やまけんの出張食い倒れ日記

激走激食! 冬の富山は魚が最高! 分刻み食べまくり疾走ロードだったのだ

富山県は、僕的にみると日本でもトップクラスに食文化の素晴らしい地域だ。何と言っても鰤(ブリ)を代表とする富山湾の海の幸は最高。中でも海老の種類の豊富さと素晴らしい味には心がうちふるえるほどだし、富山県産のコシヒカリにも定評がある。しかしなかなか富山県での仕事というのがない。北陸に講演出張できると本当に嬉しいのだけど、富山は特に仕事が入らないことが多く、出張したくてもできない個人的垂涎の国なのだ。

そんなある日、待望のお仕事の話が舞い込んできたのである。

「弊社主催のセミナーでトレーサビリティについてお話し頂けないでしょうか?」

と声をかけて下さったのが、富山県のシステム企業である北陸コンピュータ・サービスという会社の宗玄(そうげん)さんという方だ。もともとこの会社の他の方が、リテールテックというイベントで僕が出た講演を聴いていて、推してくれたらしい。その後この宗玄さんが東京まで会いに来てくれ、正式に決定した。実は日程的には、バーテンダーコンクールの世界大会inフィンランドの最終日に引っかかってしまうのだが、これは仕事なので仕方がない。フィンランド編の最終日、ガラパーティに出ないで日本に帰国したのはこのためだったのである。

さて
酒飲みであればこの「宗玄さん」という名前をみてオヤ?と思うだろう。
先頃に書いた、著名な日本酒研究家である古川先生と飲んだ時に「宗玄」という酒をいただいた実はこの宗玄さんは「宗玄」の蔵元の血筋の方なのである。何だか色んな縁があるなぁ。僕と同学の先輩で、長身・ハンサムな方だ。

「ぜひ富山の美味しいものを食べて下さい。いくつか私のお薦めを書いておきますね。富山湾魚系王道の店はいくつもありますが、あんまり知られていない、もしくは、旅の人なら寄らない店をピックアップしてみました。」

と送ってくれたリストには、みるからに素晴らしそうな店が連なっていた!
 1.生と活と市場
   21:00しかやってないので、団体客が少なく、
   意外と盲点。
   http://www.h3.dion.ne.jp/~esta/
 2.松月
   富山市内でも海のそば。
   http://www7.ocn.ne.jp/~shogetsu/
   元々漁師料理系。白えびがデ~ンと出ます。
   ちょい高い。
 3.しげはま
   氷見市丸の内2-18 0766-72-0114
   ブリしゃぶの発明者といわれる一宮健三さんの店。
   最近TVに出たため、ちょっとだけ有名になりました。
   富山市からは遠いですが。。。あと、12~2月が旬。
 4.吉宗
   http://www.senmaike.net/color/html/tsuide/kare-udon.html
   B級系ですが、カレーうどんが異常に有名な店。
   高岡市とその周辺の人間だけが知っている店だったのですが、
   先々週強盗に入られ、全県下的に著名店になりました。
 5.デリー高岡店
   これもB級系。
   デリーは全国にて”のれんわけ”しているんだと思いますが、
   30年来の高岡店のカシミールは全国のカレーフェチからも
   一目置かれているそうです。
   http://yuc.jp/search/detail/detail.php?code=43
   4の吉宗と近所。なぜかカレー系が高岡に2つ揃いました。

素晴らしいじゃないか!
この中で面白そうだなと思ったのは、デリー高岡店。言わずと知れたカレーの名店「デリー」ののれん分け店的な存在だという。

さてバーテンダーコンクール世界大会のフィンランドから帰国した翌日、富山空港に降り立つ。バスで富山駅前に到着し、昼飯にはリストの先頭にある「生と活と市場」へ。富山駅横のビル内にある好立地ながら、夜の閉店が早いのでそれほど混まないという穴場店だ。


ちなみにこの店名、「生と活と市場」と書くが、何と読みますか?
これ、「キトキトシジョウ」らしい!
ぼくは「せいとかつとしじょう」だと思っていた!「生活」という言葉を分割したのだろうとおもっていたのだけどさにあらず、北陸一円で、魚の鮮度がいい時に使われる形容詞「キトキト」を模しているわけだ。いや勉強になりました、、、

割烹店的な風情の店内だが、ランチタイム時は気軽に入れる感じで、OLや会社のスーツ族、おばちゃんグループなどが思い思いに昼飯をとっていた。

手ごろな価格のランチがメニューにならんでいる。

しかし食べたいものがいろいろあるのだが、どれを頼めばいいだろうか。この店、名物わっぱ飯を出すらしいのだけど、あまりそそられないな、、、と思い、オーソドックスな刺身定食(1450円)にする。それと、穴子寿司(500円)というのがあったのでこれも追加でオーダー。

しばらくして出てきた刺身定食はやはり実に美味しそうな布陣である!

いなだかブリかハマチかわからないがそれ系の刺身はもちろんのこと、

富山県ではスーパー店頭でもみかけることができる「ざす」がある。

「ざす」は、カジキマグロを昆布締めにしたものだ。やや単調な味のカジキを昆布で挟むことにより、脱水して旨味を添加することが出来る、実に合理的な食べ方である。これが滅法旨くて、どうして関東では無いのだろうかと残念に思う食べ方なのだ!

他のネタも旨く、1450円の定食で出てくるものとしてはプライスパフォーマンスは間違いなく高いと思う。いやもちろん東京から行った人間としては、ということだ。もしかしたら地元の人にとっては普通の鮮度かもしれないが、やはり海産物は概ね旨い!

「すり身だんごでーす」

といって出てきたのは、魚のすり身をだんごにして揚げたものだ。

アツアツの揚げ出し状態で出てきたのを割ってハフハフと口に運ぶと、魚の肉の甘い香りとプリッモチッとした弾力が素晴らしい。大して期待していなかったのに出色の出来映えである。

そして別オーダーした穴子寿司が出てきた。

なんとこれも予想していたものより手が混んでいて、笹の葉のようなものでくるんだ穴子寿司をせいろで蒸したものだったのだ。

ホカホカの葉を外すと、ふっくら柔らかく蒸し上げられた穴子寿司が現れた。
僕は魚の食感が強めに残った焼き穴子が大好きだけど、とろとろに柔らかく蒸された穴子もまた捨てがたい。酢飯の酸と穴子の甘さが合わさると最強の美味しさで、しかもほっかほかに温かいので旨味と香りが活性化している。これは素晴らしい逸品であった。

いや、旨かった。
満腹になり勘定をしてもらって、少し歩いてホテルへ荷物を預ける。その足で講演会場に向かうと宗玄さんが出迎えて下さった。

「いやー生と活と市場旨かったですよ!」

「そうですか、”ゲンゲ汁”食べられましたか?」

「え?ゲンゲ汁? ああああああああああああああああああああああ 忘れてた!」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
そう、実は宗玄さんは、富山が世界に誇る不思議に旨い魚”ゲンゲ”を食べられる店として生と活と市場を推して下さっていたのだ。しかしそれを僕はすっかり忘れていた!
まあ仕方がない、次回は絶対にゲンゲを頼もう!

そして講演開始。まずまずの感触で講演終了。その後、富山県の青果物業者の方と会食があるため、一旦ホテルに戻り、その会場である「寿司かっぽ難波」へと向かうのであった、、、
(続く)