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2003年10月10日

大垣の名店「四鳥」にて駿河若シャモ料理を堪能する

 さて岐阜の夜は、大垣随一の名料亭、「四鳥(よんとり)」である。

四鳥
大垣市東外側町1-15
http://www.spi.ne.jp/~yontori

 ここは県知事が食べにいらっしゃるような超名店だ。料亭の跡取りであり、板長でもある津谷秀次郎さんは、日本料理の枠に囚われない自由な料理を創り出す。フォアグラがよく出てくる料亭ってそんなにないだろう。日本酒とワインにも精通している、素晴らしき人なのだ!
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なんでそんな格式の高い料亭に僕なんぞが行けるのかというと、この四鳥と昵懇にしている僕の先輩に連れて行って頂いたのだ。その時、食材の話になり「美味しい地鶏が欲しいんだよね~」という話があり、「それならば!」ということで、僕が食材を紹介したのだ。

 その食材とは、静岡県で育種された「駿河若シャモ」。このシャモについては、この日曜日にシャモを育種した静岡県中小家畜試験場に行ってハムとベーコンを作ってくるので、その際に詳しく紹介したい。とにかく今最も注目すべき地鶏である。特に鈴木さんという生産者さんが育てた地鶏が最も旨いのだ。この鈴木さんの地鶏を秀さんに送ったところ、ムチャクチャ気に入ってくれ、その後、鈴木さんとの取引が始まったわけだ。
 今日は、そのシャモを秀さんがどう料理しているのか、楽しみにして来たのだ!

(続きは下記をクリック↓)

 帰京するので2時間しかとれないのであわただしく入店。店の前にはハイヤーが数台停まり、お付きの人たちらしい黒服が数名。VIPがいるらしい、、、そこに俺ごとき若造が入っていくのはとっても違和感がある。
 たたきで靴を脱ぐと、女将さん仲居さんが「あらまあようこそ」と迎えて頂く。びびりそうな個室に通され、いざ宴(独りだけど)が始まった。

前菜
シャモの笹身の塩じめと霜降り
皮煎餅(竜田揚げ)

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 通常の鶏肉(ブロイラー)はどうしても短期間で仕上げるためか、旨味に乏しいのが常である。特に、牛肉と違って酸味が乗っていないというのが鶏肉の欠点と言われる。しかし、この駿河若シャモは、肥育期間が120日以上と長いため、鶏とは思えないほどの旨味が乗る。最もあっさりしているササミでさえも、ほのかな酸味を感じるのだ。その辺のエセ地鶏とは違うのである。これを気持ち濃いめの仕込み醤油でいただく。新鮮なササミにしか感じられない微細な繊維感とヌメ感。皮煎餅は片栗をまぶしてカリっと揚げており、心地よい。否応なく期待が高まるのだった。

 酒はぬるかんの「みちざかり」。僕はワインより日本酒だなぁ。特に燗酒は優しく身体に浸透し、心地よさを倍増する。仲居さんが良いテンポで皿を運んでくれる。

若シャモの首肉と茸、白菜の椀
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 鶏の部位で最もうま味と歯ごたえが良いのは、なんと言っても首肉だ。骨の周りに少ししか就いていないこの部位が、僕は最も旨いと思う。これを椀にしている。白菜が首肉の濃いスープに絡んで何ともいえず旨い。

若シャモ炭火焼き
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 待ちに待った腿と手羽先が焼かれて出てくる。正直言って、若シャモらしさを最高に活かすのはただの炭火焼きだと思う。これは秀さんも同意見とのこと。ここでは肉に塩まぶさず炭火であぶり、皿に添えられた塩につけるようになっている。塩は伯方の岩塩だそうで、適度に尖った酸味があり、若シャモに合う。シャモのモモ肉は強い弾力と驚くほどの旨味を含んでいる。どんな人でも噛んだ瞬間に他のモノと違うことがわかるだろう。
 手羽先はねっとりとしたゼラチン質がビッシリついており美味。ただし余分な脂がないので食べるところは少ない。これが平飼いの地鶏の特徴だ。

卵管、腹卵と肝の山椒甘露煮
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 この若シャモ、なんといっても肝が妙味だ。僕も驚いたのだが、丸で捌いたときに目に付くのは、肝がオレンジ色と言うこと。そんなの始めてみた。今回は肝、卵管、腹卵がこっくりとした甘露煮にされている。山椒の実と葉がアクセントになっている。実に酒が進む、、、
 甘露煮の甘濃さが強すぎる管もあるが、それは岐阜特有の甘めの味付け故と思えるし、第一甘くとも全く嫌みはない。山椒の実を噛むと広がる強い香りが甘さを緩和するので、爽やかだ。

手羽元のフライ味噌ソース添え
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 この日最高の一品がこれ。手羽元は細かいパン粉でフライに仕上げている。肉は驚くほどにほどに弾力に富む。かといってかみ切れない訳ではなく、絶妙の繊維感を歯の記憶に穿ちながら噛み切れていく。そう、肉の繊維の一筋一筋がきっちりと自己主張をしており、みっちりほくほくと歯に感触を伝えるのだ。これはどうやったら伝えられるのだろうか?食べてみれば、言っていることがわかると思うが、、、
 そしてこのフライと味噌ソースの相性が最高!味噌ソースとは、名古屋や岐阜では一般的なみそカツのあのソースに一手間かけたモノだ。秀ちゃんいわく、みそカツソースそのものだとシャモの味を壊す。レシピ教えてくれたけどここには出さないよーん。これがまさに絶妙で、シャモの味と香りを最大限に引き出すチューニングになっている。フライには塩よりも味噌ソース!こいつは大発見である。

モモ肉と胸肉の地鶏すき焼き
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 厚手の鉄板で、鶏すき焼きを作ってくれる。僕一人のためになんと手が込んでいることか、、、申し訳ないっス。甘めのタレで仕上げてくれるすき焼きは、「頼むからご飯をドンブリ一杯くれ~」といいたくなるが、ここで若女将(秀ちゃんの奥様)が登場。お相手をしてくださる。

 その後、冷や酒の純米大吟醸を持って秀ちゃん登場。酒は 可児市の林酒造の酒で「美濃天狗 いひょうゑ 純米大吟醸」←劇ウマ。
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料理にも満足した旨を伝える。俺、秀ちゃん大好き。飾らず、食への執着、探求心が子供のように純粋。僕が知っている旨い食材をすべて紹介したいと思う。ちょうど冬場のフルーツトマトを知らないというので、八代の塩トマトを今年は送ることにしよう。楽しみにしておいてね、秀ちゃん。

 〆はオムライスと冷やしうどん(本当はどっちか一品だけなんだけど)。満腹になり、大垣駅へ向かう。こうして一日が終わった、、、若シャモについては今度ゆっくり書きます。

Posted by yamaken at 2003年10月10日 00:54
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