やまけんの出張食い倒れ日記

TPPについて読者から寄せられた声その2

出勤前なのでとりあえず掲載のみ。製造業の方でしょうか、メールをいただきました。

ちょっとTTPに関係あるようなないような感想なのですが・・
ご覧いただければ嬉しいです。

私は某メーカーで働いていますが、たいへんな努力の末に開発した商品が信じられないような安値で売られていま
す。
このため工場内は低賃金の派遣社員が増え、いずれ生産現場は国外にでそうな状況です。
やまけんさんはカメラがお好きなようですが、今のカメラの価格をどうお感じですか?今となっては農産物だけが安すぎるとは思えません。農作物に適正な代価を払える人はどんどん減っていると思います。払わないのではなく、払えない人はどうすれば良いのですか?

私は、カメラも農産物も世界と戦える価格で作るしかないと感じています。どうすれば世界で戦える価格と適正な価格をイコールにできるのか、という議論が必要と思います。そのための方策の一つががTTPであり、為替や貨幣政策であると感じています。
政府にはここに全力を注いで欲しい。あとはそれぞれの業界が努力するしかない。

農業に補助を出したり農産物に関税をかけたりという昔ながらの方策は、農家だけを保護し、農産物の価格だけを上げてしまう政策と感じており、私は反対です。

はい、こういう立場のご意見もなければ健全ではないですね。ありがとうございました。一方農家の側からも、まず農林水産業に対する無理解を何とかして欲しい、と。

TTPについての意見をもっとどしどしどうぞ、ということなのでメール書きます。

いろいろマスコミで書かれていますが、結局は零細な農家をどうするかが鍵となります。それは票田であるし、系統農協の基盤でもあります。
農業の多面的機能とよく言われます。一般的には国土保全に関係して使われます。確かにそういう面もありますが、「農政・系統農協を維持するための多面的機能」のほうが経済上は大きいです。メガバンクなみの貯金・大手生保なみの共済、そして農業資材と農産物流通、さらにそこから派生したビジネス&官業等々、農業農家農村をハブ(通過点)にして莫大なお金が動きます。

(以下 毎日新聞勝間和代のクロストーク「食料自給率、正しい目標設定を」への投稿と同じ内容。私の投稿なのでコピペOK?)
国内農業所得総額は3兆円強です。一方農協職員(28万人)への所得総額は1兆円を越えています。さらに農業担当公務員(国2万人・地方推計6万人)と農業関連団体職員の所得を合計すると2兆円以上です。その職場を維持する経費を含めると3兆円近くになると考えられます。今後農家が激減すると農家 対 農政農業関連職員の所得が逆転してしまいます。
国内農業は食料生産のために存在しているというより、農業を取り巻く人々の職場と所得を作り出しています。行政や農協のサポートなしに独自に経営できる農家ばかりになれば、かなりの人が職を失います。
(以上 投稿から抜粋)

TTPに参加してもしなくても日本農業は(農水省目標の)専業農家40万戸に近づきます。農政担当公務員も系統農協も整理されます。問題はそこに至る経緯です。今のままでは農政も農協もいきなり崩壊しかねません。
全中は「国内農業保護」一辺倒つまり「俺達の職場給与は国が守れ」と言い続けています。これから国内農業がどうなるか、そして系統農協はそれに対応してなにをすべきかという説明がありません。
系統全国本部(農林中金・共済連・全農)の間でどのような議論が行われているのか、辺地の農家である私には全く分かりません。もしかしたら幹部の皆さんは「俺達が乗っている泥船はもうすぐ沈むが、自分だけはなんとか無事脱出できそうだ」とカウントダウンを初めているのかもしれません。

私は早急に系統全国連も農水省も地方に移行すべきだと考えます。中央にはわずかな調整役(調整機能)だけ残して、地方(県単位でも州単位でも)で、農業現場を見ながら仕事をしてほしいです。スーパーに絶え間なく美しい野菜や果物が供給されているのは、世界中で誰かが地面にはいつくばって農業をしているからだと、まずは理解してほしいです。

TTPに関係ない蛇足ですが。

先月学校給食用コマツナを受注生産(松山市用500キロ)しました。仲卸の給食担当者との話し合いで大変ビックリしたので一言書きます。
3週間後の納品を前にして担当者から「キャンセルになるかもしれないから、いつまでに連絡したら播種に間に合うの?」という質問でした。

青果物の流通業者が農業に無知なのはなんとなく知ってました。が、コマツナの栽培日数が十数日と無邪気に考えられる青果流通業者が現実に存在することにビックリしました。その担当者は50才すぎの男性で新入社員ではありません。農家と接しながら、農産物を扱っている人ですら農業知識はこんなものかとガックリしました。ということでもしかしたら農水省職員の言葉例えば自給率40%というのは、現物のお米とはまったくリンクしてないかもしれません。たぶん机上のパソコンからお米は生産されるのです。

さて、本日の政府はどのような方針へ舵を切ろうとしているのか。篠原農林水産副大臣のブログではTPPがらみで引っ張りだこになっているという状況が書かれている。けど、「先送り」にするのでもなんでもいいから、もっともっと議論を尽くすべき時だと思う。