やまけんの出張食い倒れ日記

先のエントリに追記 食料が大事な時に、風評被害だけはないようにしよう。それをとめられるのは消費者だけなのだから。

さっきのエントリ書いたそばからいろんなメールをもらった。首都圏も場所によってかなり違いがあるようで、「カップ麺や加工食品ばかり無くなってるけど、野菜や果物は普通に並んでる」というところもあれば、「なにもかもすっからかん」というスーパーまで様々のようだ。東京・神奈川・埼玉・茨城・千葉・栃木・群馬などでまったく状況が違うらしい。

岩手県の養鶏(ブロイラー)の企業さんからの連絡で、すでに飼料が尽きてきており、種鶏には餌を回しているが、肥育段階にある鶏には餌をやれない状態に陥っているそうだ。水主か与えられないとの由。飼養している700万羽のうち、なんと昨日だけで3万羽が餓死したそうだ。ちなみにいま、肉に使うビニール袋が枯渇してしまったとのこと。運べるものなら運んであげたいのだが、、、

ところでさきほど群馬県の、仲良くしている葉物野菜の生産者さんと電話で話をしていて、風評被害の心配をそうとうにしておられた。野菜は順調にできているし、先にも書いたようにこれから春野菜の出荷シーズンとなる。そこへ、放射能がどうしたこうしたという風評で取引を断られるのが一番怖いというものだ。

これは非常に嫌な話なのだが、スーパーの販売担当者は消費者が嫌がりそうなことを先回りしてストップする傾向がある。例えば鳥インフルは基本的には人間には危険はないといっているのにも関わらず、近隣産地の鶏肉を撤去し、そのうえ「弊社では○○県の鶏肉は入荷しません」と書いて胸を張るところもあったりするわけだ。これは、実に罪な行為である。

しかしそういう行為のベースと成っているのは、消費者の心ない言動や行動であるのも事実だ。消費者が1000人いれば、数人は「これ大丈夫なの?」「こんなもん、置くな!」ということを言う人もいる。販売店としてみれば、それによりパニック・買い控えがおこるよりは、仕入れをストップしてしまった方が速い。他の仕入れ先はまだあるのだから、、、

けど、出荷している産地にしてみればこれはもう経営破綻につながる恐ろしい事態である。だから風評被害は怖い。そしてその恐れが、東日本一帯の農産物・畜産物にたいして出てきているのを感じる。

もちろん基準値以上k身体に害が確実に出ると言われる濃度の放射能が検出されるようなものは食べない方がいい。それは当然のことだが、そうでないものを根拠もなく「これって危ないかも」忌避するのだけはやめなければならない。ひとつ前のエントリに、僕は「現在はまだ農家が残っているから、食料不足にならずに済んでいるんだ」ということを書いた。東日本の生産基地は、まだいまからなら復旧できる。けれども風評害により数ヶ月の出荷停止ともなれば、東日本の食料生産の担い手はみなつぶれてしまう。そうなったら、先のエントリの内容は全部書き換えだ。つまり日本の食品価格は高騰するだろう。

そうならないようにできるのは消費者だけである。どういうやりかたがあるのかは僕も考えるが、とりあえず、いらぬ声を上げないということも重要であると思う。