やまけんの出張食い倒れ日記

返す刀で、三越本店で開催されているイタリア展の特別出展、シチリアはパレルモから来ているBye Bye Blues×サローネ2007のエビのパスタがヤバイ!なんじゃこの麺は!?でも実はそれよりもっと、カジキマグロのインボルティーニが激ヤバである!

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いやーもうほんとビックリです。絶対にイタリア展行った方がいい。そんでこの料理は食べるべきだ。

ジョンティ・アッシュで充実のコースをいただき、満ち足りた気分で白金台から南北線に乗る。ここからだと溜池山王で銀座線にヒョイッと乗り換えられるので、事務所の最寄りである三越前駅まで最短で行けるのだ。

と思ったら、そうだ三越でイタリア展やってるよね。そんで、とっても旨そうなエビのパスタが載ってたなぁ。それも、サローネの樋口シェフが現地のシェフと組んで出すんだよね。

よし、軽くパスタだけすすっていこう! と思ったわけである。わかるよね?フレンチを食べた後「ラーメンか牛丼で締めたい」と思ってしまう、あのなんというか感覚。

で、三越前でおりてそのまま催事場の7階へ。もうご高齢の方々でごったがえしてます。週末はスゴイ事になるだろうな。で、奥にある特別食堂へ。15時の時点で5分ほど待ちました。てことは、おそらく週末の12時前後は激混みでしょうな。

 

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特別食堂、ちゃんと什器が入ってます。スチコンも!ここってずっとこういう使い方なのかな?これならちゃんとした料理出せるよね。

さて、三越のサイトを見ればわかりますが、ここでは赤エビのパスタ単品(1998円)か、それに料理一皿追加(2997円)、料理2皿追加(3996円)という設定。コース食べてきたしここはかるくパスタだけで、飲み物もパスして、とおもって着席したら、樋口シェフが「あれっ?」とこっちをズーッと観てる。そう、料理人さんだけにクローズドの開催をしていた時期の赤肉サミットに参加してもらっていたのですよ。どもども。

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あちゃー、みつかっちゃった!じゃあ、貧乏くさいと思われないように、もう一皿、、、と2皿コースを注文してしまった。

「お料理は選べますが、、、」

という。ひとつはカジキマグロのインボルティーニ。もうひとつはイワシとジャガイモのティンバッロ。 ジャガイモは重いなぁ、、、それにインボルティーノにはカポナータが添えられているみたいだし、、、そっちにしようっと。とオーダーしたのだが、実にこれが僥倖だったのである。

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さてわりとじかんをかけてやってきたパスタ。(なぜ時間がかかるかはあとで判明!)

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さてみなさんこのパスタ麺、なにかおわかりですか? じつは食べに行こうと思った理由はこれなのだ。この麺、スパゲッティにしてはなんか形状が違うし、キタッラにしてはカドが立ってない。だいいち、生麺なのか乾麺なのかようわからん。

そう思ってまずは赤エビと一緒に啜ってみると、、、

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うごぁっ!

なんじゃこりゃあああああああああああああああああああああああああああ

ブリンブリンと超絶に強い食感、でも乾麺ではないフレッシュ感、でも生麺なのになんでこんなにコシが!?

そして、少なめのソースに地味に絡めているとしか思えない感じの見た目のパスタだが、濃厚にエビの味わいが来る。赤エビは実に繊細においしい。そしてシチリアお約束の煎ったパン粉もカリッとまとわりついて、旨い。

しかししかし、このパスタ麺がいったいなんなの?という正体不明の謎に気を取られ、きづいてみれば2分くらいで完食!

うんまいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なんか、プロが作るパスタの、次元の違いというものをみせてもらった。これはぜったいに、家では作れない。

「やーそうですか喜んでいただけてよかったです。じつはこの味が、僕のイタリア最初の修行先であるBye Bye Bluesの味なんですよ。みため華やかなペスカトーレとかを勉強しよう!と思っていったら、最初にこんな地味なパスタを出す店だったわけです。でも食べてビックリしたんですよ。こんなにおいしい、しかもぜんぜんシンプルに作っているように見えるじゃないですか。ぜんぜんシンプルじゃないんですよ!おそらくみんなエビのダシを煮詰めてからめてくらいに思ってるでしょうけど、想像する10倍くらいの工程があるんですよ。いいかげんに作っているような印象の味を、緻密に計算して作ってるって感じですかね」

ええええええええええええええええええええ そういうことなのか、 なるほどぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

そして、麺の正体!

「これ、ラーメンの製麺で有名な浅草開化楼と組んで作ってもらってる生パスタなんですよ! ふつう、生パスタって製麺業者さんからするとおまけてきな扱いなんですけど、そうじゃなくて、製麺所にしかできない生パスタ作ろうっていうことでやってるんです。デュラムも入ってますよ。」

おおおおおおおおおおおおおおお、そうか、これがそうなのか! つけ麺ブームの立役者でもある浅草開化楼が、どこかと組んで生パスタやってる話しは聞いていた。

ちなみに浅草開化楼といえば、僕のブログの古い古い読者ならご存じの、木場のタンギョー(タンメン+ギョウザ)の名店「来来軒」が店を閉めたのち、熱心なファンが親父さんに頼み込んで「来来軒」として看板を出すことを認めてもらい、新しく出した新生「来来軒」にも麺を卸している。

けど、、、悪いけどこの新生「来来軒」はぜんぜん昔の味と違う。開店後と2ヶ月後くらいに言って食べたがガッカリした。それも麺が圧倒的に違う。ということで、浅草開化楼にはぜんっぜんいい印象をもっていなかった。

けど、この生パスタはすごいな、初めてこんなに存在感があって、おいしいと思える生パスタを食べた。感動です。

しかもここで感動は終わらなかった!

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カジキのインボルティーニ。インボルティーニってのは、魚の肉などでパン粉と松の実などを合わせた具を包んで加熱したもの、といえばいいんでしょうか。シチリアではよく出てくる料理だ。まあ正直言って「飛び上がるほどおいしい!」ってもんじゃない。郷土料理だから、いちおう頼んどくか!という感じ。あのイワシとウイキョウのパスタもそんな感じだったりしますね。

まあはっきりいって、樋口シェフにみつかっちゃったので、見栄でもう一皿。それも、カポナータが着いてくるからという理由で選んだ一皿である。

ところがぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

たかをくくった感じで一口、インボルティーニを口に運ぶと!

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やわらかに火入れされた、実に薄く繊細なカジキマグロの身にくるまれている餡は、シットリした、なんというか和菓子のうぐいす餡みたいなもっちり、やわらかな食感!そして酸味にうま味、なんともいえない香りの集積体!

こんなに旨いインボルティーニ食べたことないよ!

ていうか、初めてインボルティーニという料理を旨いと思ってしまった!!! ビックリです、、、

「これは、パン粉に松の実、トマト、チーズ、、、といったものなんですけど、シェフのシニョーラがパン粉から何からこだわりまくってまして、、、」

という。その、シチリアからやってきたシニョーラがこの方だ!

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三越のパンフに写ってる写真よりもずっと凜として素敵な女性だ。かっこいい!

あのですね、ぼく、期間中にもう一回行くことにしました。こんどは3皿のコース食べます。これならあの値段は高くない!だって、インボルティーニでこんなに旨いんだから、もうひとつの皿もおいしいに決まっている!

ひさしぶりに、未知の味に出会い、心の底から感動したのでありました。シニョーラ、樋口さん、ごちそうさまでした!