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2005年08月04日

ザ・パワーオブ富良野を観た! 唯我独尊を中心とした新しく食のチーム! その2

上富良野の美しい風景に酔っているうちに陽もとっぷりと暮れ、後部座席で騒いでいた雷蔵もいつのまにかスヤスヤと眠ってしまったようだ。

「やまけんさん、虹鱒(ニジマス)を食べていきましょう!僕の弟子がやってる店があるんですよ。やってるかなぁ、、、あれ、やってないかなぁ、、、」

車を停めると、暗がりから小さな人影が出てきてびっくりしたように声をかけてきてくれた。

「あらぁ!マスターじゃありませんか!」

「どうも!もう締めちゃいましたか?」

「いいえぇ マスターがいらっしゃったんなら!」

「いえいえそんなお気を使わないでください、、、」

というやりとりの中、店に明かりが灯る。薄暗がりの中に清冽な水が流れる大きな掘りがあり、どうやらそこでニジマスが飼われているようだ。

「ここはねぇ、富良野の中でもとびっきり水が美味しいところなんだよ!だからニジマスも旨いに決まってるんだよね!」

そう言いながら店にはいると、食堂の隅には古い型のバイクやラジオ、蓄音機などが綺麗に磨き抜かれて飾ってある。

「ここのクロちゃんはねぇ、本当に手が器用で、バイクなんか動かなくなったのを持ってきて整備して自分で直しちゃうんだよ!」

そしてクロちゃんこと、唯我独尊で長いこと宮田マスターの下で修行していたという黒崎さんが手を拭きながら出てきてくださったのだ。

「マスター、今日はどこへ?」

「いやこのやまけんさんをお連れしてね、上富良野の綺麗な夕焼けを見せてあげてたんだよ!ちょっとさ、申し訳ないけどニジマスを食べさせてくれるかい?」

すでに店じまいしているのにもかかわらず、クロさんご一家は嫌な顔一つせずに厨房に立ってくださる。その物腰から、クロちゃんだけではなくお母さん、お父さんに至るまで宮田マスターを心から信頼し慕っていることが伝わってくるのだ。クロちゃんがビッ、ビッと素晴らしい手さばきでニジマスを捌いているのが、なんとも美しく盛りつけられて出てきた!

うおおおおおお
こいつぁ旨そうである!

「いや ここのね、ニジマスの身が旨いのは当然なんだけど、これにつけるニンニク味噌ダレが最高なんだよ!これ、タップリ漬けて食べてご覧!」


そうか、この辺ではニジマスを味噌ダレで食べるのか!このタレ、白味噌ベースでサラサラとしているが、実はニンニクの香りがプワッと立ち上る、ニンニク好きには申し分ないタレなのである!

「さあ食べよう食べよう、雷蔵、お前も好きだろ?たっぷり食いな!」

「うん!」

と、先ほどまで後部座席でぐっすり寝ていた雷蔵もパクつき始める。

ニジマスの、輝かんばかりにオレンジ色の身はブリンブリンとした弾力、しかし鮭のようにネットリした食い込み感のある肉質。旨そうだ!

これにタップリとニンニク味噌ダレを漬けて食べるのだ!

「のああああああああああああ 旨い! こいつぁ旨いなぁ、、、」

ニジマスの清々しい透明感のある肉に、特製ニンニク酢みそダレが絡んで最高なのだ!
訊けば、富良野でニンニクが獲れる最盛期に大量に買い込み、磨り潰してみりんや味噌などと混ぜて、一年分を壺に大量に保存するのだ。傷まないように一滴の水も使っていないそうだ。
思わず飯が食いたくなる!

「はいはいご飯ね!」


とお母さんがご飯を出してくださる。
と、、、このご飯がビックリするほどに旨かったのだ!

実は北海道産の米は、一般に市場では評価が低い。もちろん美味しい道産米もある!のだけど、総体としての道産米はあまり評価されることがなかったのだ。
しかしこの清流亭の米、激ウマである!ネットリとした食感、抑えられた上品な香りと甘み。A級米であると言い切って良いだろう。マスターも

「この米、旨いなぁ、どこの米?ああ、あそこの沢の田んぼかぁ、、、いやこいつは富良野でも出色の出来映えだね!」

と頷きながら食べている。雷蔵も「この米、美味しい!」と喜んでお代わりをしていた。

と、お母さんが

「ここのお米が美味しいのは水がいいからなんですよ。」

と仰る。

そうかと思って水をいただくと、なんとも甘露である!柔らかく甘く透明なアタリの水だ!

「皮と骨の唐揚げも食べてくださいね!」

と、見るからに旨そうにカリカリッと揚がった唐揚げの皿が出てきた!

これにもニンニクダレをかけて、飯に載せて頬張る!カリっと強い感触に、香ばしく揚がった骨と皮の旨さがブワッと拡がる!

いやもう 申し分ない!

「こんなに楽しめて、一匹が2800円くらいだからね。ご馳走でしょ?」

ま、まじすか?3人か4人でタップリ楽しめる分量だから、間違いなくお得である。川魚は、とにかく水質によって美味いか不味いかが決まってくる。泥臭い魚はただでも食べたいと思わないが、ここ清流亭のニジマスは、ご家族の優しさが滲み出てくるような味である!

いや、ご馳走様でした!
クロちゃん一家が暖かく送り出してくれる。しかし本当に素晴らしいと思うのが、マスターの人望である。もう店じまいしているのに嫌な顔一つせずに迎えてくれた、その心根にはマスターへの感謝の気持ちが溢れていた。マスターも一滴もおごることなく、仲間としてクロちゃんと接していた。そういうところが、マスターに周りに人が連なる理由なのだろう。

この後、プリンスホテルが作った「ニングルテラス」という、富良野の様々な工房が小さく軒を連ねるところをブラブラした。

「やまけんさん、もう一件連れて行きたい店があるんですよ!ル・シュマンって言ってね、やっぱり道外から来た若いシェフがやってる店なんですよ!」

■ビストロ・ル・シュマン
http://www.le-chemin.com/


ここももう店を閉めるところだったのに、「宮田マスター、ぜひお茶飲んでってくださいよ」とシェフが迎え入れてくれたのだった。

オーナーシェフである甲斐さんは、フランスの三つ星レストランで修行を重ねた人だ。数年前から富良野にこの店を開いたという。

「この店はお菓子も旨いんだよ!」

というその洋菓子群が非常に綺麗な仕上がりだ!

カボチャプリン、シュークリーム、ルバーブのタルト、、、ここでん?と思った。
赤いルバーブがタルトになっているが、シェフがこだわりの人なら、道産のルバーブを使うはずだ。北海道でも、赤いルバーブをきちんと作っているのは、僕の親友でもあり夕張メロンのトップクラスといってよい農家、岩崎英伯さんしかいないはずだ。

「もしかしてこのルバーブは岩崎農場のものではないですか?」

「あ、そうですよ、ご存じですか??」

なんだびっくり!実はこの日、もしかしたら富良野で合流しようか、と話をしていたのだ。早速電話をすると、向こうも笑いながら「なんだそうだったのかぁ、行きたかったよ、、、」と言っていたのである。


その酸味の効いたルバーブがタップリ入ったタルトも、シュークリームも、そしてカボチャプリンも絶品の旨さだった。

今度来た時にはぜひ、フルコースをいただきたいと切に思うのだった!

しかしここまで来て、僕は宮田マスターの思慮深さに本当に打たれてしまった。彼が僕に見せようとしていたのは、「富良野の総合力」なのである。

「富良野もね、倉本さんのドラマで観光客が集まってくれるけど、それに甘んじてちゃいけないんだよ!富良野っていう場所が産み出すもので、もっと価値を高めて行かなきゃ!そのための種はたぁーくさんあるんだよ。あとはそれを結んで、発揮していけばいいんだから、どんどんやらなきゃ!」

こう言って富良野の食シーンを中心に鼓舞して回っているのが、宮田さんという生き方なのだと実感したのだ。

さていつのまにか23時を周り、マイナスイオンの里、宮田家に戻る。これからが密談なのだ、、、

(続く)

ザ・パワーオブ 富良野 唯我独尊 宮田マスターとの密談はこれだ! 唯我独尊のカレーセットを食べたいですか?

「いやぁーいろいろ回ってみたけど、どう?富良野っていいでしょ?景色も最高だし、意欲のある若いヤツも居るし、これからもっと面白くなるんだよ!」

本当にそう思った。夏の一番いい時期に行ったと言うこともあるが、景観、人、そして食に関わるソフトとハードが揃っている、と実感した。

富良野という場所に対するイメージは、例えば倉本さんのドラマ「北の国から」や「優しい時間」に象徴されるものであったり、ラベンダー園の風景であったり、メロン、スイカといった特産物であるなど様々だろう。しかし、そこには必ず「人」が居る。富良野という場所が、単なるイメージ先行型の観光地であるとするならば、その隆盛が続く時期はそれほど長くないはずだ。ドラマの記憶はいずれ薄れてしまうからだ。

しかし、富良野に起居する人たちがリアルに創り出すモノやコトが独自性を持ち魅力的であれば、今後も人が集まる場所になるはずだ。そのための努力を、今こそしなくてはならないではないかと、宮田マスターは働きかけているのだ。

前にも書いたが、宮田マスターは唯我独尊のオーナーでありながら、富良野市議という顔も持っている。地元の有名人であることはもちろんだが、歯に衣着せず、いろいろともの申すことで、煙たく思っている人もいるはずだ。しかし、おそらくこと食の世界に携わっている人での支持は絶対的に高いはずだ。前回から今回にかけて、様々な店を周り、店の人とマスターとのやりをりを聴く中でそれを確信した。マスターは「これこれこういうことなんだよなぁ おい」と声を投げる。店の人も「最近こういうことがあってね、こういう問題があるんですよ」と相談したり、情報交換をしたりする。世間話に見えるが、マスターは富良野の食に携わる人たちの現在をヒアリングしているのだ。

市議の仕事はいろいろあるだろうが、この人がやっている仕事は、本当に貴重だと思ったのであった。

「よっしゃ、酒飲みながら仕事の話しましょうか!」

と、僕をデカイ厨房に呼び寄せ、悪戯っぽく笑いながら、古いウイスキーの瓶を取り出してくる。

「いや実はね、近くの酒屋さんが店閉めるから、使えるモノがあったら持ってけっていうんだよ。そんで行ってみたらさぁ、すっごい古い酒がゴロゴロ転がってるんだよね!」

と、このVAT69の裏書きを観てみると、今では拝めない「特級」の刻印があるではないか!

「これチビチビ飲んでみたらさ、すっごく美味いんだよ!いや参ったね」

と言ってトポトポトポとグラスに注いでくれる。氷は当然富良野の甘い水だ!

乾杯して一口含んでビックリ!
なんちゅう深みのあるウイスキーになっているんだ!芳醇、濃厚、色っぽい!

「時間こそが財産なんだよね、酒って、、、」

本当にそうなんだなと実感してしまった。まだ数本、マスター秘蔵の酒があるらしい。これから足繁く通ってしまおう。ウッシッシ、、、

さてさて、鰯とイカ、ホースラディッシュの醤油ヅケをつまみにウイスキーをチビチビやりながら、仕事の話をした。

「富良野はね、年明けてからは雪が降って、全部の産業が静かになっちゃうんだよ。うちの店も夏がピークだしね。だから、カレー商品を作るとしたら秋から冬にかけてだね!」 (宮)

「よしゃ。でね、カレー商品なんですけど、レトルトとか缶詰は不味くなるから、やりたくないですね。」(山)

「そうそう そうなんだよ!レトルトは問題外、缶詰だと金属の匂いがついて美味しくないんだよな。できれば瓶詰めでやりたいね。」(宮)

「そうですね、瓶詰めですね、決まりだな!」(山)

決まりである。唯我独尊のオリジナルカレーを瓶詰めでお届けする
さっそく瓶の大きさを、厨房にある瓶詰めを眺めながら練るのであった。

「で、こういうのはどうでしょうかね。瓶の中身を鍋にあけて、瓶に水を満たしてスプーンで洗いながら鍋に足して火を入れると、ちょうどよい濃度に希釈されてカレーができあがるっていうのがいいんじゃないかと思うんですよ!」 (山)


「それはいいアイデアだね!じゃあ、2人~3人が食べられるような分量になるように瓶の大きさを調整しよう。」

「1種類じゃ面白くないから、オリジナルなカレーを3種類作りませんか?」(山)

「うーん じゃあこうしよう! 一つはバルバリー種の鴨をスモークしたのを具にした鴨カレー。ムチャクチャ美味いよ!もう一つは富良野で獲れた豆のカレー。富良野の豆が何種類も入ってるの。美味いよぉ!それと、僕らがオーソドックスに作っているポークカレー。この3本セットでどうかな?」(宮)

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
食いてぇええええええええええええええええええええええええ

企画しながらもう涎全開である!

「しかしあれだね、12月発送で300セット、年を越して1月中に200セット、その後は注文状況によってっていうかんじだね。そうそう沢山は作れないよ。」(宮)

「ん、いいんじゃないですかね。よっしゃこれで行きましょう!」

皆さんどうですか、食べたいですか?
昨年度に大反響を呼んだ、まあどんな会のなんばん粕漬けに続く第二弾商品は、唯我独尊カレーに決定です!

(まだやりたいのはいろいろあるんですがね、、、)

このカレー、正直言って僕自身が楽しみでしょうがない。だって、唯我独尊のカレーは、富良野にいくか、百貨店の物産展で回遊しているのにぶち当たるか、それかカレールーを通販で買って自分で作るかしかなかったのだから。それが自分の家で、プロの味が楽しめる!

しかも他では食べられない、オリジナル具である。もうしぶんない。

今回もライブドアデパートで販売することになりそうだが、これから経過を刻々と報告していきたいと思う。

しっかし宮田マスター最高だ。
誰よりも真剣で誰よりもパワーがあり、誰よりもデカイ声。悪戯っぽい遊び心と繊細な人に対する気遣いが全て内包されている。この写真、光量不足でうまく写っていないが、イタズラ軍団という感じで気に入ってしまった。マスターのこぼれそうないい顔が堪らなく佳い。

仕事の話は40分程度で済んだ。あとは、家の横に流れる川のせせらぎからのマイナスイオンに包まれ、ウイスキーの酔いに身を任せる時間を楽しんだのだった。

2005年08月05日

ザ・パワーオブ 富良野 若手猪突猛進系 スペシャルラーメン 「とみ川」を再訪した!

8日 18:55 続きを付記しました

朝、ムチャクチャ気持ちの良い目覚めをする。4町歩もの山林に囲まれた宮田家は本当に素晴らしいロケーションだ。目の前に川のせせらぎがあり、なんと「ここでイワナ釣れるよ」ということなのだ。ここにボーっとしているだけでも、一日が楽しそうな家なんである。

「おはよーございます!ちょっと富良野の山の中行ってみましょう!」

と、特大おにぎりをどどーんと作ったマスターと連れだって4WDに乗り込んだ。
街とは反対側へ、川沿いに森の中へと入っていく。

「川、きれいですね!」

「いや~ これでも結構不法投棄とかね、いろんな問題があるんですよ」

と言いながら、鋭い目をあちこちに飛ばしている。気付いたのだが、要するにこれ、ドライブしながらの川の状態監視である。

「あー あそこ崩れてるな、、、お、アレは誰の車だろ。観たこと無いのが入ってきてるな、、、ああ、こんなダムを造っちゃダメだよな、魚、登ってこれねーよ」

というように、自然への驚異になるモノなどをきちんと観ているのだ。うーむ
街部とは違って、丘陵に沿うように車が駆ける。

「富良野はね、美瑛とかみたいにだだっ広くはないんだけど、結構いい景観があるんですよぉ!僕はそういうのを探すの大好き!ガキのころからやってるからね!」

車は森の中にズンズンと入っていく。国定公園となっているような山深い中に降り立ちしばらく歩くと、清冽な水流がほとばしる沢が目の前に拡がった。

「どーです?いい感じでしょ?富良野ってね、本当にいろいろいい場所があるんですよ!観光名所っていうよりもね、来てみて落ち着いたり癒されたりする場所がね、たくさんあるの。そういうのを知って欲しいんだよね。」

ああ、また宮田マジックだ。この人と居るとどんどん富良野好きになっていってしまう。いままでドラマの舞台としか観ていなかったこの富良野という街が全く違う絵柄で、自分の中に新しい実在として組み込まれていくのだ。

「よっし、まだ店開いてないと思いますけど、『とみ川』にちょっと顔だしてみましょう!」

と、麓郷の最強地産・地消型ラーメン店 「とみ川」の駐車場に乗り入れた。

ラーメンとみ川は、富良野の飲食店の中でも宮田マスターが一目置く次世代のエース候補(?)である富川さんの店だ。なんといってもラーメンの中に入っている材料はほとんどが富良野産!麺も自家製麺で、小麦粉も富良野で作られたものなのである。過去エントリで東京の小田急新宿に来た時にレポートしているが、食べた人はその衝撃的に濃い麺の味と香りにぶっ飛んだはずである。

「うおっ! やまけんさーん!びっくりだなぁ!!」

元プロボクサーのマスターがグワシッと握手!相変わらずのパワーだ!

店の隅では自家製粉の石臼が回っている。まだ店は開いてないので、後でゆっくり食べに来るとする。

「さてちょっとね、ボーっと出来るところがあるから行きましょう!」

と言って、さらに丘陵を登っていったところに、いきなり視界が開けてなだらかな眺望が拡がる丘の上に出た。

「こういう、何気なしにきれいな空間を見つけたのは選挙運動してる時ですね。いろんな処を通ったんですよ。ウグイス嬢は俺のオフクロとかなんだけどね(笑)低速で車で回ってると、『あー あそこきれいだ』とかね。それで後で確かめに来るんですよ。おかげで富良野全域のこういう場所、知ってます。」

この空間、鳥のさえずりと風の音、そして遠くから農機やトラックが通るのが聞こえてくるだけの静謐な空間だ。

「おにぎり、食べましょう。ラーメン食えなくならない程度にね」


この、マスターが握ってくれた筋子と昆布のおにぎりが滅法旨い!

「塩はね、手につけるよりもご飯に混ぜちゃった方が旨いって、オフクロ直伝なんです」

宮田マスターと、絶品の景色を眺めながら頬張るおにぎり、これはもう本当に最高の味だった!
さてBack To とみ川である!

「いらっしゃいぃいいいいい!!」

と気合十分の富川さんが待っていた!
まずは行者ニンニクの醤油漬けがドンと出された。前回、その香りにやられてしまったヤツだ。

これももちろん富良野産。ていうか「裏の山で獲ってきたんすよ!」だそうだ!

「ヤマケンさん、うちの麺、また進化してるんですよ!」


マスターが麺を鼻に近づけてくれる。

瞬間、ブワッと小麦の香りが!小麦の香りだけではない、ナッツのような、濃い穀物香がするのだ。全粒粉でないと絶対に味わえない香りだ!

これがとみ川の麺のラインナップ。手前が全粒粉、その後ろが通常の麺、赤いのは唐辛子粉を練り入れた麺だ。もちろん全て自家製麺だ!

「やっぱりね、ラーメン屋は自分で麺作らないと、半分以上を外に任せてるってコトになっちゃうよ!」

と宮田マスターが言う。

「そうそう!」

これが石臼引きの全粒粉を自家製麺した麺の表面だ!昨年に訪れた時よりも、その全粒粉の粒状感が強く、茶色く、みるからにパワー満点なのだ!

もう一度鼻を近づけて香りを嗅いでみると、ブワンと力強い小麦粉の香りがする!いやこれは素晴らしい、、、中華麺とくにラーメンに使う麺といえば、どちらかというと小麦粉の香りを協調するよりも、ツルリと喉越しを良くし、卵などの香りの方を前面に出したりというのが主流だと思う。しかしこのとみ川の製麺ポリシーは、とにかく粉の風味をそのままに強く出すというものなのだろう。

無論、全粒粉麺以外の通常麺については違うかも知れない。実は僕は通常のラーメンをここで食べたことが無く、「富良野ラーメン」一辺倒なのでなんともわからないのである(笑)。今度1週間以上滞在できるタイミングがあれば、全メニューを制覇したいと思う。

「はいぃ~やまけんさん おまちどおさまでしたぁ! 富良野の食材で作ったラーメンです!」

富川マスターのビカッとしたパワフルな眼力と共に、ラーメンが手渡された!

相変わらず、全ての意味において濃そうな佇まいのラーメンだ!スープの上には薄く油膜が張っており、寒い中、啜っていても冷めないようになっている。

油膜の下には、九州ラーメンしか知らない人は「黒い!」と声をあげてしまうであろう濃度の茶褐色のスープが。しかしそれは濃い口醤油の色だけの問題であって、味・香りは実は全く濃すぎることがない塩梅なのだ!富良野の鶏、富良野の豚から採ったスープに魚介系のダシを合わせたベースが、じんわりとそしてしっかりとした柱を築いている。もちろん、無化学調味料である。

「いやぁ、物産展とかイベントとかで行く地方で、他の有名なラーメン店の裏口を覗いたら、味の素や既製品のチャーシューとかが毎日運び込まれてるんですよ。あんなもん、旨いわけ無いじゃない!行列して食べてる人がかわいそうになってくるよね。」

と言うだけあって、ここのチャーシューは旨い!富良野の養豚農家から仕入れている豚肉を丁寧に巻いて仕上げ、お客さんに供する時は網で炙って旨そうなこげ目をつけてから出している。

さてその中で一番の存在感を醸し出しているのはもちろん麺だ!どうだろう、この麺の色艶。ラーメンというかなんというか、、、

啜り混もうとするが、全粒分らしく硬度の違う粒子の集合体だけに、摩擦係数が強いのか、一気にすすり込めない感じだ。従って蕎麦のように「たぐる」感じで麺を口に運ぶ。

麺を噛みしめると、コシの強いスープの味と香りを全く意に介さぬように、あまりにもストロングな粉の香りがブワッと立ち上る。

「おおおおおお なんだかパワーアップしてますね、この麺!」

「そうでしょう?最近、自分の思い通りの麺が出来るようになってきたんですよ!」

とにんまりしながら、富川マスターが、続々と入店してくる客の注文を捌き始めた。日頃ここに来るお客さんは、この骨太な麺を毎回食べるわけではないだろう。僕も、この店を味わい尽くしてみたい。数回訪れないと無理だな、と思った。

「やまけんさん、ここのラーメンがあれば、旭川まで足を伸ばす必要はあんまりありませんよ!」

といいながら、宮田マスターもサービスの餃子まで平らげ、ニコニコしながら富川マスターと食材情報の交換をしたり、隣に座ったガラス工芸家の人と談笑したりしていたのであった。

いやしかしとみ川のラーメン最高である。おそらく一般的なラーメンを食べ慣れている口には、一つ一つのパーツの強さが際だっているので「ん?」と思う味だと思う。また、前回もそうだったが、麺の強さとラーメンとしての全体バランスにはまだ若干の研究余地があるだろうと思った。

しかしそんなことはどうでもいい。このラーメンからも富良野という食の舞台を垣間見ることができる。マスターのビカッと光る眼のパワーに触れなければ、感じられないものがある。

富良野に出かけたら、麓郷を訪ね、「とみ川」のラーメンを食べてみて頂きたい。きっと日々進化を続けているだろう。

と、東京に帰ってしばらくして、とみ川のマスターから持ち帰り・全国発送用のラーメンが送られてきた。
最近、この商品開発にかなり力を入れていたと言うことなのだ。もちろんこれは自家製麺ではないわけだが、どれくらいエッセンスが凝縮されているのだろうか。じっくり味わってみたいと思うのであった。


2005年08月09日

ザ・パワーオブ 富良野 唯我独尊 燻製とカレーのてんこ盛りと共に富良野カムバックを誓いつつ帰京す

さて「とみ川」で山麓ラーメンを堪能し、車に乗ると、マスターが「よっしゃ、出勤するか!」と気合いを入れる。

「海の日近辺はね、うちの一番のピークなんですよ!昨年の売上げは凄かったんですよぉ!もう行列。一日中カレー盛ってましたよ!」

15分ほどで町中の店に着くと、本当だ、もう行列ができている!

この行列が数十分後には店から公道まで続くようになり、その状態が夕方までずっと続くことになったのである、、、

厨房に入ったマスターが、凄まじい早さでカレーのオーダーを捌き始めた!

皿を3つ重ね、カレーソースを盛り分ける。


カレーソースを盛られた基本のカレーに、スタッフがパセリ、生クリーム、コーンなどのトッピングをかけていく。ここのカレーのトッピングの多さ、色とりどりさは素晴らしいのだが、これを凄まじい人数のお客さんすべてに徹底しているのが素晴らしい!

ここに、特製のソーセージを、巨漢のヨシキちゃんがドンと載せ、カレー完成!


これをホールのスタッフ(美しい女性陣!)が、1,2階のテーブルにピストンしながら送り届ける!いやこれは大変。この一連の動きが秒速で運ばれているのである!

さてちょっと目を転じて厨房裏を覗いてみよう。普段はお客さんが立ち入ることの出来ないこのスペースでは、毎日500本以上が消費される、絶品のソーセージ類を仕込まれているのだ!

彼が日々、燻製を担当しているテツである。なんと、地元富良野のFM放送でパーソナリティを務めている宮田マスターの娘ムコでもあるのだ!

スパイスを加えて寝かせておいたミンチ肉をスタッファーに充填!この時空気が入らないようにバシン、バシンと強めに投げ入れられる。

水で戻した天然腸に肉を充填していく。全て手動ハンドル操作で行う。

「機械が古いんですけどね!でもこう言うので作ってる方がなんとなくいいでしょ?」


にょろにょろと出てくるソーセージ。これ、ちなみにものすごくぶっといんです。無二路のサルシッチャみたいだけども、太さが全々違うのだ。これを適当な長さで撚って(よって)凧糸で縛り、ソーセージの形を作る。

そして、部屋丸ごとがスモーカーになっている部屋に入れて、富良野の山桜の木で燻していくのである!

そういえば、このソーセージ、小田急などの物産展で見かけると非常に水分が飛んで、カラカラにひからびた状態になっている。それが、マスターが茹でて戻すとプリンプリンに弾けそうなソーセージになるのだ。これをみて以前から、温燻をかける時にハードに水分を飛ばして、長期保存ができるようにしているのだろうと思ったら、正解だった。

「うちの燻製は強めに燻煙をかけて、水分を飛ばしちゃうんですよ。だから仕上げの茹では無いんです。茹ではお客さんの前に出す寸前にやるだけで、きっちり水分が入ったソーセージになります。」

なるほどなのである。いや素晴らしいシーンを見せて頂いた!テツ、ありがとう!

さてホールに戻ると、さらに伸びた行列をマスター以下、スタッフみんなが大忙しに捌いている!

「やまけんちゃんも食べて!スペシャル版だよ!」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおお
きたぁああああああああああああああああああああ

燻製全部載っけバージョンか!?

ベーコン、チョリソ、フランクフルト、ハムなどの燻製類がギッシリ載りまくったスペシャルカレーである!

唯我独尊の面白いところは、カレー単体でも素晴らしいところに、そのカレーにマッチしたハードな燻製類を合わせたところだろう。この燻製類が非常に旨いのだ。おそらくもっとマイルドなカレーには合わないであろう、香りと旨味の強い燻製群。これぞ富良野スタイルだ!

富良野の食材をふんだんに採りいれて作ったルーは、深みを感じさせる漆黒だ。

そこに、絹ごしのように滑らかなフランクフルトが絡む。歯触りは滑らかなのに味と香りそしては強い!これがカレーにベストマッチなのだ。


この日はこの激闘がずっと続いていくのであった。

この店の天井などを観ると、20年来のお客さんが貼っていった名刺や写真類が所狭しと並んでいる。

お客さんが一人帰り際に、マスターに「10年前に来たんだけど、その時の写真あるかなぁ」と話しかけていた。唯我独尊のお客さんは、カレーの味と共に、富良野の記憶を心のカプセルに封じ込めているのだ。そのカプセルを解き放つキーステーションが唯我独尊のカレーなのだとしたら、なんて素敵だろうか。

この冬、唯我独尊とコラボレーションで、オリジナル商品を世に出すことになった。まあどんな会のなんばんの粕漬けもそうだったが、僕が直接そうした仕事に絡むのは、この食い倒れ日記の性格上、どうなのかということをいろいろ考えてきたのだが、個人的にはこんなに面白いコトはないのだ。だから、恐れずにやってみようと思う。

「やまけんちゃん、旭川空港まで送っていくよ!」

忙しいマスターが、富良野そして美瑛を案内してくれながら空港まで送ってくれた。この宮田マスターとの邂逅を、大切に発展させていきたいと思うのであった。唯我独尊カレー、必食である。今後も物産展で東京に来る際は、情報を流します。

2005年09月17日

新宿小田急に唯我独尊襲来! 富良野極上カレーに想いを馳せよ!

小田急デパートにて開催される北海道物産展に、唯我独尊が来ているらしい!

昨日の最終で宮田マスターも北海道から出てきたらしく、本日からカレーを作っているはずだ。20日までいるとのことだ。

ただ、新宿店なのか町田店なのかはっきり訊くのを忘れてしまった。連絡してもカレーを作っているらしく繋がらない。ということで、どっちかはっきりしたらアップします。

→新宿店でした!情報下さった皆様ありがとう!

いよいよ秋も深まったら、以前お知らせした、 唯我独尊オリジナルカレー三種瓶詰めの構想のブラッシュアップに入る。楽しみだ、、、

2005年09月20日

唯我独尊@新宿小田急は本日まで!

直近の原稿をなんとか書き上げて、フラフラになりながら「カレー食べるだけだから、、、」と自分に言い訳をしながら新宿に向かった。連休中ではあるけども夜の7時、そんなに混んでいることはないだろうと思ったら、小田急のエレベータが開いた瞬間にどどんと賑わっている11Fだった。北海道物産展はいまやどの百貨店でもドル箱だ。本州以南の人間にとって北海道は、遠き憧れの地でありつづけているのだろう。

前回の小田急新宿の物産展では、ラーメンとみ川と一緒に囲いがしてあるブースだったが、唯我独尊単体で出店している今回はオープンエリアで、マスターの声がフロアにとどろき渡るセットで非常にイイ!

マスターと一緒に店を切り盛りしているのは、富良野でソーセージ番を黙々と務めていた、マスターの片腕「カツ」だ。本名・村田克彦、なんとマスターの義理の息子、ていうか娘婿である。

「おおっ やまけん! 今日来てくれたかぁ!」

と先日来の再会。いつ観てもパワー満開の宮田マスター、全方位的にその陽のエネルギーを放射している!

本当にいつ観てもいい顔してるよなぁ、、、マスター。こういうオトナになりたいと切に願うところであった。

さて今回は、定番のソーセージカレー、ポークカレー、豆と野菜カレーだけではなく、ベーコンやソーセージ各種の燻製類を配したワンプレートディッシュがお奨めだ。

独尊のカレーは単体でも旨いが、彼ら手作りの燻製類と合わせると旨さが倍増する。強めの煙で温燻し
水分を飛ばした燻製類の強いスモーク香と、じんわりスパイシーな漆黒のルーとが合わさると無敵のハードボイルドなカレーになるのである!

今回もライスはスパイスミックスを混ぜて炊きあげられた特製富良野ご飯だ。これにルーが絡まり、コクの強い味になるのだ。

独尊はベーコンも非常に旨い!と思って齧り付いたら、なんと特製の味噌ベーコンだった!これは独尊のスペシャル燻製で、ベーコンの生肉をソミュール液につけ込むのではなく、味噌ベースのタレに漬けて調味・脱水したものだ。味噌の芳香と発酵・熟成香が相まって実に最高なのだ。実はこないだ、僕も真似して作ってみたのだが、絶品である。味噌とベーコンの相性がこんなにいいとは思わなんだ。

「やったぁ、味噌ベーコンじゃん!」

と声をあげると、「いや、普通のベーコンが切れちゃってさ、今だけだよ、今だけ」とのことである。いい時にあたってしまった!ちなみに味噌ベーコンはイートコーナーの脇で販売しているので、ぜひ買ってみて欲しい。

唯我独尊のいいところは、野菜をふんだんに、それも可能な限り富良野産の野菜を使うことだ。

「そのカボチャ美味しいでしょ?富良野では『粉ふきカボチャ』っていってるんだよ!」

本当に美味しいカボチャ。これに男爵芋の素揚げ、リーフサラダが載ってくるのだ。

「はいルーが足りなかったら『ルールールールー』って言ってくださいよ!おかわりかけますからね!」

と客を笑わせるコミュニケーションは健在!やっぱりこれである。調理人が厨房に閉じこもって隔絶されて、純粋に味を楽しむ店もいいものだけれど、こうしてマスターのように積極的に客との境界を崩してくれるのもまた最高に面白い。味にプラスαしまくりなんである。

さて当然ルーもお代わり、「ご飯ももう少し食べる?」と訊かれたのでもちろん食べたが、どうにも腹が減る。ので、野菜と豆カレーを改めて所望。

「マジ?ホントに食べるの?」

とカツが訊くけどホントです。

この店の豆野菜カレー、富良野産の多種多様な豆がふんだんに入っているから、実は結構お腹に貯まるのだ。マスターの豆の使い方は実に最高。富良野の食材の特性をバッチリ頭にいれて調理している。

ちなみにこの日、僕を富良野に誘った水先案内人である某ITメーカF社のD黒さんも、隣に美女を連れてご臨席であった。

「やまけんちゃんD黒ちゃん、鮭の燻製作ったばかりのヤツ食べて!」

おおおおおおおおお
なんと美しい身であろうか!

マスター、鮭の漁業権みたいなのを持っているらしい。来年はぜひ9月の時期に合わせて遊びに行きたいものだ。

タップリ堪能して、隣の外販コーナーで味噌ベーコンとソーセージ、それに特製パンを買って帰る。実は独尊のパンも最高に旨いのである。

そしたら、いつも富良野でマスターが「ここのお茶、旨いんだよ!」と呑ませてくれる、熊本の水俣のお茶生産農家さんである松本さんがいらっしゃった!

なんと彼も物産展で上京中とのこと。22,23日はたまプラーザ、24,25にちは横浜そごうの物産展に出展しているそうだ。「富沢商店という店でやっていますので、お立ち寄りください。」とのこと。
九州の熊本のお茶は、釜煎り茶など特徴のあるお茶が有名だが、彼の茶は穏やかな味がする、じんわりとしたいい茶だ。その人柄が反映されているんだろう。

本日、新宿近辺の人はぜひ独尊を攻めて、横浜方面の人はお茶屋さんを覗いてみて頂きたい。

マスター、お疲れ様です!今日一日頑張ってください!