やまけんの出張食い倒れ日記

日本で入手できるシャロレー牛のドライエイジングを手がけるピュイグルニエ社で、未経産(ジェニス)と経産牛(バーシュ)食べ比べ! 未経産にも、経産牛にも、それぞれ美味しさがあるが、やっぱり僕はフランスの経産牛が美味しいと思う!

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「さあ、食べ比べランチにいこう!」とエルベ達が連れて行ってくれたのは、美しい川の流れるゴルフクラブのクラブハウス。

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どうやらピュイグルニエ社はこのゴルフクラブのパートナー(後援者)のようだ。

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今日は旨いもの食べさせるよ、とシェフ。彼が持っているのは、キュアードビーフ、というかハムですな。

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そして、未経産牛(ジェニス)と4産程度の経産牛(ヴァーシュ)の肉!

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それに加えて僕の大好きなショートリブと、ハラミも来た!

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この部位の美味しさはこちらに書いてある通り!

■フランスが誇るシャロレー牛の本当の美味しさを識る旅! 日本を深夜に出る便で早朝のパリに到着、とりあえずのクロワッサンを食べて地方へ向かう!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2014/11/10274.html

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こちらはビジネスランチでもワインががんがん出てきます(笑)

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さあ、まずは先のシャロレーハム!

この肉色を観よ!

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このクラブハウスにスライサーがないので厚めのカットになってしまっているが、本来はうすく生ハム状にスライスするようだ。これ、なかなかに素晴らしいです。ご覧の通りフランス人が好む赤身肉質。

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「塩が強すぎるよ」とオリヴィエが言うが、酒呑ますにはこれくらいでしょう!

そして、次に出てきたのが、、、

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ああ、このシャロレー牛ハムを焼いたものだ!

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これがですねぇ、とても美味しい! これ、塩を用いてドライエイジングしたような状態なので、旨みの活性化、柔らかさ、そして結合水のみが残った独特のジューシー感があって、とてもよい。

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このシャロレー肉ハム、かなりよいです。ただし、おそらくバーシュ(経産牛)なので、まだ30ヶ月齢以上の牛が解禁になっていないので、輸入できない。加工肉も月齢基準は生肉と同じなのですな。

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おつぎは、フランスらしい、レンズ豆のサラダとサーモンのプレート。

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サーモンはスモークサーモンだけではなく、生からミキュイ風にしたカットもついている。

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マヨネーズでいただきました。

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さあて来ました、シャロレーのハラミ!

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いやあこれ、最高ですよ!もともとハラミは霜降りにならない部位だが、シャロレーのそれはサキサキとした食感が残りつつ、柔らかく、旨み十分。これはドライエイジングではないけど、水分も適切だ。

そして、僕の大好きな骨付きショートリブが、肉を骨から外した状態で出てきた!

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あばらの部分、サシも噛んでいて、柔らかくジューシー。この部位は多くの日本人がロースよりも好むと思う。

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それなのに、なぜか売りにくい。バラってねぇ、レストラン向けだと余るんですよ。中国料理の店は買ってくれるけど、フレンチ・イタリアンはステーキ材でもなければ買ってくれないことが多い。

でも本当にモッタイナイと思う。この部位を骨付きで焼いて出したら、インスタ映えすることは間違いないし、食べたら記憶に絶対残る!

そして大事なのはこの骨ぎわの肉!

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これを薄ーく削いで食べると、、、

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どっひゃーーーーーー っと声が漏れるほど美味しい!

シャロレー、ストリップロインやモモの部位を食べたけどピンとこなくて、と言う料理人も、だまされたと思ってこのショートリブをいちどとってみて欲しい。トップトレーディングの、東京支社なら岩井くんか伊藤君、大阪なら中條くんに連絡してください。あ、岩井・中條はいま一緒にいるから対応できないかもしれないけど(笑)

さーて、いよいよジェニス(未経産牛)とヴァーシュ(経産牛)の食べ比べだ。

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まずはジェニスだ。

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未経産牛であるジェニスは国内流通する肉牛のうち1割程度。あまり人気が無いのだから、それほど高くないのだろうと思ったら、そうではなかった!

「ジェニスは通常より1割程度高いんだよ」

ええええええええええええええええええええええええええ

そうか、考えてみたら、他より少ないということは、コストもかかるし差別化要因ともなるので、少々高値になるのは当然なのだ。しっかし意外、、、

その肉だが、これはこれで、美味しい。というか、かなり美味しい。未経産なので当然ながら柔らかく、味わいもしっかりある。冷凍していないせいか、トップトレーディングのシャロレー担当である岩井くんも「なんか、輸入して食べるのと違う味がします」と言っていた。

さて、お次はヴァーシュ、3~4経産牛だ。

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さきほどの未経産と比べると繊維が少し太くなり、また水分量も少なくなっている気がする。

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口に入れると、、、ああ、やっぱりこれだよな。味わいのインパクトが、未経産と比べ2段分くらい濃い。香りもより深まっている。未経産のムルムルとした柔らかさ、若さはもちろんないわけだが、その分、味わいが全体的に間違いなく増しているのだ。これは美味しい!

そういうと、オリビエもエルベもなにもいわない。「当然でしょ」という感じの反応だ。

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さあここで興味深いのは、ごく一般の日本人消費者にブラインドで食べ比べをさせたらどういう反応になるかということだ。

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ジェニスもいい線行くと思う。というより、かなり多くの日本人が柔らかくて水気の多いジェニスの食感を評価してしまいそうな気がする。日本人、味が強くて牛肉の香りが濃いもの、好まない人もいるからね。

でも、経産牛の美味しさを「これがいい!」というひとも一定以上いると思う。とくに牛肉ブーム、熟成肉ブーム、ステーキブームを経てきたいま、味気ない肉を判別できる人も増えているのではないかという希望的観測がある。

まあ、現状日本に輸入されているUSビーフを「赤身の味が濃い」といっちゃう人が多い現状だと、前者ばかりになりそうだけど、そこを卒業しているひともいるはずだという希望的観測をしておきたい。

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食べ比べを終えて。いやー すっげー美味しかった。あのさ、炭火で焼いたの?と思ったら、、、

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これかよ! なんとプロパンガスのグリル、っていうかプランチャ?これで焼いてたらしい。ガーン(笑)

すっげーマエストロ級にいい火入れで、美味しかったです。

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それにしても綺麗なゴルフコース。

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河には鴨が。

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この記事を読んで、フランスのシャロレー牛の経産牛肉を食べてみたいと思う人も出てくるだろう。先日、このブログで書いたように、アメリカ、カナダ、アイルランドの牛肉については、月齢制限が撤廃され、30ヶ月齢以上の牛も輸入できるようになった。

ただし、アイルランドはよくわからないが、アメリカとカナダに関しては、経産牛の肉も30ヶ月齢以上の長期肥育の肉もそれほど持っていないし、日本に輸出するつもりなどさらさらないはずだ。

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はやくフランスやイタリア、スペインなどのEU諸国の月齢制限を撤廃して欲しい、と心から願う。そうなったら、肉好きを名乗る日本人はぜひフランスの経産牛肉にトライして欲しい。そして、ここ数年でつちかった牛肉リテラシーを総動員して、味わってみることをお薦めしたい。きっといままでと違う肉体験ができるはずだ。