やまけんの出張食い倒れ日記

フランス伝説の肉屋といえばこの人、ユーゴ・デノワイエ氏の店でノルマンディーとシンメンタールの肉を食べる。ユーゴ自身が手当てした肉は素晴らしく味わい深く、そして同じ品種なのに柳瀬シェフの熟成とはまったく違う味わい!

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さて、フランス編は終わりまで突っ走りますよ。

早朝のランジス市場視察を終えると、ホテルでグッタリ一休み。僕はと言えば、部屋に入って間髪いれずカメラの電池を充電器に入れ、撮影した画像をノートPCへコピーし、すみやかにポータブルHDDにもコピーしという二重バックアップをする。撮れてるかナーと写真を眺めていると、へいきで2時間くらいは経ってしまうのでありました。

ちなみに、ニコンのZ6を持って行ったわけだけども、ちまたで評価されているよりも使いやすいと思うようになった。まず、バッテリーは公称撮影可能枚数よりもはるかに保ちます。このたびの最中、Z6とiPhoneをBluetoothでずっと接続しっぱなしで、撮影した写真を転送する設定にしており、それで一日600~1000枚は撮っていたのだけれども、電池を入れ替えたのは1回だけ。僕は撮影後すぐに電源を切る癖がついているので、それがよかったのかな。ちなみにBluetoothは電源を切っても低電力でつながり続ける設定にしていた。これ便利!

さて、それはともかく、一休みしてからのランチはいよいよ、フランスでもっとも有名な精肉店であるユーゴ・デノワイエの店へ行く。ユーゴは2日前のリムーザン牛の産地リモージュでも会ったわけだけれども、この出会いはすべてトップトレーディング社と強固に結びついているオリヴィエのおかげで実現している。

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前にも書いたが、オリヴィエの妹がユーゴと幼なじみという、笑っちゃう関係なのだ。オリヴィエもそうとうに引きが強い人生である!

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いちおう、こういうところも通りましたよというカット一枚(笑)

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さて、東京でいえば青山や原宿といった、とても裕福な方々が住むという街の集合住宅の一階に、ユーゴの店がある。

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あ、ランジス市場のカフェで一服してるときに停まってた車のロゴ発見(笑)

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店の前でわらわらしていたら、サービスの女性達が「あらあなたたち、ユーゴから訊いてるわよ」的な対応いただいて、すみやかにユーゴ本人の登場!

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中澤社長、ユーゴにもロックオンされています。

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店内には精肉だけではなくシャルキュトリがこれでもか、これでもか!と並ぶ。

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これだけのアイテムいやSKUを置いておける精肉店てスゴいなと思うのだが、本当にそれぞれ売り切るんだろうか、、、購入していったフランス人のご家庭の料理風景を覗いてみたいと強く思ってしまった。

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ユーゴ、お客さんに対応するの図。実はこの時日本人の常連さんが来ていたのだけれども、「ユーゴ本人がこんなふうに本店にいるなんてとても珍しい」と驚いていた!

さて、僕らが通されたのは窓際の大テイスティングテーブル。

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ほらよっ とばかりにくれたのが、牛の品評会で使われるメダルのユーゴ版!

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オリヴィエ~ユーゴ、幼なじみ同士の交歓。料理の世界はどこでも、カネよりコネが強いのだ!

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さすがというべきか、アミューズから旨い! 酒呑ませる気満々な味にできている。

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さて、少し間が空いてしまったのでどの肉がどこだったか忘れてしまったのだけれども、たしかこれはノルマンディ種のバヴェットだったと思うのだが!

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いや、、、ユーゴってすげえな、と思った。素晴らしく味わいが乗っていて、おいしい!

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この肉の状態、みただけでも、歯にまとわりつくような、それでいて弾力がしっかりある食感がわかる。水分量も適度で、香りも立っている。

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そして、同じくノルマンディ種だったと思うが、たしかイチボあたりだったような、、、

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形状的に違うかもしらん。間違ってたらスミマセン。

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これがまたですね、、、フランスの肉の熟成とはこれですね!といわんばかりの旨い肉。リモージュでのディナーで僕の本を見たときの反応からわかるとおり、彼は熟成段階でカビをガシガシにつけることをしない。肉の風味以外のものが発生することをよしとしないのだろう。その彼の熟成は、たしかに肉が持っていたであろうポテンシャルをググググッと引き出しているようにみえる。

ネットリ舌にまとわりつくような魅惑的な食感、最大化された旨み、ほのかに立つビーフィーな香り。とてもキャッチーであり、同時に落ち着きがある。いや、これは素晴らしい!

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端の方の肉はこのように脱水がかなり進んでいる。と共に、繊維どうしの結びつきが和らいで、ばらけているところから、タンパク質とコラーゲン質の分解がかなり進んでいることもうかがえる!

そして三種目の肉!

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これがシンメンタールのロースだという。奇しくも、柳瀬くんのベルチュとの食べ比べのような様相に。

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いやーーーーーーー 熟成香ブワンとあり、また繊維のほぐれ感もあり、脂は薫り立ち、、、シンメンタール旨~い! 正直言ってこの旅で出会うまで、シンメンタールにいい印象ありませんでした。すんげー旨いのなっ!

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柳瀬シェフのベルチュの熟成との違いは、旨みの最大化の部分かもしれない。柳瀬くんの店では、食べた時の食感というか、いわゆる「食べ口」のよさを追求しているような感じ。ユーゴの店は噛んでいるうちに旨みがブワッと強烈に溶け出す。肉のテクスチャよりもそちらを重視している感がある。今回の肉だけで判断するのは危険だけど、そんな印象を受けた。

ちなみに、このシンメンタールのロース(上段のロースね)。

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キロ1750円程度か。日本で和牛買うのとそれほど変わらない感覚。

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購入しに来ているひとたちはあきらかに富裕層です。

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すっげー綺麗なマダムやおねえさん連れたちょい悪おじさんがまた多い感じ(笑)うらやましいですなあ。

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さあ、熟成庫へ!

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もちろん、熟成庫の本丸は別の場所にあって、それぞれの店舗は仕上げをするに限定しているそうだ。

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熟成を行う場合、とにかくオーガニックで、グラスフェッドの肉が最適だと。

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オーガニックは認証をとっているかいないかではなくて、資源や飼料作物の循環を大切にした産地であることが大事だ。十分な期間育てられた牛の肉を選り分けて仕入れ、それを熟成することでおいしくなるんだ、と。

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ボリ袋のようなものでぺたぺたと包んでいる肉があったので訊いてみた。

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「これは微細な穴が空いていて、通気している特殊素材だ。切り身にしている肉をそのまま熟成庫に吊すと、乾燥しすぎてしまう。このシートをかけておくことで、ロスが最小限になるんだ」

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これ、いいね!

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熟成期間は仕入れた牛の状態によってまちまちだが、50日前後になることが多いと。

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もちろん、ものによってはもっと長いこともあるし、逆の場合もある。

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肉を吊す場所によって気流の状態も変わるので、細かく掛け替えたりといった調整をしなければならない。そのへんは、日本で行う熟成と一緒だね。

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ユーゴ、下町の声のデカいおっちゃんという体のかっこいい男だった! ここに全ては書かないが、隠すことなくいろんなことを教えてくれて感謝。

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このスター精肉屋のユーゴが、たっぷり3時間ほど、われわれにつきあってくれたのでした。これも本当にオリヴィエ~中澤連合のおかげ。

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ユーゴ、ありがとうね!

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さて、いよいよ旅は最終章へ、夜は満を持して柳瀬シェフの「ベルチュ」再訪だ!