やまけんの出張食い倒れ日記

ヤブイズオーバー 国会議事堂潜入第二弾 超上質蕎麦天国と、国政のための戦闘食を垣間見た!


さて、国会議事堂の食堂潜入の第二弾である!おそらく今まで、国政の中枢である国会議事堂および衆・参議院会館の「食」についての詳細なルポをしたメディアはないんじゃないか。だから僕は真面目にこれを書く!いきさつについては前回潜入記をご覧下さい。

■国会議事堂 議員食堂は食い倒ラーのパラダイスであった!
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/000336.html

でもまあ「潜入」なんてもんじゃないのである。国会関連施設には、許可証がないと入れない。その辺を、食い倒れ仲間である国会議員秘書・M氏にお願いしているのである。国会内の食堂を全部廻ろうというこんなプロジェクト、果たして許されるのであろうか?

「ええまあ、いいんじゃないですか?」

まじ?まじっすかMさん!?

「国会の内側っていっても、報道番組ではニュース重視ですから、ほとんど報道されない部分が多いんです。こうやって国会の小さな部分にも理解を深めてもらうことも重要だと思うんですよ。」

そう、そうなんである!
このルポは決して食い倒れ魂だけで潜入したわけではなく(←ホントか?)、我らが国政を託す代議士や国会を運営する人たちが、日々なにを糧食とし活動しているのかを明らかにするのが本当の目的なのだ!浮ついた気持ちで入っちゃダメ!

、、、というのが、とりあえず前振りである。

衆議院会館の前でM氏と待ち合わせる。そしてこの日は、ジャポネ学の権威であり、かつトルコ料理マスターでもあるおうさる氏もジョイン。

「いやぁ、こんな機会は滅多にないですからねぇ、、、本当に嬉しいです。」

といきり立つ我々の前に、193センチのM氏登場。許可証を発行していただき、内部に入る。前回と違って、館内にはやたらと人が多い。

「今日は国会開催期間中なんで、色んな人が見学にきたり、議員に会いに来たりして居るんですよ。」

そういうことか!おびたたしい人いきれである。そんな忙しい中、M氏は昼食時間を空けて僕らを先導してくれるのである。感謝に堪えない。

※ちなみに国会議員秘書という仕事はとても忙しいのである。この日は無理を言って1時間ちょっとをお付き合いしてもらっている。

まず衆院議員会館の食堂を観に行くと、ちょうど12時ということもあって凄まじく人が並んでいる!

前回ルポの中に、この食堂には「ジョウカレー」というメニューがあって、なにが「ジョウ」なのかと思ったら「上」のことだったというオチがあるが、なんとこのジョウカレーがなくなっていた!

その代わりに面白いもの発見!

「ここはメニューの価格体系がおかしくてねー。例えばスパゲッティを単品で頼むと710円なんだけど、その上の『スペシャルセット』を頼むと690円でカレーとスパゲッティ、サラダにコーヒーが付いてくるんだよ。しかも盛りも普通通りにあるの。変でしょ?」

本当だ!凄まじいなぁ、、、一瞬そそられるが、「ここはまあ、次ぎでいいでしょ」というM氏の言葉で、次ぎに回る。

さて
前回の国会メシの中で驚倒したのは、蕎麦「一茶」の大盛り蕎麦の盛り具合である。天を衝く高さに盛り込まれたあの蕎麦、最高だった。で、それよりも盛りは劣るが旨いといわれている店が、衆参双方の議員会館の地下にある「藪伊豆」である。

藪伊豆といえば日本橋にある名店である。

■藪伊豆総本店
http://r.gnavi.co.jp/a144900/menu1.htm

この藪伊豆の系列というか出店なのだろう、国会内に2つもあるというのはどういう力学が働いているのかわからないが、国会関係者が口を揃えて言うのが「参院側の藪伊豆の方が旨い」ということである。

「参院側に回るのはちょっと距離があるので、車で行きましょう」

と、ぐるぐると迷路のような階梯を歩き回って地下駐車場へ。こんなところまで観ることができるのはなかなかチャンスがないだろう。

ぐるっと回って参院側に到着。ちなみに衆院に入るパスと、参院に入るパスは違う。従って参院に入る場合にはまた違う許可証が必要になるのであった。

「さて、藪伊豆行きましょうね!」

実は今回僕が絶対に食べたいと思っているのは、「野菜炒め蕎麦」という訳のわからないメニューである。前回小走りに藪伊豆の前を通り過ぎた時に、この品書きをみてググッと惹かれたのだ!今回はこれを食べるのが目的!先の藪伊豆総本店のメニューには載っていない野菜炒め蕎麦とはどんなものなのか!?

これが参院議員会館の藪伊豆である!

メニューを観ると、、、や、安い! 盛り蕎麦がなんと230円である!

藪伊豆総本店のメニューの約二分の一であろうか!?

あろうことか僕も逆上してしまい、野菜炒め蕎麦を頼むことを忘れ、「刻み鴨せいろ」540円を頼んでしまう。だって「2段盛り」って書いてあるンだもん!二枚のせいろに鴨汁で540円ってあなた、信じられますか?通常なら1000円以上でしょう?

さてここのシステムは店の奥で注文をして発券してもらうというもの。

レシートには番号がついていて、蕎麦ができあがるとおばちゃんが「91番さーん」と呼ぶので「ここですここ!」と手を挙げて受け取るというものである。

まず最初にM氏の盛り蕎麦が到着。非常に盛りがいい!230円とは到底思えない。

次に、おうさるさんが頼んだカレー丼セットが到着。

「正しい蕎麦屋のカレー丼の味がします」

とおうさるさんもご満悦である。

そして、、、僕が頼んだ刻み鴨せいろが到着だ!

みよ!きっちりと2段重ねになった蕎麦の分量は、本当に盛りがいい通常のせいろ2枚分である。これだけでヤマケン有頂天である。

しかも驚いたことに、濃厚に旨そうな鴨汁がついてくるのは当然として、もう一つ大根おろしが入った付け汁もついてきたのである!

なんと素晴らしい配慮か、、、

さて蕎麦をたぐってみる。盛り一枚230円という低価格。別にそれほど旨くなくても誰も文句を言うまい。そう思いながらつゆをつけずに啜る。

ビックリした! 一流店の蕎麦の香りがする!

角がビシッと立った生そばからは、あの蕎麦の奥ゆかしい香りがふわっと立ち上って来るではないか!

「いつも藪伊豆ではあまり食べないけど、旨いねぇ、、、」

とM氏も驚いている。これは素晴らしいですよ、、、

感動しながら蕎麦をたぐる!濃い鴨汁には細かい鴨肉が入っていて、出汁にその濃厚な旨味と脂分を与えている。「刻み鴨」とあるのは、本店などでロースなどのいい部分を使って、端肉となったのをこの国会向けに回しているということなのだと思うが、鴨の肉が塊であろうが刻んでいようが関係ない!540円でこのクオリティは、地球上のどこにもないだろう!

ビバ!藪伊豆!

そういえば「やぶいず」というと、1971年生まれの僕の脳裏には「ラブイズオーヴァー」という往年のヒット曲のタイトルとかぶさる。

そう、  「ヤブイズオーヴァー」!!!!!

しかし藪伊豆は最高である。従ってオーヴァーではなくオーケーであるべきだろう。

「ヤブイズオーケー」!!!!!

この日、国会を去るまでにこの呪文が数回繰り返されることになったのである。

と、ここでM氏に指摘されて唐突に思いだした。

「俺は野菜炒め蕎麦を食べに来たんだった!」

せいろ2枚食べているが、これを食べずに帰るわけにはいかない。しかもこの藪伊豆の蕎麦は激ウマ!ここで討ち死にしてもいいや、と思わせるくらいである。ということで野菜炒め蕎麦を頼みに行く。席まで持ってきてくれたおばちゃんも「まだ食べるんですか?」と笑っている。ちなみに先ほどのオーダーが91番だったのに、もう112番にカウントアップされている。短時間で20人が入っているのだ。回転率は最高ということか。

さて野菜炒め蕎麦はこんな感じだ!

つまり野菜炒めを冷やし蕎麦にドンと乗せたもの。わかりやすーい。ちなみに温かい蕎麦バージョンも可能。本来ならキャベツがもっとたんまり入っているんだろうが、相場高を反映してか、ほとんどがモヤシで構成されている、、、まあ仕方がないだろう。

味は、、、野菜炒めのゴマ油の香りが蕎麦に絡まって、これはこれで乙なモノである。でもまあ、一回食べたらいいかな、という感じ。しかし一杯の量はきっちりあるので、かなり腹はふくれてしまった。すでに3枚食べてしまったんである。

と、M氏の隣に端整な顔立ちの人が「どうも」と座る。茨城県の議員さんの秘書を務めるカトウ氏である。

M氏が僕の活動について解説を(どういう解説じゃ!)すると、神妙な面持ちで「ご苦労様です」と言って頂く。しばし、茨城の農業事情について意見交換を交わすが、彼が板蕎麦を食べる前に、僕が鴨せいろの後半を平らげて、野菜炒め蕎麦を頼んで食いきってしまった。

「すごい早いですねぇ  まだ食べに行くんですか?」

「もちろんでス! なにか旨い店ってありますかね?」

と訊くと、うーんと一瞬唸って後、

憲政会館の食堂のビーフシチューは、料理の哲人の道場さんが『旨い』と言ったというエピソードがありますね。」

と仰る。M氏もそこには行ったことが無いという。

よし、次ぎはそこに決定!

ハンサムなカトウ氏と別れを告げ、ヤブイズオーヴァー。

次なる地平へと足を進めるのであった。

議員会館を出て少し歩くと憲政会館という建物がある。折しも修学旅行シーズンということもあり、おびただしい子供達が横断歩道を渡っている。

「本当にこの時期は人が多くて大変なんですよ、、、」

議員ともなれば地元からの陳情などがひっきりなしにくるのだろう。大変そうだなぁ。物見遊山気分で潜入などしてはいけないのだなぁ、、、いや、僕の場合はきちんと目的があるんです!(モウシワケナイ)

さてその憲政記念会館には、思いもかけない空間が拡がっていたのである。

(続く)