10日間の旅は折り返し地点へ。中西部の肉牛産地からパリへ4時間かけて戻り、宿泊はトップトレーディングのみなさんの定宿だというHOTEL LOUVRE SAINTE-ANNE。その名の通りルーブル美術館の近く、パリ1区と2区の間にあるのだが、ここは日本食レストランが密集する日本人街でもある。
ホテルの周りには「ここどこ?」と声が出てしまうほど日本語の看板が多い。
しかも、みんな行列!
そう、日本食、なかでもとりわけラーメンはフランスで大人気と聞いていたが、それは本当だった。
「ただねぇ、まともな日本食はごく一部で、日本以外の国の経営者がやっていたり、おかしい店、まずい店が多いです」と中澤さん。その中で「いまオリヴィエがもっとも美味しいと評価するラーメン屋が『こだわりラーメン』という店なんですよ。店主は日本でラーメンに開眼したフランス人なんですが、そこの二号店がつい先日できたばかりらしいので、行きませんか?」
おおおおおおおおおおおおおおおおおお
さすがに毎日、牛肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉にくにくに苦に苦、、、となってきている状況だったので、そろそろグルタミン酸を補給したいなあという気分ではあった!
ということでこだわりラーメン二号店へレッツゴーです。
開店20分前にわれわれが到着したときにはすでに数人が並び始めていた。
「フランス人がこんなに並ぶなんてスゴイ事!」とフローレンスさんが驚くが、そんな彼女もこだわりラーメンのファンだという。
「この店が面白いのは、一号店もそうなんですが、古い日本のイメージの内装デザインをしているんですよ。二号店は築地市場がテーマみたいです」
というのだが、本当に築地っぽさ全回!
なんじゃこりゃぁああああああああああ、、、 うーん これ、よくできてるわ!
ほんとに築地行っていろいろガラクタを集めて、フランスに輸出したんだろうなあ(笑)この発泡スチロールのトロ箱、輸送費高かったんじゃないだろうか(笑)
さて、メニューである。
そう、まずはドリンクと前菜、が先に来る。パリではラーメンだけサクッと食べて完了、という感じではなく、酒を呑み、前菜を味わい、メインのラーメンを食べて、かつデザートを楽しんで終えるという、コース仕立てで食べるのが普通!なのだそうだ。
ちなみにメニューをとりに来たパリジェンヌが「ドリンクからお伺いします」と(笑)。そんで前菜を食べたあとにラーメンの注文をとるという。まじかよーーーー
そのラーメンメニューはこちら。
「鯛の清湯」、「鯛の白湯」、「鰯Bomb!」、「鯛の冷やしそば」、「オマール海老のまぜそば」「海藻と野菜のそば」、「ホタテの清湯」という徹底的な魚介系スープのラインナップ。ただしフォンドボライユという言葉がみえるので、魚介系プラス動物系のミックススープもあるようだ。
これらは単品で12ユーロ~15ユーロだが、右側のトッピングを追加したり、また「シェフお薦めのトッピング組み合わせ」が提案されていて、それを頼むと17ユーロ~19ユーロ。1ユーロ122円程度だったので、トッピングつきラーメンで2200円くらい。
これに前菜とドリンク、デザートを頼むと、、、ラーメンなのに4000~5000円くらいになる!
すごいなパリのラーメン文化。でも、飲食業の現状をみると、日本ももうちょっと見習って、単価を上げた方がいいんじゃないかと思う。
ということで私は鯛の白湯ラーメンのシェフお薦めトッピングセット+豚チャーシューをオーダー。可愛いパリジェンヌが「ペルフェクト!」と褒めてくれました(笑)
はい、前菜は餃子!
なんと独創的! 板状の餃子皮のうえに具材をのせてパタンと畳んだだけ、焼き餃子ではなく蒸し煮しているような感じの餃子で、表面はツルンとしている。上にはXO醤のようなピリ辛蝦味噌的なタレがかかっている。
皮を開くと、、、
こんな感じ!豚肉ミンチ、というにはかなり粗く食感の強い豚肉がゴロゴロ。これがですね、美味しい! トゥルンとした皮、具材のハッキリした旨み、タレの蠱惑感、すごい。正直、もう一度食べたいくらいに美味しい。
こちら、オリビエが頼んだ「鯛のぬた」。
これがぬたなの?って思うけど、いいんですよこれで。俺たちは自由だ!だからお前達も自由なんだ!!
こちらはなめろう丼。一見普通にみえるがふりかけられたスパイスに日本料理と違う特徴あり。表現できない、でも美味しい、、、
これは鯛丼。鯛のほぐし身(おそらく鯛スープをとった後の身肉をほぐしたもの)を味付けして、味噌を添えたもの。これも、純日本料理的ではないのだが、アクセントとなる味香りがあって美味しい!なんかですね、どんどんこだわりラーメンワールドに引き込まれます。
満を持してラーメン登場。
鯛の白湯スープは実に濃度が高く、見事に脂で乳化している。鯛の脂だけじゃ高はならないと思うが、ポタージュのようにイノシン酸系の旨みが煮出されている。麺はどうせグルテン入れまくりの堅ーいやつだろうと思っていたら違う!どちらかというと中程度の柔らかさで、適度にスープを吸う麺。
このスープだけだと3口目くらいで飽きが来るのだが、そこにシェフお薦めの、柑橘とトウガラシ、ハーブなどを組み合わせた特製ペースト「柑橘類のグリーンスパイシーソース」を混ぜ込むと、、、
べらぼうに、爆発的に旨くなった! ああ、これはいい、、、柑橘の香りと辛みと酸が、単調な白湯ソースを一気に変化に富むものに変えてくれた。
いやーーーーー いいじゃん、こだわりラーメン。
それにしても、フランス人メンバーは全員、ラーメンを美味しそうに食べている。どうやらブームは本物らしい。
ちなみに、オマール海老の混ぜそばは、中澤さんいわく「オイルが強すぎてダメです!」とのこと。
写真の鰯のBomb!は割と美味しかったらしい。
だって前菜から頼むお客さんの滞留時間、ほとんど1時間くらいかかるもん。回転悪いぞ。でも客単価が高いからそれでいいのか。あ、そうじゃない、フランスは回転が悪いから、前菜、酒、デザート付きでこの価格帯になるのか!
はい、不思議なデザート、帆立貝のリオレ。米を牛乳で煮た甘いデザートになぜかホタテが入ってる。
チャレンジした中條くんの、この微妙な顔を見よ! 僕も一口もらったが、これは日本人的には無理だなー(笑)
僕は鯛焼きのプラリネソバというのをセレクト。鯛焼きは中にはなにもはいってなくて、外にソースや餡をのせる方式。プラリネソバ味、悪くないが普通の餡子が好きかな。ただ、フランス人には受けるでしょう!
オリビエ、すげー旨そうに食べてるもん。
いやー それにしても色んな意味で驚いたけど、正直に言おう。羽田空港国際線ターミナル内の六厘舎のつけ麺より、このこだわりラーメン二号店のほうがエキサイティングな体験だった!
パリでフランス料理に飽きたら、ぜひ行ってみるといい。キッチュな日本を相対化できること間違いない。