やまけんの出張食い倒れ日記

またも食い倒れ日記歴史に残る素晴らしき一夜! 短角和牛すみれの肉を食べる会inシュングルマン 大盛況! 信じられない見事な火入れのサーロインステーキをはじめ神業続出、ホントにこのコースを一人で作ったのか!?小池君の美技にみな感動!

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短角和牛すみれの肉を食べる会、おかげさまで大盛況でした!集まっていただいた皆さんに感謝。そして小池シェフとシュングルマンスタッフのみなさんに感謝です。

それでは一夜を振り返りましょう。今回の料理は計14種!もちろん、デザートをのぞいてすみれのお肉を使った料理ばかりだ。

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さすが優秀、この会に集いし面々は集合が早い!スタートの18時のだいぶ前に揃いました。なんと、伝説の「さちの肉を食べる会」に参加してくれた人が4名。ありがとうございました。

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超広角で撮ってるので、前の女性陣には申し訳ありません!

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乾杯でスタート!

■アミューズ
・マルトクコンソメスープ トリュフ

帝国ホテル時代に修行した、宮様にお出しするコンソメとまったく同じやり方で作りました。宮様専用のコンソメを「マルトク」とコックは呼んでいましたすみれのテールでブイヨンをひき、各部位の挽き肉でコンソメをひき、さらに挽き肉でクラリフェ(澄ますこと)しています。(小池シェフ)

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各席に運ばれた、ナメコにトリュフがのったグラスに、、、

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マルトクのコンソメが注がれる!

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素晴らしく澄みきった味のコンソメだ。ほのかに溶け出したトリュフの香りと、存在感のあるナメコの食感がいい。このコンソメの味こそ滋味と言える味わいだと思う。

さあそして!

「アミューズ」からいきなり、マルヨシ商事でドライエージングしたモモ肉のローストが!実はこれ、小池君が最初から仕組んでいたことだ。事前打ち合わせに行った際に、

「どうせなら最初の段階でモモ肉をどーんと食べさせたいんですよね!」

と言っていたのだ。サーロインのステーキがドカンとでるのだが、その周辺に肉ばかり配置すると疲れてしまうからということもあるだろうが、最初にこれから食べる肉の印象をドンとつけたいという意図もあったはずだ!

・熟成モモ肉のロースト タマネギとポルチーニのピュレ
発酵バターのフィユタージュ ひしおとロックフールチーズのクリーム

モモ肉は、たっぷりのエシレバターでゆっくり加熱。肉の熟成香、フィユタージュの発酵香、ひしおとロックフォールチーズの発酵した香りが共にまっすぐピンと同じ方向に伸びて混じり合う仕立て。一気に食欲が湧く出す趣向でございます。

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これがですね、フレンチならメインででても通用するボリューム!

みんな興奮して写真撮りまくる。

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このローストが、ごらんのとおり繊維がハラハラとほどけて、でも肉は全面的にシットリしていて、最高に美味しい! マルヨシ商事にはモモ一本を熟成してもらっていたのだが、モモ肉はどうしてもデカいので、中心部に香りが浸透するまで時間がかかる。

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だからあまり香りはしないものと予想していたが、たしかに淡かったが熟成香はちゃんとまとっており、それ以上に細胞がほどけるような柔らかさがスゴかった!

しかも、肉の下に敷いてあった、フィユタージュというかパイ生地を焼いたものと、ひしおとロックフォールという、ともにひねた香りがするものを掛け合わせたクリームとの相性が抜群である。

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参加者の中には「ステーキも美味しかったけど、これがいちばん印象にのこった」と言う人もいたくらいだ!ほんとうに素晴らしかった。

 

■冷前菜

さあ、アミューズで興奮していてはいけない、これからが前菜だ。

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・フィレのカルパッチョ エシャロットとコラトゥーラ セロリのグレッグ

牛の中でも最上級の部位ですが、28名様分をステーキでお出しすると素材の質にばらつきがでてしまうため、一番美味しいと言われる部位を一番自然なスタイルでお出しします。肉本来の味を確認して下さい。

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ヒレ肉のシットリあっさりした質感に加えて、ソースによってググッとうま味を引き出されている。なんといってもソースはコラトゥーラ。イタリアの魚醤である。グレッグとはフレンチでギリシャ風という意味の、野菜をビネガーでマリネしたようなもの。魚醤のうま味と爽やかな酸味が相まって、ともすれば退屈なヒレ肉が起伏ある味わいになった!

・ウデタタキ仕立て ナスのコリアンダー風味

しっかりした肉質で、噛めば噛むほどうま味が出てきます。表面だけメイラード反応を起こす理由は、フィレとの違いを明確に伝えたいことと、単純に旨いからです。

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うーん、ウデうまい!肉自体の味わいは断然、フィレよりも強い。それに、表面を焼いてメイラード反応を起こしているから、うま味のかたまりになっている。

そして、ナスのコリアンダー風味のソースが、コリアンダーだけではなくオリエンタルなスパイス使いをしていて、実に食欲を喚起する!

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小池君てこうしたアジアンテイストを織り交ぜた料理が本当に旨いんだよね!最高でした。

・レバー 太白胡麻油で冷製コンフィー 九条葱 ライム風味

エスカロープにカットして太白胡麻油で120分火入れ。焼き肉屋さんのレバ刺しのイメージで、生じゃない生に仕上げました。

ごめん、つるってたべちゃって写真撮るの忘れた!

・シャルキュトリー4種


各部位の熟リエット

仕込みをしていく過程ででた色んな部位の肉をさの萬さんとマルヨシ商事さんの熟成脂でリエットに。メゾンカイザーさんのパンと共にどうぞ。

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ギアラ・ハチノス・センマイのアンドュイユ

ハチノスのゼラチン質をどこまで出して、歯ごたえを残すか、それぞれ別々で調理して最後に合わせました。いいコラーゲンがでて、歯ごたえがある仕上がりになったと思います。通常アンドュイユは薄く切ってお出しするのですが、あえて厚めにカットしているのはそういう理由です。クミンをベースにアセゾネしています。

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フランスには、内臓を豚腸に詰めたアンデュイエットというすさまじいモツ料理があるわけだが、その中身部分を腸詰めせずに固めたものがアンドュイユだそうだ。これがまた、ビックリするほどにクリアな味わいで、いやな匂いが一切しない。ぬちっとした絶妙な内臓の食感と旨さがただただ感じられる。すみれちゃんを健康に育ててくれた漆原さんのおかげだ。

トウガラシのサラミ

ひとつはある程度のかたまりのままで塩漬け、脱水、乾燥させてウェットなサラミ。もうひとつは小さめにカットして、塩漬け、脱水・乾燥から、さらにそれをカットして乾燥させました。同じ部位でも熟成による味の違いをお楽しみ下さい。

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こちらがウェットなほうのサラミ! トウガラシらしいしっかりした歯ごたえが十分に愉しめる。噛めば噛むほど味わいが唾液に溶け出してくる。

そんで、こちらが乾燥の進んだサラミ。

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こちらは脂のうま味と乾燥による旨さの凝縮も添加されている。

ハツの瞬間燻製ハム

日本人がつくる生ハムのイメージで。ソミュール、真空調理、脱水、乾燥。すみれの命を繊細に、そして繊細に仕上げました。燻製をかけた理由は、生命力が強いのか、千野香りがほとばしっていたので、他とのバランスを考えた結果です。

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この4種のシャルキュトリー盛り合わせ、前菜といっていいのか、、、ウェットエージングの肉と内臓は1週間前に届けたのだが、そこから初めてこの完成度にするのは本当に大変だったと思う。すべて素晴らしく美味しかった!

そして温かな前菜へ、、、

■温前菜
・サンカクバラのブレゼ 赤ワインと黒酢のソース 赤キャベツとリンゴのピュレ

当初、私の得意のグーラッシュか、カルボナードにしようかと思っていましたが、この後のことを考えて、サッパリ仕上げました。黒酢を使った理由は、単調になりがちな牛づくしのメニューに変化を出したかったからです。

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この料理が出てきた時、すでにかなりお腹にたまりつつあった参加者から「これはみただけで打撃が、、、」という声もあったのだが、しかし食べてみるとさにあらず!

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見た目には濃厚!そして肉がバサバサに煮込まれてコッテリした味に!というかんじなのだが、、、

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肉は煮込んだとは思えないほどにシットリしているのだ!ぜんぜんバサッとしていない。全体に水分がちゃんとのこり、うま味がすべて閉じ込められている。そして、赤キャベツの酸味とシナモンをしのばせたリンゴのピュレがモスタルダのイメージ(by小池君)でまた変化を出す。黒酢のソースは酢豚を想起させる甘からすっぱで、こんな肉のかたまりなのに食欲が増進してしかたがない!

「そうなんですよ、この料理はですね、渋谷のセルリアンタワーの「スーツァンレストラン陳」の菰田シェフのことを思い出して、作らせていただきました」

というこの料理、参加者に数人いた料理人から「どうやって煮込んだんですか?」と驚きの声があがっていた。

さあて、いよいよ主菜だけどそのまえにちょっとブレイク。