やまけんの出張食い倒れ日記

北海道のソフィアファームがグラスフェッドで育てた牛のLボーンステーキは、ヨーロッパの牛の味わいがした!

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北海道で本格的なバイオダイナミック農業・畜産業に取り組むソフィアファームについては、これまでに何回か書いてきた。

北海道のソフィアファームで育った完全なグラスフェッドビーフを、ぎりぎりまでウェットエージングして焼いたら、素晴らしく深みのある味に仕上がっていた!
- http://bit.ly/2Qv4qQR

なにせ、本格的な畜産業に取り組みはじめてからまだ数年ということもあって大変そうなので、アドバイスをもとめられたら可能な限りこたえるようにしている。

それが今年は、なんと北の食肉集団であるエレゾに食肉処理を委託し、ドライエイジドビーフにもチャレンジしたというのだ。送られてきた肉をみてビックリ、厚み4cmはあろうかという立派な骨付き肉!

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どうやら、ソフィアファームのキャンベルこのみさん、エレゾ社に委託する際にステーキカットの厚みの指示をしくじっちゃったらしい。エレゾはご存じの通りレストラン向けの出荷がメインなので、出荷形態は厚みがありまくるのが普通。

「骨の間接一個分の厚みにしますかー?」とこのみさんに聞いてきたらしい。よくわからないこのみさん、「あ、それでお願いしま~す」といって、できたの観てビックリ。分厚い!ご家庭でこれ焼けるんでしょうか。

でもわれわれ肉クラスターにとっては、やりがいのある厚み。ちなみに我が社グッドテーブルズには、写真のイワタニ謹製コンロが常備されています。


イワタニ 炉ばた 焼器 炙りや CB-ABR-1

このコンロ、5千円以下と思えないパフォーマンスで、肉焼きにかなりよいですよ。ガスの直火があたるのではなく、放熱板に火が当たって、輻射熱が素材にあたるので、遠赤効果を望めることと、ガス臭さが付着しません。わたし、バーナーで直接食材を炙って出す料理人って信じられないんですよね。ガスについているゴム臭さが食材にうつっちゃうのが、なぜ気にならないんだろう。

ということでソフィアファームのLボーンを解凍し、まんべんなく多めの塩をすり込んで焼きにかかります。下の写真では骨側が上だけど、実際には骨側から焼きます。イタリアやスペインで直火にあてて肉を焼く時、かならずシェフは骨から焼いて、骨ぎわの肉に熱伝導でやんわり火を通してから表面を炙っていましたね。

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塩をしないで焼く派の人も多いですが、肉をジャッジする食べ比べの時にはいいかもしれないけど、美味しく食べるためには塩をした方がいいように思います。内部から引き出されたたんぱく質などが火に当たることで、メイラード反応によって旨みが倍化するからね。よく「肉の中の水分がなくなる」とか「肉にストレスが」という人がいるけど、赤身肉には水分はイヤと言うほど含まれてるし、ストレスかけた焼き方も美味しい場合が多いからね。

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なので、火力は全開。屋外で焼くので冷えて、意外に焼けないものなんです。

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30分ほどでようやくこんな感じ。屋内ならもっと熱効率が上がって焼き上がりが早くなると思うけど、事務所がしばらく換気で大変になるので(笑)

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これが意外にいいあんばいに火が入っているものなのですよ。

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ここに、辛みの効いた北のオリーブオイルを垂らして食べるのが旨い。

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っていうか、すばらしく美味しい肉だ。これ、イタリアやスペインを廻って肉を食べた人ならば「あっ、ヨーロッパの肉の味がする!」と言うこと間違いない味と薫りだ。

エレゾの熟成庫で寝かせたことで、NYスタイルのブンブン香る熟成香ではなく、赤身の水分を抜くことが主眼であるヨーロッパ型の熟成となっているのだろう。これはいい!

もちろん、ヨーロッパでも最終的には牛舎に入れて穀物を含む餌を与えて肥らせるので、もっと肉付きがよい。ソフィアファームの牛は最後までストイックに育てられているので肉の歩留まりは悪そうだが、味わいはとてもよいので、いい意味で予想を裏切られ、驚いてしまった。

もし、どうしても日本で育ったグラスフェッドビーフをたべてみたいならば、ソフィアファーム・コミュニティに問合せをしてみるといい。まだ在庫があるかもしれないから。ただし、この厚みがあるので、肉焼きに自信があるひと限定だな。

■ソフィア・ファーム・コミュニティー
http://bit.ly/37FtWJ2