やまけんの出張食い倒れ日記

石川県の食器メーカーであるニッコーから、ボーンチャイナのティー&コーヒーカップを買った。そして、それらボーンチャイナから産まれたリン酸・カルシウム肥料「ボナース」が面白い!


会社への来客があったとき、いままでイッタラのムーミンマグカップでコーヒーや紅茶を出していたのだが、いいカップ&ソーサーが欲しいなと思っていろいろ探していた。そんな折りに、あるイベントでニッコーの方と席が一緒になった。ニッコーと言えばホテルや飲食店で、そのカップや皿をよくみかけることのある、石川県の金沢市で1908年からの歴史を持つ陶器メーカーだ。


ボーンチャイナとは、牛の骨灰(ボーンアッシュ)を原料にした陶器。ニッコーの製品はボーンアッシュ50%と配合比が高く、純白度が高く品質が評価されているそう。

いろいろ話をしていたら、なんと、製造時に出る規格外品や廃棄するボーンチャイナ食器を粉砕して、肥料にしているという取り組みをしているそうなのだ。え、まじで!?

牛の骨灰といえば、BSE騒動で使えなくなってしまったものの、とてもよいリン酸肥料として農業では重宝されていた。そしていま、肥料の輸入大国である日本農業は、リン酸肥料の高騰にあえいでいる。そんな状況なのだが、まさか食器からリン酸肥料ができるなんて思ってもみなかった!

とても興味が湧いて、ニッコーのショールームで話を伺い、その場でティーポット、ティーカップ・コーヒーカップとソーサー、小皿を5客ずつ購入した。


ベーシックな形のモノを選んだけど、じつによいですね、、、


で、これがボナース肥料。


なるほど、粉砕したボーンチャイナである。


これ、ちゃんと農林水産省に肥料登録されている(肥料登録番号:生第107121号)、肥効が明確な製品である。成分としてはリン酸とカルシウム。チッ素カリはゼロなので単体での使い途は限られるとは思うが、単体で使う人もいないでしょう。

超高温で焼成されているものなので、水には溶けない緩効性肥料としての位置づけだ。緩やかな肥効が長期間続くという形ですね。


話を伺ったが、肥料メーカーでもない同社がこうした製品を出すにあたって、いろんな苦労があったそうだ。まあ、想像できる。ともあれ、現在ではこのように、ニッコーの食器を導入すると、そこから出た肥料を使って栽培した野菜を循環的に使えるね、という話が、形になりつつあるそうだ。


これは実際に、キャピトル東急ホテルで開催されたサステナブルイベントで提供された、ボナース肥料を投入して栽培された野菜の冷前菜。曽我部シェフによるもので、とてもおいしかった!


食器から肥料へという面白い転換を産み出したニッコー。これから少し掘っていくつもりだ。ちなみに、このカップで飲むコーヒーがむちゃおいしい。うちの事務所に来る方はこれでお茶を出しますね。お楽しみに。