やまけんの出張食い倒れ日記

僕の短角牛「新生」君が肉になりました。格付はB2、そしてこの牛さんの原価をおしらせします。

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僕が所有する短角牛「新生」君が、お知らせしたように、10月2日にと畜となりました。肉になってくれてありがとう、新生君。その格付け表が来たので公開します。

格付はB-2。赤身度が高く、霜降りが入りにくい短角牛としてはごく普通の格付です。

いっぽう、枝肉重量は532kg。これは期待していたより若干少ない結果となりました。というのも、僕が購入した「ひつじぐも」の系統は、大柄な牛が生まれる特徴があるのです。現在、ひつじぐもの第四子である「いなほ」ちゃんがお母さん牛となり引き継いでくれているのですが、彼女もやはり大柄な子を産んでくれていました。ただし、この新生君の時の父親の系統が小柄なのでしょう、その影響か、こぶりな牛となりました。

ちなみにすみれちゃんの格付け表をみてみましょう。

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ご覧のように格付はC-2。歩留まりが悪いということです。このときの枝肉重量は570kg!ちなみに小さな個体になりがちなメスなのに、オス去勢の新生君よりデカかったのです。骨を抜いて正肉にしたときの重量も半端なく大きかった。

ちなみに胸最長筋面積、つまりロース芯の面積も小ぶりです。全体的に、肉としては小型かな。といっても、すみれちゃんは大きかったので、普通サイズといっていいかもしれない。

じつはすみれちゃんの肉は大きかったけど、長く飼ったために筋間に脂がかなり入ってしまっていたのでした。今回の新生君は、31ヶ月齢と、通常よりかなり長く飼ったにも関わらず、歩留まりはよい。つまり、脂はそれほど多くない印象。これは、赤身肉派にとってはよいことですね!

さて、この新生君が生まれてから子牛として漆原さんのところへ出荷され、そして2年間の肥育を経てと畜されるまでの経費がいくらかかったのかを公開しようと思います。ちなみに、ふつうの農家の単価とは違うと思います。あくまで一つのケースとして考えて下さいね。

素牛代金:31万1850円

これは、いなほちゃんから生まれ、およそ8ヶ月齢となるまで、二戸市の大清水牧野と山長ミートの槻木会長の牛舎で育った期間の世話代としてです。じつはこの部分がかなりむかしと比べて高くなっています。価格算定として、子牛市場で売買された子牛の平均価格指数と、その時の新生君の体重を掛け合わせて評価しています。なんで僕の牛なのに市場の価格を参考にするのかということもありますが、そうしないと槻木会長の儲けにならないということもあるからです。

肥育代金:45万7488円

これは肥育農家の漆原さんへ支払った金額。一日600円で、706日です。色んな農家さんが「うちならもっとやすくしますよ」って言ってくれるんですが(笑)、共済掛け金とか全部込みなので、妥当かと思っています。あと、漆原さんのところでしかできない、地元の雑穀や南部せんべいなどのエコフィードを中心とした餌が主体なので、そこに魅力があるのですね。

と畜経費:15万550円

スターゼンミートプロセッサー三戸さんでと畜・解体してもらい、肉を搬送した配送料も含めた費用です。いろいろ表には出せないやりとりで実現しています。

これに、正肉加工や保管料などが入りますが、それはまだこれからなので、見込みを言っておくと13万円程度だと思われます。

ということで、およそ105万円程度がこの新生君の肉の原価となっています。もちろんその他、僕が産地へ足を運んだり動いたりしている価格もふくめると、これでは効きません。この価格は、5年前と比べるとグググッと上がっています。

拙著「炎の牛肉教室!」には、僕の最初の牛である「さち」の一生が書かれていますが、その収支も記載しています。そこではおよそ85万円が生産原価として書かれています。つまりいまより20万円安かったということです。

←読んでない方、ぜひお買い求めください!

この時はいまはない牧野組合があって生産費がいまより安く、子牛の市場価格もそれほど高くなかったのですね。表に出てこない数字を勘案すると、感覚的には30万円は上がったな、という実感があります。

さて、少なくとも損はしたくないので、これまでみなさんに販売していた価格より高くしなければ成りません、、、ただ、なんといっても普通なら出てこない31ヶ月齢の漆原短角ということで、味わいはよいはずです。

現在、The Burnの米澤シェフと食べる会について相談中。できたらもう一店舗くらいでも、食べる会を開催したいですね。やっぱりシュングルマンかな(笑) この「食べる会」で使用する分と、僕の個人で食べる用(笑)を抜いた後の各部位を、一般向けに販売します。もうすこしして、各部位の重量がハッキリしたら、申し込みを受け付けたいと思いますのでお待ちください。

そんな、途中経過でした!