やまけんの出張食い倒れ日記

キノコ研究家の砦”千葉菌”に入会! 憧れのキノコ写真研究家・大作さんにお会いした!

以前のエントリで、素晴らしく美しい、愛情いっぱいのキノコの写真を撮り続けているWebを紹介した。


■KINOKO WEB
http://blog.goo.ne.jp/kinokoweb

この KINOKO Web を運営しているのは大作さんという方で、すでにキノコの本を数冊出版されている方である。

大作さんのキノコ写真は僕にガツンと衝撃を与えた。ビシッと全体に合ったピント、資料としての価値、そしてそこに留まらない、キノコを愛してるぜ~という感情が伝わってくるなにかが、そこにあったのだ。

この人に会いたい!
そしてキノコを撮影しているところを見たい!

と思っていたら、そのエントリを読んだ数人の方から、「千葉菌」という研究会組織のことをお伝え頂いた。
「千葉菌類談話会」という、キノコ研究者の会があり、そこに入会すると、年数回開催されるキノコ観察会に参加でき、情報交換ができるのだという。そしてそこに大作さんも属しており、デジカメ講座を開いたりしているのだという。

農産物流通の現場では、キノコは菌茸(きんたけ)類といって、多くは栽培ものしか扱えない。野生の茸はあまりに希少で、しかも採集量が少ないため、対象になりにくいのだ。しかし、野生のキノコの不思議な世界が、多くの人を魅了しているということは知っていた。野菜・果物とはまた違う、ものすごく面白い世界だろうな、と思っていたのだ。

これはぜひ参加させて頂くしかない!

ということで、先日行われた「千葉菌類談話会観察会」に参加を申し込んだのである。

この会は、千葉県の佐倉市にある城址公園にて、その公園内でキノコを見学するという会である。
当日は凄まじい晴れ模様で、気温も30度以上になり、参加者のおひとりが「おそらく最も過酷なキノコ採取タイミング」と言っておられたほどである。

会場の部屋に入り、入会手続きをさせて頂き、事務局の先生にご挨拶をすると、、、

「あの方が大作さんですよ」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
憧れのキノコ写真マスターである!

「おおおお、初めまして!よろしくお願いします! ちょっと今日の午前中に撮った写真を数枚撮影してからキノコ採取に回りますから、よければご一緒に!」

うおおっ
さっそくその撮影テクニックを見せて頂けるのかぁ!
もうしょっぱなから興奮しまくりなのである。

大作さんにはキノコ図鑑を作るという目標があるらしく、資料価値のあるキノコ写真を撮影する必要があるようだ。そのため、きちんとスケールを図るための撮影環境を整えておられる。
例えば、カメラは三脚ではなく、下に置いた標本を見下ろすような専用の固定台(でかい!)を机に設置しておられた。上の写真に入りきっていないが、目盛りの刻まれた柱が画面右上に立っているのがわかるだろう。そこにキヤノンのEOS5Dをレンズを下方に向けて固定しておられた。シャッターは手ぶれ防止のためか、延長コードを接続して手元で操作している。レンズはEF-100mmマクロだ。

「前は、EOS KISS Dの初代機を使っていたんですよ。5Dにしたのは、大きなキノコを撮影するときに画素数を稼ぐためです」

とのことだった。
そして標本はガラス板状に置き、スケールを標本横に並べて撮影をしておられた。大作さんの写真は最終的に背景を切り抜いて使用されるので、白バックで撮影するのが基本とのことである。実はこの標本の置き方や小道具の使い方に相当なノウハウが詰まっていた。100回聴くより1回観た方が早い。最初の1時間で僕は深く学ばせて頂いた。

ちなみに照明はコメット社のストロボ1灯を用い、ダイレクト光をトレーシングペーパーで和らげて使用していた。あまり陰を出さないように光を回しておられるのだった。

「お待たせしました、じゃあキノコみにいきましょうか!」

と大作さん、ツナギに着替えて出発である。
僕は、キノコ観察というのは、きっと散歩のようにぶらぶら歩きながらだと思っていたのだが、集結した方々の装備をみて浅はかな自分の考えを悔いた。皆さん、アウトドア仕様であられる。ジーンズなんぞ履いてきた自分を恨めしく思ってしまった。

さて佐倉城址公園はとても美しい自然環境が残された地だった。

そして、街道から一歩入った公園内に、こんなにもおびただしくキノコや菌類が生息しているのかとビックリした。

「キノコはね、東京でもどこでもみられますよ。おっと、ここにもあった。」

おおおおおおおおおおおおお
これは、クモにとりつき生えるキノコだという。このキノコの根本をたどるとクモが居るのである。名前は、、、失念致しました。さっそく撮影。

こうした撮影には三脚が必須である。ピントを奥まで合わせるため、F15くらいに設定。フラッシュは使わないので、シャッター速度は4秒くらいかかってしまう。だから三脚必須。また、しゃったを指で押すとぶれる可能性が高いので、セルフタイマーで撮影だ。

「おー よく撮れたじゃないですか」

と大作さんにほめて頂き、舞い上がる。

その後、2時間ほど回るが、前日の土砂降りであまり良いコンディションのキノコが見つからない。そんな中、小さなキノコを見つけてシャッターを切ってみた。


途中で遭遇したニホントカゲが綺麗だったので、これも撮影。

採集の時間が終わると、みなで解説会。千葉県立中央博物館の学芸員であられる吹春先生が、キノコの解説をしてくださる。

僕はキノコ初心者なので全くわからないーーーー
しかし面白い!
食べられるキノコが多いというのもあるけど、本当にキノコの生態は複雑で神秘的だ。
しかもお話を聞いているとこんなエピソードが。

「このキノコは以前は食用といわれてましたが、最近になって中毒例が出て、もしかすると毒性を持っているのかもしれないということで研究中です、、、」

というように、キノコとはまだまだ研究が現在進行形な世界であるらしいのだ。怖いけど興味深い。今後、ぜひいろいろ教えて頂きたいということで皆さんとお別れした。

後日、買おうと思っていた本が、大作さんから届いた。
4635063240見つけて楽しむきのこワンダーランド
吹春 俊光
山と溪谷社 2004-08

by G-Tools

大作さんが写真を撮り、吹春先生が解説を書かれている本だ。
大作さんの素晴らしい写真が、キノコの原寸大で表示されている。解説もわかりやすく、僕のような初心者が取っつきやすい本だ。興味のある方はぜひ科って読んでみて頂きたい。

大作さん、吹春先生、そして千葉菌の皆様、素人を迎え入れてくださいまして本当にありがとうございました!