やまけんの出張食い倒れ日記

また一つ至宝が消えていくのか。 木場・東陽を語るときには外せないタンメン・餃子の名店「来々軒」が閉店するという噂。

非常に近い筋からの情報なので確かだと思われるのだけど、この期に及んでその情報がウソであって欲しい、とも思う。

木場在住歴8年、この地において本当に宝物だと思う店のひとつが、タンメンと餃子の名店「来々軒」であった。その来々軒が閉店するという。実はこの数ヶ月、店は休業していた。理由については、大筋はつかめたのだけれども、ここでは挙げない。経営難とかそういうのでは全くないので、本当に残念だけども仕方がない。

この情報が間違ってたりしたならば、僕はもう平謝りに謝るけれども、でも間違いであって欲しいというのが本音だ。

ここに謹んで、本として出版したものから抜粋で、「来々軒」をご紹介したい。

 僕が住む木場~東陽町あたりでは、なぜか餃子とタンメンを売りにする店が多い。その中でも最強の座にいるのがその名も「来々軒」だ。この店、下町的底力に満ちた、まさに「タンメンギョーザの王道」を行く店なのである。 東西線木場駅の出口1番を出たら左を向いて歩き「東陽3丁目」の交差点を右に渡ってから、八百屋の側に渡って100メートルほど歩くと、「東陽弁天アーケード通り」というローカルな商店街がある。その一角にあるのが来々軒だ。まあ、どの時間でもほぼ確実に行列が出来ているからすぐわかるはずだ。強烈なことに、昼のピークタイムはもちろん、午後3時くらいに行っても満員の時がある。そして4時には麺が無くなってほぼ終了というオソロシイ店なのだ。だから、時間に気をつけていかないと、待たされてしまう。しかし、回転も速いのでまあ我慢できないほどではない。


店内に入って目にするのは、厨房内の、見事なまでに共通の遺伝子を受け継いでいるとしか思えない一卵性双生児的兄弟であろう2人のパンチパーマのおっちゃんと、これまたその遺伝子を強烈に引き継いでいるのが明瞭な息子さん、そしていかにも下町風おかあちゃんという布陣である。

 で、この店では圧倒的大多数が「タンメンと餃子」を頼む。たまにラーメンとか頼んでいる人もみかけるが、とにかくこの店ではタンメンとギョーザで決まりだ。とにかく席に座ったら、こう言おう。

「タンギョー。」

これは「タンメンとギョーザ」という注文である。では、二人で入って、タンメンと餃子をそれぞれ人数分頼む時はどうか。

「ニコニコ」

タンメンが2つで餃子が1つでいいな、と言う場合は

「ニコイチ」

となる。そう、タンメンの数が最初にくるのである。この原則を覚えておけば怖いモノはない。というか、別にこういう符丁を使わなくても「タンメンとギョーザ」でいいんだけどね。ということで本日もタンギョーである。

某有名グルメ雑誌にも掲載されたここの餃子は、厚めの皮に野菜たっぷり餡が詰められたものだ。餡は一定時間寝かせているらしく、香しく熟度の高い印象を受ける。しかし全体的にはあっさり目。


これに皮のモッチリ感と、焼きの際に油多めで最後は揚げギョーザ風にぱりっとさせているのが特徴だ。


唐辛子や陳皮などを使った自家製ラー油はかなりストロング。酢多め、ラー油多め、醤油少なめという黄金律で調合しよう。

 さてギョーザを3個くらいやっつけていると、タンメンが「あいよっ」運ばれてくる。

このタンメンが出色のできばえなのである。なんと言っても野菜がドーン!

その下をかき分けていると、太麺がドドーン!と出てくる迫力なのだ!

まずは圧倒的な盛りの野菜類をある程度食ってしまわないと、麺にいき着けない。しかし安心めされい、この店の最大の特色であるタンメンの麺が、実に暴力的に極太なので、簡単に伸びるシロモノではない!

この麺、噛むとブリンブリンとした弾力が歯に抵抗する、食いでのある麺だ。ラーメンの麺というよりは超硬質デュラムセモリナ粉でコシを出しながら打たれたパスタのような堅さ加減である。スープの中に長く置いてもなぜか伸びた感じがしない。

 麺とスープを兄弟それぞれが担当しており、このどちらかが欠けてもタンメンが成り立たない。一度、長期に休みをとっていた時期があったのだが、どうやら「相方が手を怪我しちゃってサ、スープが作れねーんだヨ」ということだと耳にした。

基本的な作り方としては、向かって右のおっちゃんが中華鍋で野菜類を炒める。でもすぐさま巨大寸胴のスープをお玉で注ぎ、煮に入る。併行して左側のおっちゃんが麺茹で開始。塩を振って味を調えたら、どんぶりにスープ投入。そこに極太麺投入、そして上に大量の野菜を乗せてできあがりである。

 このスープ、昼の時間に立て込んでくると、スープが減ったそばから無造作に水が足されたりしている。目の前で水を足されると「あああああああ 薄めないでくれぇえええ」と思ったりしてしまうのだが、しかし! それでもなんでも、なぜかいつも旨いのである。

 極太麺のブリブリ感と野菜のしゃきしゃき感、適度なコクと透明感のあるスープ、そして合間に囓るギョーザの肉の旨味。この木場・東陽の地ではタンメンギョーザがスタンダードなのであった!
 タンギョーで1250円。おっちゃんは下町生まれらしく「ホイ、せんにしゃくごじゅうえん」と発音してしまうのがまた小気味よい。タンメンとギョーザのために木場くんだりまで来るという人もいないかもしれないのだが、実は木場にはもっと色々あるので、1日かけて攻めるつもりで来たらいい。

来々軒のおっちゃん、おばちゃん、そして息子さん。
あなた方の店は本当に木場・東陽の宝物でした。もしこの先、いろんな条件が整うことがあったら、ぜひまた再開店していただきたいと思います。

今までありがとうございました。そして、ごちそうさまでした。