっ!
基本的には、お祝いのときとかお正月やお盆とか、おめでたいときに食べていたような気がします。
甘いので子供のときのおやつ感覚ですね、どちらかというと。
もちろん、自宅で作りますよ!!
ちなみに、家のおばあちゃんの手作り鱒の寿司も最高です!えへん!

Posted by: さとなお at 2005年03月16日 14:38

いつも楽しみに読んでます。私は石川県の金沢出身なのですが「べっこう」、よく食べましたよ!私の実家では「えびす」または「べろべろ」と呼ばれていました。うちではお正月料理で、おせちの一品に母がいつも作っていました。

どじょうの蒲焼もよくおやつに食べました。どちらかというと夏のおやつというかんじだったかな?

Posted by: ちょこい at 2005年03月16日 14:51

富山県在住者です。予告があったので今回のエントリー楽しみにしていました。富山といっても、呉羽山を境に呉西、呉東と東西に分かれ、それぞれ文化が多少違います。今回やまけんさんが訪れたのは高岡市を中心とする呉西地方で、私の住む呉東とは違い、金沢の文化の影響を受けているようです。なのでとても興味深かったです。あと回転寿司は私も「きときと寿司」をおすすめします。「すし食いねぇ」は確か石川県の企業だったような・・・。どちらにしても、北陸の回転寿司のレベルは高いです!自慢できます!「べっこう」は私は苦手ですが、小さいとき母がよく作っていました。確かに今ではお正月くらいしか食べません。

Posted by: ななき at 2005年03月16日 15:39

以前聞いたことがあったのですが、
カジキのなかでも特に獰猛なメカジキは、その尖った嘴で漁船や、ときには漁師のお腹にまで穴をあけたことから、『ザス』とか『サシ』とか呼ばれる様になったそうです。
そのカジキのおなかに喰らいついている
ヤマケンを想像して一人で笑ってしまった。

Posted by: Minerva at 2005年03月16日 17:09

すぐにでも富山に行ってみたくなりました。
本当にやまけんさん、いつも美味しいものを
食べてていいな~

Posted by: コンフィ at 2005年03月16日 17:21

ドジョウの蒲焼って
チューリップで有名な「砺波」
の名産じゃなかったっけ。
間違ってたらごめん。

Posted by: Minerva at 2005年03月16日 17:40

追加
確か砺波って、特別栽培したコシヒカリのオーナー制度 っていうのを実施している、意欲ある農家さんがいる  ところじゃなかったっけ?

Posted by: Minerva at 2005年03月16日 17:48

うわー 色んな情報が集まってるなぁ!
そうですかやはり「べっこう」はお祝い料理ですか!そんな感じしました。すごく素敵な郷土食ですよね。

「ザス」の語源、素晴らしい!そういうことだったのか!しかし面白いのは昆布締めの「ザス」には、カジキ以外の魚も使われていることですね。まあ、その辺は混濁なのね。

どじょうの蒲焼きの産地、砺波も有名なのね、、、その近くです。それ以上は言えないな!

Posted by: やまけん at 2005年03月16日 18:17

やまけんさんに同行させていただきましたY内です。初めまして。

いやぁ~。本当においしかったですねぇ。
写真を見ているとあの時のおいしさが
よみがえってきます。

本当にいろいろと勉強になりました。

Posted by: Y内 at 2005年03月16日 18:21

富山県在住です。
どじょうと読んで、ははぁ・・・やまけんさんは南砺市(ちょっと前まで城端町)に行かれたのね!と思い当たりました。確か二件程細々と焼いてるお店があったはず。
次回富山にいらっしゃった時には、高岡市民病院前の『吉宗』といううどん屋さんのカレーうどんを食べてみて下さい。東京でよくみるタイプとは全然違いますよ。

Posted by: すもも at 2005年03月16日 19:44

石川県在住ですが...
「きときと寿し」は氷見本店か高岡大門?
がおいしいと思います。
「かぷら寿し」もお店によって
麹の発酵具合が違うので
いろいろ食べてみてくださーい!
富山に行ったら
ホタルイカの沖漬けを
よく買うなぁ~。ごはんの友♪

Posted by: くりりん at 2005年03月16日 21:15

「匠」満干全席をやられたやまけんさんにしては寿司13皿は少ないな、と思っていましたがその後にきちんと食べていらっしゃる!

さすが党首!計算していますねえ。

Posted by: MAX at 2005年03月17日 03:12

富山市に住む親戚は「サス」と、にごらずに言ってたような気がします。
サスの分厚い切り身を昆布の間に挟み、ラップして冷蔵庫へ寝かし、1日ぐらいたってから取り出して、昆布は外して中味の切り身を食べたような気がしてます。シコシコした歯ごたえで昆布の旨味が「サス」に乗り移って、酒の肴に最高です。親戚の叔母にねだってよくつくってもらいました。甘エビも昆布で〆てくれましたが、私は「サス」のほうが好きです。

Posted by: gyuto at 2005年03月17日 08:52

初めてコメントいたします。
笹塚在住の為、ムニロへ行ったことがありそんなことからこのサイトをちょくちょく拝見しています。
大好きな幸楽まで登場してしまって、何度もコメントしようかどうしようかと思いつつ今に至ります。
で、今回コメントするに至ったのは「べっこう」を見て。。両親共に長野出身で、小さいころから中身が卵ではなくて豆腐のものをよく食べます。ひょっとしたら関連があるのかしらと思いまして。
小さい頃、長野に在住していなかったので確証はもてませんが、これも祝い事に出ていたような気がします。

Posted by: mid at 2005年03月17日 20:40

こんにちは。
富山の白えびは甘くて美味しいですよね。
有楽町の交通会館にある富山館に昆布〆の白えびを買いに行きますよ。

Posted by: さわさわ at 2005年03月18日 13:20

富山県南砺市出身です。ドジョウの蒲焼といえば福光町でしょう!福野町にもあるけど。お寿司はやはり「きときと寿司」ですね。今九州にいるのですが、帰省のたびに必ずお寿司を食べます。鰯や鯵もおいしいです。油の乗り、身の締まり方、米のおいしさが全然違う!!お正月に九州のブリを食べてあまりの違いにびっくりしてしまいました。米といえば、実家は海藻アルギット米のコシヒカリを作ってます。富山の米はおいしい!いつも実家から送ってもらってます。べっこうはお正月や祭りに作ってます。うちでは「ゆべし」と言ってますがきっと「えびす」がなまったんでしょう。母のかぶら寿司は最高ですよ!あ~帰省したくなったよ~。

Posted by: しんごママ at 2005年03月19日 17:33

いつも楽しみにしています。
石川出身で富山はお隣なんで応援してますが、サスや白エビの昆布締めは日によっては有楽町交通会館のいきいき富山館に入荷してますよー!

Posted by: ヨシヒデ at 2005年03月22日 21:48