やまけんの出張食い倒れ日記

十勝産だけで美味しいパンを作る満寿屋商店のオリジナルカレーパンができた! ちょっとだけ開発プロセスに関わって、なんとあの十勝若牛を使用することに!目に見える大きさの肉がゴロッと入ったリッチなフィリングのカレーパンになったので、ぜひ食べてくださいな!

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ふっふっふ 傑作誕生。

昨年11月の開店以来、怒濤の勢いで客数が伸びている満寿屋商店の東京本店。都立大学の駅から5分ほど歩くリッチで、「ここだと近くにスーパーもあるし、ちょっとくるってお客はいないと思うよ」といわれながらオープンしたのに、結果的には大成功。

 

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※写真はオープン当日のもの。

周りの地元の人達に愛されるようになったということと、遠方からでも「あの満寿屋が!?」と足を運ぶ人がいるという、両方の面からの客足だと思う。

で、開店以来っていうか開店前から「東京ではどんなパンがいいでしょう!?」という相談を受けて、いろいろ好き勝手言わせてもらっていたのだけど、なかなか誕生しなかった商品がある。

そう、カレーパンです。

ようやくできましたっ!

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そう、お肉はふつうなら輸入肉となってしまいがちなところ、同じ十勝の食材をと言うことで、十勝若牛になりました!

というのも、開発会議の中で「いちおう、北海道産の牛肉を使って造ることは可能なんですが、、、」というので、「いやそれなら十勝産にしたら!?十勝若牛で作ったらいいじゃない!」ということに。

十勝若牛は、このブログ読者なら知っているでしょう。十勝の清水町で生産された、ホルスタインの子牛を14ヶ月肥育して肉にしたもの。

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通常、ホルスタインは20ヶ月程度育てて肉にするのだけれども、それよりだいぶ若い段階で肉にするから、個体として小さくて、美味しくないんじゃないの?と思う人もいるだろう。

でも、それがまったくそうじゃない。たしかに枝肉のサイズは少し小さいものの、身質はかなり出来上がっているのだ。

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だから、ステーキで食べても、全体的にはあっさりめの味わいながら、赤身の美味しさがしっかり伝わるほどよい味。

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しかも、食べた人がみんな口を揃えていうのが「くさみやシツコサがない!」ということ。

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だから、すき焼きにしたら永遠に美味しく食べられる。

この十勝若牛を生み出したのは農協組織だ。十勝清水農協の参事である岡田さんが、農家さん達と考え抜いた結果、莫大な投資をして肉の加工センターも作り、十勝若牛の取り組みを開始した。

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まるで農協組織が悪の権化といわんばかりの報道が多いけれども、農家の収益を守るために投資を行うことができるのは農協だ。十勝清水農協が加工と出荷・販売をすべて請け負うから、農家は集中していい牛を生産することに集中できている。メディアもこういうところがあるということも報道すればいいのにね。

話が逸れたけど、そういうことですぐさま岡田さんに電話。

「え、使ってくれるの!?嬉しいなあ、キロ●●●●円くらいでいけるとおもうけど」

「あ、それなら十分使える範囲です!」

ということで、つながった!

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しかも十勝若牛だけじゃなく、芽室の川口農場のタマネギ。品種は北もみじだっけかなぁ、すみません確認してません。

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そんでですね、味ですよ味。さすがにフィリングはスパイスだけで一から作るというわけにはいかないので、メーカーのルーを少しは入れるわけです。ただ、それをどの銘柄にするか。

これは以前、東京カリ~番長の水野仁輔くんに教えてもらったんだけど、カレールーはスパイスの強いものと、まろやかでコクのあるものは相反関係にあるということ。つまり「スパイス感が強くて、かつドミグラスソースのようにリッチ」というのは両立が難しい。そのバランスをどうとるかが重要になるのだ。

試作段階で食べたものはリッチ方法に振れすぎていて、「これじゃあシチューだな」という味わいだったので、スパイスカレーの方向にすこしだけ引き寄せるためにこのルーとあのルーをとアドバイスさせてもらった(水野君に感謝!)。

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その結果、リッチさに寄りながら、スパイス感も程よく感じられる大人のカレーパンになったと思う! ちなみにこのカレーパン、一日の製造量に限界があって、売り切れることが非常に多い。友人に「カレーパン買ってみて!」と言ったのに「売り切れてたよ!」と怒られたこともあるのだ。ぜひ、おはやめの来店をどうぞ、、、

ちなみに、十勝では同じく十勝若牛を使用したカレーパンを、「もりもと」さんが「『十勝若牛』の贅沢(ぜいたく)カレーパン」という商品にして、同じくらいの時期に商品化したようだ。きっとこちらも美味しいことだろう。こっちも食べてみたい!

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杉山さんが当初「ぜんぶ十勝産でいきたいんです」と言って、パンを捏ねる水まで持ってくると行ったときには「バカじゃないの!?」と思ったけど、結果的にはその徹底したところが大当たりした気がする。この店、どこまでいくだろう。

あ、ちなみに最近でてきた美味しい情報。

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安納芋をマッシュしたものをパイで包んで焼いたもの。このタイプ、ホクホクがあまり好きじゃない僕は「え~」と思ったけど、、、

美味しい!

上質なバターの風味一杯のパイ生地と安納芋ペーストがごくごくリッチです。

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お店の売り上げで不動の一位は、上の写真の下左にあるとろーりチーズパン。「うそっ!」というほどに十勝産のモールウォッシュチーズがのった、いや乗ってるだけじゃなく、真ん中にくぼみをつくったところにもたっぷり入ったパン。しかも、レジに並ぶと「あっ いま焼きたてのが出てきましたので、そちらにとりかえましょうか」と言ってくれる。

メロンパンは、クッキー生地ザクザクタイプ。僕はあまり好みじゃないんだけど、これも売上上位に入ったまま。このメロンパンの感じ。お好きですか?感想教えて下さい。あと、上にある塩バター豆パンもとても美味しい。

でも本当は、個人的には満寿屋のさいだいのおいしいパンは食パンだと思っている。

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とくに主力の「麦皇(むぎおう)」は、とにかく他のパンと食べ比べると、おどろくほどにうま味が強いということがわかる。塩分が多いんじゃないの?と尋ねたが、塩分量はむしろ少なめ。うま味が濃いのでそう勘違いしてしまうのだ。まだ試したことがない人はぜひ、大メーカーの食パンと一緒に食べ比べてみて欲しい。

あとですね、地元十勝ではしらぬもののいない大人気パン、ちぎりパン。

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山ごとにすきなだけちぎって買える(店の人にたのめば綺麗にちぎってくれます)パンだ。日本では伝統的な、甘やかな仕上がりになる加糖中種法で作っているので、子供のおやつにピッタリ。

でも、このパンはとってもとってもフンワリと作られているので、上になにか載せたり、デイバックとかに入れると、つぶれてしまいます。そうなると、ふんわり感がギュッと圧迫されて消えてしまう。そこにぜひお気をつけ下さい。

ということで、満寿屋商店の快進撃は続く。次はどのパンがリニューアルされるかな、、、