やまけんの出張食い倒れ日記

韓牛を食べる! 韓牛専門店「チャムスッコル」で、健全なる韓国の肉の美味しさをたっぷり味わった!

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さて夜はなんといっても肉だ。最近、野菜よりも肉の仕事が多い僕のことを思っていただいたのか、さっそく到着日夜に連れて行っていたいたのが、韓牛専門の焼肉「チャムスッコル」。

韓牛とは読んで字のごとく、韓国に在来した牛品種をベースに、改良を重ねた肉用種だ。韓国もずーっと農耕用に牛を使ってきた文化で、全国に在来種が居たらしい。エンジンが開発され普及した後、農耕用ではなく肉用に適した品種に改良するため、外国産の品種を掛け合わせていき、固定化されたのがいまの韓牛だということは識っているけれども、じつはまだ韓牛の繁殖・肥育風景をみたことがない。いつか観に行きたいものだと思う。

一般的にパンフなどで出てくる韓牛の写真は、日本における褐毛和種(くまもとあか牛、土佐あかうし)のような淡い褐色の色だ。それもそのはず、日本の褐毛和種は韓牛が渡来したものがベースとなっている。つまり西日本であか牛と呼ばれているものは、韓牛にルーツがあるのだ。ただし本場韓国では韓牛にもいろんなバリエーションがあるらしい。日本語訳された専門書ってないのかな、もし識ってる人がいたら教えてください。

さて店はソウル市庁舎地区の賑やかな繁華街にある、かなり立派な構えの店。

 

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この店の隣店が日本食の店らしいんだけど、看板がすごい。鯛がブワッとジャンプしてるところなんだけど、やたらと写実的な写真でけっこう引いちゃう(笑)

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それはおいといて、このチャムスッコルは全羅南道産の韓牛専門店であるということと、店名にもなっている「チャムス」(クヌギの木)の炭を使うということで有名な店だそうだ。店内のインテリアにも炭が使われている。

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さてこの店ではかなり僕は「うううううん、そうなの?」と色んなことを考えてしまった。それは何かというと、この張り紙をまずは見て欲しい。

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なるほどぉ

と思う一方で、まず冒頭行にある「現地でと畜検事が完了する次第毎日購買し、お客様に提供しております」という部分と、5行目にわざわざ赤字で書いてある「24時間以内にお客様に提供できるようにしております」という部分。

と畜検事とはおそらく、と畜処理後のBSE検査なども含めたと体の格付け作業を言うのだろうと思うのだけど、それが終わってすぐ購買する。そしてそれを24時間以内に提供する、と書いてある。

つまり、ほとんど熟成させていない牛肉を食べさせているということに読めるのだ。

それ、本当? 大型家畜である牛は、と畜後すぐには美味しさの成分であるアミノ酸が生成されず、日本では少なくとも一週間~30日は熟成期間をおく。24時間以内だと、死後硬直は解けているけれどもそれほどうま味は出ていないんじゃないかなぁ、と思ったのだ。

この辺は、肉に対する日本と韓国の価値観の違いがあるのかもしれないが、それ以前になにか誤訳があるのではないか、と思う。もちろん、文句をつけている訳じゃないよ。そうじゃなくて、お店の言いたいことが正しく伝わってない可能性があるなぁ、と思って書いている。だってね、旨いんだよここの肉

店内すぐのショーケースにどだーんと置かれていた肉の色。

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かなり部分的に色が深くなっているし、水分もずいぶん抜けている気がする。これは熟成させた肉じゃないのかなぁ、と思うわけだ。

もしご存じの方がいたら教えてください。これがほんとにと畜解体処理後24時間以内の肉だったら、僕の牛肉に対する価値観はものすごく変わります。

まあそれはともかく。

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ゴージャスな個室に入ると、すでにキムチ類が並んでてワクワクする!

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このムルキムチ(水キムチ)が非常に美味しかった! ムルキムチは、高校生の頃に修学旅行で韓国コースというのを自分たちで計画した際(僕の母校の自由の森学園では、修学旅行のコースは5つくらい、自分たちで企画をして決めていた)に勉強した不思議なキムチだ。ダイコン・ニンジンに白菜などを刻んで塩をして水に漬けておくと、それが乳酸発酵して酸味のある漬物になる。その汁ごといただくので水キムチというのだ。今思えば良質な乳酸菌の液体ですね。

このほか、細いニラのサラダなどあって、高級店らしくそれぞれ上質な味付け。

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さて、肉だああああああ!

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韓国ではタレにつけ込んだヤンニョンカルビと、タレに漬け込まず塩で食べるセンカルビというのがある。最近、センカルビがはやっているらしい。日本はタレに漬け込んでないタイプが主流で、韓国はその逆と思っていたのだけど、やっぱり韓国でも肉の味わいのみで食べると言う流れになっているのだなと思った。

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おねえさんがハサミで骨から肉を切ってくれる、、、

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きたぁあああああああああああ!

この写真見てお分かりの通り、粗ザシではあるけれどもサシがかなり入っている。サシ色が純白であることから、かなりの割合の穀物肥育なんだろうなぁ。そして肉からは、銘柄牛に特有の香りが。香り成分は脂に含まれていることが多いことから、黒毛和牛と似た香り成分が少し含まれているのかな、と思う。

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まずはサンチュで巻かずに塩でいただいてみた。うん、いいお肉! 脂の質は溶けがよく香りもほどよくて、嫌気がしない。やっぱりこの柔らかさ、美味しさはと畜後24時間以内のものとは思えないなぁ。ただしうま味の総量はたしかにそれほど濃くはない。熟成するにしてもたしかにかなり短い期間で出しているのかもしれない。それはおそらく好みの問題なんだろう。そうすることでさっぱりした食べ口で、量が食べたくなるのだ!

ところでこの店「チャムスッコル」または韓牛のことを書いている記事などで「とろける肉」というような表現が使われているのをよく見かけるんだけど、ちょっと違うよね、と思う。チャムスッコルの良質な韓牛の肉は、とろけるのではなくむしろしっかりした食感に健全な脂の香りが浮かぶ、元気になる味わいだ。「とろける」というのはサシのほうが赤身よりたっぷり入っているような病的な黒毛和牛の食感を言うのではないかと思う。ま、最終的に表現は人それぞれですけどもね。

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さらに肉は続く。センカルビからいろんなバリエーションで肉を持ってきていただく。

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韓牛とクヌギの炭との相性がいいというのは初めて識ったけれども、たしかに表面はバリッと焼き色がつき、内部はまだ肉汁を湛えているよい加減に焼けてくれる。美味しい、美味しいです!

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エゴマの葉、サンチュに包みいただく。実はいま韓国では、日本とは比べものにならないほどの青野菜の不作。例年の10倍の価格だそうだ。日本の皆さん、野菜が高いとかいうのは的外れですよ、ぜんぜーん高くない。韓国では深刻にキムチシーズンを迎えられず、みんな困っているそうだ。

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U社長、マッコルリをオーダー。旨い、、、なんてことはないよくある銘柄だそうだけども、鮮度が違うのか日本で呑むのと全く違う美味しさを感じる。

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この店の名物の一つ、チャドルバギという部位が網に並ぶ。

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片方に脂がどわーとついたこの形状をみると、ブリスケのことじゃないかと思ったのだけども、仲居のおねーさんは「腕の付け根の方」を指さしていた。どこだろう?おそらく食感もブリスケっぽかったんだけどな。シャキシャキブリブリという感じで味わいは端麗、肉好きに好まれそうな美味しい部位だ!

さてさて、僕的メインイベント、ヤンニョンカルビ!

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白菜じゃないよ(笑)、骨付きの肉を開いて、包丁で細かな刻みを入れてタレが絡みやすいようにして、ヤンニョン(タレ)につけ込んだものだ。ストイックに素材の味で食べるのも好きだけど、ぼくはやっぱりこっちのほうが好きだ!

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韓国では甘めの味つけが好まれるようでこれも甘めだったが、フルーツベースなのだろう、その甘さは抜けがよくしょ糖のくどい甘みではなく、爽快な甘さだった!

いやもう最高です。

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熱々のチゲも味が緻密。

〆は冷麺(ムルネンミョン)。

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このスープがまた絶品だったのだ、、、しゃりしゃりのシャーベット状のスープ、じんわりしたうま味と密やかな甘み。なんだこの繊細なスープは、、、麺は極細で舌触りがなめらか。絶品でしたねぇ。

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ビピンパは店員さんに混ぜていただく。やっぱり混ぜ方と執念が違うんだよね。

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それにしても素晴らしい店。連れてきていただいて本当にありがとうございました!

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某社の三人組。右側はU社長の右腕的な韓国の才女。日本の大学に4年留学していたのでほぼネイティブなみの語学力の才媛だ。うちの嫁さんによると、よく食べる僕をジーッと、不思議な動物を見るような目つきで観察していたらしい(笑)

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それにしてもU社長、同い年の阿部先生と楽しそうに話をされる。やっぱり韓国支社長として赴任されてから、いろんなプレッシャーにみまわれているということもあるだろう。しかし淡々と明るく、そして着実に仕事を進めるこの方ならば、韓国におけるシェアは躍進すること間違いなしでしょう。D7000、すごいカメラだしね!(阿部先生に触らせていただきました)

いや旨かった! 本当にごちそうさまでした。

それにしてもチャムスッコルの韓牛の熟成の謎、だれか識っている人が居たら教えてください。マジで旨い店なので、逆に頭の中に???マークが拡がっちゃう。

まあでもそんなことは半端な畜産知識しか持ってない僕だけのもの。美味しい韓牛を味わいたいツーリストには、この店はパーフェクトに薦められます。サイドディッシュも全部旨かったからね!