やまけんの出張食い倒れ日記

会津若松行きの電車で田口ランディを読む

福島にて明日、講演がある。東京から新幹線に乗り、郡山から在来線に乗り継いで3時間半の車中で、田口ランディの小説を初めて読んだ。読んだのは文庫本の「コンセント」だ。あまりに面白いので、一気に読み終えた。もったいないことをした、、、どうも俺には、流行っている作家の本をあえて読まないという、斜に構えた性向がある。これは、無駄だな。ユタとかシャーマニズム、セックスを露わにしていて、しかもエンタテインメントになっている。この小説で書かれている世界はずっと前から存在していたわけだけど、このような語り口が出きる人が現れてきたのだな。こういうのが売れるようになってきたのだな。それは一方で社会にこうした物語を求める人が多いということだな。やはり火星の接近と関わりがあるのかな。

 火星の接近の話題は、昨晩の藤幡正樹展のレセプションで、藤幡さんと交わした会話からのものだ。僕が影響を受けた農法にバイオダイナミック農法というのがある。思想家のシュタイナーが拓いたものなのだが、特徴の一つに天体のリズムと植物の生育に規則的な相関があるとし、これに合わせた作業をするということだ。天体の運行は軌道計算ができるので、365日分のカレンダーが制作されている。バイオダイナミック農業(BD)の実践者はみなこの農事カレンダーを携えているのだ。
 でもこれは当然植物への影響だけではない。菌類や動物にも作用する。ある星位になると、ヨーグルトやパンの発酵は調子が悪くなったり、養蜂家はミツバチがあまり蜜を集めてこないことを不審に思う。とすれば人間の生活にも何らかの作用があるはずだ。最近の社会に溢れるいろんな出来事も、我々がまだ意識に取り入れることのできないほど大きな秩序からの影響として引き起こされているのかもしれない。

 どちらにせよ、個人がどのように生きるのか、ということが決定的に重要なのだという気がする。そんなことを思わせるに至ったのは田口ランディの本の力だ。週末にでも他の本を読んでみようと思う。